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2018/09/13

都庁前通信 2018年9月13日号

F20180913

ここでも文書改ざんが?

都教委は裁判で嘘の陳述書を校長に出させている?

■根津「君が代」不起立処分取消訴訟で

 当会の河原井・根津の2008年「君が代」不起立処分取消訴訟(根津は南大沢学園養護学校在職)において、根津が2004,5年に在職した立川二中のF校長(当時)が都側証人として陳述書を出し、7月12日に尋問に立った。
 2008年の根津停職6月処分では、処分理由に①「君が代」不起立だけでなく、②「日の丸・君が代強制反対」等のロゴの入った衣服を日常の仕事の中で着用したことが挙げられていた。そこで根津は、「これまでも何年にもわたりこの衣服を着用してきたが、着用を禁止したのは南大沢学園のO校長だけ。」と主張してきたところ、都はF校長の陳述書を出してきました(昨年12月)。「平成17年の6月頃着てきたので、始業前に注意したところ、脱ぐか上に羽織るかした。それ以降、一度も着てこなかった。だから(処分のための)事故報告をあげなかったのだ。」というもので、800字ほどのものでした。
 7月12日の尋問では、F校長は陳述書に書かれた「平成17年の6月頃」ではなく、「平成16年春の運動会の朝練習の時に着用した」と証言。こちらの代理人が質すと、「都教委と面談した上で都教委が案文を作り、それを私が修正して署名捺印した」、修正した点は半年前のことなのに、「覚えていない」という、辻褄の合わない証言でした。
 〈着用を禁止したのは南大沢学園の校長だけ、と根津は言うが、立川二中のF校長も一度注意をして、着用を続ければ事故報告をあげるつもりだった〉というストーリーにするために、都教委はF校長に都教委が作成した陳述書に署名押印させたのでした。

■すでに他の裁判で

 都立高校の教員が懲戒免職(2014年)の取り消しと損害賠償を求めた裁判で、その高校の校長は「相賀管理主事から陳述書の原稿が送られてきて署名押印して提出するよう指示された。内容は事実に反し、教諭に極めて不利になる内容だった。」が、「虚偽の陳述書を提出しなければならない現実に、心を痛めたが、指示に従わないと進退問題にまで発展し、不利益を避けるように提出してしまった。保身のために出した陳述書が裁判で使われ、教諭の人生を台無しにしたらと後悔の念が積もり、新たに陳述書を書き直して提出しようと決心した。」と、事実を書いた陳述書を再提出したということです。(2015年6月19日号「週刊金曜日」) 都教委が作成した陳述書に署名押印させられたのは立川二中のF校長だけではなかったのです。
 この教員の処分は取り消されました。

■上意下達の思考が招いたこと 

 F校長は、根津停職6月処分の適法性を立証するのに自分が使われていることを認識しているのだろうか。根津の処分よりも、自身の保身(K市教育相談所 非常勤教授)を優先させたのか。いや、都教委から指示されたら、組織人として判断することなく従うということなのか。そんなことを考えながら証言するF校長を観察していました。在職中の根津の印象では、F校長は「君が代」不起立の報告はあげるけれど、差別的な人ではありませんでした。しかし、そうした人でも、上から指示されれば考えずに従ってしまうということでしょう。
 国会中継で繰り広げられる官僚や閣僚も、これと同じです。私たちはだからこそ、指示命令に考えずに従う人間を学校教育がつくってはいけない、事実をもとに自分の頭で考え判断する子どもに育ってほしいと考え、「日の丸・君が代」の強制に反対してきたのです。(根津)



8月23日総合教育会議傍聴報告


午前中は総合教育会議、午後が定例会でした。総合教育会議の報告をします。

■「母語がしっかりする前に慌てて英語をしなくていい」

 今年度総合教育会議はこの日が第1回目。「これからの時代に必要な『読解力』を育てる』という議題で、2011年度から「ロボットは東大に入れるかプロジェクト」を立ち上げ、調査研究をしてきたという新井紀子教授(国立情報学研究所、(社)教育のための科学研究所)が「AI 時代を生きるための『読解力』とは」と題して講演。その後、淵江高校数学科の主任教諭と江戸川高校の国語科教員から短い報告があった。
 新井教授の話は――。AI は、意味は理解できないが、キーワードを上手くたくさん入れれば、「よく当たる」こともある。一方、意味がわかるはずの高校生が、意味のわからない AI に敗れるのはなぜかを、文章題の質問に答えさせることで調査した結果、

① 正答率(読解力)と偏差値とは相関関係にある。
② 就学援助(金受給)とは強い負の相関関係にある。(筆者注:援助金を受けている家庭の子どもは正答率が低い) 
③ 中学生は学年が上がるごとに読解能力が上がるが、高校生は上がっているとは言いがたい。

 とのこと。
 この調査結果から新井教授が導き出した結論は、
「教科書が読めない→予習も復習もできない。貧困下でも塾に通わなければならない→AIに職を奪われる、新しい職種に移動できない→労働力不足なのに失業や非正規雇用が増大→格差拡大、内需低下、人口がさらに減少」 したがって、「中学を卒業するまでに、教科書を読めるようにすることが公教育の最重要課題」とのこと。
 すべての子どもたちに基礎的な読解力を身につけさせる大切さは貴重な指摘だが、それでも現在のような多人数学級で英語・道徳・プログラミングと詰め込まれ、部活に参加、はてはオリンピックのボランティアにかり出されるゆとりのない学校生活では、結局、子どもの家庭環境が読解力獲得の差を生み出すのではないだろうか。そうした読解力の差が子どもたちの将来をストレートに左右するとしたら問題だが、この点はどう考えているのだろうか。 
 講義の後、小池都知事や教育委員から質問ややりとりがあった。その中から幾つかを挙げる。

小池知事︰東京は英語教育を早期から行なっている。幼いときから英語をやると、読解力がなくなるか。
新井︰母語がしっかりする前に慌てて英語をしなくていいのでは。英語を使いたいのであれば、音声翻訳が使える。
小池知事︰プログラミング教育も東京では早期にやっているが、それも良くないのか。
新井︰プログラミング教育をイベント的に年に何回かしても成果はない。プログラミングの基本は、定義をよく読むこと。
宮崎教育委員︰英語よりも母語のマスターが先だ。
 
 学習指導要領の改定に伴い、今年度から3,4年生が英語活動を、2020年度から5,6年生は英語が教科化される。都教委は全国に先駆けて英語教育に力を入れ、多大な金をつぎ込んで、英語村・体験型英語学習施設「TOKYO GLOBAL GATEWAY」を今月6日に開業させた。宮崎教育委員も他の教育委員も、英語教育に反対する発言を定例会の場でしてはこなかった。教育委員会定例会での発言とは異なった、ここでの宮崎教育委員の発言の趣旨は何だったのか。
 新井教授の発言を受けて、都教委は英語教育を再考する用意はあるか。

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2018/08/23

都庁前通信 2018年8月23日号

F20180823_2

歴史を隠ぺいする小池都知事
今年も関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文送付を断る



 小池都知事は昨年に引き続き今年も、関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式に追悼文を送付してほしいという市民団体の要請を断った。断った表向きの理由は「毎年9月と3月に都慰霊堂で開かれる大法要で、関東大震災と先の大戦で亡くなられたすべての方々へ都知事として哀悼の意を評している。このため昨年度から、個別の追悼文を差し控えることにした。今年も昨年と同様にする。」「大震災で亡くなられた方、それに続いてさまざまな事情で亡くなられた方を、むしろ区別せず、慰霊する気持ちをまとめている」とのこと。
 小池都知事のこの行為は、震災による死と虐殺による死を同一視し、日本が行った朝鮮人虐殺の歴史的事実を消そうとするものであり、また、ヘイトスピーチを容認し助長するものだ。都知事になる前には「日本会議国会議員懇談会」の副会長でもあり、「東京に核ミサイルを」などの言辞を弄した小池都知事の極右思想からの行為だ。強く反省を求める。

◇9月1日11:00~墨田区横綱町公園に集まろう
関東大震災95年 朝鮮人犠牲者追悼式典(両国駅下車10分)


都教委作成の「江戸から東京へ」も歴史を隠ぺいする


 都教委作成の高校日本史副読本(だが、日本史教科書の代替としても使用)「江戸から東京へ」は、関東大震災時直後に起きた朝鮮人虐殺に関する記述から「虐殺」の文言を2013年度版から削除修正している。
 「大震災の混乱のなかで数多くの朝鮮人が虐殺されたことを悼み、(1973年に碑が)立てられた」と書いた12年度版を、13年度版では「碑には、大震災の混乱のなかで、『朝鮮人の尊い命が奪われました』と記されている」と変えた。市民が悼んだ事実も消している。
 碑に書かれていることばは「一九二三年九月発生した関東大震災の混乱のなかで、あやまった策動と流言蜚語のため六千余名にのぼる朝鮮人が尊い生命を奪われました」である。都合よく碑文を利用して、事実を隠ぺいし、高校生に虚偽の歴史を教え込む行為だ。
 自国が行った誤った歴史の事実を反省し、後世に伝えていくことは、再び日本が戦争をし、我が子を兵隊に送りだすことを止めるために必須のことである。
 教育委員諸氏は「江戸から東京へ」が2013年度版からこうした書き換えをした事実を知っているのだろうか。




7月26日都教委定例会傍聴報告
来年度使用の中学校道徳教科書を投票のみで採択 
~一言の意見表明、意見交換もなく~


 指導部長が「検定済み教科書発行者一覧の中から投票を」と提案し、それが承認されたところで、直ちに投票に入った。数分で投票が終わると、担当職員がそれを回収し、別室で集計作業。結果の発表となった。
 採択に先立ち3通の請願書が出されていたが、今回もそれに対して論議された形跡はない。憲法16条が保障する請願権を都教委は反故にしている。請願の趣旨は4点。「①採択にあたっては、政治的圧力や思惑を排し、学校現場の意見を十分に尊重して採択すること ②それぞれの学校が最もふさわしいとして要望した教科書を採択すること ③特に問題が各方面から指摘されている「日本教科書」の教科書は、採択しないこと ④他県のように、教育委員会で直接この請願趣旨が述べられるようにすることを求める。少なくとも、事務局止まりではなくこの請願が、教育委員の皆様に伝えられ、委員会で議論し、回答されることを求める。」
 請願内容はまさに是。しかし、これについて論議を提起する教育委員は一人もいなかった。

 採択は次の通り(かっこ内は投票結果)。

白鷗高校附属       教出(教出3 学図1 日科1)
小石川中等教育(前期)、武蔵高校附属、大泉高校附属  学研(学研3 光村1 日科1)
両国高校附属、南多摩中等教育(前期)    学図(学図3 東書1 日文1)
桜修館中等教育(前期)   学図(学図3 光村1 日科1)
立川国際中等教育(前期)   教出(教出3 日文1 日科1)
富士高校附属       学図(学図3 日文2)
三鷹中等教育(前期)   学図(学図4 日科1)
聴覚障害特別支援学校       光村(光村4 教出1)
肢体不自由・病弱特別支援学校    日文(日文4 学研1)
視聴覚障害特別支援学校      教出(点字原典であるため)

(注)学図:学校図書、教出:教育出版、学研:(株)学研教育みらい、東書:東京書籍、光村:光村図書出版、日文:日本文教出版、日科:日本教科書

 高校用の教科書採択では各学校が選定した出版社名の記載された一覧表が出されるが、中学校用教科書採択では、それが出されない。3年前の中学校用教科書採択を傍聴した後、事務方に質したところ、「採択の公開定例会が終了し傍聴者が退場したところで、採択理由について各委員に意見を聞いて事務局で取りまとめ、『各都立中学校教科書採択理由』を都教委HPに掲載する」ということだった。その採択理由を見ると、「当該教科書は・・・本校で使用することが適切であると判断した」というように、「本校」ということばが並ぶ。しかしこれを書いたのは校長ではなく、都教委。都教委が校長になりすまして書いているということのようだった。
 3年前にこの事実にたどり着いたのは、4:2で採択した育鵬社の歴史、公民教科書についての「各都立中学校教科書採択理由」に対し、一部教育委員から「懸念があるとの意見を付記すべき」との声が上がったことが東京新聞で報道されたことによる。それで、筆者は事務方に質したのだった。
 3年前の育鵬社教科書はすべての学校について4:2で採択されたことから見れば、今回の学校ごとに採択結果が異なるのはどうしてなのか。各学校が選定したことを踏まえてのことなのか、あるいは各教育委員が各学校の教育目標に照らして投票した結果なのか、それすらわからない。闇の中での採択というほかない。

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2018/07/26

都庁前通信 2018年7月26日号

F20180726

本日の教育委員会で来年度
中学校道徳教科書を採択か
――「日本教科書社」「教育出版」は
採択させてはならない

 ことの善悪の判断や生き方について考えさせるのではなく、14歳からは刑事責任能力が問われると脅すことを教育と誤認識する「14歳の責任」や、2016年に安倍首相が行ったホノルルでの演説を掲載し安倍首相を宣伝するかのような「込められた想い『和解の力』」など、ひどい教材を並べる日本教科書社。戦国武将と勤王の志士など、殺りくに手を染めた人物を「47都道府県の偉人」として掲載する教育出版。同出版小学校用教科書には安倍首相の写真を掲載する。日本教科書社は安倍首相の教育ブレーンの八木秀次・麗澤大学教授が顧問(当初は代表)であり、教育出版は安倍首相の道徳教育のブレーンである貝塚茂樹・武蔵野大学教授らが執筆する。極右教育を推進する両教科書は、子どもたちに使わせてはならない。

八木秀次氏率いる「日本教育再生機構」に
「教育再生首長会議」が
1200万円もの公費を横流し


 日本教育再生機構(以下、再生機構という)は、2006年、新しい歴史教科書をつくる会から分かれて発足した、育鵬社教科書採択を勧める団体であり、理事長は八木秀次氏。教育再生首長会議(以下、首長会議という)は2014年に結成された、安倍首相を毎年表敬訪問するなど、安倍政権の極右教育を支持する首長の団体(会員131名)である。規約には、「適正かつ公正な教科書採択に関する調査・研究」を明記している。
 7月16,20日付沖縄タイムスは、首長会議が事務委託費として再生機構に年間400万円、計1200万円を支払っていたこと、その財源は各市(区町村)の公費であったこと、及び、今年1月24日に行われた首長会議で、日本教科書社顧問である八木氏の名前で日本教科書を採択してほしいと宣伝したことをスクープした。
 市長あての「ご案内」文書には、「市長が主催をする総合教育会議では教科書採択の方針などについて議論することができるとされています。つきましては、弊社に関する資料を同封致しましたのでぜひご覧ください。/あわせて、市長、教育長、教育委員の皆様に、直接ご説明の機会をおつくり頂きたく、ご検討賜りたいと存じております。」と明記されている。
 教科書採択にあたっては、公平性と透明性が担保されなければならないにもかかわらず、日本教科書社はそれを全く無視し、違法な営業活動を行った。その日本教科書社顧問は再生機構の理事。再生機構に首長会議は公金を横流し。これらの極右・安倍お友だち団体の癒着ぶりが明白だ。安倍内閣のメチャクチャさは、森友・加計問題だけではない。
 こうした安倍文部行政が、「道徳」の教科化を進めること、子どもたちに国家の価値観を刷り込むことに沈黙していては大変なことになる。国会や報道が取り上げるよう、声を上げましょう。

