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2019/07/11

都庁前通信 2019年7月11日号

F20190711

 

6月20日都教委定例会を傍聴して
学校への情報端末の持ち込み 禁止から可へ
――なぜ? 子どもの教育を受ける権利よりも、企業の利益優先か

 これまで子どもたちが携帯電話やスマホなどの情報端末を学校に持ち込むことを、都教委は通知(2009年)によって、小学校から高校まで禁止し、特別支援学校では生徒の実態に応じて学校が判断するとしてきた。この通知は文科省の同通知とほぼ同時期に出された。
 しかし今後、都教委は2009年通知を廃止し、都立学校(中等教育学校後期課程を含む)では校内への持ち込みや使用許可を校長が判断する、区市町村立学校については、各教委が判断するという方針を示すという。
 文科省が今年5月に「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」を設置し、今後、学校における情報端末の取り扱いについて、改めて方針を出す予定というから、それに合わせてのことのよう。文科省がこれを打ち出したのは、総務省からの強い要請(=教育への介入)があってのことだ。教育は政治からから独立しているという理念も消えてしまった。
 方針の変更について都教委は、児童・生徒のスマートフォン利用率が高校で97,3%、小学生でも63,9%にのぼる中、スマートフォン等の持ち込みを一律に禁止するのではなく、学習指導や安全確保のために適切に活用できるようにするためだという。昨日まで持ち込んで取り上げられたり叱られたりしていたのが、今日からは授業等での活用となる。まず、生徒と保護者に丁寧な説明が必要だろう。
 すでに都教委は 2018 年4月から2年間、白鷗高校及び附属中学校など10校を BYOD(Bring Your Own Device)研究指定校に指定し、「Wi-Fi環境を普通教室に整備し、生徒の所有するICT機器を活用した学習支援等を実施することの有効性を検証し、導入時及び運用における課題の解決の方向性を検討」しているという。
 方針が大きく変ったにもかかわらず、2009年通知についての総括を都教委は出さなかった。教育委員からはいつものように一言ずつではあるが、「ゲームをしてしまうなどのマイナスの側面をどうするか」「このことがさらに教員の負担になるのではないかと心配」との発言もあったが、報告は了承された。
 情報端末を授業で用いるということは、企業がさらに教育に参入し、ハード面・ソフト面ともに莫大な利益をあげるということだ。教育を受ける権利の主体である子どもたちは、生の声での対話の機会を奪われ、また、ますます「教師と生徒との人格的接触」(旭川学テ最高裁判決)の機会が奪われ、孤立させられていくのではないか。集団の中で自己を表現し、行動を選択することを学ぶ場が学校であり、そのかじ取りをするのが教師の役割であるのに、子どもたちからその場を奪うことになるのは必至。教員は、情報端末の操作さえできれば事足りることになり、非正規雇用がますます増えるのではないか、とも危惧する。一方で、学校カウンセラーやソーシャルワーカーを非正規雇用で配置していることとの矛盾。子どもたちに必要なのは、生活する中でじっくりと話を聞いてくれる、主体的・自律的な教員であり、そうした学校体制である。
 子どもの育ちと企業の利益(=政権の利益)を天秤にかけるような愚策・悪策に、腹立たしく悲しくなる。

 



18年度都内公立学校における体罰――都教委は研修による体罰根絶を掲げるが

 2012年度から文科省が始めた体罰実態調査。全公立学校の校長、副校長、教職員、児童・生徒を対象にした調査結果を、都教委が「体罰関連行為のガイドライン」(2013年)に示された体罰分類基準に沿って、「体罰」「不適切な指導、暴言等行き過ぎた指導」「指導の範囲内」に分類した報告である。調査方法は、教職員は校長による聞き取り、児童・生徒は質問紙及び聞き取りによる。
 報告は、
ア.調査に対し、〈体罰があった〉との報告を提出した学校は13,6%。提出しなかった86、4%の学校は体罰がなかった学校とのこと。
イ.「体罰を行った者」は23人。調査を始めた2012年度の182人との比較では、1/8に減少しているが、この3年間と比較すると横ばい。「体罰」とは認定されなかったが、「不適切な指導等」をした者が197人。「指導の範囲内」と認定された者が149人。
ウ.体罰を受けた児童・生徒は、23校31人。2017年度は19校23人であり、増加している。
エ.「体罰」の程度が著しい事案(=体罰を行った件数が5件以上、傷害あり、悪質・危険な行為)と認定されたのが、高校で4件、中学校で2件、小学校で1件の、計7件(SNS投稿がきっかけでその後、新聞報道もされた町田総合高校の件も、ここに分類されている)。

 「体罰がなかった学校が86,4%」というのは本当か。傷害に至らなくても言葉による暴力を「体罰」と認定したか。校長による聞き取り調査の段階で「体罰」から外されたのではないのか。また、集計段階で「指導の範囲内」と認定された149という件数の多さも異常だ。本人や周りが体罰と感じ、心を痛めてこたえたことに対し、一体どのような‟基準"で体罰ではない、「指導の範囲内」としたのだろうか。この報告の信ぴょう性自体に疑念を持った。

 報告を受けて教育委員から、「体罰ではなく、教育の一環ではないかというケースもあるかもしれない。」との発言があった。児童・生徒、教職員から「体罰」と上がった行為のうちの149人が「指導の範囲内」と認定されたのも、この教育委員のような‟基準"が働いた結果なのではないのか。
 この教育委員の発言に対し人事部長は、「教員に主体的に考えてもらうよう、(校長に)研修を計画してもらう」と応答した。
 体罰等の根絶に向けた今後の取り組みとして都教委は、「7・8月を体罰防止月間とし、・・・校内研修等を全公立学校で実施」「全公立学校が体罰根絶の宣言を行い、ホームページ等で公表」などを挙げる。しかし、研修や宣言で体罰根絶が不可能なのは明白だ。調査を始めた2012年度と比べれば体罰は減少しているが、それは至って当然のこと。研修や宣言で根絶に向かわなかったから、その後横ばい状態が続いている現実を都教委は直視すべきである。
 人事部長の「主体的に考えて」の発言に一言。都教委は、日常の仕事の中で教員には指示に従うことばかりを求め、主体的に考え行動する機会を奪い続けている。この件だけに主体性を求めても、求められるものではないだろう。また、教員自身が中学生以降、体罰が横行する部活動を体験した人もかなりの数いるだろうから、暴力の再生産が起き、体罰を教育と勘違いしてしまいがちなのだ。
 戦前の軍国主義日本で教育が体罰と親和的だったことも忘れてはいけない。
 体罰根絶に向けて必要なのは、仕事の中で同僚と論議でき、自由な発言・助言が行き交う自立的な職場環境である。教員たちが話し合いによって職場・学校をつくり、子どもたちとも話し合いをもとに教育活動していったなら、暴力=体罰に向かわなくなるだろう。

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2019/06/20

都庁前通信 2019年6月20日号

F20190620 

天皇の退位・即位を祝うことを公教育が強制してはならない、と思いませんか

 天皇退位・即位に当たって文科省は4月22日、「天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に際しての学校における児童生徒への指導について」の通知文を都道府県教委等に送付。それを受けて都教委は各市町村教委に通知しました。通知文は「天皇」「皇太子」ではなく、憲法にも書かれていない「天皇陛下」「皇太子殿下」という最大級の敬語を用い、「国民は天皇陛下を深く敬愛し」「即位に際し、国民こぞって祝意を表する」と書きます。日本国民であるならば天皇を敬愛し祝意を表さねばならないとは、思想・良心の自由を認めないものではないでしょうか。ましてや、思想・良心の自由の形成期にある子どもたちにこれを求めるのは、さらに悪質ではないでしょうか。
 日本国憲法に思想・良心の自由、基本的人権が明記されたのは、大日本憲法下で国家権力があまりにひどく肥大化し、政府の考えに反対する人々を投獄するなどのことがあったからでした。日本国憲法第1章は天皇について定めてはいますが、人々に「深く敬愛する」ことは求めていません。求めることは思想・良心の自由に抵触するからです。今回のこの通知文発出は、安倍一強のおごりから出た、憲法違反の政治介入です。
 通知の弊害か、以下のようなことが起きました。

八王子市の2つの小学校で天皇出迎え

 4月23日に天皇夫妻が多摩陵に退位の報告に行った際、夫妻の車が通る甲州街道沿いの2校の子どもたちが天皇夫妻の出迎えに駆り出されました。八王子市教委は、「何時頃どこを通るという情報を小学校2校と中学校1校に提供した。沿道に立つようには言っていない。あくまでも情報提供である。」「天皇については学習指導要領6年生社会科で『理解と敬愛の念を深める』と示されている。(従って沿道に立たせたのは、)学習指導要領に則った指導だ」と言います。
 しかし、「日の丸・君が代」の刷り込みと同じく、子どもたちに対し、天皇への「敬愛の念を深める」という一方的な価値観の押し付けや「こぞって祝意を表する」行為を求めることは学校教育がしてはならないことです。

大阪市の小学校で「新天皇ご即位記念集会」

 5月8日にこの小学校の集会に招かれたゲストの歌手の方は以下のように自身のブログに書きました。
   ――― ――― ―――
(前略)「幸せなら手を叩こう」「ずいずいずっころばし」を元気にみんなと一緒に歌い、次に唱歌「神武天皇」・唱歌「仁徳天皇」のお話と歌を歌わせて頂きました(〃ω〃) 唱歌「仁徳天皇」は初めて歌った曲ですが、歌う前に「民のかまど」のお話をしたんですが、改めて国民と天皇の絆の深さを感じるお話に私も話しながら胸が熱くなりました。(中略)最後に!私のオリジナル曲「行くぞ!日の丸!」と「令和の御代」を歌わせて頂きました。(以下略)
   ――― ――― ―――
まさに戦前の学校となってしまいました。

 


5月23日都教委定例会傍聴報告

①「教育職員の勤務時間の上限に関する方針の策定について」

 提案された方針は、年間360時間の超勤を前提とする「働き方改革」案。そこを素通りする事務方や教育委員の感覚は、いったい何なのか。
 文科省が1月に学校における働き方改革の方策の一環として「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を策定し、服務監督権者である各教委に対して、教師の勤務時間の上限に関する方針を策定するよう通知した。このことから、都教委は国のガイドラインを参考に方針を策定したとのこと。
 方針は、


・時間外労働時間の上限は、1ヶ月45時間、1年間360時間。
・事故、いじめやいわゆる学級崩壊等の重大事案の発生等で、一時的または突発的に時間外労働をせざるを得ない場合は特例的な扱いを認めることができる。ただし、年間720時間を超えない。
・休憩時間や休日の確保等労働法制を遵守する。在校時間が一定時間を超えた教育職員については、校長は医師による面接指導や健康診断を実施する。

 この方針を都立学校長に通知するとともに、「学校における働き方改革 取り組み事例一覧」(75事例)を送付する。区市町村教委にも送付する。取り組み事例には、「定時退庁日の設定」(「教員の意識改革のため」という。教員をなんと小ばかにしたことか!)も挙げるが、「業務改善の推進」だとして例えば、「内容の似た会議を統合するとともに、必要最小限の人数で開催」「会議時間の上限を 1 時間に定める」等を挙げる。今だって職員会議は校長が都教委からの指示を伝えるのみで職員の発言は都教委が禁止しているし、管理職・中間管理職の打ち合わせで決まったことが一般職員には伝えられるだけ。会議時間の削減など、できようがないことは都教委自身が知るところではないのか。

 雇用者である都教委のすべきことは、8時間労働で仕事が終わるよう教員定数を大幅に増やすことだ。明らかではないか。戦闘機に回すお金を使えば、全国一斉に即解決する。教員管理のために 21 世紀に入った頃から始めた大量の文書作成・提出指示をやめ、職員会議を議決機関に戻すこと。教員たちが生きがいをもって仕事に当たることができるように戻すこと。それが、「働き方改革」だ。
 教育にお金をかけるのは、国際社会の常識である。

②「東京都教育委員会から教員と保護者等へのメッセージについて」

 「教育職員の勤務時間の上限に関する方針」を周知徹底するために、都教委は教員に対しては「教員一人一人の働き方改革が求められています」と題するメッセージをメール送信し、保護者・地域の人たちに対しては「学校の働き方改革にご理解・ご協力をお願いいたします」と題するメッセージを、学校を通じて紙配布するという。4月には、新学年を迎え、「生徒の皆さんへ」「教員の皆さんへ」を出した。このどれもが、教員の大幅定員増が解決策であるのにそれはせず、「都教委はやっています」の自己アピールに終始する。
 こうした人事部の議案に対し、教育委員の発言は議案を容認するものばかり。「目的は、教育の質の向上」「だらだら時間外勤務と必死の時間外勤務に不公平がないように」「教員でなければできない仕事と削ることができるアンケートのような仕事を分け、精神論ではなく、具体的に期限を設けて仕事を減らす」「(働き方改革の)研究校をつくるとよい」「メッセージは、(一斉定時退庁日などの)具体的事例も書かれていて、よい内容だ」と。

 教員採用受検倍率が年々急降下していること(東京の19年度採用 小学校:1,8倍 中高:4,3倍 特使:2,8倍)について、中井教育長は定例会や総合教育会議で発言しているが、本気でそれを食い止めるつもりならば、上記した筆者の提案を参考にすべきと思う。都教委の「教育改革」が破綻していることを、都教委は自覚せよ。

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2019/05/24

2019年度総会&お話の集いご案内

190519

 

河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会
2019年度総会&お話の集いご案内

日時 2019年6月30日(日) 13時15分開会
場所 国分寺労政会館第2会議室
国分寺市南町3-22-10 TEL 042-323-8515

 総会の議事終了後、させない会弁護団萱野弁護士から08年事件控訴審判決の解説と河原井・根津裁判のこれからについて30分程度話して頂きます。

 お話の集いは、「マコの宝物」(2017年3月 現代企画室発行 1500円)の著者えきた ゆきこさんにお願いしています。
 この本は、山口県長門市の山里の村で育った「マコ」が、家族や村人や学校の仲間たちとの生活を物語っています。
 解説者の清水眞砂子(「ゲド戦記」翻訳者)さんは「こんなに喜びを覚えた本にはここ何年と出会っていなかった……社会の縁におしやられている人々への書き手のまなざしが違う……」と書いています。
 ぜひ、ご一読ください。
 お話のつどいの詳細については、現在太田昌国さんと一緒に準備中です。会員の方も会員でない方もぜひご参加下さるようお待ちしています。


著者紹介欄から
本名 浴田 由紀子。1950年山口県長門市に生まれる。北里大学卒業。臨床検査技師となる。74年、東アジア反日武装戦線大地の牙に参加。75年、逮捕。77年、日本赤軍のダッカ・ハイジャック闘争で超法規的に釈放されアラブへ。95年、ルーマニアで拘束され日本に強制送還、服役。2017年3月、20年の刑期を終え出所。

