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2012/03/28

「君が代・不起立3回で分限免職」は許されない

「君が代・不起立3回で分限免職」は許されない
大阪府・大阪市における、教育に関する条例修正案について


根津・河原井停職処分取消訴訟弁護団
河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会



「a20120328.pdf」のダウンロード

 


「君が代・不起立3回で分限免職」は許されない
大阪府・大阪市における、教育に関する条例修正案について


根津・河原井停職処分取消訴訟弁護団
河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会


  2012年1月16日、最高裁第一小法廷は、一連の「日の丸・君が代」裁判について3件の判決を言い渡しました。戒告処分を容認し、減給処分と停職1カ月処分を裁量権濫用にあたるとして取り消す一方、より重い停職3カ月処分については、過去の処分歴等を理由に違法ではないとする矛盾した判断でした。
 最高裁のこの判断を受けて、大阪府・市議会に提案された教育基本条例案がどのように修正されるのかが注目されてきました。
 2月23日に松井知事が府議会に提出した条例案は、大阪府教育行政基本条例と大阪府立学校条例に分けられ、府立学校・府費負担教職員の分限・懲戒処分については職員基本条例を適用するものとし、その詳細を分限・懲戒に関する各条例に定める形に再編しています。橋下市長は、同様の条例案を3月中旬に大阪市議会に提出するとしています。

 職員基本条例案の第27条では、起立斉唱を命じる職務命令に違反した場合について、1回目は戒告とし、2回目の停職を削除する微修正を施しているものの、同一の職務命令違反3回で標準的には分限免職とされる点は当初の維新案が維持されたままです。「指導、研修」等は、1回目から行われることになり(第29条1項)、2回目に「免職することがあることを文書で警告する」(同2項)としています。
 さらに、職員の懲戒に関する条例の第9条には、懲戒処分を受けた職員に指導を行い「非違行為を反省し、今後非違行為を行わないことの誓約をさせることができる」としています。
 1月16日の最高裁判決は、極めて政治的で不当な判決であることは1月31日付の当弁護団・当会の共同声明に指摘したとおりです。しかしながら、「過去数回で停職」が許されないことに照らせば、分限免職であっても「3回で免職」が許されるべきではありません。「君が代」起立・斉唱、伴奏に係る職務命令違反に職員基本条例の処分条項を適用することは、最高裁判決の判示事項に照らしても、なお、違法とされるべきものと考えられます。
 また、自己の思想信条に反し、不起立について非を認めさせるような内容の研修が違憲・違法となりうることは、都教委の「再発防止研修」の執行停止申立事件の東京地裁決定で示されているところです。

 当弁護団は、「君が代・不起立3回で分限免職」には、これまでの裁判の判示に照らしても多くの法律上の問題があると考え、その内容を別紙のとおりまとめました。
 当弁護団と当会は、「君が代」不起立に対するいかなる処分も許さないという立場で、引き続き、根津さん及び河原井さんの停職処分取消訴訟の勝利をめざします。同時に、現場の教職員、とりわけ無法な攻撃の矢面に立たされている大阪の教職員の闘いを支援するために、全力をあげてともに闘うことをここに表明するものです。

2012年3月12日

■参考資料

 当初の教育基本条例案は、首長による教育目標の設定、その実現の責務を果たさない教育委員の罷免規定をはじめ、その多くの条文が地方教育行政法に定められている教育委員会の職務権限を侵犯していることが指摘されてきました。
 再編された教育・職員条例案も、教育支配への教職員の服従を迫り、「君が代」起立・斉唱条例と一体となって不起立教員に圧力を加えるものです。
  東京では、都教委の10・23通達をめぐるさまざまな裁判の中で、多くの弁護団・原告団の奮闘により、一定の「歯止め」となる判例もかちとられてきています。
 以下は、「3回で免職」が許されるのか、不起立を反省させ職務命令への服従を誓約させる「研修」が許されるのか、を法的に検討する一素材として、当弁護団の意見をまとめたものです。参考にして頂ければ幸いです。