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2018/06/28

都庁前通信  2018年6月28日号

F20180628

日大アメフト部傷害事件は日本の縮図


 監督、コーチが「反則してでも相手のクオーターバックを潰してこい」と言い、それを実行させられた選手。上からの指示・命令には考えずに従わせる・従う体質は、軍隊のそれである。戦前の日本軍は「軍人勅諭」で「上官の命令は天皇の命令」と説き上官への絶対服従を要求した。こうして、侵略した先の中国では、初年兵に銃剣を持たせ、「度胸をつけるため」、捕虜を刺殺・試し切りさせた。日本軍の中国・アジア侵略で2000万人にものぼる人々が亡くなった。そしてこのアジア・太平洋戦争で軍民300万の日本人の命が失われた。
 この軍人勅諭とセットにして、国民に天皇への絶対服従の精神を植え付けようとしたのが、「教育勅語」だ。これを森友学園塚本幼稚園が園児に朗唱させていた。そして、安部首相夫人・昭恵氏が森友学園の新設予定の小学校名誉校長になっていたのが森友問題の発端で、政権が嘘に嘘を重ねることになる。
 ところで、今回の日大アメフト部傷害事件の背景には、日大の内田正人前監督を頂点とした強権的な支配体制がある。内田氏は日大の中で運動部の予算を管理し、人事とカネを握っていた。そしてコーチ陣を人事権で支配し、アメフト部の指導方法は「徹底した上意下達」だった。こうした上命下達の思考が、傷害事件を起こさせた。事件の当該選手が記者会見し、監督・コーチの指示を告白し、自分の非をわびたが、内田正人前監督は悪質タックルを指示した事実を認めようとしなかった。
 多くの人びとが今回の事件と森友・加計問題の構図があまりにも似ていることを感じ、マスコミもそのことを取り上げている。ただし、自らの非を認めた選手の記者会見での勇気ある態度、さわやかさと、ひたすら上の意向を「忖度」し、嘘を積み重ね、そのために一職員が自殺しても意に介さず、国会で虚言答弁を平然とやる安倍首相や麻生財務大臣、そして官僚などの無責任で恥知らずな態度との違いは対照的だ。
 大学だけでなく、中学校・高校の部活動にも、また、企業にもパワハラ、しごきやいじめがかなりの頻度で起きている。今回の日大アメフト部事件は日本社会の一つの縮図・病巣をあらわしているのではないか。
 こうした現実を見るにつけ、「日の丸・君が代」の尊重や指示命令に従うことを子どもたちに刷り込む教育を止めさせねばと強く思う。

教育勅語の現代版を狙う道徳 教科書展示に足を運んでみませんか!

 戦前の教育の反省に立てば、政権の道徳観・価値観を子どもたちに押し付けることは、してはならない。しかし、安倍政権は教育基本法を変え、道徳を、教科書を使い評価する教科にした。評価することを通して子どもたちには一定の価値観「正解」が注入される。再び、戦前と同じように政府の価値観を植え付けられた子どもたちがつくり出されることに、私たち市民・保護者は黙っていてはいけないと思う。
 現在、来年度使用の中学校道徳教科書の採択に向けて各区市町村教委が見本本の展示を行っている。8社のどの教科書も、検定を通過したのだから、文科省の指示する 22 の徳目を網羅する教材を並べ、最後に自己を評価するページを設けていて、大同小異の感はある。
 しかし、とりわけ問題なのが、日本教科書会社と教育出版の教科書。日本教科書会社は、育鵬社の歴史・公民教科書を作成した日本教育再生機構理事長の八木秀次氏が立ち上げた出版社で、現在の代表は武田義輝氏。武田義輝氏は晋遊舎会長を兼ね、両社は事実上一体の会社。晋遊舎はヘイトスピーチ本『マンガ嫌韓流』や児童ポルノ本で知られた出版社である。
 この2年生用教科書には、「込められた想い『和解の力』」と題して2016年12月27日に安倍首相が真珠湾で行った演説を掲載。安倍首相は「パールハーバーを和解の象徴として記憶し続けてくれることを私は願います。」と言う。まるで、安倍首相の言う「日米同盟は世界最強の同盟」の宣伝のようだ。しかし日本にとっては、かつて日本が侵略したアジアの人々との和解(=日本の謝罪あっての和解)こそが、今なお求められている。森友、加計問題で嘘をつき通し、官僚にも文書改ざんや嘘の証言をさせる、あるいは忖度させるような人物の道徳観を子どもたちに教えられてはたまらない。
 また、コラム「台湾に遺したもの 統治下での教育」では、台湾の人たちが日本の統治を喜んだと書く。そこには台湾を日本の植民地にしたことへの反省はない。日本の統治下で起きた抗日抵抗運動とその徹底的な弾圧にはまったくふれない。これでは、一面的な歴史認識を子どもたちに教えることになる。
 最後は、「心の成長を振りかえる」として、「日本人としての自覚をもち」「国を愛し、伝統や文化をうけつぎ」等、22の心を4段階で自己評価させる。
 教育出版の教科書は、小学校道徳教科書と同じく、こちらも日本会議系の学者である貝塚茂樹氏らの執筆。
 都立中学校の教科書採択は、都教委定例会で教育委員が行う。そこにも声を寄せましょう。


5月24日都教委定例会傍聴記


①「東京都がん教育推進協議会」提言について

 国ががん対策推進に乗り出したことから、都は外部講師を活用したがん教育をすべての学校で行っていくことを提言にまとめたとの報告。
 提言は、福島県の小児甲状腺がん及び疑いの子どもたちが196人(2018年3月調査)という現実や、その福島への帰還政策を国にならって進めてきた都の施策については一言も触れずに、「がんについての正しい知識とともに命の大切さを子どもたちに教える」という。「がんに対する正しい知識」を言うなら、被爆に言及するのは当然である。にもかかわらず、教育委員の誰一人として、それを指摘し福島に触れる人はいなかった。
  
②都民の声(教育・文化)について[昨年度下半期]

 寄せられた「都民の声」1913件のうち、「苦情」が最多の1338件(69、9%)、次が「要望」の270件(14、1%)。これまでと同じ傾向という。
 「高校の室外機の騒音がうるさく、平日は仕方ないが、土曜日のエアコン使用は迷惑」という近隣住民からの苦情には、「副校長から申し出者に謝罪するとともに、室外機を移設した。」「体育の授業におけるマラソン指導において、教員から生徒に掛ける言葉が汚く、聞き苦しい」という苦情には、「校長から当該教員に厳しく指導した」など、素早い対応をしたとの報告。
 陳情等(団体要請)40件のうち、「学校運営」に関するものが19件(47、5%)であり、そのうち、「学校教育の充実について」が12件。障害児教育の充実を求める要望、発達障害に対する支援の充実を求める要望である。陳情等の2番目は「教職員」に関するもので18件(45、0%)、そのうち、「国旗掲揚・国歌斉唱と教員の処分について」が14件。請願3件のうちの1件も、「国旗掲揚・国歌斉唱と教員の処分について」だった。
 「苦情」に対してはすぐに改善策をとるのに、「君が代」不起立処分については今回も、「本通達を撤回する考えはありません。懲戒処分の撤回は考えていません。服務事故再発防止研修を実施します。」と請願者に通知したとのこと。都教委の方針と異なる意見に対しては、都教委は「都民の声」とは思わないのだろうか。謙虚に批判を受け止め、論議し再考する姿勢を示すべきだ。

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2018/06/07

解雇させない会ニュースNo.65

Newsno65

解雇させない会ニュース一覧表
解雇させない会ニュース一覧表を作成してあります。
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2018/05/29

2018年度総会&講演会のご案内

180517

河原井さん根津さんらの
「君が代」解雇をさせない会


2018年度総会&講演会のご案内

「君が代」不起立の抵抗は続く



講師 増田俊道さん (大阪府立高校「君が代」不起立者/社会科教員)
日時 2018年7月7日13時30分開会
場所 中野区立商工会館 大会議室
   中野区新井1−9−1 TEL 03-3389-1181
   (JR中野駅北口より徒歩7分 早稲田通り沿い)

◇プログラム◇
13:30 開会
   総会(2017年度経過・会計報告 2018年度方針案)
14:15 増田俊道さん 講演と歌
   質疑応答 意見交換
16:10 閉会

 東京都では、「君が代」起立をしない教員に対し都教委が懲戒処分を始めて15年、これまでに483名の教職員が処分され、多大な不利益を受けてきたが、間違った職務命令に従えないと今春の卒業式でも「君が代」不起立で処分を受けた教員が出た。「君が代」不起立の抵抗は途絶えることなく続いている。
 一方大阪府では橋下府知事(当時)が「国旗国歌条例」「職員基本条例」を制定し、「同一の職務命令違反3回で免職」とする「君が代」処分を始めた。 今回講演をして下さる増田俊道さんは、今春2回目の「君が代」不起立戒告処分を受けた。 3月26日には、1回目の不起立処分に対して7人で提訴していた裁判の大阪地裁判決が出た。判決は提訴棄却という不当判決で、その判決理由は「原告らによる本件職務命令違反行為は、・・・自己の教育上の信念等を優先させて、あえて式典の秩序に反する特異な行動に及んだもの」という、ひどいものだった。それに対して増田さんは「…つまり、『文句があるなら3回処分されてから、具体的に争え!』ってことなんですね?…」(大阪ネットワークニュース14号)と怒りの声を上げている。

 このような今の大阪の状況やそれに対する闘い、そして増田さん自身の思いを、さまざまな集会やデモで反戦・反差別・反体制の替え歌を歌っている増田さんの歌とともにじっくり伺いたいと、お招きしました。
 たくさんの方のご参加をお待ちしています。もちろん会員でない方もぜひお出かけ下さい。

チラシへのリンク


2018/05/25

「君が代」不起立教員に対する不当処分に抗議する

185

2018年5月25日

大阪府教育委員会 教育長 酒井隆行様

「君が代」不起立教員に対する不当処分に
抗議する

河原井さん・根津さんらの「君が代」解雇をさせない会


 当会は2004年以来定年退職するまで毎年東京都教育委員会(以下、都教委という)から「君が代」不起立処分を受け続けた河原井さん根津さんを支え、東京の「君が代」処分を止めさせるために行動してきた市民団体です。
 当会は、今春の卒業式で「君が代」不起立をした3名の教員に対し大阪府教育委員会(以下、府教委という)が処分発令をしたことに強く抗議し、当該の3名に謝罪し処分を撤回することを求めます。

 しかも2回目の不起立をした増田俊道さんには、「職員基本条例第29条第2項の規定に基づき」、次回不起立の場合、「地方公務員法第28条第1項第3号規定により免職することがあることを警告します」との「警告書」を渡しました。「君が代」不起立処分自体がまったく許されることではありませんが、「同一の職務命令違反3回で免職」の警告はさらに常軌を逸しています。
 「君が代」不起立処分取消訴訟2012年1月16日最高裁判決は、「戒告を超える処分は違法」とし、例外的にそれ以上に重い減給・停職処分をしてもいい場合として、「学校の規律や秩序を害する具体的事情がある場合」としました。当会は、「君が代」不起立処分は思想を裁くことで憲法違反と考えますから、同最高裁判決を容認するものではありません。しかし、その最高裁判決でさえ、府教委が警告した「同一の職務命令違反3回で免職」を認めていません。
 また、河原井・根津の停職6月処分取り消し訴訟で東京高裁は、停職6月処分は「条例によれば、停職期間の上限は6月とされていて、停職期間を6月とする処分を科すということは、控訴人根津が更に同種の不起立行為を行なった場合に残されている懲戒処分は免職だけであって、次は地方公務員である教員としての身分を失うおそれがあるとの警告を与えることとな」る、「自己の歴史観や世界観を含む思想等により忠実であろうとする教員にとっては、自らの思想や信条を捨てるか、それとも教職員としての身分を捨てるかの二者択一の選択を迫られることとなり、(中略)日本国憲法が保障している個人としての思想及び良心の自由に対する実質的な侵害につながる」と判断し、停職6月処分を違法とし(2015年5月28日)、1年後、最高裁はこれを決定しました。
 府教委が出した警告書及び「同一の職務命令違反3回で免職」とする府職員基本条例は、明らかに最高裁判決・決定に違反するものです。とりわけ、この点について、府教委が至急検討するよう強く要請します。

 都教委は府教委に先んじて2004年から「君が代」起立・伴奏をしない教職員に対し懲戒処分を発令し、教職員や子ども・保護者たちでつくってきた学校を都教委の所有物にしてしまいました。それを境に、東京の教員採用受験倍率は2、8倍(2016年小学校)、副校長の受験倍率も毎年1.1倍~1.2倍と急激に落ちました。これについて中井教育長は、「(小学校の)この倍率では、『この人でいい』という教育力のある人を必要数確保することはできない。(中略)また、校長、副校長のなり手がない。現職だけでは足りず、今は再任用で確保しているが、それではもたない。」と悲痛な声を上げました。(2016.12.22)
 その解決策は、都教委が支配介入をやめ、教職員の思想信条の自由を尊重し、学校運営を学校に任せることです。そうすれば、受験倍率は自ずと増えます。教職員がいきいきと働くことのできる学校は、子どもたちが楽しく過ごせ、いろいろな意見があることを知る中で触発され、豊かな「人格の形成」をしていくことができます。
 橋下府知事(当時)が成立させた「国旗国歌条例」「府職員基本条例」に従い府教委が「君が代」不起立処分を始めたことによって、大阪も上記した東京と同様の事態が生じていると聞きます。学校は、府や府教委のものではありません。速やかに「君が代」不起立処分をやめ、学校を子どもたちに返すよう要請します。

以上


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2018/05/24

都庁前通信 2018年5月24日号

F20180524

足立区中学校の性教育
教育委員は授業の背景を理解する努力を!