チラシへのリンク

 

解雇させない会ニュースNo.68

Newsno68 
 

 

newsno68.pdf」をダウンロード

 

 

解雇させない会ニュース一覧表

解雇させない会ニュース一覧表を作成してあります。
左側の赤いピンアイコンのリンク先を「お気に入り」に登録することをお薦めします。

 

 

 

2019/05/23

都庁前通信 2019年5月23日号

F20190523

 

滋賀県野洲市教委が文科省作成の「放射線副読本」を回収

 滋賀県野洲市教委は文科省が作成し18年10月に各学校に送付した「放射線副読本」(小学生版、中高生版)の記述内容に問題があると判断し、4月25日、回収に踏み切りました。
 3月の野洲市議会一般質問で、「(副読本は)人工と自然界の放射性物質を同列のように扱い、(放射性物質が)安全であると印象を操作しようとしている」などと指摘を受け、市教委は副読本の内容を精査。その結果、 ア.「放出された放射線の量はチェルノブイリ事故の約7分の1」「福島県内の放射線の量は事故後7年で大幅に低下している」など、事故の影響を少なく見せようとしていると受け取れる記述や、放射線の安全性を強調するような印象を受ける記述が多い。 イ.被災者の生の声が少ない。 ウ.小中学生にとって内容が高度――との判断に至り、回収を決めました。
 副読本には、「県が平成30年4月までに実施した内部被ばくを測定する検査では全員、健康に影響が及ぶ数値ではなかった」とまで記述していますが、この改訂版を発行してわずか3か月後に、当時11歳だった少女が100ミリシーベルトの被爆をしたとのメモ(2011年5月2日の放医研の「朝の対策本部会議メモ」)が見つかりました。メモは開示請求によって見つかったのですから、国・放医研はこの事実を隠してきたということです。こうした現実を見れば、この記述だけでなく、副読本に誤りや嘘がかなりあるといえるでしょう。
 山仲善彰市長は25日の定例会見で、「丁寧な情報を若い世代に伝えることが大事。市教委の判断は適正」「福島の原発事故はもちろん、広島、長崎の原爆や第五福竜丸といった被ばくの歴史についてももっと丁寧に伝えたい」と語ったとのことです。(4月25日朝日新聞 26日中日新聞)。私たちは、野洲市教委の誠意ある判断と対応を支持します。
 東京の全学校にも副読本が配布されていますから、都教委は副読本の内容を精査し、訂正文を配布したり、副読本を回収したりすべきです。

都オリ・パラ準備局発行の高校生向け冊子「2020年。東京と東北で会いましょう。」も回収を

 都が17,18年度に高校生に配った同冊子が「復興を難しくしている最大の原因である原発事故には触れていない」ことから、福島県から原発事故の記述を加えるよう都に提案がされたこと(東京新聞2019年3月24日)を知り、昨年度までの旧版と19年度の改訂版を比べてみたところ、変更は 1 か所、「被災地の復興は、まだ途上。」の項のみでした。旧版が「農業、観光分野において、特に福島県では復興が遅れています。」と記述し、「米の産出額」と「観光客入込」推移のグラフを掲載したところを、改訂版は、「観光、農業分野において、原子力発電所事故による風評の影響が根強く残っています。」と記述し、米と桃の価格推移を、全国平均との比較で掲載しています。「風評の被害」を強く押し出し、健康への影響には一言も触れません。故郷を奪われ、体を壊し、我が子の将来にわたる健康への不安に脅かされる人たちの気持ちに全く寄り添っていない内容です。また、「東京2020大会は、大震災から立ち直った日本の姿を示す。」から始まるもので、福島の人たちも、東京2020大会に期待しているという内容で構成されています。
 しかし、こうした東京2020大会賛美の内容は、福島の少なくない人たちの気持ちを踏みにじり、さらには東京の全高校生を東京2020大会祝賀に動員するものです。オリンピックに使う金は福島の被災者たちの生活保障に回すべきだ等の意見を持つ高校生がいることを無視することになります。

 



4月25日都教委定例会傍聴報告
昨年度の指導力不足等教員の指導の改善の程度に関する認定等、 条件付採用教員の任用について
――解決策は都教委が学校への支配介入をやめること

 「指導力不足等教員の指導の改善の程度に関する認定等」では、「A 指導が不適切である教員」に認定され、
週4回研修センターで受講した者が3名、「B 指導に課題がある教員」に認定され、週1回研修センターで受講し
た教員が2名の計5名が受講。Bの1人は認定を解除されて職場復帰となったが、残り 4 名のうち、Aの 1 人は年度
末に退職し、3 名は今年度も研修センターで受講するという。
 「条件付採用教員の任用」(条件付採用期間は、教員は1年、養護教員と実習助手は6月)は、条件付採用教員数が2809人、正式採用者数は2720人。正式採用とならなかった者が89人、うち、年度途中の自主退職者等が77人(病気29人、他県での採用や転職30人、家庭事情13人他)、懲戒免職1人、正式採用「不可」の者11人(11人とも、年度末で自主退職した)。正式採用とならなかった者の割合は3、2%。正式採用「不可」の理由は、「授業計画が立てられない、授業が上手くできない、子どもに対応できない、教員間のコミュニケ―ションに問題があるなど」とのこと。
 指導力不足等教員の申請も条件付採用教員の正式採用も、校長の判断・評価による。

 希望をもって教員の仕事に就いた人たちを励まし育てるのが校長の仕事なのに、ひどい校長に当たったがために正式採用「不可」や自主退職に追い込まれた人がかなりの数いるのではないかと思う。実際に、正式採用「不可」を2年続けて都教委にあげた校長がいた事例を筆者は知っている。そうした校長によって人生を狂わされ、現在裁判をしている人もいるし、勝訴し職場復帰を果たした人もいる。校長の判断・評価に主観が入ることは否めないということだ。
 「年度途中の自主退職者等」のうち、29人の病気は精神疾患であろう。10年近く前に条件付採用教員から筆者の友人が直接聞かされた(相談された)ことだが、その教員は校長から「(仕事ができないのだから)線路に飛び込んだら」と言われたという。そのような校長に当たってしまったら、病気になって当たり前。「家庭事情」を理由にした人たちは、「自主退職しなければ免職にする。免職となれば、経歴に傷がつき再就職が難しくなる」と校長から脅されてのことだろう。この話は、教員で知らない人はまず、いない。そして、「他県での採用や転職」が30人。東京の学校で働くことに魅力を感じなかったということだ。
 この報告に対して、ある教育委員は次のように言った。「条件付採用の1年の間に(指導力不足を)見つけられないと、その後に指導力不足等教員に認定されるのだから、この1年の間にしっかり(「不可」を)見つけてほしい」。なんと冷酷な人物なのか、こうした人が教育委員であってほしくないと思った。
 教員たちが切り捨て、切り捨てられる中では、教員は子どもたちに対しても同じような扱いを、自覚せずにしてしまうだろう。助け合える関係性の中で、人は育ち力を発揮できるのだ。教員たちが助け合える関係にあれば、条件付採用教員も育つはず。かつての東京の学校はそうだった。
 都教委が学校に対する支配介入を止めることこそが、この解決策である。

 蛇足だが、昨年度4月6日時点での東京の教員不足数は小学校208人(うち学級担任78人)、中学校77人(うち学級担任6人)だった。地元の採用試験に合格して退職していく若い教員が毎年かなりの数いる(=中井教育長の言)など、退職者の予測が都教委にできなかった結果だ。今年度は、充足されているのだろうか。

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2019/04/25

都庁前通信 2019年4月25日号

F20190425

 

生徒や教員を励まし救うと本気で考えているのか?
都教委の「東京都教育委員会から生徒と教員へのメッセージ」

 4月11日に行われた都教委定例会では、議案「東京都教育委員会から生徒と教員へのメッセージについて」が出席した全教育委員の賛成で承認された(1名欠)。メッセージを出す目的は、生徒に対しては「学校生活を送る上で生じる様々な感情と上手に付き合うことの大切さを伝えるとともに、悩んだときには身近な大人に相談するよう促す」、教員に対しては「日頃の教育活動に感謝して激励するとともに、課題の解決に向けた取組をともに行っていくことを伝える」のだという。
 しかし、都教委の言はきれいごとでしかない。実際に東京の公立学校で起きたいじめによる自死について、都教委定例会で論議したことはなく、遺族に寄り添わない。一例を挙げれば、小山台高校生の自死では、その生徒が学校側にいじめを訴えても学校側はそれを無視し、自死後に遺族が真相究明を訴えても、都教委が開示した文書は墨塗りであり、「いじめはない」とした。遺族は知事部局に再調査を求める一方、提訴している。

 さて、「メッセージ」は次のようにいう。

◆生徒の皆さんへ
○新学期が始まりました。皆さんは、今、学校生活を楽しんでいますか。保護者の方や学校の先生たちは、皆さんが楽しく充実した学校生活を送ってほしいと願っています。
○充実した学校生活を送るためには、友人や先生などと心を通わせて、良好な人間関係を普段から築くとともに、学校の集団生活における決まりや社会のルールを守ることが大切です。
○しかし、学校生活を送る上で、困ったことや納得できないことが起きた時などは、不安や不満、怒りなどの感情が湧くことがあるかもしれません。皆さんにとって、こうした感情と上手に付き合っていくことも重要です。
○そして、自分たちだけでは解決できないと思った時には、まず、保護者の方や先生など身近な大人に相談してみましょう。もし、大人への相談が難しいと感じたら、東京都教育相談センターなどの相談機関を利用することができます。また、LINEで気軽に相談できる「相談ホットLINE@東京」という方法もあります。これらの相談窓口は皆さんを全力でサポートしてくれます。
○(SNSの危険性を正しく理解して使うこと:省略)
○皆さんが夢と希望を胸に、未来に向かって羽ばたいていけるよう、保護者の方や学校の先生、地域の皆さんと一緒に、東京都教育委員会は心から応援しています。

平成31年4月11日 東京都教育委員会

◆子供たちの健やかな成長を願って ~教員の皆さんへ~
○先生方におかれましては、全ての児童・生徒が充実した学校生活を送れるよう、日頃からご尽力いただき、ありがとうございます。
○さて、児童・生徒への指導に当たっては、日頃から個別の言葉掛けなどにより一人一人の理解を深め、教員としての信頼に基づく良好な人間関係を構築することが大変重要です。
○そして、学校の集団生活における決まりや、社会のルールを守る意味などについて、児童・生徒が十分に理解し、日常の行動として実践できるよう、丁寧かつ継続的に指導していくことが必要です。
○また、児童・生徒への指導や外部への対応に苦慮するケースもあることから、担当教員を孤立させないよう、学校は複数の教員が協力して指導に当たることを基本とした校内体制をしっかり定着させる必要があります。こうした組織的な取組を通じて、体罰を絶対に許さない学校風土を一層強固なものにすることにも努めていただきたいと思います。
○東京都教育委員会は、教員の皆さんがやりがいをもって日々の仕事ができるよう、今後も学校訪問等を通して皆さんの仕事の実情や日々の努力を理解、共有するとともに、皆さんが抱えている様々な課題や悩みなどの解決に向けた具体的な取組を全力で行っていきます。

平成31年4月11日 東京都教育委員会


 「生徒の皆さんへ」では、決まりやルールを守ること、納得できないことがあっても自分の感情をコントロールすることが大事と説く。それは、決まりやルールを論議し見直すことが必要となっても、それにブレーキをかけることになりはしないか。一人が皆と異なる捉え方や判断をし、納得できないことが起きたなら、皆で話し合いをすることこそが、よりよい社会を作っていくうえで大事であり、学校教育はそれを学ぶ場であるはずだ。それを否定するメッセージは、「規律と秩序維持」を最優先する、都教委の考える道徳心を刷り込むものだ。
 「教員の皆さんへ」では、都教委が取り組むべき教員の過重労働軽減については触れないまま、教員が子どもと自由に過ごす時間的保証をしないままに、「児童・生徒への指導に当たっては…」と説く。また、職員会議での発言を禁止し、職務職階級制賃金及び人事考課制度で教員を競わせ、それまで行われてきた協働を奪っておきながら、「複数の教員が協力して」と説く。
 教員が子どもと自由に過ごす時間があれば、教員はいじめに気づくし、相談にも乗れることが、都教委及び教育委員にはわからないのか。まず必要なのは、教員たちが論議し学び合える場である職員会議を復活させることだ(2004年から都教委は職員会議を校長の伝達機関とし、教員の発言を禁止している)。
 生徒も教員も指示に従わされるのではなく、自分の頭で考え判断する自由を保障されれば、自尊感情を高め、道を切り拓くものだ。そして、それこそが、都教委のすべきことである。
自己反省を欠いた都教委の「やっていますよ」をアピールするがための「メッセージ」には、怒りを通り越して悲しくなる。

「原発」触れぬ「復興五輪」――高校生向け副教材に福島県から原発事故の記述を提案される

 都は「2020年。東京と東北で会いましょう。」と題する冊子をつくり、17年度から都立高校生に配って副教材とし来た。冊子は、最初に五輪招致活動の経過を紹介し、次に「被災地の復興は、まだ途上」として、18年1月時点で75000人が避難生活を送っていることや、福島産米や観光客数が震災前の水準に回復していないことをデータで示す。しかし、復興を難しくしている最大の原因である原発事故には触れていない。これに対し、福島県が原発事故の記述を加えるよう都に提案したという(3月24日付東京新聞から)。
 原発事故で故郷を追われた人たちの暮らしや健康、事故の深刻さなどについて、この 4 月に配られる(た?)新版にはどのように記載されたかは、次号以降で触れたい。

 文科省が事故後つくり、再改定して今年度からは全国の学校に配った(昨年度までは希望校に)「放射線副読本」(小学校用 中学・高校用)も「放射線による健康影響があるとは考えにくい」などと記述し、原発事故の深刻さを伝えない。
 都も国も学校教育を使って嘘を教え込んでいる。

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2019/04/11

都庁前通信 2019年4月11日号

F20190411

 

 今回は3月28日に行われた都教委定例会の公開4議題のうちの2議題について報告します。

パブリックコメント募集は形だけ?

