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2011/03/23

3.22要請文

                                      2011年3月22日
東京都教育委員会
 委員長 木村 孟  殿
 教育長 大原 正行 殿  
 教育委員     各位
                          琉球大学名誉教授 高 嶋 伸 欣
                                   東京都杉並区在住

                    要 請 書

私は先の3月9日付要請書において、貴委員会が、2010年度卒業式を含め、東京都立諸学校での教育活動について、「日の丸・君が代(国旗・国歌)」の取り扱い及び位置づけに関した校長職などによる個別職務命令書等の伝達など、指示している件に関し、それらが改定学校教育法第21条の規定に抵触し、さらには「旭川学力テスト事件」の最高裁判所大法廷判決(1976年5月21日)が例示した憲法違反に相当する職務執行行為であると指摘し、そうした違憲・違法行為の即刻中止とこれまでの指示等の撤回、及びこの間に誇りと権利を侵害された人々への謝罪、名誉回復と損害の補償をすみやかに実施されるべきであると要請しました。
その後、本日までの2週間の内に、上記の要請をさらにくり返すべき事態が判明しましたので、ここに改めて下記の理由を掲げ、前回同様に一連の指示等の撤回と関係者への謝罪などを要請します。

〈 理由 〉
1.3月14日石原慎太郎都知事は今回の東北関東大震災(東日本大震災)について「津波は天罰だと思う」旨の発言をしたと報道され、一旦は、撤回はしないとしたものの、翌日には被害者の心情を傷つける不適切な発言だったとして謝罪し、撤回しました。しかし、この発言は、こうした理由で撤回すれば済むものではありません。単に関係者の心情を傷つけたという程度の問題ではないからです。第1に権力の座、行政組織の長の座にある者が、日頃の私的見解の裏付けとして、大災害がまるで望ましく好ましい機会であるかの如く、もてはやすのは、厳にいましめられるべきことのはずです。
 このような人物が人事権を行使してきた東京都教育委員会は、当然のことながら、こうした不当な言動か
らは、これまで自立した存在でありえたのかという疑問が浮上します。この点で結論を先に指摘するならば
貴委員会のこれまでの「日の丸・君が代」関連の行政において、今回の石原発言と軌を一にしているとみな
されてもやむをえません。

2.その結論の端緒は、まず日本は台風、地震、津波等による自然災害の世界的中心であると強調し、それらの災害を教訓とすることで世界に類例のない優秀な精神文化を修得したのだから、アジアの盟主となるのは当然だとする政治心理学の非科学的で人権思想のない差別的な論理によって、日本軍のアジア侵略を正当化した事実が存在していることです。
  大災害が日本社会を精神的に鍛え直すのだとして、大災害を日本人の精神及び思想の改変の好機とする認識で、このアジア侵略正当化の論理と石原知事発言は、同根のものです。ちなみに、この日本の地政学はナチの侵略正当化のために用いられたドイツ地政学を模倣して当時の日本陸軍の一部学者が日本流に組み替えたものです。その組み替え部分の一つが、この「災害進化論」です。現在のドイツではこうしたナチスの論理を展開することは、社会的に許されていません。にもかかわらず、日本では首都東京の知事が公然と発言し、批判されても撤回と謝罪だけで済まそうとしているわけです。

3.次いで、ドイツの地政学とは別に日本の地政学者が独自に追加したのが、「日の丸」は世界最優秀の旗というこじつけです。日本地政学会会長でもあった小牧實繁氏の著書『日本地政学』(大日本雄弁会講談社1942年)には、日本が世界の中心であるとの理由の一つとして「日の丸」が国旗であることを強調しています。そこでは、「アメリカがかつて日本から、日出づるところの国の象徴日章旗を購わんとしてその意を果たさず結局夜の国の象徴星条旗の制度をもって満足しなければならなかった」などといつわりの説明をした上で、「日出づるところの国」日本は「人類最高の文化の正統的伝統者」である「現人神にまします万世一系の天皇」のありがたくもかしこい威厳が「日本より西の方ヨーロッパにおよんだことを示すものにほかならない」と権威づけています。

4.戦時中に「日の丸」を歪曲美化した地政学の論理は、戦後も日本の地理学界で検証、総括などされることなく、「災害進化論」などと共に生き延びています。戦時中に東京文理科大学(後の東京教育大学、現在の筑波大学)で地理学を専攻した後に海兵学校の教官となった清水馨(けい)八郎氏は、戦後に国立千葉大学で定年まで地理学の講義を担当し、「災害進化論」どころか「災害待望論」までも主張していたことが、その講義内容をまとめた数々の著作で明らかです。
  「日の丸」についても、清水氏は次のように述べています。「外国の多くの国旗には農業生産力に直接関係のない星や月をかたどったものが多い。アメリカもソ連も中国もイスラエルもチリも星の国旗である。太陽と星とでは、明暗がまるで対照的である。国家の理想に常に太陽を意識する国と夜の星を意識する国とでは、歴史、文化、社会の成り立ちが根本的に違うとみてよいのではなかろうか」と(『ニッポン再発見』日刊工業新聞社1981年)

5.ことばは思想です。小説家でもある石原都知事が今回発した暴言は、状況判断によって表面的な撤回と謝罪をしただけであって思想の転換、改心をした気配はまるでありません。こうした思想の持ち主による人事権の行使によって指名・選任された東京都教育委員各位は、石原氏と相通じる思想を持って「日の丸・君が代」に関する教育行政行為をこれまでに執行させてきたのではないかとの疑いを、私たちは持たざるをえません。

6.法律論以前のこととして、反社会的、反人道的な石原都知事の思想とは明らかに異なっているということを、教育委員各位が明確に示したいとされるのであるならば、上記1~5のように「日の丸」がそぞろ侵略の論理として悪用され、今もその論理が生き延びていることを、学校教育の場で教師が児童生徒に語るに、何の規制もない教育行政を執行させるべきです。

7.しかし、これまで12年間の石原都政下では、これと逆行する教育行政が続けられてきました。その不当性が奇しくも今回の石原知事発言で上記の通り明白になったのですから、今度こそ東京都教育委員会は、一連の「日の丸・君が代」などに関する指示等をすみやかに撤回し、是正策を講じるべきです。 

                                以上 要請します。


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