 足立区中学校が3月に3年生を対象に行なった性教育について、都教委は4月26日に行われた都教育委員会定例会で「見解」を述べた上で、「今後の都教委方針」を示した。それに対し、教育委員からは都教委の対応の問題を指摘し、都教委に修正を求めるような発言はなかった。
 「『性交』『避妊』『人工中絶』といった中学校学習指導要領保健体育にないことばを使った授業は不適切。保護者の理解を必ずしも十分得ないまま授業が実施されていた。」というのが、授業に対する都教委の「見解」だった。そして今後は、「学習指導要領を基本とする。すべてを集団指導で教えるのではなく、集団指導で教えるべき内容と個別指導で教えるべき内容を明確にする。学習指導要領を超える内容を指導する場合には、事前に学習指導案を保護者に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施するなど」とすると述べた。

 教育委員たちの発言(要旨 傍聴して筆者が聞き取った限り)を紹介する。

北村委員:「今回、議論が起こったことが良かった。議論が大切。現場では萎縮せず、取り組んでほしい。性情報がいろいろある中、子どもには知る権利、自己決定する権利がある。専門家を講師にした教員研修をしたらどうか。授業について気になったのは、保護者への周知が十分だったかどうか。保護者には様々な考えがあり、イスラム教、カトリックの家庭もあるから、理解を得ることが大事。一斉指導と個別指導をし、子どもや保護者が選択できるようにするといい。授業で避妊の方法を生徒に述べさせる場面があったが、嫌な気持ちになった子どももいたかもしれない。都教委の役割として指導・助言があるが、上からではなく、対等なパートナーとして行なってほしい。現場が萎縮しないで子どもに寄り添うよう、性教育にあたってほしい。」
遠藤委員:「性教育は、普遍性と家庭教育が大事。普遍性を担保するのは学習指導要領。生徒参加型の授業で、個別に答えを求める場面があったが、性教育は家庭教育の範ちゅう。保護者の了解が必要だ。ことの経緯についてだが、文教委員会で質問がなければ、都教委はこの授業に関して知らないままだったのか。」
指導部長:「授業に問題があると提供があった上で、文教委員会で(自民党 古賀都議から)質問があった。」
宮崎委員:「議論になったのはとてもいい。デリケートな問題だから、一斉授業と個別授業を。家庭の考えがあるから、家庭との連携が必要。正確な情報を子どもに与えるのが、子どもを守ること。家庭との連携はできていたのか。」
指導部長:「保護者には学校だよりで知らせていたが、内容についてはよく伝わっていなかった。」
秋山委員:「医療現場から見ると、個人差が大きい。集団授業ではなく、また、家庭の理解が大事。都教委作成の『性教育の手引き』(平成16年)は古いので、改定する予定はあるか。」
指導部長:「今年度中に改定する。」
山口委員:「時代の変化が早く、教育が追いついていけてない。個人差があること、センシティブな問題だから、時代に先駆けるのがベストとは言えない。慎重に。足立区教委と都教委が連携し共有できるか(語尾聞こえず)」
北村委員:「一斉授業、個別授業が難しい。一斉授業で傷つけられる場合もある。」
中井教育長:「今後も丁寧に取り組みを進める。」


北村委員は「子どもの知る権利・自己決定権、子どもに寄り添う性教育」が大切と発言していた。それならば、『性交』『避妊』『人工中絶』のことばを使った性の授業が、「子どもの知る権利・自己決定権、子どもに寄り添う性教育」であったのか、なかったのか、意見表明してほしかった。
 また、「現場では萎縮しないで」と言うが、都教委が「見解」を示し校長を「指導」すれば、現場は十分萎縮する。

この発言には、現場を萎縮させる教育行政を都教委が長年してきたことへの認識が見られない。
 遠藤委員の「性教育は家庭教育の範ちゅう」発言には、氾濫する性情報の社会に子どもたちが置かれているといった危機意識が感じられなかった。

◇「個人差があり、デリケートな問題だから一斉指導と個別指導を」は時代錯誤では?

 北欧では小学校入学段階から自分のからだを知る授業が行われている。その授業は当然、一斉授業。隠さず教えることが当たり前となったこれらの国の人々の意識は、女性が性被害を告発したら二次被害が起きる日本の意識とは違う。「個人差、デリケート」を理由に個別指導をいう都教委及び教育委員の性意識には、「性の問題はなるべく隠しておいた方がいい」といった偏見があるのではないかと思う。

◇「保護者の理解・了解」、なぜ性教育についてだけ言うの?!

 性教育に限らず、「日の丸・君が代」、オリンピック・パラリンピック教育についても都教委は、「事前に学習指導案を保護者全員に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施する」を言ってみてはどうだろう。これらの問題についても、北村・宮崎両委員が言うように、「保護者には様々な考え」があり、北村委員が言うように、「保護者の理解を必ずしも十分得ないまま実施されていた」し、「子どもには知る権利、自己決定する権利がある」のだから。

◇足立区中学校の性教育

 都教委と委員の議論で一番の問題は、子どもたちの実態を知る教員たちが熱心に授業作りに取り組んできた背景にある中学生の現実をどれほど理解したうえで発言しているのかということだ。中学生に避妊や中絶を教える授業は各地に広がっている。子どもたちは、大人たちがカネもうけのためにまき散らす興味本位の性情報の洪水の中に置かれ、10代の妊娠・中絶・性感染症などは深刻な問題になっている。もはや、一部の生徒に個別授業をという段階ではない。
 また、この中学校での性教育は、1 年生から丁寧に段階を追って行われていて、「自分と相手を尊重した交際の在り方も含め『人権教育』の一環として行っている」と校長は説明している。都教委が問題とした授業は、子どもたちが中学を卒業する直前の 3 月、義務教育が終わる段階で、子どもたちが人生の次のステップに移る時期を選んでおこなわれていて、そこにも子どもたちの発達段階に対する慎重な配慮がうかがえる。
 足立区教委もこの取り組みを意義あるもので、不適切な授業だとは考えていないと言っている。
 この性教育を現場の教員と連携して作ってきた、宇都宮大学の艮香織(うしとらかおり)准教授(保健学)の話を以下に紹介する(4月16日朝日デジタル版) 。都教委は、当該の学校の校長や区教委からこの内容も聴取していたはずなのに、これについては見解で触れていない。反論できずに、無視したのか。

*** *** *** ***

 6年前から足立区立中の教員と授業作りに取り組んできました。総合的な学習の時間を使い、1年生では「生命誕生」や「女・男らしさを考える」、2年生では同性愛などの「多様な性」をテーマにしています。今回問題とされたのは3年生の「自分の性行動を考える」という授業で、その次は対等な関係を考える「恋愛とデートDV」となります。
 授業の目標は、正確な情報や科学的知識に基づき、リスクの少ない性行動を選択する力を養うことです。今回の授業では、最初に生徒同士で「高校生の性交は許されるか」を討論。そのあと、10代の人工妊娠中絶数や産んだ子どもを遺棄した事件の新聞記事などを紹介します。その上で、中絶可能期間や避妊方法について説明。性交をしないことが確実な避妊方法であること、困ったときには相談機関があることも伝えます。
 生徒にアンケートをすると、授業前は半数近くが「2人が合意すれば、高校生になればセックスをしてもよい」と回答しますが、授業後はその割合が10ポイント以上減少します。正しい知識を伝えることで、性行動に慎重になることがわかります。
 性教育をすることで「子どもが興味を持ってしまったら危険だ」と考える人もいますが、子どもたちをもっと信頼していいと思います。性はいやらしいものではなく、人権を基軸とした学びととらえるべきです。子どもたちの現実に向き合って、よりよい教育を模索していくことがなにより大切だと感じています。

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2018/05/22

2018年度総会&講演会のご案内

180517

河原井さん根津さんらの
「君が代」解雇をさせない会


2018年度総会&講演会のご案内

「君が代」不起立の抵抗は続く



講師 増田俊道さん (大阪府立高校「君が代」不起立者/社会科教員)
日時 2018年7月7日13時30分開会
場所 中野区立商工会館 大会議室
   中野区新井1−9−1 TEL 03-3389-1181
   (JR中野駅北口より徒歩7分 早稲田通り沿い)

◇プログラム◇
13:30 開会
   総会(2017年度経過・会計報告 2018年度方針案)
14:15 増田俊道さん 講演と歌
   質疑応答 意見交換
16:10 閉会


 東京都では、「君が代」起立をしない教員に対し都教委が懲戒処分を始めて15年、これまでに483名の教職員が処分された。多大な不利益を受けても間違った職務命令に従えないと今春の卒業式でも不起立で処分を受けた教員が出た。「君が代」不起立の抵抗は途絶えることなく続いている。

 一方大阪府では橋下府知事(当時)が「国旗国歌条例」「職員基本条例」を制定し、「同一の職務命令違反3回で免職」とする「君が代」処分を始めた。 今回講演をして下さる増田俊道さんは、今春2回目の「君が代」不起立戒告処分を受けた。次回の不起立では、「免職にすることがあることを警告します」との「警告書」つきで。3月26日には、1回目の不起立処分に対して7人で提訴していた裁判の大阪地裁判決が出た。判決は提訴棄却という不当判決で、その判決理由は「原告らによる本件職務命令違反行為は、・・・自己の教育上の信念等を優先させて、あえて式典の秩序に反する特異な行動に及んだもの」という、ひどいものだった。それに対して増田さんは「…つまり、『文句があるなら3回処分されてから、具体的に争え!』ってことなんですね?…」(大阪ネットワークニュース14号)と怒りの声を上げている。

 このような今の大阪の状況やそれに対する闘い、そして増田さんの思いを、シンガーソングライターでもある増田さんの歌とともにじっくり伺いたいと、お招きしました。
 たくさんの方のご参加をお待ちしています。もちろん会員でない方もぜひお出かけ下さい。

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2018/05/21

足立区中学校の性教育に関する都教委調査及び「見解」、「今後の方針」についての要求と質問

2018年5月21日

足立区中学校の性教育に関する都教委調査及び「見解」、
「今後の方針」についての要求と質問

河原井さん・根津さんらの「君が代」解雇をさせない会

 足立区中学校で3月、卒業を控えた3年生に行なった性教育に対し、3月16日に開かれた都議会文教経済委員会で古賀俊昭自民党都議が「不適切な性教育の指導が行われているのではないか」と質問したことに、都教委は「中学校学習指導要領にはない『性交』『避妊』『人工中絶』を教え、不適切な授業」と答弁。4月26日に行われた都教委定例会では答弁と同じ「見解」を述べた上で、「学習指導要領を基本とする。すべてを集団指導で教えるのではなく、集団指導で教えるべき内容と個別指導で教えるべき内容を明確にする。学習指導要領を超える内容を指導する場合には、事前に学習指導案を保護者に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施するなど」とする「今後の都教委方針」を示した。また、都教委はこのことを全区市町村教育委員会及び全都立学校に周知していくという。
 当会は、古賀都議が問題視した性教育は、歪んだ性情報の中に置かれた子どもたちに、正確な知識と情報を提供し、考えることを促す人権に根ざした性教育の実践と考える。また、都教委の「見解」「方針」はまったくの誤りであり、都教委担当者及び各教育委員がこのような人権に根ざした性教育を受講し、論議し学習すべきと考える。
したがって、当会は、都教委が「見解」「方針」の誤りを認め、謝罪し撤回することを強く求める。

 加えて、以下の質問に対し、検討の上、回答を求める。

1. 「学習指導要領にはない『性交』『避妊』『人工中絶』を教え、不適切な授業」との「見解」について。

① 学習指導要領は「各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定め」、「それぞれの教科等の目標や大まかな教育内容を定めてい」るもの(文科省)であって、法的拘束力はない。中学校学習指導要領には記載がされていないことであっても、生徒や地域の実情に合わせて、取り上げてもいいとするのが、学習指導要領の考え方ではないのか。
② 都教委は学習指導要領に依らない「研究開発学校制度」を使った「5歳児から小学校低学年をひとまとまりにした」モデル校を荒川区に作る計画をしている。都教委は、一方では「学習指導要領にないことは教えてはいけない」とし、他方では「学習指導要領に依らない」とする。都教委の都合によって、「学習指導要領」の解釈を変えるとは、どういうことか。
 都教委方針に合わない授業については、それを止めさせる、あるいは弾圧する理由に「学習指導要領」を持ち出すのではないのか。そうした前歴が都教委にはある。当会のメンバーの元中学校教員は、2000年2月、「男女共生社会をめざして」をテーマにした家庭科の授業で、「従軍慰安婦」「同性愛者」を(も)取り上げたところ、都・市教委の指導を受けた校長は「学習指導要領逸脱」だとして保護者・生徒に宣伝した。しかし、最終的には「学習指導要領逸脱」で押し切ることはできず、市教委は同年8月末、「従軍慰安婦の授業はやっていい。問題にしていない。男女共生はむしろ進めてほしい」と前言を翻した。市教委の発言は都教委の指導に依るものであったことは明々白々であった。

2. 授業を実施した中学校の校長は「授業は自信を持ってやっている。自分やパートナーを大切にすることを伝える内容で、避妊方法に触れるからといって、性交をしてもいいとは教えていない」と話す(朝日新聞3月24日朝刊)。

① 都教委の調査に対しても、この校長は、このように答えたのではなかったのか否か。違うのであったら、校長の話したことを示してほしい。
② 校長の説明に、都教委は何と応え、指導したのか。
③ 校長の説明や上記1.に記したことを踏まえ、あらためて、都教委が「性交」「避妊」「人工中絶」を中学生に教えるのは不適切とする理由は何か。

3. 4月16日の朝日デジタル版は、問題とされた性教育を現場の教員と連携して作ってきた、宇都宮大学の艮香織(うしとらかおり)准教授(保健学)の話を次のように紹介する。

 「6年前から足立区立中の教員と授業作りに取り組んできました。総合的な学習の時間を使い、1年生では『生命誕生』や『女・男らしさを考える』、2年生では同性愛などの『多様な性』をテーマにしています。今回問題とされたのは3年生の『自分の性行動を考える』という授業で、その次は対等な関係を考える『恋愛とデートDV』となります。
 授業の目標は、正確な情報や科学的知識に基づき、リスクの少ない性行動を選択する力を養うことです。今回の授業では、最初に生徒同士で『高校生の性交は許されるか』を討論。そのあと、10代の人工妊娠中絶数や産んだ子どもを遺棄した事件の新聞記事などを紹介します。その上で、中絶可能期間や避妊方法について説明。性交をしないことが確実な避妊方法であること、困ったときには相談機関があることも伝えます。
 生徒にアンケートをすると、授業前は半数近くが「2人が合意すれば、高校生になればセックスをしてもよい」と回答しますが、授業後はその割合が10ポイント以上減少します。正しい知識を伝えることで、性行動に慎重になることがわかります。
 性教育をすることで『子どもが興味を持ってしまったら危険だ』と考える人もいますが、子どもたちをもっと信頼していいと思います。性はいやらしいものではなく、人権を基軸とした学びととらえるべきです。子どもたちの現実に向き合って、よりよい教育を模索していくことがなにより大切だと感じています。」

① 都教委は足立区教委や当該校の校長・教職員・保護者等に当たって調査をしたということだから、艮准教授の上記発言・当該校の性教育の目的や視点及び3年間を見通したカリキュラムについても当然認識していたはずである。しかし、それについて、「見解」では触れていない。この目的や視点及びカリキュラムについて、都教委はどう考えるか。詳細に聞きたい。
② 艮准教授がいうように、性教育をすることで『子どもが興味を持ってしまったら危険だ』と考える人がいる。「寝た子を起こすな」とは、性教育を巡って、言われてきた過去がある。
 都教委もそう考えるのか。

4. 「学習指導要領を超える内容を指導する場合には、事前に学習指導案を保護者に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施するなど」との今後の方針について。

「個人差があり、デリケートな問題だから一斉指導と個別指導を」と、4月26日の都教委定例会で多くの教育委員(北村、宮崎、秋山、各教育委員)が発言。遠藤教育委員に至っては、「性教育は家庭教育の範ちゅう」と、現実を見ようとしない発言だった。
 北欧では小学校入学段階から自分のからだを知る授業が行われていることは多くの人の知るところである。その授業は当然、一斉授業。一斉に授業を受けるからこそ、全員の認識になり、社会の意識が高まっていく。隠さず教えることが当たり前となったこれらの国の人々の意識は、女性が性被害を告発したら二次被害が起きる日本の意識とは違う。二次被害が起きる日本社会の現実については、女性記者に対する福田元財務次官のセクハラ発言を契機に起こった#Me Tooの動きを見れば、明白だろう。