「東京都教育ビジョン(第4次)」の策定について

 「ビジョン」は1月31日の定例会で骨子を報告し、その日から30日間にわたり受け付けたパブリックコメントを踏まえて、有識者や校長等による検討委員会で協議し策定したとのこと。それが今日の定例会で承認された。「すべての児童・生徒に確かな学力を育む教育」「社会の持続的な発展を牽引する力を伸ばす教育」など12の方針と30の「今後5か年の施策展開の方向性」を挙げる。
 しかし、資料として配られた、パブリックコメントに対する「都教委の考え方」を見ると、パブリックコメントを「ビジョン」に取り入れた形跡はなかった。やはり、パブリックコメントの募集は形だけであったのか。沢山あるが、そのうちの一つを挙げよう。
「2 社会の持続的な発展を牽引する力を伸ばす教育」の「④ 科学的に探究する力を伸ばす理数教育を推進します。」に対して寄せられたパブリックコメントは、「理数系ばかりでなく、人文・社会系、芸術系、スポーツ系など、子供たちの興味・関心に応じたきめ細かな教育が進められるよう、人員の配置等、教育環境の整備を行うことが重要である。」と。 
 このパブリックコメントに対し都教委は「都教委の考え方」として、「社会の持続的発展を牽引する力を伸ばす教育について『基本的な方針2』に位置付け、理数教育、農業や工業、商業などの職業教育、高度に情報化した社会で活躍できる力を伸ばす教育などを推進していくことで、これからの東京・日本の発展を支え、様々な産業を牽引できる人材を育成していきます。」と書く。これでは都教委の一方的な考えを言うだけで、パブリックコメントへの回答にも協議の材料にもなっていない。

 このパブリックコメントを出した人の頭には、次のような懸念があったのではないかと推測する。兵力不足となった1943年、「在学徴集延期臨時特例」を公布し、理系と教員養成系を除く文系の高等教育諸学校の学生の徴兵延期措置を撤廃し、戦場に向かわせた歴史的事実。そしてまた、文科省が2015年6月、国立大に対し、人文社会科学部・教員養成系学部について「国立大学としての役割等を踏まえた組織見直し計画を策定し、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう」通知したこと。この2つを考え合わせ、国家による国立大学への支配・介入や「国の求める人材づくり」の先にあるものを懸念したのではないだろうか。文科省のこの通知に対しては、国立大学法人17大学人文系学部長会議等、数団体から抗議声明が出されている。

 2月に策定された「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)」も、パブリックコメントが最も多く寄せられた「立川高校夜間定時制の閉課程(閉校)をやめて」を検討した形跡がないまま、閉課程の方針を打ち出したものだった。機能させようとしない都教委のパブリックコメント制度について、発言する教育委員はいないのか。


都教委がまずすべきは、足立区中学の生徒や教職員への謝罪ではないのか

教師用指導書「性教育の手引」の改定について

 「手引き」は「情報化の中、児童・生徒を取り巻く環境の変化、若年層の性感染症やインターネットを介した性被害の増加、前回の改定から10年以上が経過したことから改定した」とのこと。「手引き」が、「性同一性障害等に関する正しい理解」や「学習指導要領に示されていない内容の授業での指導」「産婦人科医等による授業の実施」等の今日的課題を取り入れたことは評価したい。産婦人科医等によるモデル授業を18年度は5校で行ったが、19年度は10校にするという。昨年3月に足立区中学校が行った性教育に端を発して、同年8月に都教委が全中学校長に対して行った調査において、校長の約半数が学習指導要領を超える性教育を求め、また、医師等の外部講師を派遣してほしいとの要望が多かったことによるのは確かだ。
 しかし、「学習指導要領を超える内容を指導する場合には、事前に学習指導案を保護者に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に行う」(昨年 4 月 26 日発表)ことを、都教委は頑なに変えなかった。授業は全員を対象に行うから意味があるのであり、「寝た子を起こすな」式の意識を持つ保護者にこそ理解してもらうことが大事なのに、それはしない。非常に疑問だ。“隠し事”を興味ある一部の子どもにだけにおしえるような形の授業は、かえって子どもたちに性への歪んだ関心を引き起こすのではないか。
 今年度モデル授業を実施した学校では、事前に保護者に授業内容を示したうえで、学習指導要領内と指導要領外の授業のどちらがいいかを訊き、2本立ての授業を実施したという。モデル授業では『性交』『避妊』を扱ってもいいという。

 昨年3月16日の都議会文教委員会で古賀自民党議員が足立区中学校の性教育について「不適切」と批判し、中井教育長は、同授業に「課題がある」として、当該校の管理職および全教員を指導する、都内全公立中学校長を指導する旨の答弁をした。さらに都教委は、4月26日の都教委定例会で、学習指導要領を超えた性教育について次のような「見解と今後の対応」を発表した。
 「『性交』『避妊』『人工中絶』といった中学校学習指導要領保健体育にないことばを使った授業は不適切。保護者の理解を必ずしも十分得ないまま授業が実施されていた。」今後は、「学習指導要領を基本とする。すべてを集団指導で教えるのではなく、集団指導で教えるべき内容と個別指導で教えるべき内容を明確にする。学習指導要領を超える内容を指導する場合には、事前に学習指導案を保護者に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施するなど」とした。
 こうした経緯があるから、都教委は自身及び古賀議員の面子を保つために「保護者の理解・了解」にこだわるのだろうか。
 子どもたちの実態を踏まえて出された、校長たちからの要望等を受け止めて都教委は「手引き」の内容を変えたのだから、「中学校学習指導要領保健体育にないことばを使った授業」も必要と認識したということだ。ならば、まずは足立区中学校の当時の生徒や保護者、教職員に誠実に向き合い謝罪すべきではないのか。都教委はこの人たちの人権を侵害したのだから。そのうえで、昨年4月26日に発表した「見解と今後の対応」を見直すべきではないのか。
 「保護者の理解・了解を得る」ことを条件にしたことについて、校長や教職員が賛成するはずはないと思うのだが、そうした声は都教委に届いていないのだろうか。子どもも親も混乱し、教職員の不要な仕事量は増えるばかりだ。また、こうした条件を付けることで、教員はむしろ性教育をやりにくくなるのではと、気がかりだ。
 「保護者の理解・了解」というならば、都教委は「愛国心」を刷り込むオリンピック・パラリンピック教育や卒業式・入学式での「日の丸・君が代」の強制にこそ、適用すべきである。

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2019/03/28

都庁前通信 2019年3月28日号

《事務局からのお詫び》 2019/3/29

誤字を訂正しました。


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止めて!「日の丸・君が代」=「愛国心」の刷り込み

 都教委が子どもたちに「日の丸」に正対し「君が代」を起立斉唱することをからだで覚えさせるために、「君が代」起立を求める職務命令を校長に発出させ、起立をしない教職員を処分することを始めたのは2003年度後半でした。
 筆者は子どもたちに「日の丸・君が代」について考え判断するに必要な資料を与えずに、教員の指示のままに起立・斉唱させることは、教育に反することであり、教員がしてはいけないことと考え、「君が代」起立を拒否してきました。戦場に子どもたちを追いやった戦前の刷り込み教育の反省に立ち、資料をもとに自分の頭で考え判断できるよう指導することが教員の仕事と考えるからです。

■「職務命令は教職員に宛てたもので児童・生徒に宛てたものではない」と都教委は言うが

 都教委は都立高校に卒業・入学式の「進行表」を提出させています。そこに、「起立をしない生徒がいたら起立を促す。起立するまで式は始めない」旨を明記させています。明記してない場合は差し戻すということです。
 「君が代」不起立処分取り消し訴訟で処分を受けた私たちが、「日の丸・君が代」の強制は、「子どもたちの教育を受ける権利」及び「思想・良心の自由の形成」を侵害すると主張したことに対し、都教委は「(起立を求める)職務命令は教職員に宛てたもので児童・生徒に宛てたものではない」と言ってきました。
 しかし、現実は上記したことが進行していますから、職務命令は生徒にも宛てているということです。
 起立をしない生徒を処分する手法は都教委にありませんが、当該生徒への「指示」は暴力そのものです。「日の丸・君が代」については肯定・否定の双方の考えが存在しますから、子どもたちの中にも否定的な考えを持つ子どもは確実に存在します。都教委及び学校は、そのことを認識すべきで、起立しない生徒に起立を促すことはしてはなりません。

■「君が代」不起立教職員は「0」?

 2003年度から昨年度までの「君が代」不起立被処分者は延べ483名にのぼります。不起立は、処分=弾圧を覚悟で仕事に対して責任を持とうとしてのことです。
 政治状況は悪化の一途を辿り、都教委の弾圧も続く中、不起立者は年々少なくなってはいますが、起立はできない・しないと考える教職員はいます。
 しかし、不起立者を「0」にしたい都教委は、不起立をした教員には担任を持たせない、卒業学年には配属しない(=どちらも、式に出させない措置)、特別支援学校では、不起立を続ける教員を小学部3年生に配属し、卒業式も入学式も3年生は平常授業とするという、姑息な手段を使っているのです。

★「君が代」不起立教員を処分するのは、「日の丸・君が代」を尊重する態度=「愛国心」を子どもたちに刷り込むためです。人々が「愛国心」を持ったなら、この国の政治がよくなり、生活困窮者がいなくなる、でしょうか。
 19年度は都教委が各学校にオリンピック・パラリンピック教育の一層の推進を指示するでしょう。また、天皇代替わりの祝賀に学校がかかわるよう、文科省からの指示も考えられます。「愛国心」の刷り込みが心配です。

 


2月14日都教委定例会傍聴報告

◇公開議案「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)」の策定について

 12月に寄せられたパブリックコメント128件のうちの25件が「立川高校定時制の閉課程をしないで」というものだったが、提案された2019年度から3か年の「新実施計画(二次)」はその声を全く無視したもので、「雪谷高校の閉課程は2020年度、江北高校の閉課程は2021年度、小山台高校及び立川高校の閉課程年度は未定」と、昨年までの計画をそのまま強行するものだった。パブリックコメントに対する都教委の事務方及び教育委員の認識・良識を疑う。
 「夜間定時制課程は、全日制課程の高校等への進学がかなえられなかった生徒のセーフティネットの機能を有していますが、新実施計画策定後も、夜間定時制課程を希望する生徒は減少を続けています。」と言い、「セーフティネットの機能」の認識は都教委にあるようだが、「生徒の減少」に閉課程は仕方ないとする。
 皮肉にも、4校の閉課程方針は「目標2:生徒一人一人の能力を伸ばす学校づくりの推進」の項に書かれている。「夜間定時制課程を希望する生徒」はここで言う「生徒一人一人」に入らないのか。「学力」の低い生徒については、能力を伸ばすことは無理、採算も取れないから切り捨てるということのよう。高校進学ができないのは自己責任ということなのか。すべての子どもたちに学びを保障するのが教育行政の第一の仕事だ。都教委は、15歳の子どもたちを、一人として切り捨てないでもらいたい。
 都教委は夜間定時制には金を出さない一方で、進学指導重点校への予算加配や理数教育の充実、医学部進学への支援、海外留学など、「エリート」には金をふんだんに使っている。その差別施策を根本から変えるべきだ。
 
◇4報告のうち、「『学校における働き方改革の成果と今後の展開』について」

 昨年度に比べ、今年度は教員の在校時間が縮まったとの報告だった。
 部活動指導員が導入(中・高)された学校・担当教員は週当たり2時間32分の減、印刷などの手伝いをするスクール・サポート・スタッフが導入(小・中)された学校では、週当たり3、2時間の減、副校長を補佐する人を入れ、学校マネジメント強化モデル事業を実施した学校の副校長は週当たり小学校で11時間55分の減、中学校で8時間の減。
 これによって、例えば中学校教員の週当たりの在校時間は昨年の64時間35分から今年は61時間14分になり、過労死ライン相当の割合は、昨年度の68、2%から今年度は48、5%に減ったと「成果」の報告。「成果」といえる数値ではないだろうに。
 来年度の取り組みとして都立学校では、ア.「管理職が長時間労働となっている教員に対する指導・助言や産
業医面接の勧奨を実施」 イ.「長期休業期間中において学校閉庁(閉校)日を原則5日以上設定」 ゥ.「各学校で定時退庁(閉校)日を設定する等」などをあげるが、仕事量を減らすものではない。アに至っては、仕事処理の遅い教員だとして個人の責任に転嫁するのではないか。となれば、教員はこれまで以上に、仕事を持ち変えざるを得ないだろう。
 「今後の展開」・解決策は、大幅定員増しかないのだ。8時間労働を保証するのは使用者である都教委の責任であり仕事であることを都教委にはしっかり認識してもらいたい。
 都立学校の教員から聞いた話だが、「退勤時のタイムカードを刻印した後、管理職から『そのまま帰るのではないよね』と言われた同僚がいる」という。調査となれば、こんなことが起きるのは悲しいかな、現実なのだ。

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2019/02/14

都庁前通信 2019年2月14日号

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「教員の負担軽減」「教育の質の向上」を本気で言うならば、
都教委がまずすべきは大幅定員増


 3月までの教育委員会定例会に、新年度に向けての施策等が次々と打ち出される。1月31日の教育委員会定例会には、①平成31年度教育庁所管事業予算・職員定数について ②「東京都教育ビジョン(第4次)(案)」の骨子について が報告された。
 新規採用教員受験倍率が一向に上がらない深刻な東京の学校現場。昨年度の東京の小学校教員採用試験倍率は2.7倍という低さで、教育総合会議で取り上げられるなどしたが、今年度の同倍率は更に下がって1.8倍という。事務方の報告や教育委員の発言を傍聴していて思うのは、受験倍率が上がらないのはなぜかが、事務方にも教育委員にも全く理解できていないのではないかということだ。
 また、上記した①では、「『過労死ライン』の教員が多数存在し、教員採用選考の受験倍率も低下している現状であり、教育の質の低下も懸念される。」「『教員の負担軽減』と『教育の質の向上』の両立を図るため、東京都教育委員会として多様な取り組みを複合的に行っていくことが重要」といい、②では、「教育の質を向上する『働き方改革』」として、「教員が誇りとやりがいをもって職務に従事できる学校運営体制を整備する。」「多角的に学校を支援する新たな体制を構築する。」という。
 「教員が誇りとやりがいをもって」と言うならば、まずは、過労死ラインの残業をやらなくていいよう、教員の大幅定員増をすること。これが大前提だ。ここにお金をかけることに反対する都民はいないだろう。そして、都教委が学校の支配管理を止め、各学校に職員会議の議決権(=自治権)を戻すことだ。そのためには、一人ひとりの教員及び教員集団に「教育の自由」のあることが、生きた子どもたちを相手にする教育活動には必要不可欠だということを都教委は認識すべきである。教員集団が子どもたち・保護者と共に、かつてのように学校を楽しいと思える場所に作り変え、また、教員に子どもと向き合う時間的余裕があれば、教員は「誇りとやりがいをもって」仕事ができる。そうなれば、教員希望者は間違いなく増えるだろう。

