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2011/08/08

反撃(②「8・12~13「日・君」裁判全国学習交流会」)へ(22)

渡部です。

(東京地裁判決批判13回目です)

<ケ、処分は、裁量権の逸脱・濫用か>(後半)

まず、前回紹介した構成にしたがって、判決内容を紹介します。
少し長くなりますが、ここには、東京地裁(青野裁判長)の、

  • 「教職員は公僕たれ」という考えと、
  • 式典での「日の丸・君が代重視」、

の考えがよく現れています。

(1)地方公務員に対する懲戒処分は、懲戒権者の裁量に任されている

「・・地法公務員に地公法所定の懲戒事由がある場合に、懲戒処分を行うかどうか、懲戒処分を行うときにいかなる処分を選ぶかは、平素から事情に通暁し、職員の指揮監督の衡にあたる懲戒権者の裁量に任されていると解される」

  

「・・処分が社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を逸脱してこれを濫用したと認められる場合に限り、違法であると判断すべきである」

(2)都教委は懲戒処分の標準的な処分量定を作成して公表している
  (略)

(3)証拠によると、以下の事実が認められる
ア、都教委は、一連の手続きを経て処分を行った

①「本件不起立等は、児童・生徒にとって学校生活に有意義な変化や折り目をつけるために重要な学校行事である卒業式等の場において、公教育を担う教育公務員が、公教育の根幹である学習指導要領に基づき教育課程を適正に実施するために発せられた重要な職務命令に違反するという重大な非違行為であること。」
②「・・卒業式等の来賓、保護者はもとより、適正に国旗・国歌指導をこととされている児童・生徒を目の前にして教職員が行ったものであり、教育上好ましくないこと。」
③「・・平成11年通達以後、校長が適正に卒業式等を実施するよう指導を繰り返し行い、さらに、本件通達が発せられた後にも、・・校長が教職員に対して適正に卒業式等を実施するように指導を行った経過があったにもかかわらず、発生した職務命令違反であること。」
④「学校も組織である以上、上司の職務命令上の命令に従うことは当然のことであり、・・組織人としての職務上の義務違反であること。」

イ、原告は、職務命令違反で非違行為を行ったので処分を受けたことは当然である
 (特に<加重処分の教職員>に対しては、次のように述べています)

「上記アの4事項(①~④)に該当するとともに、他の教職員の前で校長からの職務命令を公然と無視したという看過できない非違行為であること、児童・生徒の教育を行う教育公務員は他の公務員より高い行為規範と自覚が求められるのであって、繰り返し同様な非違行為を行った責任は重いことが考慮されたことによる。」


(4)裁量権の逸脱・濫用の有無についての検討
ア、「戒告処分」について (略)
イ、「減給処分10分の1・1月」について (略)
ウ、「減給処分10分の1・6月」について (略)
エ、「停職処分1月」について

「4度にわたって同種の職務命令違反を繰り返すということは通常想定し難い事態であり、同原告の本件不起立は確信的な職務命令違反行為であると評価せざるを得ないこと、同原告は、本件各処分以前の各懲戒処分の対象とされた非違行為及び本件不起立以外に問題となるような業務実態はない者であるが、このことは本件不起立自体の非違性を減殺するものではないことを併せ考えると、同原告の本件不起立に対して停職1月を科したことが社会通念上著しく妥当を欠くとまではにわかに断じ難い。」

オ、他の地方公共団体との比較について

「・・例えば、広島県においては、同種の非違行為を繰り返した場合であっても、懲戒処分としては戒告処分を繰り返し科していることが認められる。しかしながら、教職員の非違行為にどの程度厳しい姿勢で臨むかという姿勢ないし考えは、各地方公共団体及びその教育委員会が、当該地域の実情をも踏まえながら、それぞれ検討すべき教育行政、管理政策上の問題であり、その姿勢ないし考え方が全国的に一律、一様のものでなければならないというものではない。」

(5)原告らの個別の主張の検討
 ア、命令と服従からなる公務員秩序は教育部門になじむものではない、
「原告らは、公立学校の教育を担う地方公務員である以上、適法な職務命令に従うべき義務があることはいうまでもなく、そのことは、教育の上記本来的性質(教育は、教師と生徒との全人格的な触れ合いを通じて、生徒の人格形成を目指す営為)と矛盾抵触するものではない。」

イ、以下の5点の主張について
①非違性の程度は軽い
(略)しますが、すでに、(3)のアの①で、

「重要な学校行事である卒業式等の場において、公教育を担う教育公務員が公教育の根幹である学習指導要領に基づき教育課程を適正に実施するために発せられた重要な職務命令に違反するという重大な非違行為」

と述べています。

②処分による甚大な精神的苦痛

「精神的苦痛を受けたとしても、それは・・処分に伴う事実上の影響にすぎず、・・処分の適法性ないし相当性を左右する事情には当たらない」

③昇給延伸などの経済的不利益

「これらは、・・処分自体が予定し、また、・・処分自体によって直接に生じる経済的不利益ではなく、・・昇給等や再雇用は、それらを定める給与制度や人事制度等において、懲戒処分を受けていないこと、勤務成績が良好であることなどを要件としていることによって生じるものである」

④研修の受講義務、業績評価での不利益な評価、人事上の不利益

「各種研修等への参加を義務付けられたからといって、これを制裁措置と評価することはできないし、これが制裁としてされたことを認めるに足りる証拠もない。また、教職員に対する業績評価において、・・処分を受けたという事実を考慮に入れることは至極当然であるし、原告らが、・・処分を受けたことを理由として不当な取り扱いを受けたことを客観的に認めるに足りる証拠はない」

⑤原告等が転向ないし改宗をしないかぎり、その不利益は甚大である

「・・非違行為に対する懲戒処分の量定が加重されることも不相当であるとはいえない。・・職務命令は、原告らの思想及び良心又は信教の自由を侵害するものではないから・・・原告らが転向ないし改宗しなければならない旨の主張は・・・採用することができない。」

   

ウ、原告らの以下の主張について
①教職員・生徒の精神的自由の尊重、教育に対する不当な支配の抑制の軽視

「・・職務命令・・処分が、憲法19条、20条、教育基本法10条1項に違反ものであるということはできず、・・主張事実を認めるに足りる証拠はない」

②教師としての優秀性を考慮していない

「原告らが教師として優秀であるかどうかという事情は、・・不起立等自体の非違性を減殺するものではない。」

③都知事や一部の都議の意向を考慮してしている

「都知事や一部の都議会議員の意向が影響してその処分量定が決められた事実を認めるに足りる証拠はない。」

(6)結論(裁量権逸脱・濫用はない)
要するに、「裁量権逸脱・濫用」に関しては、全面的に都教委側の立場に立って、原告側の主張をことごとく退けているのです。(しかもその内容は極めて反動的です。)
まるで、3月10日の東京高裁(大橋裁判長)判決を、最高裁で逆転するための露払いをしているようなものです。



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