① 福田元財務次官のセクハラ発言は、男性権力者が女性の性をもてあそぶ歪んだ性意識のあらわれであり、麻生財務相の「(福田氏が記者に)ハメられて訴えられているんじゃないかとか、ご意見はいっぱいある」「セクハラ罪という罪はない」発言、下村元文科相「確かに福田事務次官はとんでもない発言をしたかもしれないけど、テレビ局の人が隠してとっておいて、週刊誌に売ること自体が、はめられてますよ。ある意味犯罪だと思う」発言等々も福田元財務次官と同様、女性蔑視の、歪んだ性意識によるものである。こうした社会だからこそ、子どもたちには、人権の尊重を基礎に置いた、全生徒を対象にした性教育が必要不可欠と考えるが、都教委はいかが考えるか。
② 北欧で行われている、からだを知る授業=性教育について、都教委はどう考えるか。
③ 「個人差、デリケート」を理由に個別指導をいう都教委及び教育委員の性意識に、偏見があるのではないかと思うが、いかがか。

5. 同じく、「保護者の理解・了解を得」るという今後の方針について。

① 性教育に限らず、「日の丸・君が代」、オリンピック・パラリンピック教育についても都教委は、「事前に学習指導案を保護者全員に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施する」をしてはどうだろう。これらの問題についても、北村・宮崎両委員が言うように、「保護者には様々な考えがあ」り、北村委員が言うように、「子どもには知る権利、自己決定する権利がある。」のに、都教委は「日の丸・君が代」、オリンピック・パラリンピック教育については保護者の理解・了解を得ずに、全児童・生徒を一斉に参加させてきた。それはなぜか。
② 卒業式・入学式における「日の丸・君が代」の取扱について、学習指導要領には、「全生徒に起立を促す」「生徒が全員起立するまで式を進行しない」などということは書かれていないが、都教委は書かれていないことをも生徒に指示するよう、各都立校に通知している。これは、学習指導要領を超えた指導ではないのか。

6. 2003年、七生養護学校(現七生特別支援学校)の「こころとからだの学習」に対し、古賀議員ら3人の都議の要求に応じて(あるいは便乗して)、都教委は「授業内容が不適切である」として教材145点を没収すると共に、当時の校長を降格並びに停職1ヶ月の懲戒処分に、教員ら31名を厳重注意処分に処した。
 この裁判で、09年東京地裁は「都議らの行為は政治的な信条に基づき、学校の性教育に介入・干渉するもので、教育の自主性をゆがめる危険がある」と判決を言い渡し、13年には都と3都議に賠償を命じる最高裁判決が確定した。にもかかわらず、今回の件である。反省がないとしか言いようがない。
あらためて、都教委が七生養護学校に対して行った教材没収、校長・教員処分について、所感(正当性や反省)を聞きたい。

7. 「見解」「今後の方針」について、「全区市町村教育委員会及び全都立学校に周知していく」と都教委は言う。

① 現時点で、周知させた教育委員会、都立学校はどのくらいか。
② 10・23通達以降、都教委は「学校は都教委のもの(所有物)」と豪語し、指示・命令、通知を繰り返し、学校から教職員の創意工夫を奪ってきた。そうした中、足立区中学校でこうした性教育が行われてきたことには感動する。保護者たちの理解・賛同を得てきたからからこそ、学校が実践してこられたのだ。それは想像に難くない。
 いままた、都教委が「全区市町村教育委員会及び全都立学校に周知してい」けば、北村委員が要求した、「都教委の役割として指導・助言があるが、上からではなく、対等なパートナーとして行なってほしい。現場が萎縮しないで子どもに寄り添うよう、性教育にあたってほしい。」は実現しない。現場が萎縮すること必至だ。都教委は、現場が萎縮するとは考えないのか。 
そもそも、誤った「見解」「方針」のもとに、それを周知することはしてはならないことである。

要求と質問へのリンク



2018/04/26

都庁前通信 2018年4月26日号

F20180426

都教委の性教育に対する『是正指導』
―是正すべきは都教委の意識だ

 足立区立中学校が3月に行った性教育の授業に対し、自民党の古賀都議が問題視したのを受けて、都教委は「学習指導要領」にない『性交』『避妊』『妊娠中絶』のことばを使った授業は中学生には不適切」として当該中学校を指導し、全都中学校校長会でも指導していくとした。都教委の見解に対して、性情報が氾濫する中、子どもたちが自身や異性のからだについて知り判断できるよう正確に教えることが不可欠である、都教委の対応は教育への介入であるとの声が新聞紙上等でたくさん出されてきた。
 こうした批判・抗議に対し、都教委の中で子どもたちが置かれた現実をよく見たうえでの、論議や学び直しがあるとは聞こえてこない。都教委は、現実をよく見ない「是正指導」をするのではなく、実情にそくして自らの意識こそ「是正」してほしい。

福田財務次官のセクハラ発言を巡る性意識

 週刊新潮の報道に、逃げ切れないと判断したのか、福田財務次官は辞任した。財務省が「被害者は申告を」と呼びかけたことに対し、自民党内からも批判が出たのは唯一の救いか。しかし、麻生財務相は「双方から事情を聞く必要がある」「福田の人権はなしってわけか」と言った。
 福田元財務次官のセクハラや麻生財務相の対応は、女性差別や女性の人権に対する感覚が欠如していると言わざるを得ない。今回のセクハラ発言は、男性権力者が女性の性をもてあそぶ歪んだ性意識のあらわれではないか。この件からも、子どもたちには、人権の尊重を基礎に置いた性教育が必要であることがわかる。

都教委は性について学び直しを

 3月29日に開催された都教委臨時会で北村友人教育委員(東京大大学院准教授)が、「性教育についてもめているような報道があったが、1人の保護者として学校で客観的な立場から性教育を適正にやってもらいたいと考えている」(主旨)と発言した。この発言の意図をたずねた記者に北村氏は次のように説明している。(「朝日新聞デジタル版」4月16日)。
 「子どもたちの発達段階とともに、育つ環境に合った形で、適切な性教育を丁寧に行っていくことが大切だと思っています。インターネットの発達などで、子どもたちが偏った情報を得ることが容易な現代社会において、本当に必要な性教育のあり方を議論することが重要です。
 また、性教育はセクシュアリティーの問題や健康の問題、人権の問題など、大きなくくりで考えれば、個人の権利や他者の尊重など、多様な人間関係を築くための能力を身につける『市民性教育』として位置づけることも不可欠ではないかと考えています。
 性に対する考え方は千差万別で、どのような見方が正しくて、何が間違いだと言えるようなものではありません。それぞれの保護者にも考えがあり、子どもたち自身にもあるでしょう。大事なのは、子どもたちが考える材料をきちんと得ることができることです。多様性に十分配慮し、個々の子どもに寄り添った個別指導なども含めて、性教育の方法をさらに検討していくことが重要だと思います。
 一保護者としての私は、家庭で小学5年生の娘に上手に性教育を行う自信はありません。家庭内でも努力はしていきたいと考えていますが、可能な限り、学校でも取り組んでほしいと思っています。」
 北村教育委員はこの発言を、自身が属する都教委の中で行い、議論してほしい。氾濫するゆがんだ性情報から子どもたちを守るためにも、北村教育委員の言う「子どもたちが考える材料をきちんと得ることができる」性教育を、都教委は保障し推進すべきである。

今春の卒業式でも「君が代」不起立をした教員がいた

 都教委は4月18日、卒業式で「君が代」起立をしなかった教員に対し、戒告処分を発令した。都教委の処分発令について、私たちは断じて許さない。抗議する。
 「君が代」起立をしない教職員に対し都教委が懲戒処分を始めて15年、これまでに483名の教職員が処分をされ、多大な不利益を受けてきたが、間違った職務命令に従ってはいけないと、起立をしない教職員は途絶えない。不起立を続けてきた特別支援学校の一人の教員については、この3年間、卒業式・入学式に参加させない措置を採ってきた。これは校長の独断ではなく、都教委の「指導・助言」=介入によってであることは想像に難くない。都教委はこのようにして、「不起立0」を目指してきたのだが、それでもまだ、起立を拒否する教職員が存在する。
 「君が代」不起立処分を始めた2004年4月9日の教育施策連絡会で鳥海教育委員は不起立処分に関して、「あいまいさを改革のときには絶対に残してはいけない。半世紀の間につくられたがん細胞みたいなものですから、・・・少しでも残すと、またすぐ増殖してくる。徹底的にやる。」と、石原都知事は、「5年10年先になったら、おそらくずっとクビをすくめながら眺めている地方は、全部東京の真似をするでしょう」と言った。しかし、踏み絵を踏まされても踏まない人は絶えない。東京の真似を唯一した大阪府でも、不起立教員は絶えない。


4月12日都教委定例会傍聴記

 公開議題は①来年度使用の都立高校用教科書採択について ②「英語『話すこと』の評価に関する検討委員会」の設置について。どちらも報告。

①来年度使用の都立高校用教科書採択について

 高校の教科書採択は毎年8月に行われていて、今日は採択までの流れと採択方針についての説明報告。「採択は、採択権者である東京都教育委員会が自らの責任と権限において、適正かつ公正に行う」など、今年も昨年までと同じことが報告された。
 2013年から2016年まで、「日の丸・君が代」に関し、「一部自治体で公務員への強制の動きがある」と記述した実教出版「高校日本史A」「高校日本史B」について、都教委は「都教委の考え方と異なる」と各学校に通知し、学校が選定することを事実上禁止してきた(しかも、通知を決めた会議は定例の教育委員会を避け、秘密懇談会を開いてのことだった)。それに先立つ2012年には、実教出版教科書を選定した学校に対して、選定のし直しを強要した。それが、都教委がいうところの「東京都教育委員会が自らの責任と権限において、適正かつ公正に行う」ことだったのだ。
 傍聴者には一切の発言が禁止されているので為す術はないけれど、監視はしていこうと思う。

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2018/04/12

都庁前通信 2018年4月12日号

F20180412

自民都議、今度は足立区立中学の性教育に圧力
 ー教育への政治介入が目に余る

 3月5日、足立区立中学校の「総合的な学習の時間」での、3年生を対象にした性教育の授業。事前アンケートで「高校生になったらセックスしてもよい」と答えた生徒が44%いたことをふまえ、高校生になると中絶件数が急増する現実や、コンドームは性感染症を防ぐには有効だが避妊率が9割を切ることなどを伝えた。その上で「思いがけない妊娠をしないためには、産み育てられる状況になるまで性交を避けること」と話しまた、正しい避妊の知識についても伝えた。
 この授業について、16日の都議会文教委員会で、自民党の古賀俊昭都議が「問題がある。都教委はどう考えるか」と質問。都教委は「徹底した調査をする。当該校の管理職及び全教職員に指導を進める。全都の中学校長会にも指導をする」と答弁し、調査に乗り出した。(3月24日付朝日新聞及び一般社団法人“人間と性”教育研究協議会「声明」より)。

■高校生の現実は

 全国の公立高校で2015~2016年度の2年間に、「学校が妊娠を把握した生徒数は2098人、このうち、妊娠を理由に自主退学をした生徒数が642人、学校側からの退学の勧めに応じ退学した生徒が32人。32人のうちの18人は『引き続きの通学、休学または転学』を希望していた」(文科省の初調査)(3月31日付東京新聞より)。

■都教委は現実から学ぶべき

 調査結果だとする都教委の見解は、「『性交』『避妊』『人工妊娠中絶』は中学校保健体育の学習指導要領には記されていない。授業は、中学生の発達段階に応じておらず、不適切」。
 足立区教委の担当者は、「不適切だとは思っていない」「10代の望まぬ妊娠や出産を防ぎ、貧困の連鎖を断ち切るためにも、授業は地域の実態に即して行われ、生徒と保護者のニーズに合ったものだ」と言い、授業を実施した中学校の校長も「授業は自信を持ってやっている。自分やパートナーを大切にすることを伝える内容で、避妊方法に触れるからといって、性交をしてもいいとは教えていない」と言った(同朝日新聞より)。事前アンケートに見られる中学3年生の意識や高校生の現実と地域の実態を見て、日々子どもたちと接している教員たちの意見や考えを都教委は尊重し、そこから自分たちが学ぶべきだ。また、都教委は子どもたちの知識欲や考える力を理解しようと努力すべきだ。からだや性を恥ずかしいものとせずオープンに学ぶことで、子どもたちは性情報に惑わされない思考力・判断力を持つ。互いの人格・人権を尊重することを学び、やがては、性犯罪や性差別の(少)ない社会に変わっていくことは、北欧等の事例を見れば明白だ。

■教育への政治介入

 古賀都議は2003年、七生養護学校の「こころとからだの学習」に対し、都教委に「毅然とした対処」を要求した3都議の一人。都教委は「授業内容が不適切である」として教材145点を没収すると共に、当時の校長を降格並びに停職1ヶ月の懲戒処分に、教員ら31名を厳重注意処分に処した。
 この裁判で、09年東京地裁は「都議らの行為は政治的な信条に基づき、学校の性教育に介入・干渉するもので、教育の自主性をゆがめる危険がある」と判決を言い渡し、13年には都と3都議に賠償を命じる最高裁判決が確定した。にもかかわらず、今回の件。七生養護学校への介入に対し、同都議及び都教委が何の反省もしなかったことを示す。
 第2次安倍政権のもとで、教育に対する政府、政治家、教育委員会による政治的介入が頻繁に起きている。
 直近では、名古屋市の中学校が前文部次官・前川氏を講師として招いた授業について、自民党議員が文科省に授業内容を照会し、文科省が名古屋市教育委に授業内容の報告・録音データ提供を執拗に求めていた。
 公権力による教育への政治介入が国民の思想統制につながり、戦前日本の軍国主義の基盤になったという深刻な反省が忘れ去られようとしている。安倍政権下での教育への公権力の介入は、憲法を改正し戦争ができる国へとこの国を変えるという安倍首相の個人的執念と無関係ではない。都教委が行っている、入学式・卒業式での日の丸・君が代の強制に反対する教職員の処罰はこうした危険な流れの始まりだったと言える。


3月22日都教委定例会傍聴報告
5歳からのモデル校づくりより、すべての幼児に良質の教育を

 報告議題の一つが、「幼小の一層の円滑な接続を測るための教育課程の研究・開発について」。
 「小学校教育の現状と今後の在り方検討委員会」の提言(17年12月14日)を受け、「5歳児から小学校低学年(5~7歳児)をひとまとまりにした教育課程の方向性を検討する」とのこと。文科省が出した保幼小連携の方針に呼応したもの。 外部有識者3名、モデル地区教委2名、都教委3名の委員で構成。モデル地区を荒川区に指定し、モデル校(公立幼稚園1園・公立小学校1校)で実践・検証する。
流れは、2017年度:研究・開発委員会の設置
    2018年度:モデル校の指定、検討委員会の開催、2019年度の入園児募集(新3歳児=2021年度新5歳児)
    2019年度:文科省に「研究開発学校制度」適用を申請
    2020年度:教員研修、教材の開発、教室環境の整備
    2021年度:モデル校での実践及び検証開始
 この報告に対し、教育委員から「モデル校に入るために、受験教育が3歳前になる不安がある」などの発言はあったが、反対の発言はなかった。受験競争が一層低年齢化するという点について、しっかり論議を尽くしてほしい。
 「研究開発学校制度」とは、「現行の学習指導要領に依らない教育課程の編成・実施を認める研究開発学校を指定し、新しい教育課程、指導方法等についての研究開発を行い、教育課程の基準の改善等に資する」もので、指定期間は原則3年、平均200万円程度が予算措置されるというもの。
 保幼小連携は1年生がじっと着席していられないなどの「1年生プロブレム」や、新学習指導要領の「外国語科」「主体的・対話的深い学び」への対応とされている。しかし、昨年3月、3歳以上の幼児が「国旗・国歌に親しむ」ことを求めた、「幼稚園教育要領」及び「保育所指導指針」の改定とも関係するのではないかと危惧される。幼稚園教育要領は「正月や節句など我が国の伝統的な行事,国歌,唱歌,わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しんだり」、保育所指導指針は「保育所内外の行事において国旗に親しむ」。どちらも、今年度から施行となる。
 現在、日本では、所得格差が幼児期からの教育格差を生み、小学校以降の教育格差につながっているといわれている。モデル校づくりにまい進するよりも、全ての幼児が等しく良質の教育を受けられるようにすることに力を注いでほしいと思う。
 最近の教育行政は子どもを、一人ひとりが人格を持った、人格形成の途上にある存在とは見ずに、国のために役立つ、経済成長のための「人材」と見る視点が濃厚だ。「日の丸・君が代」の強制、オリンピック・パラリンピック教育、道徳の教科化、「固有の領土」を大きく取り上げた社会科教科書等々、子どもたちに「日本最高」と思わせることを教え込んでいる。文部行政がそうしたことを進める中、都教委はまっ先にそれを行ってきた。幼小連携も、その一環か。