***** ***** *****

 上記したことと重なる部分もありますが、この日の定例会で報告されたことのうち、3点を報告します。

平成31年度教育庁所管事業予算・職員定数について
 事業予算に加えて、「教員の負担を軽減するとともに、教育の質の向上を図るため、学校をきめ細かくサポートする全国初の多角的支援機関(新財団)の設立」を発表した。
 新財団は、ア.外部人材の安定的な確保 イ.教員サポート ウ.学校事務の共通処理――の機能を持つとのこと。ア.は「人材バンク」を設置し、情報提供や派遣をする。 イ.は専門外の懸案事項の相談、国際交流等に係る高度な交渉等を代行し、教員をサポートする。 ア.イ.ともに、教員OBや校長OBの活用がメインのようだ。 ウ.は従来各校で行っていた学校事務のうち、共通処理が可能な事務を集約し、業務負担の軽減・効率化を図る。そのうえで、事務職員の教員サポートや学校経営への参画を促進する(事務職員に教員の仕事までさせるということか?)。
 この機関を都教委の中に作るのではなく外部組織である新財団にするというのは、今問題になっている水道の民営化のように、教育の民営化の一方法ということか? 「チーム学校」を打ち出したのは数年前、その総括もできないまま、わけのわからない新財団設立という無節操さは何ということか。
 新財団の取り組みの一つとして、「国への提案」3つが挙げられている。その一つは、「夏季休業期間等の業務が比較的少ない実情を踏まえ、『1年単位の変形労働時間制』の導入を提案」というものだ。これは、文科省の方針と同じで、過労死ラインの残業を軽減するものでないことは明々白々。これを「教員の負担軽減」策として平然と挙げる無神経ぶり。都教委は「教員の負担軽減」など、全く考えていないということだ。
 新財団は2019年度に設立し、2020年度から実施し2021年度からは本格実施、立ち上げ時の組織規模は13名体制とのこと。新財団が、「教員の負担軽減」「教育の質の向上」に寄与するはずはない。

「東京都教育ビジョン(第4次)(案)」の骨子について
 文科省の「第3期教育振興基本計画」に沿って都教委は「東京都教育ビジョン(第4次)」を策定するとのこと。「すべての児童・生徒に確かな学力を育む教育」「生徒の多様なニーズと時代の要請に応える『都立高校改革』」「教育の質を向上する『働き方改革』」など12の「基本的な方針」を設定し、30の今後5か年の施策展開の方向性を示す。これも、美辞麗句を並べるが、子どもたちが教員との人格的触れ合いの中で育つような環境づくりがなされないのははっきりしている。
 この骨子に対するパブリックコメントを2月いっぱい受け付け、3月末の教育委員会で策定し、4月から施策の展開に入るという。

「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)(案)」の骨子に対する意見等について
 11月後半から1ヶ月間に寄せられたパブリックコメントの概要が紹介された。パブリックコメント(総数128件)のうち25件の意見が寄せられたのは、立川高校定時制の閉課程問題だった。「立川高校定時制が閉課程になれば、八王子市・立川市に夜間定時制はなくなる。多様な学びを保障するのは都の施策方針でもあり、こうした方針に反する定時制の閉課程について見直ししてほしい。」等々。定時制課程の存続は、長いこと、要求され続けてきたことなのに、都教委はその要求に耳を傾けることなく、閉課程を続けてきた。パブリックコメントに対する指導部からの発言等はなかったので、2月に決定される新実施計画(第2次)に取り入れられるかは不明。パブリックコメントを募集しながら、それを無視してきたのがこれまでの都教委の手法なので、注視していきたい。

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2019/01/31

都庁前通信 2019年1月31日号

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都教委、高校生を東京2020大会ボランティアに半ば強制


 12月半ば、一都立高校生が「(教員から)とりあえず全員書いて出せと言われたんだけど、都立高校の闇でしょう」とSNSに投稿した。
 東京2020大会のボランティア募集、大会ボランティアは目標の2倍に達する16万人の応募があったが、都市ボランティア(東京都が募集して空港や駅で道案内などを行う)は締め切り2週間前になっても目標に届かなかった。そこで、都教委は都立高校全 2、3 年生分の応募用紙10万枚を各学校に送付し、再募集した。そこで起きたのが、この投稿。
 “ボランティア(志願者)”と言うが、背景には、このような半ば強制ともとれる「指導」があったのではないか。下に示す「通知」と共に考えてほしい。

 東京2020大会都市ボランティアの応募期間の延長に伴う再募集について(通知)

 表題の通知(30教指企第1237号 平成30年11月26日)を、都教委指導部オリンピック・パラリンピック教育推進担当課長は都立高校長に通知した。通知には「対象となる生徒への周知と案内等について、お取り計らいのほど、よろしくお願い申し上げます。」とあり、「今後の予定」には次のようにある。

11月中:当課から各学校長に電話連絡により説明  12月4日:校長連絡会にて説明
12月上旬:対象となる全生徒分の「応募申込用紙」を各校に送付。学校用資料(生徒への説明文例等)を別途学校に送付。各校で対象となる全生徒へ「応募申込用紙」を配布、説明。
12月12日:オリ・パラ準備局において申込状況を把握するため、同日時点での申込人数を当課へ報告
12月下旬:「応募申込用紙」を各校でまとめていただき、当課に提出

 都教委は各校長に応募申し込みの提出を指示した。となれば、各校長の教員・生徒に対する指導力が問われることになる。その意を受けて、「全員書いて出せ」と半ば強制で提出させた教員が出たというのは不思議ではない。むしろ、必然だ。生徒の自主性に任せるのではなく、校長をしてかなりの強制があったと見るべきだ。
 校長も教員も、この「成果」が年度末に行われる業績評価に反映することも十分意識しているだろう。

「平成30年度都立高校生等ボランティア・サミットにおける生徒の参加について(通知)」

 「全都立高校の主体的なボランティア活動を一層推進するため、『ボランティア・サミット』を開催する」という、この「通知」(30教指高第565号 平成30年9月18日)には次のようにある。サミットは11月3日に行われた。

 対象:全日制課程178校の生徒2名及び教員1名
 定時制・通信制課程の学校で出席を希望する生徒がいる場合は、担当までご連絡ください。
 出席生徒及び教員の報告については、別紙1「平成30年度都立高校生等ボランティア・サミット出席者」を作成し10月1日までに調査統計システムによりご提出ください。

 同趣旨の依頼文を都教委は区市町村教委にも送付し、中学生及び教員の参加募集も呼びかけた。

 都立高校生等ボランティア・サミットの募集についても、強制がなかったとは言えないのではないか。次のよ
うな報告もある。

***** ***** *****

 23区の都立高校に通う生徒は「ボランティア・サミットの話は顧問教諭を通じて生徒会に来てまして各校から
2名ということでしたので、他にやりたそうな人がいなそうだったので自分と友人で行くことになりました。別
にやりたかったわけではないです。顧問教諭もボランティア・サミットにいい印象を抱かなかったようで、『各校
から2人出さないといけない。』みたいなことを言ってましたね。顧問は不本意ながら強制という雰囲気でした。」
と語った。また、多摩地域の都立高校に通う生徒は「先生から声をかけられ半ば強引に(参加させられた)。参加
者の大半が班での自己紹介で皆、教諭から依頼されたという旨を発言していた。」と語った。(The Interschool
Journal より引用)


都教委定例会傍聴報告

「平成30年度都教委児童・生徒等表彰について」(報告)
――表彰で都教委が狙うことは?


 表彰は1984年度から「心豊かな児童・生徒等を育成することを狙いとして」始めたという。表彰の対象は、「①地道な活動を継続的に行い、他の模範となる者 ②当該児童・生徒の活動が契機となり、その効果が波及し、他の児童・生徒等の具体的な行動や取組に良い影響を与えた者 ③環境美化活動や福祉活動、奉仕活動、子ども会等、地域における活動を継続的に実践した者 ④スポーツ・文化活動において著しい成果を上げた者 ⑤人命救助又はこれに類する行為を行った者」
 今年度の表彰は幼稚園児2件を含む278件。区市町村教委及び都立学校長から推薦を受けた352件について表彰審査会(都教委、校長で構成)が決めた。2月9日に表彰式を行うとのことだった。
 上記した①から⑤について、事例が写真及び一言で紹介された。①では、「学級内の自主的な清掃やゴミの分別、友人への優しい声かけ、動物の世話を継続的に」行った幼稚園児。 ②では、「ボランティア・サミットの参画を通じ校内の主体的なボランティア意識の向上に貢献」した高校生。 ③では、「居合術の演武に継続的に取り組み、伝統文化財である古武道の保存振興に尽力」した高校生。「継続的に高齢者宅のゴミ出しを行う活動が地域のボランティア活動の活性化と連携に波及」させた小学生 ④では、「第19回国際ショパンピアノコンクール in Asia 金賞」の中学生。 ⑤では、「帰宅途中に火災を発見、近くの大人に知らせることで、初期消火及び被害の拡大防止に貢献」した小学生、等々。表彰対象は、あくまでも都教委の目にかなったもの。
 ①の幼稚園児の受賞は、「自主的な清掃やゴミの分別、友人への優しい声かけ、動物の世話」などそれ自体は良い行為だが、「一番よい子、2番目によい子」と序列がつけられるものだろうか。学級内で他の園児からどう受け取られるであろうか。競争を煽り、その弊害が生じることはないか、などと気になる。
 「都教委から認めてもらわなくて結構」と、お上から表彰されることを良しとし、ありがたがる意識が人々から払拭されない限り、権力機構は表彰を通して権力誇示を続けることになる。

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2019/01/10

都庁前通信 2019年1月10日号

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河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会
学習会

問い続けて
−教育・学校・教師と東京の教育−


  講師 渡部謙一さん (元都立高校校長)
  日時 2019年1月19日(土)17時45分開会(17時30分開場)
  場所 国分寺労政会館第3会議室
      国分寺市南町3-22-10 TEL 042-323-8515
  参加費 500円


 東京の「破壊的教育改革」が始まろうとする1995年に都立高校教頭になり、定年退職を前に2003年「10.23通達」後最初の卒業式で職務命令を出さざるを得なかったという元都立高校校長の渡部謙一さんをお招きします。渡部さんは職務命令を出してしまったことの贖罪の念から「君が代」不起立・不伴奏処分取消訴訟で陳述書を提出し証言台に立ったと言われます。
 そして、自らの教育理念を「教育は人間讃歌」、「『協働性』が教育活動の根源」であり「自由な議論なくして活力なし。納得なくして意欲なし。信頼なくして指導なし。尊敬なくして管理なし。」と語っています。子どもに対しても教員に対しても、「人格を持った人間」ではなく、「国家のための人材」としてしか見ない都の教育行政の悪辣さについて、渡部さんは校長職にあったからこそ見えたことも苦悩したことも多々あったのではないでしょうか。
 「10・23通達」発出から15年経った今、東京の「破壊的教育改革」は更にひどくなり、暗澹たる気持ちになります。しかし、どの時代に生きても、知り発見する喜びを持つ子どもたちに対し、私たちは教育行政を監視しただしていかねばなりません。渡部さんの言葉を借りれば、「東京都の『教育改革』の教育観、人間観に対して『それは子どもたちが[人間的に成長・発達することとどんな関係があるのか]と問い続けたい』…学校に教育行政の言葉ではなく、教育の言葉を取り戻すことこそ課題」です。
 渡部さんから東京の「破壊的教育改革」、ご自身の教育に対する考えと実践を話していただき、東京の教育について追求していきたいものです。

渡部謙一著:「東京の『教育改革』は何をもたらしたか」(高文研2011年)


12月13日都教委定例会傍聴報告

報告「児童・生徒を支援するためのガイドブック~
不登校への適切な対応に向けて~」の作成について
――机上の空論ではなく、具体的事実の検証を


 東京公立小中学校の不登校の子どもが1万人(1.3%ほどか)を超え増加傾向にあることから、「すべての教員が、不登校の要因や背景を正しく理解した上で、児童・生徒の状況に応じた適切な支援を行われるよう」ガイドブックを作成したとの報告(都教委HPに掲載)。今年度中に全校に配布するとのこと。
 ガイドブックの内容は、支援の段階を「未然防止」「早期支援」「長期化への対応」に分け、「未然防止」では、「不登校が生じない魅力ある学校づくり」を挙げる。教職員が主導して児童・生徒の「居場所づくり」をし、それを基に児童・生徒が主体的に取り組む活動を通して「きずなづくり」ができるよう、教職員は「場」や「機会」の設定をする。4月には「1日になるべく多くの児童・生徒に話し掛ける」、9月には「児童・生徒間の関係を注意深く見守る」など、当たり前と思われる支援例を列挙する。
 「早期支援」では、支援の対象となる児童・生徒の状況を把握した(アセスメント)上で、管理職・学年主任・スクールカウンセラー等による登校支援会議で情報の共有と支援の方向性を検討し、「登校支援シート」を作成して早期支援を開始する。状況に応じて、アセスメントの見直しや支援内容・方法の修正をする。アセスメントは「身体・健康面」「心理面」「社会・環境面」に分類して15項目を挙げ、例えば、「心理面」の「自己有用感」「自己肯定感」では「本人の良いところを多く見付け、言葉で伝えるよう心掛ける」などの支援例を列挙する。
 「長期化への対応」では、「本人や保護者とじっくり関わる」ことを組織的・計画的に行うとこを第一に挙げ、「本人や保護者と会えない・連絡が取れない場合は、直ちに子ども家庭支援センターや児童相談所等への通告を行うほか、警察などへの情報提供を行うなど」とする。
 
 教育委員から、「子どもだけでなく、教員の『居場所』も必要」、「登校支援シート」作成に関して「個人情報の流出に注意が必要」との発言があった。しかし、机上の空論でしかない感は否めない。
 1年間にわたるいじめによる不登校の後、今年8月末に自殺に追い込まれた八王子市立中学校の生徒の件では、保護者は学校に度々相談したが、学校は対処しなかったことが報じられた。前々回の定例会でいじめの案件が出された際にも今回のこの案件でも、実際に起きてしまった事実について考察する発言がなかったから。
 子どもからも教員からも、学校での「居場所」を奪ったのは都教委の管理主義・競走主義の施策だ。都教委は20年ほど前から、各学校が生徒や保護者の声に耳を傾け、職員会議で論議し決定し、教職員の総意で行ってきた協働の教育活動を壊し続けてきた。また、「魅力ある学校づくり」には全く意味のない書類の作成・提出や官製「研修」を次々に教員に指示し、子どもたちと向き合う時間を削り、学校行事や授業内容・進度までをも監視する。そしてそれを校長による人事評価で査定し、賃金に反映させる。そうなれば、学校に「居場所」がないと感じる教員が出る、仕事に対する意欲を保持できなくなるのは必然だ。校長も都教委による自身への評価を恐れて、「穏便に」済まそうとし、「いじめがあったとは知らなかった」とする。そのすべてが子どもたちの「居場所」を奪うのだ。八王子の件でも、こうした観点から考察すべきと思う。都教委がすべきことはこのことであって、ガイドブックの作成ではない。
 「子どもの教育が教師と子どもとの間の直接の人格的接触を通じ、その個性に応じて行われなければならない」(旭川学テ最高裁判決 1976年)。このことに、都教委は心血を注ぐべき。

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2018/12/28

解雇させない会ニュースNo.67

Newsno67
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解雇させない会ニュース一覧表
解雇させない会ニュース一覧表を作成してあります。
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2018/12/20

河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会 学習会

181213

河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会 学習会

問い続けて
−教育・学校・教師と東京の教育


講師 渡部謙一さん (元都立高校校長)
日時 2019年1月19日(土)17時45分開会(17時30分開場)
場所 国分寺労政会館第3会議室
    国分寺市南町3-22-10 TEL 042-323-8515
参加費 500円



 東京の「破壊的教育改革」が始まろうとする1995年に都立高校教頭になり、定年退職を前に2003年「10.23通達」後最初の卒業式で職務命令を出さざるを得なかったという元都立高校校長の渡部謙一さんをお招きします。渡部さんは職務命令を出してしまったことの贖罪の念から「君が代」不起立・不伴奏処分取消訴訟で陳述書を提出し証言台に立ったと言われます。
 そして、自らの教育理念を「教育は人間讃歌」、「『協働性』が教育活動の根源」であり「自由な議論なくして活力なし。納得なくして意欲なし。信頼なくして指導なし。尊敬なくして管理なし。」と語っています。子どもに対しても教員に対しても、「人格を持った人間」ではなく、「国家のための人材」としてしか見ない都の教育行政の悪辣さについて、渡部さんは校長職にあったからこそ見えたことも苦悩したことも多々あったのではないでしょうか。
 「10・23通達」発出から15年経った今、東京の「破壊的教育改革」は更にひどくなり、暗澹たる気持ちになります。しかし、どの時代に生きても、知り発見する喜びを持つ子どもたちに対し、私たちは教育行政を監視しただしていかねばなりません。渡部さんの言葉を借りれば、「東京都の『教育改革』の教育観、人間観に対して『それは子どもたちが[人間的に成長・発達することとどんな関係があるのか]と問い続けたい』…学校に教育行政の言葉ではなく、教育の言葉を取り戻すことこそ課題」です。
 渡部さんから東京の「破壊的教育改革」、ご自身の教育に対する考えと実践を話していただき、東京の教育について追求していきたいものです。

渡部謙一著:「東京の『教育改革』は何をもたらしたか」(高文研2011年)

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2018/12/13

都庁前通信 2018年12月13日号

F20181213

高校生の主張
ボランティアは学校主導より生徒の自主性に任せよ

 昨今、学校でのボランティア必修化の動きが進んでいる。任意の単位認定科目として設定するならばともかく、これを必修とするのは、事実上の強制だ。 そもそもボランティアの語源をしっているだろうか~「志願兵」という意味である。従って、「ボランティア」というのは、個人の自由意思により行われるべきものである。 つまり、昨今の「ボランティア」必修化の動きは、この原則に反する。だが残念なことに 「体験学習」と称して福祉施設や清掃活動、児童福祉事業等に労働力を無償で動員している「ボランティア」活動の実績がある。 本来、福祉施設や清掃活動、児童福祉等の労働力確保や弱者救済は行政の仕事である。これを財政難を理由に忌避しておきながら、純粋無垢な学徒を「ボランティア」の美名の下に動員するなど言語道断である。何の為に皆が税金を納めているのか行政にはよく考えてもらいたいものだ。 こんなことを書いていると、「お前は思いやりの心がないのかー!」などと激昂する人達がいるが、彼らは思いやりをはき違えているようにしか思えない。先にも述べたようにボランティアは個人が自主的に困っている人に手を差し伸べるものであり、半強制的に動員するものではない。あくまで「思いやり」は個人の自由だ。誰かが思いやりを強制することはあってはならない。 特に所属生徒に関して絶大な権力を行使できる学校当局が、これを強制するというのは、「現代の学徒動員」であり、「強制徴用」であると断じざるを得ない。また、進学評価に「ボランティア」活動が反映されることで立場の弱い生徒が学校当局から「進学が有利になる」と甘言で徴用される現状は大変不愉快だ。
 私は生徒の自己決定に基づくボランティアには大いに賛成だが、学校主導のボランティア活動は直ちに廃止すべきだと思う。学校当局がボランティア募集を行うのも不適当だ。ボランティアは本来の意味通り生徒の自主性に任せるべきで、強制もしくは事実上の強制があってはならない。高校生自身による事業のコーディネートを行う高校生の自主管理組織を作り、大人に干渉させることなく、本当のボランティアをやろうではないか。ボランティアは義務ではなく、権利だ。我々高校生発のボランティアをはじめるべきではないだろうか。

上記記事は電子版「YAMABUKI JOURNAL ONLINE」に掲載されている。
YAMABUKI JOURNAL は、2015年11月1日に都立新宿山吹高校新聞部編集局長・平松けんじさんによって創刊された校内新聞。同紙は学校の広報紙ではなくジャーナリズムを志向していたことで、教員から検閲や発禁・弾圧を受け、現在は学校公認の新聞部から独立して電子版「YAMABUKI JOURNAL ONLINE」で記事を配信しているとのこと。

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 この高校生が指摘するように、学校主導のボランティアはまさに「現代の学徒動員」である。東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた、都立高校生へのボランティアの強制・必修はあってはならない。都教委はこの高校生の主張・指摘にきちんと答えるべきだ。


11月22日都教委定例会傍聴報告

①都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)(案)の骨子について
―― すすむ「エリート」優遇教育

 1997年から2006年にわたる都立高校改革推進計画では目に見えるものとして、学区の廃止、進学指導重点校の指定やチャレンジスクール等の新設、夜間定時制閉課程等を行った。2012年から2021年にわたる都立高校改革推進計画では、国際高校の国際バカロレア認定コースや〇〇推進校・重点校等の指定、自己負担80万円で1年間の留学(年間200人)実現を「支援」する次世代リーダー育成道場、夜間定時制4校の閉課程 (廃止)等々、競争主義、「エリート」優遇・「ノンエリート」切り捨ての「改革」を行ってきた。
 この日の報告では、2019年度から2021年までの「新実施計画(第二次)」(案)の骨子が示された(都教委HPに掲載)。12月21日まで都民からパブリックコメントを募集し、2月に「新実施計画(第二次)」を策定するとのことだ。
 骨子は、「次代を担う社会的に自立した人間の育成(教育内容)」「生徒一人一人の能力を最大限に伸ばす学校づくりの推進(学校設置・課程改善等)」「質の高い教育を支えるための環境整備(教育諸条件)」を目標にすると言う。しかし、新国際高校の設置、小中高一貫校設置、中高一貫校の充実など「エリート」育成に偏った改革であり、・「弱者」に位置する生徒は切り捨てられていくのではないかという内容に思えてならない。一例を挙げれば、夜間定時制課程の閉課程には「チャレンジスクールでは代替にならない」とたくさんの都民から強い反対(=請願を含む)が寄せられてきたが、骨子はこうした都民の声には耳を貸すことなく、「チャレンジスクール・昼夜間定時制高校の充実」「一部の夜間定時制課程を閉課程」と「取組の方向」を記す。都民の声を受けて論議をし直した形跡は見られない。都教委にとっては、高校に行けない子どもが出てもいいということなのか、と思う。
 「オリンピック・パラリンピック教育の推進」の「ボランティアマインド」では、「すべての都立高校に『ボランティアサポートチーム』を編成し、各学校で組織的、計画的にボランティア活動が一層推進される仕組みを構築」するという。2020東京大会開催に疑問を持つ生徒にまでボランティア活動を強制してもいいのかの論議はなかったのか。
 「環境整備」に関して、「教員を目指す人で、優秀な人が減っている」との発言が2人の教育委員からあった。しかし、教育委員からも担当部長からも、なぜそうなってしまうのか、なぜ採用試験の倍率が高くならないのかと原因を追及する発言は今回もなかった。職員会議での発言を禁じられ、都教委の指示のままに動かされ、オーバーワークが常態化する現実に、現職教員だけでなく教職希望者も仕事に対する魅力を感じなくなっているのだ。解決策は、都教委が支配介入をやめて各学校の職員会議を最高決定機関に戻すこと、それ以外に解決策はない。

②SNSを活用した教育相談(試行)の結果について
――SNSではなく、身近な教員に相談したいと生徒が思える環境・教員の働き方が大事!

 8月25日から9月7日まで都立高校生を対象に、10回線1対1のチャット相談を行った。相談員は心理カウンセラー資格保有者。その結果、相談件数は315件、1件当たりの相談時間平均は88分、相談回数は1回が146人、2回が38人、4回以上が11人。相談内容は「友人関係」が73件で最多、「いじめ」についての相談は電話相談では一番多いが、今回は9件とのこと。
 結果として、「教育相談におけるSNSは有効」「対象者数に対する回線数はおおむね妥当」、次年度に向けては「福祉保健局や青少年・治安対策本部と連携したSNS相談体制の構築」「相談者に最後まで寄り添える対応の検討」を挙げた。
 SNSや電話相談を全面否定するものではないが、それ以前に、生徒と長い時間を過ごす教員たちが、生徒が相談したいと思える関係性を取り戻すことだ。生徒と過ごす時間的余裕が教員にあれば、教員は生徒と触れ合う中で異常に気づくことができ、生徒に向き合うことができる。生徒も安心して教員に悩みを打ち明け相談できる。相談員とは違って、その生徒の学級や友人関係も知る教員だから対応できることが大きい。教員定数を増やす、都教委がすべきはこのことだ。

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2018/11/22

都庁前通信 2018年11月22日号

F20181122

八王子市中学生いじめ自殺に対して、学校は? 市教委・都教委は?

 八王子の中学生がいじめを苦に8月末に自殺したとの報道があったのは今月6日。
 両親によると、昨年8月、家族旅行のため部活動を休んだことを先輩からSNS上で非難された。その後、不登校となった。学校に相談したが、「当校に悪い子はいない」などと言われ、転校を促された。今春に市内の別の学校に転校してからも不登校が続いたという(朝日デジタル11月6日)。生徒の遺書には、「無視はつらい」「誰も助けてくれなかった」「学校に行きたかった」とあった。
 学校に行けなくなった生徒に対して、学校側が「いじめ」と認識したのは、生徒が死亡した後のこと。不登校が続く生徒に対して、教員たちは何も感じなかったのか。心配し、彼女と向き合おうとした教員はいなかったのか。
 この生徒の1年に及ぶ不登校は、いじめ防止対策推進法がいうところの「重大事態」そのものであった。校長をはじめとする教員たちは、いじめ防止について都教委による研修を受け、下記の組織的な取り組みをしてきたはずだ。なのに、なぜ、こうした事態を迎えてしまったのか!その点を都教委は考察すべきだ。

「第3期都教委いじめ対策委員会への諮問について」
――起きてしまった重大な現実から目を背けた「いじめ対策」

 折しも、八王子の件が報道された翌々日の8日の教育委員会定例会では、「第3期都教委いじめ対策委員会への諮問について」が議案とされていた。
 議案は、「都は2014年6月に『東京都いじめ防止対策推進条例』を制定して以降、都教委・地教委との緊密な連携の下、すべての公立学校において、校長をはじめとした教職員と保護者・地域住民・関係機関等が一体となり、組織的にいじめ防止等のための取り組みを推進してきた。都教委は、第2期都教委いじめ対策委員会から、見逃しがちな軽微ないじめの積極的な認知や、組織的対応を通して、多くのいじめを解消に導いてきた実績が明記された答申を得た。更に、いじめ防止に係る取り組みの推進状況の検証、評価及びいじめ防止等の対策を一層推進するための方策について諮問する。」というものだった。
 10月27日の定例会でも今回のこの提案でも指導部長は、「いじめ件数が増えているのは、軽微ないじめに対しても子どもも教員も問題にするようになったからであり、いじめ対策の成果」と言った。また、「いじめを根絶するために、いじめ調査を年に3回やり、教員研修もやっている。」とも言った。
 最悪最大の「重大事態」が起きたことを知りながら、よくもこのようなことを言ったものだ。議案を提案した指導部長からも教育委員からも、申し合わせたかのように、起きてしまった八王子の件に引き寄せての発言はなかった。心ある者ならば、避けて通ることはできないはず、と思うのだが。

 いじめ防止対策推進条例に則って研修やいじめ調査をしても、道徳を教科にしても、いじめは根絶できない。いじめの要因は強度のストレスに依るもの、そして、同調圧力だ。小学校1年生から5時間授業、ドリルができなければ居残り勉強。体力テストの平均値を上げるための練習等々、子どもたちは詰め込み・過剰な競争にさらされ続け、ストレスを溜めている。給食だけが食事という子どももいる。そして、「日の丸・君が代」の強制に見られる同調圧力、横並び、異端分子の排除。
 この状況から子どもたちを解放し、子どもたちが学校で安心して暮らし、ゆったりと勉強ができる環境をつくることがいじめの解決につながるのではないか。生徒は遺書に、「もっと不登校にやさしい世界だったら」と書いていた。寛容さが学校からなくなったのは、上記したことに加え、都教委の教員に対する管理・評価や残業しなければ成り立たない働かせ方が大きく影響していると思う。時間をかけて生徒に向き合う精神的・時間的余裕が教員になく、その結果、教員たちから感じたり考えたりする感性がなくなっているのではないか。また、校長による業績評価(勤務評定)が悪くならないよう、見て見ぬふりをしたり、通り一遍の「指導」で済まそうとしたりしているのではないか。「悪は思考停止から始まる」(アンナ・ハーレント)のだ。教員に余裕があれば、学校空間がゆるやかになり、子どもたちも寛容になれる。
 都教委が、指示命令で教職員を動かす学校運営をやめ、かつてのように職員会議を最高決定機関とする学校運営に戻せば、教職員は働きがいを取り戻し、学校に自由な空気が流れるようになることは間違いない。一人ひとりの子どもに目を向ける余裕も出てくる。また、そうすることが子どもたちの自立的人格形成を促し、いじめ根絶につながると、体験を通して思う。


11月8日都教委定例会傍聴報告 他、2点について

②「英語『話すこと』の評価に関するフィージビリティ調査の実施について」

 フィージビリティとは実現可能性、フィージビリティ調査は事業の実現可能性を検証すること、という。都教委はなぜ誰もに理解できる日本語ではなく、カタカナ文字を使うのか。
 来年度の都立高入試から英語は「話すこと」の評価を導入することになった。そこで、設問や評価のあり方、実施・運営方法等について検証するために、都内公立中8校に在籍する3年生を対象に、8月末から9月にかけてテストを実施したとの報告。問題なく実施できたとのことだった。
 各教育委員からは、「表現方法はいろいろあるので、相手に伝えられたかが大事なこと。表現によって採点に違いが出ないように。」「裕福な家庭の子どもは英語に接する機会が多い中、家庭環境によって受験する生徒たちに不利が出ないように。」「機器によるトラブルが起きないように。」「時間と手間をかけてまでやるべきことなのか。撤退も考えてもいいかも。」など、批判ともとれる発言があったが、承認となった。都立高入試では、これまでも採点ミスが続出したことを考えれば、「話すこと」の評価では、採点ミスの急増は必至。都教委はその点をどう考えているのか、理解できない。

③「『学びの基盤』プロジェクトの設置について」

 高校生の「読解力の向上、自ら学ぶ力を高めることを通して、将来、社会人として自立できる力を育成する」。このことを目的に、「社会生活を送る上で最低限必要となる読解力を高める教育プログラム」を検討する「読解力ワーキンググループ」と、「生徒の多様性に着目し、その生徒に合った学び方で基礎学力を高める教育プログラム」を検討する「自ら学ぶワーキンググループ」を設け、有識者を含めた検討委員会をつくる。11月19日に第1回を開催する。また、研究協力校を指定するとの報告だった。
 都教委は、「日の丸・君が代」をはじめとして、自分の頭で考えさせずに指示命令に従うことを教え込み、子どもたちから自己決定権を奪っておきながら、「自ら学ぶ力」「自立できる力」なんて、恥ずかしげもなくよく言えたものだ。本末転倒も甚だしい。「自ら学ぶ力」「自立できる力」というのであれば、まずは、「日の丸・君が代」を含めて卒業式・入学式を子どもたちに返上すべきだ。返上すれば、子どもたちは知恵と力を寄せ合い企画・実行する。その過程で、「自ら学ぶ力」や「自立できる力」は十分に身につけていくものだ。このことこそが本来の学校教育である。
 高校入試の英語の評価もこの件もそうだが、都教委は次々に新企画を打ち出すが、それは、企画担当役職員の評価・出世につながるということなのかと疑りたくもなる。

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2018/11/08

都庁前通信 2018年11月8日号

F20181108

パラスポーツで算数を学ぶ とは?!