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2018/03/22

都庁前通信 2018年3月22日号

F20180322

森友文書の闇―責任は部下に、
子どもたちには道徳教育

 安倍首相は昨年2月17日の国会で「私や妻が関係していたということになれば、私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」と答弁。財務省は2月下旬から、森友関連決裁文書から安倍首相、昭恵夫人の名前などを消すなど改ざんを始めた。改ざんは14文書、300カ所に及んでいる。こうした中、今月、森友学園への国有地売却担当部門の近畿財務局職員が自殺した。8月に親族に「月残業 100 時間が続き、つらい、常識が破壊された」と話していたという。
 決裁文書の改ざんが発覚し、麻生財務大臣は「佐川がやった」と「佐川」を連発。佐川・前国税局長官に責任を押し付けている。こうした組織のトップが部下に責任を押し付ける麻生氏の態度には、財界首脳からも「民間企業ではありえない」と批判の声が上がっている。
 政府は今年度から小学校で「道徳」の教科を始める。政府・文科省は子どもたちに道徳を説く資格があるのか。

■森友の小学校開設に、戦前回帰の教育の復活を狙った安倍首相

 昭恵夫人は、2015年9月5日に森友学園の小学校の名誉校長に就任。安倍首相は「妻から森友学園の先生(籠池氏)の教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いている」「(籠池氏は)私の考え方に非常に共鳴している方」(衆院予算委員会、昨年2月17日)と発言し、問題が発覚するまでは森友学園の小学校建設に大変意欲的であった。
 森友学園が経営する塚本幼稚園では、「教育勅語」を暗唱させ、運動会で「大人の人たちは、日本が他の国に負けぬよう、尖閣列島・竹島・北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が、心改め、歴史でウソを教えないよう、お願い致します」「安倍首相ガンバレ!安保法制国会通過よかったです!」と園児たちに言わせていた。安倍首相は、この教育を、森友学園の小学校をそのモデル校として全国に広めたかったのだ。近畿財務局が9億5600万円の土地を、約8億円値引きし、1億3400万円で森友学園に売却したのは、「安倍昭恵夫人」=安倍首相の関与があったからこそのこと。官邸の意向に官僚が動かされ、忖度を求められた結果が今の事態を招いた。
 安倍首相は第一次政権の2006年、教育基本法を改定した。子どもたちを戦場に追いやった戦前の教育の反省に立つ教育基本法を、「我が国と郷土を愛する態度を養う」という愛国心や、「公共の精神」という規範意識を盛り込んだ教育基本法に変えた。政治が教育に介入しやすくするための改定だった。戦争法(安保関連法)を成立させ、改憲を目論む安倍首相は、真っ先に教育に手を付けたのだ。「戦争ができる国」に変えていくため「愛国心」を持った、進んで戦場に行く「国民」づくりを学校教育に求めたのだった。子どもたちに対する君が代・日の丸の強制はこれにつながるものだ。

■道徳の教科化は修身の復活

 第二次安倍政権は次々に教育に介入してきた。社会科教科書の採択基準に「政府見解がある場合は記載すること」を加えた(2014年)ことにより、現行の社会科教科書は「(北方領土を含め)領土に関する記述量は倍増した」(文科省)。関東大震災時の朝鮮人の死亡者数などで、国際社会に通用しない歴史認識が記述されることにもなった。また、道徳を教科に格上げし、評価することを始める。子どもたちは、国民主権、基本的人権の尊重、思想・良心の自由等の観点から色々な考え方を尊重するのではなく、教科書に書かれた考えを「正解」と受け取るようになる。修身教科書で「お国のために」と育っていった戦前の子どもたちの再生産を、安倍政権は行おうとしているのだ。
 公文書改ざんまでして国家犯罪をはたらく安倍政権・文部行政に、「道徳」を言う資格はない。

■社会(組織)を良くするためには、声をあげること。国や都に、そして仕事の中で声を上げていきましょう。


3月8日都教委定例会傍聴記
「国際理解教育」=英語教育?

 報告は、都独自の英語教材「Welcome to Tokyo」Beginner 及び日本語版について。
 2016年度より都教委作成の「Welcome to Tokyo」(小学5,6年生用、中学生用、高校生用)を使った授業が各学校で行われている。新学習指導要領は2020年度から小学校で、21年度から中学校で、22年度から高校で本格実施となる。ただし、安倍政権が目玉とした教科「道徳」は前倒し実施で、小学校は2018年度からとされた。
 本格実施前2年間は移行期間とされるが、小学校英語も移行を急がされている。2018度から都教委はそのための英語教員を安上がりの非正規で採用する。また、都教委は小学3,4年生用の「Welcome to Tokyo」を作り、子どもには冊子を、教員には指導書と DVD を3月中に配る。新年度からそれを使った授業が各学校で始まる。3,4年生用以上の「Welcome to Tokyo」3冊については日本語版を作り、姉妹校や国際交流を行う学校、海外から来た子どもにも配るという。
 小学校英語が、子どもたちの負担になるだろうこと、「落ちこぼれ」にさせられることがとても気になる。また、前のめりの英語教育で、本当に子どもたちに英語教育ができる人材が確保できるのだろうか。

 英語教材「Welcome to Tokyo」を使った授業の狙いは、次の3つという。

ア.日本・東京の文化、歴史等の理解の促進
イ.英語によるコミュニケーション能力の伸長
ウ.オリンピック・パラリンピックに向けた国際理解教育の推進

 小池都知事は、毎年9月1日に市民団体等で構成する実行委員会が行ってきた「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式」への追悼文の送付を昨年、やめた。歴代都知事ではじめてのことだった。歴史修正主義者であることをもろに見せつけたこの人が言う「国際理解」とは、「文化、歴史等の理解」とは何なのか。きれいなことばを表看板に、それとなく「日本ファースト」の差別意識・歴史歪曲の刷り込みが、ここでも進むのではないかと考えるのは、考え過ぎか。
 国際理解と言うならば、Jアラート訓練等で対外危機や朝鮮民主主義共和国に対する敵がい心を煽るのではなく、対話外交を進めようとする国際社会に学ぶべきだ。大人社会が次世代に残すべきことは、戦争をしない=命を大事にするということ。国際理解教育は、その一環として必要なのだ。英語教育=国際理解教育ではない。


「東京2020大会マスコットがついに決定!

 都内全ての公立小学校(部)が投票に参加しました!」と都教委ホームページに掲載されている。
 クラス1票の投票に、全ての小学生が参加させられた。投票に際し、教員はどのような説明をしたのだろうか。オリンピックや東京2020大会に反対する人がいることや、したがって、クラス投票への参加もあなたの判断で良いということを説明したのだろうか。
 都教委は子どもたちにオリンピックの刷り込みをしないでもらいたい。

通信へのリンク



2018/03/15

「ハンセン病から考える人権教育~道徳教科化のはざまで」

2017.12.3
河原井さん根津さんらの「君が代」解雇させない会学習会
シリーズ「今学校は?」 第1回

「ハンセン病から考える人権教育~道徳教科化のはざまで」

宮澤弘道さん (小学校教員)
中野区立商工会館にて

講演録へのリンク



2018/03/14

解雇させない会ニュースNo.64

Newsno64

「newsno64.pdf」をダウンロード


解雇させない会ニュース一覧表
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2018/03/08

都庁前通信 2018年3月8日号

F20180308

いつまでやるのか?!
卒業式での「日の丸・君が代」の
子どもたちへの刷り込み

 卒業式・入学式で「国歌斉唱」がなされるのは当たり前と受け取っている方も多いかと思いますが、今から20年ほど前の、東京の公立学校の卒業式・入学式の式次第には、「国歌斉唱」を入れない学校が多数ありました。それが、都教委の「指導」介入によって「国歌斉唱」が式に入れられ、2003年からは「君が代」不起立の教職員を処分することが始められました。この14年間に482名の教職員が不起立処分を受けています。当会の河原井・根津はすでに定年退職をしていますが、現役であった時に、「君が代」起立を拒否し続けてきました。
 なぜ、処分を覚悟してまで「君が代」起立を拒否するのでしょう。
 「日の丸・君が代」は、戦前の学校教育において子どもたちに「天皇陛下の御為に命を捧げる」という考えを植え付け、子どもたちを戦場に駆り立てることに利用されました。「敵軍を追ひはらって、せんりゃうしたところに、まっ先に高く立てるのは、やはり日の丸の旗」(1942年発行  国民学校初等科修身1)。
 こうした事実からも、今なお、「日の丸・君が代」には否定的な考えを有する人が相当数存在します(2005年の朝日新聞、東京新聞の調査では、都教委が進める「君が代」不起立処分に反対する人は6割)。1999年に国旗国歌法が成立した際に、「日の丸・君が代」については国民の間にさまざまな考え方があることから、「強制はしない。今までと変わるものではない」と国会答弁がされたのも、こうした理由からでした。
 しかし、都教委は、人々の間で意見の分れる「日の丸・君が代」について、子どもたち自身が考えるような授業をおこなうことを教員に事実上禁止した上で、子どもたちに「国旗に向かって起立し、国歌を斉唱」させて、一方的に、これらを尊重する態度を身につけさせようとしています。そのために「教員は率先垂範せよ」と「君が代」起立の職務命令を校長に出させてきたのです。「日の丸・君が代」を拒否する人々(子どもたちも含まれます)がいる中で、学校が「日の丸・君が代」の尊重という国家の価値観を子どもたちに教え込むことは、戦前の教育の復活です。
 学校・教員の仕事は、子どもたちが事実や知識をもとに自分の頭で考え判断する人間に育つよう、働きかけや支援をすることです。「日の丸・君が代」についても、子どもたちが考え判断できるよう、学習の機会を与えねばなりません。「君が代」起立を拒否した教員たちは、それとは正反対の、「考えずに指示命令に従うこと」を子どもたちに教えてはならない、それに加担してはならないと考えたのです。このことは、処分された482名の教職員に共通した思いです。

「戦争する国」に突き進む安倍政権の文部行政で

 古今東西、軍隊が兵士に要求する最も大切な資質は、「考えずに命令に絶対服従すること」です。安倍内閣は、2015年に安保関連法(戦争法)を強行成立させ、防衛費は安倍2次政権で6年連続の増額、本年度は5兆円を超え史上最高の規模になりました。
 文部行政では、社会科教科書検定で、「領土」や南京大虐殺・戦後処理等について、国際社会の認識と異なる「政府見解」を記載することを義務付け、道徳の教科化で実態として戦前の「修身」の復活を狙っています。このような国の価値観の植え付けは、子どもたちを戦場に向かわせることにつながっていきます。
 こうした中にあって、「日の丸・君が代」の強制は子どもたちを戦場に向かわせる、その第一歩であったと痛感します。「子どもたちを再び戦場に送らない」。これは、戦後の教員たちの仕事に対する決意でした。いま再び、戦場に子どもたちを送ろうとする政治状況にあって、教員は、子どもたちを戦場に送ることに繋がる仕事の一切を拒否していくべきです。  教育庁で働く皆さんにも、心していただきたいです。


2月22日都教委定例会傍聴記
公開議題から以下の2件を報告します。

教育委員も子どもたちにしっかり向き合っているとは思えない

▼学校における児童・生徒の自殺対策の取組報告と「都教委から子供たちへのメッセージ」について

 都教委は、「学校における児童・生徒の自殺対策の取組」及び授業で活用できるDVD教材「SOSの出し方に関する教育を推進するための指導資料」を作成し、3 月上旬に都内全公立学校に配布するという。また、適切な援助希求行動ができるようにすることを目的に、都教委から公立学校の児童・生徒に対してメッセージを伝えるとのこと。「自分を大切に  友達を大切に」という題で、「つらい思いをして苦しい時などは、信頼できる大人が身近に必ずいるので相談してほしい。」というメッセージ。都教委HPに掲載するとともに、学校だより等を通じて、全児童・生徒に渡るようにするという。
 事務方も教育委員も、自殺に追い込まれていく子どもたちにこのメッセージが届くと本気で思っているのだろうか?いじめによる自殺が全国的に後を絶たない。子どもたちが教員に隠れていじめをしても、子どもたちと直接に接している教員に、そのいじめがわからないはずはない。しかし、「いじめはなかった」と学校は報告する。虚偽の報告をするのはなぜなのかを、都教委事務方及び教育委員は現場に足を運んで声を聞き、真剣に論議してもらいたい。いじめが発覚すれば教員の業績評価を下げられるからか、いじめに気づく時間的・精神的余裕が教員になかったのか、等々。それなくしての「子供たちへのメッセージ」は、虚しい。

▼今年度東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査結果についての報告

 小学5年生と中学2年生の体力・運動能力の結果は、中学生の都道府県別順位が下位であるものの、向上している。体力向上及び健康教育の研究指定校(小学校20校、中学校62校)の平均点は、都の平均を上回る。そこでは、「家庭との連携、地域人材の活用等、外部と連携した取組」をしたという。

▼家庭との連携、そして自殺対策??…雑感

 7人に1人の子どもが貧困に置かれている中、都教委は「家庭との連携」を掲げる。「家庭が大事」というならば都教委は、保護者が2つも3つもの仕事を掛け持ちしなければ子どもを食べさせることさえできない状況があることにもっと目を向けて、解決するための働きかけもしてほしい。そういうことをしたうえでの、「家庭との連携」ではないのか。憲法が保障する生活環境を子どもたちに提供する責務が行政・教育委員会・各教育委員にはある。
 また、学力テスト、体力・運動能力調査で得点が低い子どもは、「向上」のために休み時間や放課後に努力を課せられる。「平均点を下げるな」といじめられもする。寛容さがなくなった学校に通うことの辛くなった子どもが、SOSを学校や教育委員会に出すだろうか。子どもたちの声に耳を傾けないままの「都教委から子供たちへのメッセージ」は、「やってます」をアピールするためだけの、うわべだけの施策となってしまう。


3月14日に全国Jアラート情報伝達訓練

 「北朝鮮が戦争を仕掛けてくる」と恐怖心を煽るためのJアラート訓練に、子どもたちを巻き込まないよう、都教委は対処すべきです。子どもたちに根拠のない敵がい心を植え付けてはなりません。


 都立高校の卒業式の真盛り。「日の丸・君が代」の強制に反対する市民が毎年、卒業式当日の朝、校門前でチラシを撒いています。当会もその行動に参加。「流されずに、自分の頭で考え判断して生きていってほしい」と願って。

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2018/02/22

都庁前通信 2018年2月22日号

F20180222

平昌冬季オリンピックの報道がなぜトップ?