 渋谷区の小学校6年生は、2020東京パラリンピックの全22競技を入れた算数ドリルを配布された。4月に使い始めた上巻の五輪版に続く下巻という。東京五輪・パラリンピック組織委員会と、有志の教員たちが作成したとのことで、来年度は都内全域に対象を広げる予定とのこと(10月23日付東京新聞夕刊)。
 これは、戦中の教育を彷彿させる。例えば、当時の算数教科書は、「50m おきに日の丸をあげるとすれば、500メートルの距離では何本の日の丸が必要になるか」という具合に、子どもたちに「愛国」を意識させる教科書だった。
 2020東京オリンピック・パラリンピックに反対と考える子どもたちにも、算数まで使って、オリ・パラ最高との考えを刷り込むことにほかならない。思想良心の自由は子どもたちにも保障しなければならないとの認識が都教委には欠けているのではないか。

東京朝鮮学校無償化裁判 不当判決



 朝鮮学校を高校無償化の対象から外したのは違法だと東京朝鮮学校高級部の卒業生61人が国に損害賠償を求めた裁判で、東京高裁は10月30日、一審に続き原告の控訴を棄却した。
 2010年に、どの子も高校教育(アメリカンスクールや中華学校、韓国学校などの各種学校を含む)を無償で受けられるようにと高校無償化法が成立し、朝鮮高校も含め予算概算要求までしていた。しかし安倍政権になって2013年2月、文科省は、朝鮮学校について「北朝鮮や朝鮮総連との密接な関係が疑われ、就学支援金が授業料に充てられないことが懸念される」として無償化から除外した。
 2010年4月から実施されている高校無償化制度は、家庭の状況に関わらず、全ての子どもが安心して勉学に打ち込める社会を築くため教育の機会均等を確保するという趣旨だ。北朝鮮のとの関係等々―事実関係も確かめていない-は子どもたちの教育を受ける権利とは関係ないことだ。
 全国で訴訟になった5件のうち、大阪地裁判決は「(無償化除外は)政治的意見に基づいており、教育の機会均等の確保をうたった無償化法の趣旨に反している」と、処分を取り消し、国に無償化の義務づけを命じた(控訴審では逆転敗訴)。卒業生の声に耳を傾けた、まっとうなこの判決理由を広めたい。
 なお、国連の人権差別撤廃委員会は日本政府に対して朝鮮学校を無償化の対象から外すことは、「差別的な扱い」であるとして排除勧告(2010年3月)をしている。



10月25日都教委定例会傍聴報告
■傍聴者への上から目線■


 26日東京新聞朝刊は、「いじめ72%増の3万854件」「不登校は最多1万1988人」の見出しで、都内公立小中の実態報告(文科省調査)を大きく報じている。25日の定例会では非公開議題とされたのに、都教委HPを開くと、この報告(25日)が掲載されている。

○ いじめの認知件数は、前年度と比べ12,893件増加し、31,049件。全ての校種で増加した。3月31日時点のいじめの解消率は87.0%。前年度と比べ、小学校、中学校、高等学校で低下し、特別支援学校で上昇している。
○ 小・中学校における長期欠席者のうち、不登校児童・生徒数は小学校 3,226人、中学校8,762人。前年度より小学校で282人、中学校で320人増加した。不登校出現率は小学校0.56%、中学校3.78%で、小・中学校ともに上昇している。一方、学校復帰率は小学校25.6%、中学校20.1%と、小・中学校ともに低下している。

 都教委はこの報告をなぜ、非公開議題にしたのか。非公開議題にできるのは、「人事に関する事件その他の事件について、教育長又は委員の発議により、出席した教育長及び委員の三分の二以上の多数で議決したとき」(東京都教育委員会会議規則)となっている。そのいずれに該当する議題なのかが不可解だったので、都教委に電話を入れた。
 「文科省が公開日時を25日17時(以降)と言ったので、非公開議題にした」のだという。「疑問に思った傍聴者は私だけでない。なぜ、その説明をしなかったのか。そうした運営が問題だ」と言うと、「教育情報課(都民の声を聞く部署)に要望として伝えます」。筆者は「教育情報課が苦情等を報告するのは半年先。すぐに直接、教育長等に報告してほしい」と言って、電話を置いた。
 教育委員が定例会を欠席しても開始時刻が遅れても、司会進行を担当する教育長はいつも何の説明もしない。傍聴者がそれを訊けば、「妨害発言」だとして傍聴券を奪ってきた。今回も、非公開にする理由を知りたかったけれど、傍聴権を奪われるから、筆者は声に出さなかったのだ。「傍聴をさせてやっている」という上から目線意識が全ての教育委員にあるとしか思えない。

■今年度『児童・生徒の学力向上を図るための調査』及び『全国学力・学習状況調査』の結果について■

 『児童・生徒の学力向上を図るための調査』(都学力テスト)の結果からわかることとして都教委は次を挙げる。

①「学力の定着が図られている問題例」として、小5算数「10-3✕2」の正答率は88.6%。平成25年度の正答率78.2%と比較し改善が図られている。
②「定着が不十分な問題例」として、中2数学「底面積と高さがそれぞれ等しい円柱と円錐があります。この時、円柱の体積は円錐の体積の何倍になるか答えなさい。」の正解「3」の解答は57.3%、「三分の一」と解答したのが7.7%。「文章から基準となるものを捉えることに課題がある」と結論付ける。
③授業が「よく分かる」「どちらかといえば分かる」と回答した児童・生徒の割合は、小学校において高い状態を維持し、中学校においても増加傾向にある。
④学校質問紙調査、「授業の最後に学習したことを振り返る活動を行った学校と行わなかった学校」との児童・生徒の正解率の差は拡大した。「よく行った」と「あまり行っていない」との差は、小5国語で4.9、算数で7.0%(点)など。

 他方、学力テストの弊害については見ようとしない。
 全国学力テスト(小6、中3 2007年度から)に先立つ2004年度から都教委は都独自の学力テスト(小5、中2)を行ってきた。1960年代に行われた全国学力テストでは、学校や地域間の競争が過熱し、不正行為も起きたことから、文部省は1964年をもって悉皆調査を中止した経過がある。都学力テストにおいても、足立区では区教委あげての不正行為が起きた(05年1月)。
 点数の取れない子どもについては休ませてほしいと保護者に要請したり、学力テストの採点から点数の取れない児童3人を外したり、試験監督中に教師が机を叩いて児童に誤答を教えるなど、学校ぐるみで成績を上げるための不正行為や、過去問を使った対策をとった。さらに、区教委は校長会で、問題を事前に配布していた。この不正が発覚したのは、一般教員からではなく保護者からの告発によるものであった(06年7月)。また、これに対する都教委の追及は、なかったに等しい。
 この不正行為に反省し学ぶことなく、都教委は学力テストを続け、更には各区市町村教委が独自の学力テストまで行っている。競争に煽られるのは、子どもと教員たちだ。競争の過熱ぶりも、上記した「不登校」の児童・生徒の増加と関連しないだろうか。点数の結果よりも、学校に子どもの居場所がなくならないようにするにはどうすればいいかを教育委員たちは論じてもらいたい。

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2018/10/25

都庁前通信 2018年10月25日号

F20181025

柴山昌彦文科大臣、就任早々に教育勅語を賛美
――進んで戦場に行く子どもたちをつくりたいのか――

 柴山文相は教育勅語について、「現代風に解釈され、あるいはアレンジした形で、道徳などに使うことができる分野というのは十分にある。普遍性をもっている部分がみてとれる」と発言。使える部分として「同胞を大切にするとか、国際的な協調を重んじるとか、基本的な記載内容」を挙げた。
 森友学園の塚本幼稚園が園児に教育勅語を暗唱させていたことが問題視された17年3月、安倍内閣は「勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導」を不適切とした一方で、「憲法や教育基本法等に反しない形で教材として用いることまでは否定されることではない」という答弁書を閣議決定した。
 教育研究者でつくる17の学会は、昨年6月に「政府は教育勅語には普遍的な価値が含まれており、憲法に反しないかぎり肯定的に扱うことも容認されるとしているが、戦前・戦中は国民を排外主義的、軍国主義的愛国心に導くことに使われた。肯定的に扱う余地は全くない」、「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本理念とする日本国憲法とは相いれない」と述べて、批判的な歴史的資料として用いる場合を除き教育勅語の使用禁止を改めて確認するよう求めた。
 教育勅語は、1890年に明治天皇が、「日本人としてどうあるべきか」を子どものころから教えるため「臣民」に下した天皇の言葉・文書。その核心は、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ(何かが起きた場合はすみやかに勇気を出して天皇のためにつくせ)」、すなわち、「国の非常時には天皇のために命を懸けよ」という意味だ。天皇を頂点とする国家主義の思想である。
 したがって、天皇主権ではなくなった戦後の1948年に、衆参両院が教育勅語の排除・失効を決議したのだ。当時の森戸辰男文部相は「教育勅語は明治憲法を思想的背景としており、その基調において新憲法の精神に合致しがたい」と、国会で答弁した。
 「兄弟ニ友ニ夫婦相和シ」など「いい内容がある」と発言するなどして、戦前回帰を目指す国会議員は稲田朋美防衛相(17.3.21)をはじめ、多数存在する。柴山文相や稲田元防衛相(現筆頭副幹事長)など、安倍首相の側近は、道徳を教科化し教育勅語も使って、お国のために戦争に行く子どもたちをつくろうとしているのだ。



10月11日都教委定例会傍聴報告
生徒・保護者の声置き去りに夜間定時制の廃止すすむ

①「来年度都立高校の 1 年生募集人員等について」及び「請願について」
 都教委は「都立高校改革推進計画・新実施計画」(2016年2月策定)に基づき16年2月12日の定例会で、夜間定時制高校(小山台、雪谷、江北、立川)の閉課程を決め、17年度で雪谷高校夜間定時制を閉課程とした。そして今回、今年度で江北高校定時制を閉課程とするという提案をした。夜間定時制課程を潰して、替わりにチャレンジスクールや昼夜間定時制高校の募集を増やすことを都教委は方針としている。
 「都立江北高校定時制の存続を求める会」から出されていた「都立江北高校定時制の募集停止の決定を拙速に行わないことを求める請願」の請願理由には、「夜間定時制は『学びのセーフティネット』であること」

「チャレンジスクールとは性質が異なり代替できないこと」等が挙げられている。切実な要求だ。
 対する都教委の回答は、「夜間定時制の第一次募集の応募者数は、平成28年度は912人、平成29年度は799人、平成30年度は794人と減少」「江北高校定時制課程への入学者数は、平成28年度は30人、平成29年度は27人、平成 30年度は13人と年々減少し、募集人員に対する在籍生徒数の割合も…他の夜間定時制高校と比較し低い」。したがって、「生徒や保護者のニーズに応えるため、昼夜間定時制とチャレンジスクールの夜間部の規模拡大やチャレンジスクールの新設を行う」「閉課程に当たっては周辺の夜間定時制課程において受け入れていく」というもの。
 都教委が「周辺の夜間定時制課程」としてあげた8校の一つ、江戸川高校までは公的交通機関を使って1時間かかる。「生徒や保護者のニーズに応える」と言いながら、請願に向き合おうとする誠意はまったく感じられなかった。教育委員からも、請願に賛成する意見はなかった。15歳の子ども全員に、学びの場を保障することは教育行政の責務であることを忘れてはいまいか。

 傍聴していた、都立定時制高校で働く非正規教育労働者は次のように言った。
◇江北(定)は31年度(2019年度)の生徒募集が停止された。閉課程に一歩進めてしまった。
◇今回、立川(定)と小山台(定)の募集停止は免れたが、《新実施計画》の閉課程方針は変更されていない。
従って、2020年度以降の生徒募集停止が強行される可能性があり、許されない。

②幼・小の一層の円滑な接続を図るための教育課程の研究・開発委員会中間報告について
 「小学校教育の現状と今後の在り方検討委員会」の提言(17年12月14日)を受け、18年3月22日の定例会で「研究・開発委員会」を設置し、モデル地区に指定した荒川区のモデル校(公立幼稚園1園・公立小学校1校)で実践・検証する(2021年度)ことが決定された。この委員会で「5歳児から小学校低学年をひとまとまりにした教育課程の方向性」を検討し、その結果を教育課程や教材・教具等の開発へ反映できるように報告をまとめるとのこと。
 中間報告では――。「研究・開発する教育課程の方向性」に関連して、「指導する内容」は「『思考力、判断力、表現力等』『学びに向かう力、人間性等』について、すべての保育・教育活動を通してスパイラルに育む。」等を挙げる。
 「研究・開発する教育課程に応じた環境」づくりとして、ひとつの教室内に一斉学習の場、個別・グループ活動の場を設ける(「学びの部屋(仮)」という)。指導内容・時期に応じた教材・教具の開発を検討する等。今後は、「幼児・児童の学習や生活等に関して実態調査を行い、学びに向かう力、興味・関心等について把握する」「研究・開発した教育課程の成果を都内の各自治体及び就学前施設・小学校に提供し、広くその成果を発信する」とのこと。
 荒川区のモデル校は小学校と幼稚園が同じ敷地にあるという。モデル校1校に限って幼小の授業を行うことはできても、東京の全公立学校で行うことはむずかしいはず。さすがに教育委員からは、「保育園の場合はどうするか、無理がある」「前倒しにならないよう」「結果ありきでなく、成果を検討してほしい」などの発言があった。しかし、中止を求める発言はなかった。
 文科省が保・幼・小連携の方針を打ち出したのは、「幼稚園教育要領」及び「保育所指導指針」を改定し3歳児以上の幼児に「国旗・国歌に親しむ」ことを教えるとしたことと関係があるとしか考えられない。

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2018/10/15

都庁前通信 2018年10月11日号

F20181011
 「辺野古新基地建設はさせない」。沖縄の人々の強い思いが玉城デニー県知事を生んだ。この結果に対し、政府は「早期に辺野古への移設と普天間基地の返還を実現したい考え方に変わりはない」(菅官房長官)と、沖縄への米軍基地の押しつけをやめようとはしない。民意を汲み上げ実現させるのが政治であり、地方自治であるのに、安倍政権はそのことを全く理解しない。
 米軍基地があるために起こる、沖縄での度重なる米軍機事故や暴行傷害事件に対して本土の「国民」は沈黙していていいのか、問わねばならない。
 今月1日、横田にもオスプレイが配備された。沈黙を破り、反対の声を大きく上げよう。

「オリンピック・パラリンピック学習読本」に嘘の記述
「五輪読本」裁判、本日14時~ 東京地裁526号法廷にて

 東京の小学4年生から高校生までの児童・生徒に、都教委は2016年度から「オリンピック・パラリンピック学習読本」(「五輪読本」)や「オリンピック・パラリンピック学習ノート」を配り、公立学校には年間35時間のオリンピック・パラリンピック学習を課している。同「読本」には、国際オリンピック委員会(IOC)が定めているIOC憲章に明確に違反する嘘の記述があり、それを訂正するよう高嶋伸欣・琉球大名誉教授ら(都教委を訴える会:共同代表)が指摘してきたが、都教委は訂正を拒んできた。そこで、高嶋名誉教授らは裁判に訴えている。
 嘘の記述とは、小学校編の「世界のマナー」と題した節で「国旗と国歌」という小見出しをつけ、「オリンピック・パラリンピックでは、開会式で選手たちが自国の国旗を先頭に行進します。表彰式では、優勝した選手の国の国旗をかかげ、国歌を演奏します」「表彰式の国旗けいようでは、国歌が流されます」「国歌とともに国旗がけいようされます」の「国旗」「国歌」。
 IOC憲章は、「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と規定し、それに沿って 1980 年、「選手団が使う旗と歌は(国旗・国歌ではなく)選手団が登録した旗と歌」と追加規定した。それによって、中華民国(台湾)は国旗でなく、大会組織委員会に登録して、台湾の人々が好む梅の花をデザインした旗を用いている。リオでは難民選手団が、ピヨンチャンではロシア選手団がオリンピック旗で入場したことは記憶に新しい。日本の選手団は「日の丸」「君が代」を選手団の旗、歌として登録したに過ぎない。
 IOC憲章を知りながらなぜ、都教委は嘘を子どもたちに教えるのだろうか。嘘を使ってまで、「愛国心」を刷り込もうとするのか。

◆ 調布市主催のコンサートで中学生らも登壇し「君が代」起立・斉唱

 調布市が東京2020公認プログラム(東京五輪大会に向けた文化プログラム事業)として7月16日に主催した、ソプラノ歌手・新藤昌子氏と世界の国旗研究協会理事長兼会長・吹浦忠正氏による、「世界の国旗・国歌学ぼう!聴こう!歌おう!@調布」と題するコンサートで起きたこと。市側との企画段階で、新藤氏が「親交のある市立5中合唱部顧問の音楽科女性教員」に声をかけたため、5中合唱部生徒約100名も参加した。意見の分かれる問題である「君が代」に生徒たちを動員したことに対し、市民らが抗議。市・生活文化スポーツ部オリパラ担当部長は「今回の開催に際し、様々なご意見があったので、今後はことさら国旗・国歌のみ取り上げる形でなく、より良い形を検討していく」と答えたという(『週刊新社会』2018年8月21日号)。 声があがってよかった。
 オリンピックを利用して、「愛国心」の刷り込みがされることに警戒していかねば、と思う。


9月13日都教委定例会傍聴報告
校長の約半数が学習指導要領を超える性教育を求めている

 8月に都内全中学校の校長を対象に都教委は「性教育(中学校)の実施状況調査」を行った。そこでは約半数(46%)の校長が「学習指導要領に示されていない内容を指導することも必要だと思う」と回答した。
 また、「避妊法や人工妊娠中絶等、学習指導要領に示されていない内容を授業で指導している(する予定である)」学校が9%(55校)にのぼる。都教委の学校支配が強い中で、この数字は大きな意味を持つ。
「・指導している内容は、避妊法、人工妊娠中絶、コンドームの利用、性交、望まない妊娠
 ・指導している理由は、

様々な情報が氾濫している状況で、情報を選択するための正しい知識を身につけさせることが必要なため。/性感染症を教える中で、知っておいたほうがよいため。/命の大切さを知り、望まない妊娠をさせないため。」と回答を寄せている。


 3月の文教委員会で古賀自民党都議会議員が足立区中学校の性教育を問題視したことに便乗して、都教委は4月26日の定例会で学習指導要領を超えた性教育について次のような見解と今後の対応を発表した。
 「『性交』『避妊』『人工中絶』といった中学校学習指導要領保健体育にないことばを使った授業は不適切。保護者の理解を必ずしも十分得ないまま授業が実施されていた。」今後は、「学習指導要領を基本とする。すべてを集団指導で教えるのではなく、集団指導で教えるべき内容と個別指導で教えるべき内容を明確にする。学習指導要領を超える内容を指導する場合には、事前に学習指導案を保護者に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施するなど」とした。
 都教委の方針に合わない授業を止めさせるために、こうした「今後の対応」を出したのではないのか。
 なお、この都教委の「不適切」見解に対して、北村教育委員から「現場では萎縮せず、取り組んでほしい」との発言はあったものの、北村教育委員を含め教育委員からは、「保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施する」ことに賛成する発言が相次いだ。
 しかし、現場の校長たちの約半数は上記した調査結果の通り、「『性交』『避妊』『人工中絶』といった学習指導要領にない言葉を使った授業」の必要性を感じている。もちろん生徒全員を対象に、である。性に関する情報が氾濫する中で、子どもたちを守っていくためには性に関する正しい知識を学ぶ機会はすべての子どもに必要だ。
 この数字の重みを都教委は受け止めなければいけない。受け止めて、4月26日に出した都教委見解を撤回し、10代の実態に即した性教育のあり方を真剣に検討するべきだ。

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ブログ更新再開のお知らせ

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ブログ更新を再開します。

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2018/10/04

ブログ更新休止のお知らせ

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ブログ担当がしばらく不在となるため

更新をお休みさせていただきます。

更新再開は10月15日以降となる予定です。

ご迷惑をおかけします。

 

2018/09/21

解雇させない会ニュースNo.66

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解雇させない会ニュース一覧表
解雇させない会ニュース一覧表を作成してあります。
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2018/09/13

都庁前通信 2018年9月13日号

F20180913

ここでも文書改ざんが?

都教委は裁判で嘘の陳述書を校長に出させている?

■根津「君が代」不起立処分取消訴訟で

 当会の河原井・根津の2008年「君が代」不起立処分取消訴訟(根津は南大沢学園養護学校在職)において、根津が2004,5年に在職した立川二中のF校長(当時)が都側証人として陳述書を出し、7月12日に尋問に立った。
 2008年の根津停職6月処分では、処分理由に①「君が代」不起立だけでなく、②「日の丸・君が代強制反対」等のロゴの入った衣服を日常の仕事の中で着用したことが挙げられていた。そこで根津は、「これまでも何年にもわたりこの衣服を着用してきたが、着用を禁止したのは南大沢学園のO校長だけ。」と主張してきたところ、都はF校長の陳述書を出してきました(昨年12月)。「平成17年の6月頃着てきたので、始業前に注意したところ、脱ぐか上に羽織るかした。それ以降、一度も着てこなかった。だから(処分のための)事故報告をあげなかったのだ。」というもので、800字ほどのものでした。
 7月12日の尋問では、F校長は陳述書に書かれた「平成17年の6月頃」ではなく、「平成16年春の運動会の朝練習の時に着用した」と証言。こちらの代理人が質すと、「都教委と面談した上で都教委が案文を作り、それを私が修正して署名捺印した」、修正した点は半年前のことなのに、「覚えていない」という、辻褄の合わない証言でした。
 〈着用を禁止したのは南大沢学園の校長だけ、と根津は言うが、立川二中のF校長も一度注意をして、着用を続ければ事故報告をあげるつもりだった〉というストーリーにするために、都教委はF校長に都教委が作成した陳述書に署名押印させたのでした。

■すでに他の裁判で

 都立高校の教員が懲戒免職(2014年)の取り消しと損害賠償を求めた裁判で、その高校の校長は「相賀管理主事から陳述書の原稿が送られてきて署名押印して提出するよう指示された。内容は事実に反し、教諭に極めて不利になる内容だった。」が、「虚偽の陳述書を提出しなければならない現実に、心を痛めたが、指示に従わないと進退問題にまで発展し、不利益を避けるように提出してしまった。保身のために出した陳述書が裁判で使われ、教諭の人生を台無しにしたらと後悔の念が積もり、新たに陳述書を書き直して提出しようと決心した。」と、事実を書いた陳述書を再提出したということです。(2015年6月19日号「週刊金曜日」) 都教委が作成した陳述書に署名押印させられたのは立川二中のF校長だけではなかったのです。
 この教員の処分は取り消されました。

■上意下達の思考が招いたこと 

 F校長は、根津停職6月処分の適法性を立証するのに自分が使われていることを認識しているのだろうか。根津の処分よりも、自身の保身(K市教育相談所 非常勤教授)を優先させたのか。いや、都教委から指示されたら、組織人として判断することなく従うということなのか。そんなことを考えながら証言するF校長を観察していました。在職中の根津の印象では、F校長は「君が代」不起立の報告はあげるけれど、差別的な人ではありませんでした。しかし、そうした人でも、上から指示されれば考えずに従ってしまうということでしょう。
 国会中継で繰り広げられる官僚や閣僚も、これと同じです。私たちはだからこそ、指示命令に考えずに従う人間を学校教育がつくってはいけない、事実をもとに自分の頭で考え判断する子どもに育ってほしいと考え、「日の丸・君が代」の強制に反対してきたのです。(根津)



8月23日総合教育会議傍聴報告


午前中は総合教育会議、午後が定例会でした。総合教育会議の報告をします。

■「母語がしっかりする前に慌てて英語をしなくていい」

 今年度総合教育会議はこの日が第1回目。「これからの時代に必要な『読解力』を育てる』という議題で、2011年度から「ロボットは東大に入れるかプロジェクト」を立ち上げ、調査研究をしてきたという新井紀子教授(国立情報学研究所、(社)教育のための科学研究所)が「AI 時代を生きるための『読解力』とは」と題して講演。その後、淵江高校数学科の主任教諭と江戸川高校の国語科教員から短い報告があった。
 新井教授の話は――。AI は、意味は理解できないが、キーワードを上手くたくさん入れれば、「よく当たる」こともある。一方、意味がわかるはずの高校生が、意味のわからない AI に敗れるのはなぜかを、文章題の質問に答えさせることで調査した結果、

① 正答率(読解力)と偏差値とは相関関係にある。
② 就学援助(金受給)とは強い負の相関関係にある。(筆者注:援助金を受けている家庭の子どもは正答率が低い) 
③ 中学生は学年が上がるごとに読解能力が上がるが、高校生は上がっているとは言いがたい。

 とのこと。
 この調査結果から新井教授が導き出した結論は、
「教科書が読めない→予習も復習もできない。貧困下でも塾に通わなければならない→AIに職を奪われる、新しい職種に移動できない→労働力不足なのに失業や非正規雇用が増大→格差拡大、内需低下、人口がさらに減少」 したがって、「中学を卒業するまでに、教科書を読めるようにすることが公教育の最重要課題」とのこと。
 すべての子どもたちに基礎的な読解力を身につけさせる大切さは貴重な指摘だが、それでも現在のような多人数学級で英語・道徳・プログラミングと詰め込まれ、部活に参加、はてはオリンピックのボランティアにかり出されるゆとりのない学校生活では、結局、子どもの家庭環境が読解力獲得の差を生み出すのではないだろうか。そうした読解力の差が子どもたちの将来をストレートに左右するとしたら問題だが、この点はどう考えているのだろうか。 
 講義の後、小池都知事や教育委員から質問ややりとりがあった。その中から幾つかを挙げる。

小池知事︰東京は英語教育を早期から行なっている。幼いときから英語をやると、読解力がなくなるか。
新井︰母語がしっかりする前に慌てて英語をしなくていいのでは。英語を使いたいのであれば、音声翻訳が使える。
小池知事︰プログラミング教育も東京では早期にやっているが、それも良くないのか。
新井︰プログラミング教育をイベント的に年に何回かしても成果はない。プログラミングの基本は、定義をよく読むこと。
宮崎教育委員︰英語よりも母語のマスターが先だ。
 
 学習指導要領の改定に伴い、今年度から3,4年生が英語活動を、2020年度から5,6年生は英語が教科化される。都教委は全国に先駆けて英語教育に力を入れ、多大な金をつぎ込んで、英語村・体験型英語学習施設「TOKYO GLOBAL GATEWAY」を今月6日に開業させた。宮崎教育委員も他の教育委員も、英語教育に反対する発言を定例会の場でしてはこなかった。教育委員会定例会での発言とは異なった、ここでの宮崎教育委員の発言の趣旨は何だったのか。
 新井教授の発言を受けて、都教委は英語教育を再考する用意はあるか。

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2018/08/23

都庁前通信 2018年8月23日号

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歴史を隠ぺいする小池都知事
今年も関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文送付を断る



 小池都知事は昨年に引き続き今年も、関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式に追悼文を送付してほしいという市民団体の要請を断った。断った表向きの理由は「毎年9月と3月に都慰霊堂で開かれる大法要で、関東大震災と先の大戦で亡くなられたすべての方々へ都知事として哀悼の意を評している。このため昨年度から、個別の追悼文を差し控えることにした。今年も昨年と同様にする。」「大震災で亡くなられた方、それに続いてさまざまな事情で亡くなられた方を、むしろ区別せず、慰霊する気持ちをまとめている」とのこと。
 小池都知事のこの行為は、震災による死と虐殺による死を同一視し、日本が行った朝鮮人虐殺の歴史的事実を消そうとするものであり、また、ヘイトスピーチを容認し助長するものだ。都知事になる前には「日本会議国会議員懇談会」の副会長でもあり、「東京に核ミサイルを」などの言辞を弄した小池都知事の極右思想からの行為だ。強く反省を求める。