 国会開会中だというのに、テレビも新聞も報道のトップは平昌冬季オリンピックでの日本選手の記録。選手が出した記録を称賛する人や共に喜ぶ人がいていいけれど、「日本の獲得メダル数」を前面に出す国威発揚型報道には辟易とする。オリンピック憲章は「オリンピック競技は、…選手間の競争であり、国家間の競争ではない」「IOCとOCOG(オリンピック組織委員会)は、いかなる国別の世界ランキング表も作成してはならない」と定めている。

平昌オリンピックの負の問題=自然破壊を報道しないのは?

 谷口源太郎さん(スポーツジャーナリスト)は「スポーツとマスコミ」Vol.161 において、「見捨てられ消滅に向かう?冬季オリンピック」と題し、平昌オリンピックのスキー・滑走競技のコース新設による大規模な環境破壊を紹介している。反対運動を続けている市民組織の関係者から伝えられたとのこと。

〈ピョンチャン冬季オリンピックの誘致が決まった直後、カリワンサンがスキー競技場に確定されました。これは、専門家による報告書も市民に対する説明もないまま確定されました。カリワンサンは、海抜1433㍍の高い山で、チョムソンというところにあります。500年くらい前から保護されてきた山です。王朝時代にも王様が、その自然環境が豊かで保護されるべきだったために、民が山にたくさん出入りしないような政策が行われたりもしたところです。・・・だから韓国の環境保護法のなかでも一番高いレベルの森林保護区だったのですが、オリンピックの誘致が決まった後に、この保護法を改正してスキー場にしました。ここに決まった理由は、国際スキー連盟の基準に当てはまる場所がここしかなかったということです。標高差が800㍍以上でなければならないという条件を唯一満たす場所だったということです。〉
 反対運動で掲げられたスローガンは「たった6日間の競技のために500年も続いた山を破壊する価値があるのか」だ。

 1972年の札幌オリンピックの際には必要な標高差があるのは恵庭岳だけということで、大規模な自然破壊が行われた。それなのに、JOCによる2026年冬季オリンピックの国内候補地の募集に札幌市が名乗りを上げた。一方、ヨーロッパ各国は、コストの高さを主な理由として、市民の反対が50数%から70数%にのぼり、立候補しない選択がなされていると、谷口さんはいう。
 東京2020大会も、費用は当初予算7300億円が17年12月時点で1兆3500億円(組織委員会、都、国が発表)となった。一方で、政府は2020年までに福島は復興したと言いたいのだろう。福島帰還政策で自主避難している人たちへの支援を打ち切り、帰還に追い込み苦しめている。新国立競技場建設現場では過労死を出している。巨額のオリンピックの支出の一方で、政府は今後3年間で生活保護基準を最大5%引き下げ、母子加算手当の21000円を17000円に減らそうとしている。他国に習い、「夏季も冬季も、オリンピックはいらない」と声を上げよう。
 文科省はこれからの教育はアクティブ・ラーニング「主体的で深い学び」を目指すという。都教委は、オリンピックのさまざまな問題もふくめて話し合うことをせず・させずに、不都合な事実にふたをするオリンピック・パラリンピック教育を学校に強制しているが、それは「主体的で深い学び」とはおよそかけ離れたことだ。

韓国に対し、上から目線の安倍発言

 平昌には行かないと言っていた安倍首相だが、開会式に出席するため韓国を訪れた。その際に、慰安婦問題に関する「日韓合意」の履行を求め、加えて、「韓米合同軍事演習は予定通りに進めることが重要だ」と言ったという。文大統領は、前者については、「被害者と国民が合意内容を受け入れなかった。(慰安婦問題は)政府間の取引式の交渉で解決できるようなものではない」と説明した。また、後者については「私たちの主権の問題で、内政干渉だ。」と、安倍首相の要求に不快感を示した。安倍首相の発言は、南北分断に苦しむ韓国の人々に対する思いがまったく感じられない、上から目線の発言だ。安倍首相は恥ずかしくないのか。


2月8日都教委定例会傍聴記
都教委は募集したパブリックコメントを何ら採用せず

①「東京グローバル人材育成計画’20(Tokyo Global STAGE'20)」の策定について 
――グローバル人材=英語のできる人?

 昨年11月9日の定例会に素案を出した後、パブリックコメントを実施。コメント(32人から40件)を踏まえて策定したという「東京グローバル人材育成計画’20(Tokyo Global STAGE'20)」が提案された。教育委員からはコメントを取り入れた策定を評価し、事務方をねぎらう発言があったが、取り入れたコメントは1件、不適切な言葉づかいを指摘されたところのみ。
 一例を上げれば、「グローバル教育=英語教育という発想から抜け出せていない。平和・人権・環境などの人類全体の課題に、国境を超えて協力して取り組んでいこうという哲学がない。」とのコメントに対しては、「東京都教育ビジョンでは、グローバル人材の育成に関して『使える英語力の育成』『豊かな国際感覚の醸成』『日本人としての自覚と誇りの涵養』の3本柱を示しています。本計画ではその柱に則って具体的な20の施策を展開してまいります。」と、意見に対応していない「都教委の考え方」を示すだけ。小学校英語の教科化に反対や疑問の声がかなりあるのに、都教委はそこには耳を貸そうとしない。

②「学校における働き方改革推進プラン」の策定について
――働き過ぎは教員の時間意識が足りないから?

 これも11月9日の定例会で中間まとめを報告し、パブコメを募集した上で策定したという手順を踏むが、寄せられたコメントを採用した箇所はやはり見当たらない。「プラン」案の「目標」は、中間まとめで出されたそれと変わりがなかった。

「週あたりの在校時間が60時間を超える教員をゼロにする。」
「平日は、1日あたりの在校時間を11時間以内とする」
「土曜日、日曜日については、どちらか一方は必ず休養できるようにする」
「取り組みの方向性」でも、「(教員の)意識改革」を第一にあげる。

 寄せられたコメント390件のうち、学校関係者からが301件。切実な意見ばかりだ。
「『週あたりの在校時間が60時間を超える教員をゼロにする。』とあるが、過労死ラインギリギリまでは勤務しても差し支えないように受け取れてしまう。・・・本来の7時間45分の勤務時間に目標は設定すべきではないか。」「『土日は、どちらか一方は必ず休養できるようにする』は『2日は必ず休養できるようにすること。土曜日、日曜日に業務に従事したときには、直近に週休日を変更できるようにすること』とすべきである。」(同様の意見が25件)。
 「教員自らの『働き方』に問題があるかのような前提には納得できない。・・・教員自らが、『時間を意識した仕事』を行う。そのために『タイムマネジメントの視点に立った研修』を行えば改善されると考えていることが、間違いである。とにかく、人が足りない。今の現場の教員定数のルールは、社会が変化し教育環境が変化したことに何も対応していない。各学校の正規教員の人数を増やすことが急務である。」(同様9件)
 都教委が本気で長時間労働を解消しようとするならば、教員の意見にあるように、正規教員の人数を大幅に増やすことだ。国際レベルの少人数クラスにして、正規教員を配置することだ。オリンピック・パラリンピックを辞退し、その金をここに使うことが、都民ファーストの都政となる。そうした都税の使い方は大歓迎だ。

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2018/02/08

都庁前通信 2018年2月8日号

F20180208

1月25日都教委定例会傍聴記
「オリンピックはいらない、があっていい」 (教育委員)

 この日の議案は1件、「『東京都スポーツ推進総合計画(仮称)』策定に関する意見聴取について」のみ。
 「東京都スポーツ推進総合計画(仮称)」は、文科省がスポーツ振興法(1961年成立)を50年ぶりに全面改訂し、2011年に成立させたスポーツ基本法が、「地方公共団体(の長=都知事)は、『地方スポーツ推進計画』を定めるよう努めるものとする」と定めることから、都知事が今年3月に策定するというもの。その際、同法が「教育委員会の意見を聴かなければならない」としていることから、都知事が教育委員会に意見聴取をした。

 「東京都スポーツ推進総合計画(仮称)」案は、「誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しみ、スポーツの力で人と都市が活性化する『スポーツ都市東京』を実現する」と謳い、3つの政策目標《スポーツを通じた健康長寿の達成》《スポーツを通じた共生社会の実現》《スポーツを通じた地域経済の活性化》を掲げる。
 《健康長寿の達成》では、都民のスポーツ実施率(18歳以上)56.3%(2016年)を2020年には70.0%を目標にする、という。希望する都民が皆、スポーツを楽しむことができたらベストだ。しかし、現実は、過労死ラインの長時間労働及や非正規・低賃金労働が深刻化していて、それどころではない。スポーツを楽しめる労働・生活保障のための抜本的法改正・整備がまず必要だ。《共生社会の実現》では、障害者のスポーツ参加による共生社会を目指しているが、それ以前に、小学校入学から「特別支援」という名の下、学校を分け障害者を隔離するような現行の制度を見直すべきだ。

■「オリンピックはいらない、があっていい」の発言

 事務方の提案を受けて、教育委員から発言があった。
 「東京オリンピック・パラリンピック2020に向けてスポーツ過信になってはいないか。オリンピックはいらない、があっていい。皆がスポーツをやらねばということになるのは怖い。」(山口教育委員)
 山口委員のこの発言にはまったく同意できる。
 しかし、教育委員が定例会で承認したうえで始まった、年間35時間を課すオリンピック・パラリンピック教育では、都教委作成の「オリンピック・パラリンピック学習読本」は、オリンピック・パラリンピックの「負」の部分は一切示さず、「オリンピック・パラリンピックは素晴らしい」との認識に立ち、そこに子どもたちを誘導している。
 一例を挙げれば――読本は「はじめに」で、「東京2020大会は、開催都市東京で学ぶ中学生(高校用は「高校生」)の皆さんにとって貴重な機会となるとともに、この経験は、生涯にわたるかけがえのない財産となります。」と言い、最後は、中学生用は「自分にできること、やるべきことは何かを考え、2020年の自分のあるべき姿を思い描いてみよう」と締めくくる。高校生用では「ボランティアと社会貢献」を言った上で、「自分がやるべきことは何かを考える」ことを勧め、さらに都教委は、高校生にはボランティアを必修=義務とした。「オリンピックはいらない、があっていい」」の選択肢など、子どもたちにないことは歴然としている。子どもたちは全員、オリンピック・パラリンピック成功のために自分は何ができるか考えなければならないことになる。戦前の国家総動員・翼賛体制を思わせる。子どもたちに対し、「国家事業としてのオリンピック・パラリンピック大賛成」の意識・価値観の刷り込みを、都教委は教育委員会定例会の承認のもと行なっている。
 新国立競技場建設の工期に追われ、昨年4月、現場監督責任者(23歳)が過労死自殺した。福島復興オリンピックと謳いながら、国も都も避難してきた福島の人たちを汚染の残る福島に帰還させている。オリンピックに使うお金は福島救済(命の危険からの避難保障)に回すべきだと、思う人はかなりいる。国は、補助金支給を打ち切り、避難者を福島に帰還させて、大会までに福島は復興したと言いたいのではないか。
 オリンピック・パラリンピックに関するこれまでの議事で筆者の知る限り、山口教育委員のこのような発言はなかった。現時点でこのように考えられるのなら、山口教育委員はぜひとも定例会で問題提起し、全教育委員は山口教育委員の貴重な問題提起を論議し、進行するオリンピック・パラリンピック教育に変更や改善を加えてほしい。

■意見聴取に対する「回答」は「異議なし」

 「東京都知事が策定する『東京都スポーツ推進総合計画(仮称)』は、都教育委員会策定の『アクティブプラン to2020(第3次推進計画)』、「『東京都オリンピック・パラリンピック教育』実施指針」等と、理念や施策の方向が一致していることから、(教育委員会は)『異議なし』として回答する。」
 事務方が予め用意した、この都教委「回答」案に全教育委員が賛成し、議事は終了した。したがって、この文面が都知事に届けられる。
 上に紹介した山口発言と「計画(仮称)」は矛盾しないのだろうか。

「退場者再傍聴に誓約書」は都教委がずっと前から

 「退場者再傍聴に誓約書」の見出しで「(騒ぐなどの議事妨害をし)都議会で議場から退場を命じられた傍聴者が再び傍聴する際に、氏名や住所を記した誓約書を提出することになった」と東京新聞が報じた(1月26日付朝刊)。東京新聞の取材では、「関東6県の県議会で誓約書の提出を求めているところはない。衆院は退場を命じられると当分の間、傍聴を認めない。参院では「ケース・バイ・ケース」(広報課)だが、両院とも誓約書を出させることはないという」。氏名・住所を記した誓約書の提出は、傍聴する権利を奪いかねないと、記事は警鐘を鳴らす。
 ところが、これを都教委定例会は2013年11月28日から行なってきた。同月14日の定例会において、個人に関することではない議案が非公開議題になっていたことに対し、傍聴者の半数が説明を求めたところ、木村教育委員長は3人に退場を命じ、次回28日の定例会からは、誓約書を出さないと傍聴を認めないとした。それ以降、予告されていた定例会開始時刻が突然30分繰り上がったことに、「理由を説明してほしい」と言った傍聴者を退場させるなど、そのどれもが、傍聴者に対し説明責任を果たさない都教委定例会の横暴な運営がことの発端である。都教委定例会は事実上、傍聴者の傍聴する権利を奪っている、と言ってよい。

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2018/01/25

都庁前通信 2018年1月25日号

F20180125


「負」の事実を教えないオリンピック・パラリンピック教育
それは、一つの価値観の押しつけではないのか

 オリンピアンやパラリンピアン等を学校に派遣し、交流を通じてスポーツのすばらしさを実感させるという都教委主催の「夢・未来」プロジェクト。その様子が報道もされている。昨年度は公立学校220校で、今年度は300校で実施とのこと。
 このプロジェクトには、日本のオリンピアン又は著名な指導者を派遣する「YOKOSO」プログラム、在日の外国人アスリートを派遣する「Welcome」プログラム、日本のパラリンピアン又は著名な指導者を派遣する「自分にチャレンジ」プログラムの3つがある。これらのプログラムの目的には、「国際理解の推進」や「障害のある人への理解を深める」こと、「共生社会の意義を学ぶ」ことなどが挙げられている。
 ことばだけを見ると良いことのように感じるかもしれない。しかし、政府は朝鮮民主主義人民共和国のミサイル発射には「J アラート避難訓練」をさせ、人々にひたすら脅威を煽り、アメリカから巨額の兵器を購入しようとしている。北朝鮮脅威に同調する小池知事のもとでは、「国際理解の推進」は、子どもたちに北朝鮮脅威を「理解」させることとなりかねない危うさがある。また、障害を持つ子どもたちを普通学校から排除し、子どもたちが互いに理解し協力する関係を奪っておいて、「障害のある人への理解を深める」とは何なのか。
 「夢・未来」プロジェクトをはじめとするオリンピック・パラリンピック教育は、オリンピック・パラリンピックは素晴らしいことという価値観が前提とされている。しかし、オリンピックは、五輪憲章の精神から外れるような、国と国との争いになり、商業主義に陥っている。多額の国税・都税が使われることに反対する人、オリンピックに使うお金は生活保護費切り下げの補填や福島県民の救済に当てるべきと考える人は、少なからず存在する。五輪関連工事は東京に集中し、福島原発事故の自主避難者に対する支援は打ち切られ、放射線被ばくの恐れがある土地への帰還が強制される。「東日本大震災復興支援」という五輪のキャッチフレーズは何だったのか。生活を奪われ福島から東京に避難している子どもたちは、どんな思いを持つだろう。私たちはこうしたオリンピック・パラリンピックに反対する。オリンピック・パラリンピック教育も止めるべきだ。
 オリンピック・パラリンピック教育が進むなか、子どもたちには、上に述べたようなさまざまな問題について自分の頭でしっかりと考えてもらいたいと思う。

● 小学生は東京2020大会マスコットの投票

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が行うもので、全国の各小学校が事前に登録をした上で、大会マスコットの投票をする。各クラスが3種類のマスコットの中から1票を投じるというもの。【事前登録期間:2017年11月20日~2018年2月22日  投票期間:2017年12月11日~2018年2月22日】
 クラス投票には、オリンピック・パラリンピックに疑問を持つ子どもたちも参加させられる。
 気がつかないうちに、国の価値観の押しつけが、「日の丸・君が代」の尊重を刷り込む卒業式・入学式と同様、オリンピック・パラリンピック教育の中で年間35時間も行われる。


1月11日都教委定例会傍聴記

  この日の議題は、非公開議題に教員の処分案件がいくつもあったが、公開議題は下に示す1件のみ。

「都教委の児童・生徒等表彰」について
――表彰されるのは、都教委に認められた「善行」だけ

 「善行や優れた活動を行った」幼児・児童・生徒を都教委教育長が表彰するもので、1984年から始まった。これが始まった当初は、各種競技大会で表彰された児童・生徒を二重に表彰することになると、疑問視する声もあったが、いまはどうなのか。
 今年度の表彰件数は、幼稚園2件、小学校67件、中学校64件、高校65件、中等教育学校11件、特別支援学校9件の計218件。2月10日に都庁で表彰式が開催されるとのこと。
表彰基準は次の5点。

1.地道な活動を継続的に行い、他の児童・生徒の範となる者。
2.当該児童・生徒等が行なった活動が契機となり、その効果が波及し、他の児童・生徒等の具体的な行動や取組に良い影響を与えた者。
3.環境美化活動や福祉活動、伝統・文化の継承活動、奉仕活動、子供会等、地域における活動を継続的に実践した者。
4.スポーツ・文化活動において著しい成果を上げた者。
5.人命救助またはこれに類する行為を行った者。

 お上から表彰されることを有難がる風潮が問題と筆者は思うのだが、それはおいても、表彰基準「3」の事例として挙げられていたのは、「自主的・継続的に公共施設や道路のゴミ拾いを行い、地域の環境美化に貢献」「地域における防災訓練に継続的に参加するとともに、地域の防災活動の推進に貢献」「和太鼓のボランティア演奏を通して周辺地域との交流を深め、地域の活動に貢献」。
 どれも、都教委が認めた「善行」であって、戦争しない・させないため、平和のための活動をしている生徒たちがいても、その活動は表彰基準には該当しないようだ。
 お上から表彰されることを有難がるのではなく、学校内や学年・学級、仲間で善いことについて話し合い、認め合う関係が作られていくといい。


ミサイル発射を想定したJアラート避難訓練

港区立本村小学校のHP、9月6日付は、「『Jアラート』に対応した避難訓練を実施しました」と掲載し、動画までアップしています。千代田区の小学校での訓練はテレビで放映されました。
教員たちは、子どもたちにどのような説明をして訓練をさせたのか、また、今後はどうするのか気がかりです。  /神奈川県は1月31日に全県一斉のJアラート避難訓練とのこと。
北朝鮮のミサイルよりも、米軍機の墜落のほうが危険度は高い。

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2018/01/11

都庁前通信 2018年1月11日号

F20180111

 あけましておめでとうございます。

 トランプ大統領に同調する安倍首相・安倍政権は沖縄に米軍ヘリの本体や部品が墜落・落下してもアメリカに運行中止を求めるポーズをとるだけ。国際社会が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との対話路線を追求する中、ひたすら制裁強化を叫んでいます。アメリカが北朝鮮を攻撃すれば北朝鮮の反撃の対象はアメリカの領土ではなく、韓国と日本になること必至でしょう。
 安倍首相は日本国民の命と安全をまもることよりも北朝鮮脅威をあおり、「国難」を叫び、それを最大限に利用して、安倍首相の個人的願望である「憲法改正」を実現しようとしています。
  こうした異常・危険な政治状況をよく見て、私たち大人はしっかり声を上げていきましょう。つけは、子ども世代に行くのですから。
  当会では、今年も都教委定例会を傍聴し、皆さまに発信していきたいと考えております。




12月14日総合教育会議を傍聴して
エリート育成にしか関心がないのか?!「都立高校改革」

 「これからの東京、日本を担う人材の育成~都立高校の現状と課題~」と題して、都立高校4校の校長がそれぞれの高校の取組を紹介し、質疑応答をおこなった。
 「教育で大事なのは共生」(遠藤委員)、「グローバル化の中での人材育成には、自分の考えをしっかり伝えられるようにすること」(小池知事)という。どんなに陳情しても夜間定時制高校は潰し、朝鮮学校への補助金支給を停止し、「日の丸・君が代」を強制して国家の思想を刷り込む教育をしていながら、この発言。言うこととやっていることとがチグハグではないか。
 「都立高校改革20年、金と人手がかかるが、多様性をつくっていく」(中井教育長)と言うが、この「多様性」の実態は、『エリート層』の人材育成を重点においた「多様性」(=学校の序列化)という面が強い。「グローバル化」という国家・資本間競争と並行して「都立高校改革」が始まり、それまでは平等に配分されていた各学校の学校予算が、「底辺校」の予算を減らして「特別進学重点校」に加配し、夜間定時制の廃校も始めた。平等性を壊し、「共生」ではなく、グローバル経済競争に打ち勝つための人材育成という経済的な要請にこたえるための差別選別・エリート育成が教育政策の柱とされた。それに加えて、全ての子どもたちに「愛国心」を植え付けようとしてきた。
 「これからの日本は・・・、できん者はできんままで結構。戦後50年の落ちこぼれの底辺を上げることばかりに注いできた労力を、できるものを限りなく伸ばすことに振り向ける。・・・限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神を養ってもらえばいい」(三浦朱門・元教育課程審議会会長2000年発言)、「経済的な格差・・・は、経済活力の源であり」「経済改革は愛国心とセットになって初めて成功する」(御手洗富士夫・元日本経団連会長2006年発言)の言葉通りに事は進んでいる。
 総合教育会議が報告を求めたのは国際高校、多摩科学技術高校、白鴎高校・付属中、西高校の校長4人。どこもエリート育成を目指す高校ばかりだ。
・公立高校で初の国際バカロレアコースが開設された国際高校校長は、「多様性」を強調し、海外大学合格者数を誇る。「英語で授業ができる教員の確保・養成」が課題だと。
・工業高校から改編となった多摩科学技術高校校長は、理系に特化した進学型専門高校になって国公立大学合格者が増加したことを誇り、高校大学の一層の連携を強調した。一部生徒や教員が大学の研究室に通っているとのこと。
・「日本の伝統・文化理解教育」を掲げた白鴎高校・付属中校長は、「アイデンティティとダイバーシティ(多様性)」「異なる思想、異なる価値観」を「大事にする」と言い、「中学卒業時には米スタンフォード大学へ研修旅行に行く」と言う。貧困家庭の子どもは「想定外」なのだろう。
・「進学指導重点校」の西高校校長は、「進学指導重点校」に指定される前との進学状況の比較をまず紹介。ここも、海外交流や理数研究に力を入れているとのこと。「高いレベル」のためには自己決定権を持つことと言う。

 以上のような報告の中、18歳選挙権を含め、政治的・社会的関心を持たせるといった民主主義社会における市民としての人格形成についての発言は、誰一人からもなかった。「共生」「多様性」「自己決定権」等々、きれいな言葉を並べた発言は何のため?誰のため?だったのか。
 毎回そうだが、退室には順序・秩序があって、今回もまずは小池都知事とそのお付き、次に招かれた校長たち、その後が教育委員、傍聴者は最後だった。




12月21日都教委定例会傍聴記

 前回11月24日の定例会で「次回定例会は12月4日10時から」と予告していたのに、今回も総合会議を突然に入れてきて、午前中に総合会議、定例会は午後に繰り下げられました。小池ファースト?!
 公開議案5件のうち、1件を報告します。

■「公立学校職員の標準職務遂行能力を定める規則の一部を改正する規則の制定」について

 「働き方改革やライフ・ワーク・バランス推進をさらに促すため」の改正とのこと。知事部局が改正したことに準じての改正で、今回は校長・副校長が対象。これまでの規則に「効率性の意識」「学校全体への目配り」「コンプライアンスを徹底した職場管理」を追加したとのこと。
 教員の試採用期間は1年間、1年が経過する時点で校長がゴーサインを出さないと本採用にはならない。その1年間に校長からいじめ・パワーハラスメントを受け、教組に駆け込んでくる事例をかなり耳にしてきた。この改正が、こうした校長のパワハラを止めさせるコンプライアンスになるだろうか。「効率が悪い」と更にパワハラを受けることにならないか。
 そもそも、こうした規則は不要で、害悪しかもたらさない。指示命令でではなく、教員が自由に思考し論議し、協力して仕事に当たることが必要なのだ。

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2017/12/14

都庁前通信 2017年12月14日号

F20171214

学校教育は意見表明権を教えるべきだ
――大企業の不正続出に思う

 日産自動車の無資格者による検査、神戸製鋼、三菱マテリアル、東レの品質・検査データ改ざんと大企業の不正が相次いで発覚した。10年にわたっていた、という企業もある。どれも間違えば人命に関わる問題であるのに、命よりも会社の利益確保を優先した結果だ。その仕事に従事した労働者たちが上司や経営陣の許可なく不正をはたらくはずはない。労働者には、不正に加担している自覚があっただろうか。『上司の命令』に従っただけという意識だったのだろうか。また、直接その仕事に従事していなくとも、不正を知っていた労働者も相当数いたのではないだろうか。労働組合はどうしていたのだろうか。内部告発をしたら多大な不利益を受けるという恐怖が、労働者を沈黙させてきたのか。 

 「子どもの権利条約」は思想・良心の自由や表現の自由とともに、意見表明権を大きく掲げる。児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について、自身の考え・気持ちをあらゆる表明方法を使って表現していいのだと、大人社会が子どもたちにしっかり伝えるよう、制定されたのだ。それが国際社会における子ども観・教育観となった。
 しかし、日本の学校は、とりわけ東京の学校は、どうだろう。「日の丸・君が代」の意味や歴史を教えずに、卒業式・入学式では「国旗に正対し、国歌を斉唱する」ことを教員だけでなく、子どもたちにも強制する。「起立しない児童・生徒がいたら起立を促す。式を始めてはならない。」と、式の進行表に明記しろとまで都教委は学校に注文をつける。意見表明権とは正反対の、自己の考えは表明せずに指示命令に従順な子どもをつくっているのが、「日の丸・君が代」の強制に象徴される日本の教育だ。
 その結果、不正には目をつぶり、あるいは考えずに「上司の命令」に従う大人社会となる。企業や組織、社会の不正はなくならない。不正やいじめのない社会にするためには、子どもたちに人権、意見表明権を教え、実行を促すことが学校教育に求められる。
 「日の丸・君が代」の強制に反対し、不利益処分を覚悟して「君が代」不起立をしてきた教員たちには、共通して、子どもたちの思想・良心の自由や表現の自由、意見表明権を奪ってはならないとの、教員としての思想が存在する。

不正の塊のアベ政治が「道徳」を言う

 森友・加計問題が示すように、安倍政治は不正の塊だ。安倍首相は国家予算を私物化し、録音等の動かぬ証拠が暴露されてもなお、「私は関与していない」と言い続ける。佐川財務省(元)理財局長の答弁が虚偽と明らかになり首相の責任を問われると、「私が自分で調べたわけではない」と首相の責任を放棄し、部下に責任を転嫁する。
 このような「道徳」を口にする資格を疑われるような安倍首相が、教育再生実行会議を設置し、子どもたちに「道徳的な態度」を養うため、道徳教育が教科とされることになったが、その求める「道徳」は、一人ひとりの尊厳・人権保障よりも、「秩序」を重んじ、「愛国心」を持ち個の人権は主張しない子どもたちの育成を目的とするようにおもえる。
 都庁、都教委ではたらく皆さん、ご自身の仕事が都民の幸せにつながっているかを考えてみてください。


11月24日都教委定例会傍聴記
報告:今年度の『いじめの認知件数及び対応状況把握のための調査』結果について
――論議すべきは、いじめをするのはなぜか、だ

調査結果は、

【いじめの認知件数について】

ア.いじめの認知件数は小学校9597件(昨年度の5.5倍)、中学校2220件(昨年度の2倍)、高校55件(昨年度の1.1倍)、特別支援学校12件(昨年度の2倍)
イ.認知したきっかけは、例えば小学校の場合は「アンケート調査により発見」が6560件、「子どもからの訴え」が1086件、「保護者からの訴え」が915件、「学級担任が発見」が850件。
ウ.いじめの態様は、「冷やかしやからかい」が最も多く、小学校校では5210件(昨年度の5倍)、中高では「冷やかしやからかい」の次に多いのが「パソコンや携帯で誹謗中傷」で、中学校で228件にのぼる。
エ.小中学校での調査結果を区市町村別に見ると、例えば、足立区小学校のいじめ認知件数は3204件、昨年度の50倍にのぼる。それについて都教委は、「毎月いじめ調査をしたことにより」「多くの学校で軽微ないじめも見逃さないという認識が広がった。」と言う。

【対応状況】

ア.「認知されたいじめについて誰が(どこが)対応したか」では、小中学校では「学級担任」が94%、92%、高校では56%。学校いじめ対策委員会(=いじめ防止推進法に沿って校内に設置)の対応は、高校では69.1%(昨年度62.5%)になったものの、小学校では39.7%(昨年度35.6%)止まり。
イ.「認知したいじめに対して学校がスクールカウンセラーと連携して対応した状況」は、小学校1646件(昨年度413件)、中学校640件(昨年度258件)、高校28件(昨年度23件)。「このうち、効果が見られた件数」は、小中高いずれも3割程度。「効果が見られた割合は減少している」という。
ウ.「学校いじめ対策委員会の取組状況」では、「スクールカウンセラーが得た情報を教職員間で共有」している割合、「いじめの未然防止や早期発見のための取り組みについて年間計画を策定」している割合は、全校種で一昨年度・昨年度より減少したとのこと。