◇9月1日11:00~墨田区横綱町公園に集まろう
関東大震災95年 朝鮮人犠牲者追悼式典(両国駅下車10分)


都教委作成の「江戸から東京へ」も歴史を隠ぺいする


 都教委作成の高校日本史副読本(だが、日本史教科書の代替としても使用)「江戸から東京へ」は、関東大震災時直後に起きた朝鮮人虐殺に関する記述から「虐殺」の文言を2013年度版から削除修正している。
 「大震災の混乱のなかで数多くの朝鮮人が虐殺されたことを悼み、(1973年に碑が)立てられた」と書いた12年度版を、13年度版では「碑には、大震災の混乱のなかで、『朝鮮人の尊い命が奪われました』と記されている」と変えた。市民が悼んだ事実も消している。
 碑に書かれていることばは「一九二三年九月発生した関東大震災の混乱のなかで、あやまった策動と流言蜚語のため六千余名にのぼる朝鮮人が尊い生命を奪われました」である。都合よく碑文を利用して、事実を隠ぺいし、高校生に虚偽の歴史を教え込む行為だ。
 自国が行った誤った歴史の事実を反省し、後世に伝えていくことは、再び日本が戦争をし、我が子を兵隊に送りだすことを止めるために必須のことである。
 教育委員諸氏は「江戸から東京へ」が2013年度版からこうした書き換えをした事実を知っているのだろうか。




7月26日都教委定例会傍聴報告
来年度使用の中学校道徳教科書を投票のみで採択 
~一言の意見表明、意見交換もなく~


 指導部長が「検定済み教科書発行者一覧の中から投票を」と提案し、それが承認されたところで、直ちに投票に入った。数分で投票が終わると、担当職員がそれを回収し、別室で集計作業。結果の発表となった。
 採択に先立ち3通の請願書が出されていたが、今回もそれに対して論議された形跡はない。憲法16条が保障する請願権を都教委は反故にしている。請願の趣旨は4点。「①採択にあたっては、政治的圧力や思惑を排し、学校現場の意見を十分に尊重して採択すること ②それぞれの学校が最もふさわしいとして要望した教科書を採択すること ③特に問題が各方面から指摘されている「日本教科書」の教科書は、採択しないこと ④他県のように、教育委員会で直接この請願趣旨が述べられるようにすることを求める。少なくとも、事務局止まりではなくこの請願が、教育委員の皆様に伝えられ、委員会で議論し、回答されることを求める。」
 請願内容はまさに是。しかし、これについて論議を提起する教育委員は一人もいなかった。

 採択は次の通り(かっこ内は投票結果)。

白鷗高校附属       教出(教出3 学図1 日科1)
小石川中等教育(前期)、武蔵高校附属、大泉高校附属  学研(学研3 光村1 日科1)
両国高校附属、南多摩中等教育(前期)    学図(学図3 東書1 日文1)
桜修館中等教育(前期)   学図(学図3 光村1 日科1)
立川国際中等教育(前期)   教出(教出3 日文1 日科1)
富士高校附属       学図(学図3 日文2)
三鷹中等教育(前期)   学図(学図4 日科1)
聴覚障害特別支援学校       光村(光村4 教出1)
肢体不自由・病弱特別支援学校    日文(日文4 学研1)
視聴覚障害特別支援学校      教出(点字原典であるため)

(注)学図:学校図書、教出:教育出版、学研:(株)学研教育みらい、東書:東京書籍、光村:光村図書出版、日文:日本文教出版、日科:日本教科書

 高校用の教科書採択では各学校が選定した出版社名の記載された一覧表が出されるが、中学校用教科書採択では、それが出されない。3年前の中学校用教科書採択を傍聴した後、事務方に質したところ、「採択の公開定例会が終了し傍聴者が退場したところで、採択理由について各委員に意見を聞いて事務局で取りまとめ、『各都立中学校教科書採択理由』を都教委HPに掲載する」ということだった。その採択理由を見ると、「当該教科書は・・・本校で使用することが適切であると判断した」というように、「本校」ということばが並ぶ。しかしこれを書いたのは校長ではなく、都教委。都教委が校長になりすまして書いているということのようだった。
 3年前にこの事実にたどり着いたのは、4:2で採択した育鵬社の歴史、公民教科書についての「各都立中学校教科書採択理由」に対し、一部教育委員から「懸念があるとの意見を付記すべき」との声が上がったことが東京新聞で報道されたことによる。それで、筆者は事務方に質したのだった。
 3年前の育鵬社教科書はすべての学校について4:2で採択されたことから見れば、今回の学校ごとに採択結果が異なるのはどうしてなのか。各学校が選定したことを踏まえてのことなのか、あるいは各教育委員が各学校の教育目標に照らして投票した結果なのか、それすらわからない。闇の中での採択というほかない。

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2018/07/26

都庁前通信 2018年7月26日号

F20180726

本日の教育委員会で来年度
中学校道徳教科書を採択か
――「日本教科書社」「教育出版」は
採択させてはならない

 ことの善悪の判断や生き方について考えさせるのではなく、14歳からは刑事責任能力が問われると脅すことを教育と誤認識する「14歳の責任」や、2016年に安倍首相が行ったホノルルでの演説を掲載し安倍首相を宣伝するかのような「込められた想い『和解の力』」など、ひどい教材を並べる日本教科書社。戦国武将と勤王の志士など、殺りくに手を染めた人物を「47都道府県の偉人」として掲載する教育出版。同出版小学校用教科書には安倍首相の写真を掲載する。日本教科書社は安倍首相の教育ブレーンの八木秀次・麗澤大学教授が顧問(当初は代表)であり、教育出版は安倍首相の道徳教育のブレーンである貝塚茂樹・武蔵野大学教授らが執筆する。極右教育を推進する両教科書は、子どもたちに使わせてはならない。

八木秀次氏率いる「日本教育再生機構」に
「教育再生首長会議」が
1200万円もの公費を横流し


 日本教育再生機構(以下、再生機構という)は、2006年、新しい歴史教科書をつくる会から分かれて発足した、育鵬社教科書採択を勧める団体であり、理事長は八木秀次氏。教育再生首長会議(以下、首長会議という)は2014年に結成された、安倍首相を毎年表敬訪問するなど、安倍政権の極右教育を支持する首長の団体(会員131名)である。規約には、「適正かつ公正な教科書採択に関する調査・研究」を明記している。
 7月16,20日付沖縄タイムスは、首長会議が事務委託費として再生機構に年間400万円、計1200万円を支払っていたこと、その財源は各市(区町村)の公費であったこと、及び、今年1月24日に行われた首長会議で、日本教科書社顧問である八木氏の名前で日本教科書を採択してほしいと宣伝したことをスクープした。
 市長あての「ご案内」文書には、「市長が主催をする総合教育会議では教科書採択の方針などについて議論することができるとされています。つきましては、弊社に関する資料を同封致しましたのでぜひご覧ください。/あわせて、市長、教育長、教育委員の皆様に、直接ご説明の機会をおつくり頂きたく、ご検討賜りたいと存じております。」と明記されている。
 教科書採択にあたっては、公平性と透明性が担保されなければならないにもかかわらず、日本教科書社はそれを全く無視し、違法な営業活動を行った。その日本教科書社顧問は再生機構の理事。再生機構に首長会議は公金を横流し。これらの極右・安倍お友だち団体の癒着ぶりが明白だ。安倍内閣のメチャクチャさは、森友・加計問題だけではない。
 こうした安倍文部行政が、「道徳」の教科化を進めること、子どもたちに国家の価値観を刷り込むことに沈黙していては大変なことになる。国会や報道が取り上げるよう、声を上げましょう。

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2018/06/28

都庁前通信  2018年6月28日号

F20180628

日大アメフト部傷害事件は日本の縮図


 監督、コーチが「反則してでも相手のクオーターバックを潰してこい」と言い、それを実行させられた選手。上からの指示・命令には考えずに従わせる・従う体質は、軍隊のそれである。戦前の日本軍は「軍人勅諭」で「上官の命令は天皇の命令」と説き上官への絶対服従を要求した。こうして、侵略した先の中国では、初年兵に銃剣を持たせ、「度胸をつけるため」、捕虜を刺殺・試し切りさせた。日本軍の中国・アジア侵略で2000万人にものぼる人々が亡くなった。そしてこのアジア・太平洋戦争で軍民300万の日本人の命が失われた。
 この軍人勅諭とセットにして、国民に天皇への絶対服従の精神を植え付けようとしたのが、「教育勅語」だ。これを森友学園塚本幼稚園が園児に朗唱させていた。そして、安部首相夫人・昭恵氏が森友学園の新設予定の小学校名誉校長になっていたのが森友問題の発端で、政権が嘘に嘘を重ねることになる。
 ところで、今回の日大アメフト部傷害事件の背景には、日大の内田正人前監督を頂点とした強権的な支配体制がある。内田氏は日大の中で運動部の予算を管理し、人事とカネを握っていた。そしてコーチ陣を人事権で支配し、アメフト部の指導方法は「徹底した上意下達」だった。こうした上命下達の思考が、傷害事件を起こさせた。事件の当該選手が記者会見し、監督・コーチの指示を告白し、自分の非をわびたが、内田正人前監督は悪質タックルを指示した事実を認めようとしなかった。
 多くの人びとが今回の事件と森友・加計問題の構図があまりにも似ていることを感じ、マスコミもそのことを取り上げている。ただし、自らの非を認めた選手の記者会見での勇気ある態度、さわやかさと、ひたすら上の意向を「忖度」し、嘘を積み重ね、そのために一職員が自殺しても意に介さず、国会で虚言答弁を平然とやる安倍首相や麻生財務大臣、そして官僚などの無責任で恥知らずな態度との違いは対照的だ。
 大学だけでなく、中学校・高校の部活動にも、また、企業にもパワハラ、しごきやいじめがかなりの頻度で起きている。今回の日大アメフト部事件は日本社会の一つの縮図・病巣をあらわしているのではないか。
 こうした現実を見るにつけ、「日の丸・君が代」の尊重や指示命令に従うことを子どもたちに刷り込む教育を止めさせねばと強く思う。

教育勅語の現代版を狙う道徳 教科書展示に足を運んでみませんか!

 戦前の教育の反省に立てば、政権の道徳観・価値観を子どもたちに押し付けることは、してはならない。しかし、安倍政権は教育基本法を変え、道徳を、教科書を使い評価する教科にした。評価することを通して子どもたちには一定の価値観「正解」が注入される。再び、戦前と同じように政府の価値観を植え付けられた子どもたちがつくり出されることに、私たち市民・保護者は黙っていてはいけないと思う。
 現在、来年度使用の中学校道徳教科書の採択に向けて各区市町村教委が見本本の展示を行っている。8社のどの教科書も、検定を通過したのだから、文科省の指示する 22 の徳目を網羅する教材を並べ、最後に自己を評価するページを設けていて、大同小異の感はある。
 しかし、とりわけ問題なのが、日本教科書会社と教育出版の教科書。日本教科書会社は、育鵬社の歴史・公民教科書を作成した日本教育再生機構理事長の八木秀次氏が立ち上げた出版社で、現在の代表は武田義輝氏。武田義輝氏は晋遊舎会長を兼ね、両社は事実上一体の会社。晋遊舎はヘイトスピーチ本『マンガ嫌韓流』や児童ポルノ本で知られた出版社である。
 この2年生用教科書には、「込められた想い『和解の力』」と題して2016年12月27日に安倍首相が真珠湾で行った演説を掲載。安倍首相は「パールハーバーを和解の象徴として記憶し続けてくれることを私は願います。」と言う。まるで、安倍首相の言う「日米同盟は世界最強の同盟」の宣伝のようだ。しかし日本にとっては、かつて日本が侵略したアジアの人々との和解(=日本の謝罪あっての和解)こそが、今なお求められている。森友、加計問題で嘘をつき通し、官僚にも文書改ざんや嘘の証言をさせる、あるいは忖度させるような人物の道徳観を子どもたちに教えられてはたまらない。
 また、コラム「台湾に遺したもの 統治下での教育」では、台湾の人たちが日本の統治を喜んだと書く。そこには台湾を日本の植民地にしたことへの反省はない。日本の統治下で起きた抗日抵抗運動とその徹底的な弾圧にはまったくふれない。これでは、一面的な歴史認識を子どもたちに教えることになる。
 最後は、「心の成長を振りかえる」として、「日本人としての自覚をもち」「国を愛し、伝統や文化をうけつぎ」等、22の心を4段階で自己評価させる。
 教育出版の教科書は、小学校道徳教科書と同じく、こちらも日本会議系の学者である貝塚茂樹氏らの執筆。
 都立中学校の教科書採択は、都教委定例会で教育委員が行う。そこにも声を寄せましょう。


5月24日都教委定例会傍聴記


①「東京都がん教育推進協議会」提言について

 国ががん対策推進に乗り出したことから、都は外部講師を活用したがん教育をすべての学校で行っていくことを提言にまとめたとの報告。
 提言は、福島県の小児甲状腺がん及び疑いの子どもたちが196人(2018年3月調査)という現実や、その福島への帰還政策を国にならって進めてきた都の施策については一言も触れずに、「がんについての正しい知識とともに命の大切さを子どもたちに教える」という。「がんに対する正しい知識」を言うなら、被爆に言及するのは当然である。にもかかわらず、教育委員の誰一人として、それを指摘し福島に触れる人はいなかった。
  
②都民の声(教育・文化)について[昨年度下半期]

 寄せられた「都民の声」1913件のうち、「苦情」が最多の1338件(69、9%)、次が「要望」の270件(14、1%)。これまでと同じ傾向という。
 「高校の室外機の騒音がうるさく、平日は仕方ないが、土曜日のエアコン使用は迷惑」という近隣住民からの苦情には、「副校長から申し出者に謝罪するとともに、室外機を移設した。」「体育の授業におけるマラソン指導において、教員から生徒に掛ける言葉が汚く、聞き苦しい」という苦情には、「校長から当該教員に厳しく指導した」など、素早い対応をしたとの報告。
 陳情等(団体要請)40件のうち、「学校運営」に関するものが19件(47、5%)であり、そのうち、「学校教育の充実について」が12件。障害児教育の充実を求める要望、発達障害に対する支援の充実を求める要望である。陳情等の2番目は「教職員」に関するもので18件(45、0%)、そのうち、「国旗掲揚・国歌斉唱と教員の処分について」が14件。請願3件のうちの1件も、「国旗掲揚・国歌斉唱と教員の処分について」だった。
 「苦情」に対してはすぐに改善策をとるのに、「君が代」不起立処分については今回も、「本通達を撤回する考えはありません。懲戒処分の撤回は考えていません。服務事故再発防止研修を実施します。」と請願者に通知したとのこと。都教委の方針と異なる意見に対しては、都教委は「都民の声」とは思わないのだろうか。謙虚に批判を受け止め、論議し再考する姿勢を示すべきだ。

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