***** ***** *****

 この報告に対し、教育委員も「多くの学校で軽微ないじめも見逃さないという認識が広がった」と評価した。
 子どもたちも教員も「軽微ないじめも見逃さな」くなったというのに、いじめが減らないのは、なぜなのか、どこに原因があるのかを、都教委は分析して欲しい。
 いじめは「自己肯定感」を持てないような状況におかれた子ども(=加害者)が、その代償として、ストレスのはけ口として、自分の意のままになる対象(=いじめ被害者)を持つことを求めるのだと言われている。弱い他者を支配することで優越感が持てるからだ。
 いじめは、いじめる側の子どものSOSでもある。自己を主張してもいい、受け止めてもらえる、と子どもたちが思える環境を、いろいろな働きかけを通して子どもたちに提供することが都教委や学校のすべきことだ。競争・選別・排除ではなく、誰もが人格を持ったひとりの人間であることを、学校生活を通して示すことが大事なのだ。身の回りや社会で起きている不正や差別問題に向き合い考え合うことからも、子どもたちの心は育つ。
 また、子どもたちは良くも悪くも大人を見て育つのだから、大人社会でのいじめを止めること。学校では、「君が代」起立を拒否する教員を処分し、差別することを止めることだ。

 文科省・都教委が進める学校いじめ対策委員会の取り組みや、スクールカウンセラーと連携した対応の効果が減少したことを都教委はマイナス評価するが、どちらの策も効果がなく教員を忙しくするだけなのではないか、とも思う。

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2017/11/24

都庁前通信 2017年11月24日号

F20171124

都教委調査「中学校教員の68%が過労死ライン」
―都教委の意識改革が必要だ

11月9日の都教委定例会報告「都公立学校教員勤務実態調査の集計について(速報値 調査期間は6月19日から7月16日のうちの連続する7日間)」で表題の結果が発表された。それとともに、「学校における働き方改革推進プラン(仮称)」中間まとめが報告された。
 中学校教員の68.2%が過労死ライン(週60時間)を超える長時間労働をしている。小学校37.4%、高校31.9%、特別支援学校43.5%と並ぶ。また、副校長では小学校84.6%、中学校78.6%、高校58.3%、特別支援学校86.7%が過労死ラインを超えるというひどさで、副校長のなり手が少ないのはうなずける。
 この結果を踏まえて都教委が出した「学校における働き方改革推進プラン(仮称)」の内容は、 「当面の目標」を「週あたりの総在校時間が60時間を超える教員をゼロにする。」そのための「取り組み」は「平日は、1日あたりの在校時間を11時間以内とする」「土曜日、日曜日については、どちらか一方は必ず休養できるようにする」という。
 また、「取り組みの方向性」として次を挙げる。

ア.働き方の見直しに向けた意識改革(勤務時間を意識した働き方をするように等) 
イ.教員業務の見直し(給食費等の徴収・管理を事務職員が行う、教員が在宅でも仕事ができるようにする等)
ウ.教員を支える人員体制の確保(スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置促進、学校支援ボランティアによる支援)
エ.部活動の負担軽減(「部活動指導員」の配置、地域人材の活用)
オ.ライフワークバランスの実現に向けた環境整備(病児保育や家事代行付きのベビーシッター利用の支援等)

***** ***** ***** ***** *****

 「学校における働き方改革推進プラン(仮称)」には、教員の長時間労働の一番の原因が都教委・文科省にあることの認識がまったくない。一言の反省の弁もない。教員の意識改革ではなく、都教委の意識改革が必要だ。
 子どもたちのことを知る教職員が、どのような教育をするかを職員会議で論議し決定して仕事をしてきた時代(2000年以前)には過労死ラインの長時間労働は多分ほとんどなかった。都教委(文科省)が職員会議を指示・伝達の場に変え、教育内容を指示・強制し、また書類の提出を強制したことで教員の仕事が凄まじく増えた。都教委が施策にあげる各種の○○教育(年間35時間ものオリンピック・パラリンピック教育等)、土曜授業の強制や押し付け「研修」、各種の調査報告、業績評価のための自己申告書、授業プラン等々の作成・提出を課すなどだ。
 解決策の第1は、教育行政が介入を止め、各学校に職員会議の決定権、教育課程編成権を戻すこと。第2は、少人数学級や複数担任制にすること。この2点を実行することだ。
 しかし、都教委の「プラン」にはそういった解決策は一つもない。スクールカウンセラーを配置するというのならば、フルタイムのカウンセラーを雇用すべきなのだ。週1日の「勤務」では子どもとの信頼関係を築く時間がなく、子どもたちはスクールカウンセラーに相談しない。カウンセラーに仕事を振り向けても、かえって教員の仕事量を増やすだけ。そうした現実を筆者も在職中に見てきた。昨年11月10日の定例会において都教委はいじめ問題への取り組み報告の中で、「教員とスクールカウンセラーが連携して対応した事例のうち、効果が見られた事例の割合が、どういうわけか過去2年間よりも減少した。」と言っていたが、今回の施策もこうした事実・現実から学んでいない。学校支援ボランティア等にしても、同じことが言えるのではないだろうか。
 イ「在宅で仕事ができるようにする」(仕事の持ち帰り)では、仕事量が減るわけではない。なお、10年前までは多くの教員が仕事の持ち帰りをしてきたが、「個人情報の漏洩」を理由に都教委が禁止した。オは「ベビーシッター利用の支援」をするから、「我が子の病気ぐらいで休暇を取るな」との声が聞こえてきそう。かたちをつくろっている、としか思えない「プラン」。ある傍聴者は、「まさにマッチポンプだ!」と怒った。都教委が次々に打ち出す教育施策が教員の過労死ラインの働き方に拍車をかけていることに、都教委は気づくべきだ。

■上記以外に定例会で報告されたこと

 「東京グローバル人材育成計画’20(Tokyo Global STAGE’20)」(素案)。
 都の長期計画(都民ファーストで作る「新しい東京」~2020年に向けた実行プラン)、「東京都英語教育戦略会議報告書」(2016.9.8)をベースにグローバル人材育成に向けた学校教育の在り方を示すという。これまで取り組んだこと-オリンピック・パラリンピック教育の「Welcome to Tokyo」の開発や英語村「TOKYO GLOBAL GATEWAY」-、今後2020年度までに取り組む施策と事業内容について本日素案を公表。この後パブリックコメント実施。2月上旬「パブリックコメントの結果及び計画策定について」を出すとのこと。
 この日の議題にあった「来年度教育庁所管事業予算見積」とともに、エリート育成ばかりに金を注ぐ都の姿勢が明確だ。公教育はエリート育成を目的とするのではなく、全ての子どもの学びを保障すべきなのだ。
 「計画’20」は3つの柱の1つに「豊かな国際感覚の醸成」を挙げる。ならば都教委は、関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文送付を断った小池都知事の国際感覚をまずは問題にすべきではないのか。


「男が痴漢になる理由」(精神保健福祉士・斉藤章佳著 イースト・プレス出版 1512円)
 10月29日付け東京新聞朝刊に著者の斉藤さんのことばが次のように紹介されていた。
 「痴漢=性欲の強い異常な犯罪者、ではありません。痴漢は依存症の一種で、治療できます。」
 都内のクリニックで性犯罪者の「再犯防止プログラム」を行う斉藤さんは、加害者の平均像は「四大卒・会社員・妻子あり」。痴漢の動機は、過剰な性欲ではなく、「ストレスへの対処」なのだという。
 相手を自分の思い通りにできる快感が、ストレスを消す。弱い他者を支配することで優越感が持てるからだ。社会にはびこる「男は女より上」という性差別の価値観が彼らを支える、のだと。

 都教委定例会で毎回と言っていいほど、時には数件の性加害、体罰(暴力加害)などの懲戒処分案件が議題となる。過労死ラインの長時間労働、徹底した管理、指示されての「自己啓発」研修等々、教員の働き方が関係しているのではないか。働く上でのストレスが引き起こすと言う斉藤さんの言に納得する。

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2017/11/14

解雇させない会ニュースNo.63

News63

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解雇させない会ニュース一覧表
解雇させない会ニュース一覧表を作成してあります。
左側の赤いピンアイコンのリンク先を「お気に入り」に登録することをお薦めします。



2017/11/11

河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会 学習会

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シリーズ いま学校は?
ハンセン病から考える人権教育
〜道徳教科化のはざまで

講師 宮澤弘道さん(小学校教員)
日時 2017年12月3日(日)13時30分〜
場所 中野区立商工会館 大会議室
中野区新井1-9-1 TEL03-3389-1181
(JR中野駅北口より徒歩7分 早稲田通り沿い)

 みなさんもよくご存じのように、今教育はさまざまな課題を抱えています。いじめによる自殺も後を絶たないし、子どもの貧困化の対策も置き去りにされています。その上、小学校の英語教育や道徳の教科化が始まるし、東京ではオリンピック・パラリンピック教育が年間36時間も入れられてきています。そんな中で教員たちがどれだけ多忙で疲弊しているかも 最近だいぶ取り上げられるようになってきましたが、解決への方向は一向に見えてきません。
 それでも学校の営みは日々続けられ、何ができるかと悩み考えながら授業を進める教員も少なくないでしょう。 今回お呼びする宮澤弘道さんもそんなお一人です。宮澤さんには、総合的学習として6年生に行った「ハンセン病と差別・人権」という授業についてお話し頂き、人権教育についてや道徳教育との関連などについても伺いたいと思います。
 学校現場に近い方にとっては、参考になることが多々あると思いますし、学校から離れている方にとっては今の学校のありようが見えてくるのではないかと思います。
 お忙しい時期ではありますが、たくさんの方のご参加をお待ちしています。

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2017/11/09

都庁前通信  2017年11月9日号

F20171109

都教委、養成・採用から退職まで「教員の規格品づくり」を打ち出す
――これでは子どもたちの関心・好奇心には応えられない

 10月26日の都教委定例会での報告を聞いて暗たんたる気持ちになってしまった。都教委の教員支配はここまできてしまったのかと。
 「東京都の教育に求められる教師像」に近づくべく、全教員に教員であるかぎり研修をさせるという「平成30年度年度東京都教員研修計画」、及び、東京都の教員になりたい学生に対し、教員養成段階で教えてほしいことを大学に提示する「東京都教職課程カリキュラム」の2つ(裏面で後述する)を策定したとの報告。2つをセットとして、養成・採用から退職に至るまで、都教委の求める教員の「規格品」づくりをするということだ。前者は2008年度から、後者は2010年度から始まってはいたが、いよいよ完成版である。
 社会科教科書は「政府見解」を記述しなければ教科書検定を合格にさせないとされ、「愛国心」を教え込む道徳が教科とされ、そして教員が都教委の推奨・指定する研修機関で「研修」を受けさせられ続ける。子どもたちが「日の丸・君が代」を教え込まれてきたように、今度は「研修」によって全教員に都教委・文科省の考えを刷り込むというのだ。学校は、子どもたちの学ぶ意欲に応える場であるよりも、国の考えを刷り込む場になってしまう。
 戦後の教育は、国の考えを刷り込んできた戦前の教育の反省に立ち、教員が自由でなければならないとし、研修についても、官製研修と民間教育団体の研修、個人研修とを差別しないことが日教組と文部省(当時)・各県教委との間で取り交わされてきた。そして教員は子どもたちが夏休みの期間中、それぞれが必要とする研修に取り組んできた。長期にわたる研修によって知識や見聞を深め、授業づくりに活かすことができた。また、かつての都教委は各学校が職員会議の決定によって教育活動・授業づくりを行うことを認めていたから、学校・各教員は子どもたちの声に応えた教育活動が可能だったのだ。このような教員たちの自主的な研修は海外からも高く評価されてきた。
 国の考えを子どもたちに刷り込むために、教員を調教する「東京都教員研修計画」及び「東京都教職課程カリキュラム」に私たちは反対だ。


10月26日都教委定例会傍聴報告

 ①②をセットとして、養成・採用から退職に至るまで、都教委の求める「教員の規格品づくり」をしようとする。

①2018年度東京都教員研修計画の策定について

 7月27日の定例会において、「教育公務員特例法の一部を改正する法律」(文科省2016年11月)を受けて都教委は職層(教諭、主任教諭、主幹教諭・指導教諭、副校長、校長)に応じて身につけるべき能力「資質の向上に関する指標」を事細かに羅列した。これをリーフレットにして学校及び教員養成大学に配るとのことだった。この「指標」に基づき今回、次のような「教員研修計画」(「学び続けよう、次代を担う子供たちのために」)が出された。
 「OJT」(「On the Job Training」=日常的な職務を通して、必要な知識や技能、態度などを、意識的、計画的、継続的に高めていく取り組み)、「Off-JT」(職場以外の研修機関での研修)、「自己啓発」の3本柱により、「東京都の教育に求められる教師像」に近づくべく研修計画を立てる。職層ごとに求められる能力や役割、それを達成するための OJT、Off-JT をこと細かに示し、それをもとに各人が「マイ・キャリア・ノート」にキャリア計画・研修計画を立案する。「マイ・キャリア・ノート」は管理職が見て各教員の人材育成に取り組むという。
 研修とキャリア・アップとで教員はがんじがらめにされる。逸脱は許されない。
 これに対し、教育委員の多くは「非常に明確に示されている」(北村教育委員)等、絶賛ないしは同意した。山口教育委員だけは、「多忙な上に、またかと、負担に教員が思う、押し付けられていると感じるのではないかと心配だ。研修では、教員が抱えていること、生の声を聞くことも入れたい。教員のやる気をどうやって引き出すかが大事だ」と、「研修計画」に反対はしないものの、懸念を示した。
 都教委がこうした「教員の人材育成」に乗り出した最初は、人事考課制度(1999年)だった。各教員は「私は○○に頑張ります」「○○を達成できました」と自己申告書を提出させられ、校長が業績評価をし、その評価が賃金に反映される(2006年)ようになった。その頃から、休職者が増えたように思う。
 利益を上げることが目的の民間企業が取り入れているこうした社員教育体系や人事考課制度・成績査定の手法を真似た制度は学校という教育の場には合っていない。学校という場で求められるのは、教員と子どもたちのふれあい、自由に発言できる職場と教員集団の協業だ。職層を分化し給料で差別し、教員たちの垣根をつくり、都教委の意向に従順な教員の規格品をつくっても自主的に考え、自立した子どもたちは育っていかない。
 教員を都教委のコマとしか見ない、官製研修を強化したところで、教員の休職や体罰、わいせつ行為等が少なくなるとは思えない。都教委が教員管理を止め各学校・教員組織に決定権を戻すことこそが必要なのだ。

②東京都教職課程カリキュラムの策定について

 「東京都の教員を目指す学生が採用段階で身につけておいてほしい資質・能力を具体的に各大学へ提示し、採用後の研修内容等との連携をより深めていくことで、『養成』『採用』『研修』段階が一体となって若手教員の人材育成を図る」のが狙い。これまでは小学校教員に限定して「カリキュラム」を策定し大学に提示してきたが、今後は中・高の教職課程にも拡げるという。
 93ページに及ぶ「カリキュラム」を総覧すると、都教委の進める教育施策が見てとれる。「世界で活躍できる人材の育成」「道徳教育の充実」「キャリア教育の充実、防災教育の充実」「不登校対策」「オリンピック・パラリンピック教育の推進」と並ぶ。採用試験にも反映させるかも。都教委は大学教育にまで介入し、国の意向に沿った教員づくりをしようとしている。看過できないことだ。

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