1.「職務命令違反3回で分限免職」は、許されるか

  最高裁は、今回の判決で「不起立行為に対する懲戒において戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては…慎重な考慮が必要となる」「不起立行為等に対する懲戒において戒告を超えて減給以上の処分を選択することが許容されるのは、…学校の規律や秩序の保持等の必要性と処分による不利益との権衡の観点から当該処分を選択することの相当性を基礎づける具体的な事情が認められる場合であることを要する」とし、「過去1回の不起立処分歴」を理由に減給処分を、「過去数回の不起立処分歴」を理由に停職処分を選択するのは許されないとしました。ただし、過去に積極的妨害行為などの処分歴がある場合には、停職処分の選択も認めるという判断です。
  「1回目は戒告又は減給」「2回目は停職」としていた条例案から、減給、停職を削除したのは、この判示を意識したものと思われます。
  ところが、「3回で分限免職」は、修正されないままです。「過去数回で停職」が許されないなら、分限免職であっても「3回で免職」が許されるべきではありません。

●懲戒・分限処分の恣意的な選択は許されない
  この点につき、最高裁の判示内容は懲戒処分の量定についてのものであり、その射程は分限処分には及ばないという反論が予想されます。
  たしかに、懲戒処分と分限処分は、各々の制度趣旨・目的を異にしています。懲戒処分は、公務員の職務上の義務違反その他公務員としてふさわしくない非行がある場合に、その責任を確認し、公務員関係の秩序を維持するために科せられる制裁である(神戸税関事件・最三小判77・12・20判時874号3頁)のに対し、分限処分は公務能率の維持及びその適正な運営の確保の目的から行われる処分です(長束小事件・最二小判73・9・14判時716号27頁)。
 しかし、懲戒処分も分限処分も、身分保障の趣旨から、「この法律で定める事由による場合でなければ」処分されない(地公法27条)と、その事由が法律上限定されています。
 また、懲戒・分限事由が競合する場合に、いずれの処分を選択するかの恣意的判断は許されません。川崎市港湾局事件・横浜地判77・12・19判時877号3頁は、「地公法所定の分限および懲戒の各制度の趣旨・目的・処分の要件および効果についての同法28条、29条の規定内容ならびに社会通念に照らし、合理性を有するものとして許容される限度を超えた不当なものであるときは、裁量権の行使を誤ったものとして違法たるを免れない」と判示しています。
 最高裁が示した適法限界をすり抜ける意図で分限処分を選択するのであれば、その選択自体が違法というべきです。

●最高裁判決の判断枠組みに照らして
  最高裁は、処分選択・量定の裁量判断において、公務員関係秩序の維持という懲戒処分の制度趣旨に鑑み、「規律や秩序の保持等の必要性と処分による不利益との権衡」という判断方法を示しました。仮にこれを前提とすると、分限処分の場合には、「公務能率の維持及びその適正な運営の確保」の必要性と、処分による不利益の権衡が審査されることになると思われます。
  分限免職処分は、公務員身分自体を喪失させる過酷な処分であり、勤務実績不良や適格性欠如による分限免職の場合には、免許状が失効するとされている(教免法10条1項3号)ことからも、その不利益の重大さは、減給、停職の懲戒処分とは比較になりません。
  分限処分は、懲戒処分以上に、公務員の身分保障の見地から処分権限の発動が制約されているものです。このことは、たとえば、「職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない」との規定に、「身分保障」という表題が付けられていることからも窺えます(国家公務員法第75条)。
 分限制度の目的である「公務能率の維持及びその適正な運営」は、懲戒制度の目的である「公務員秩序の維持」がなされていることを大前提として追求されるべきものです。とすれば、最高裁では、「公務員秩序の維持」の必要性に対して、減給・停職処分は特段の事情がない限り、不利益が大きすぎるとされたのですから、「公務能率の維持」のためにそれをはるかに超える不利益処分である分限免職処分が許容されるとは、到底考えられません。

●分限処分についての最高裁判例
 そもそも、最高裁は、分限処分、とくに分限免職処分に対しては、高いハードルを課してきました。長束小事件・最二小判73・9・14は、「地方公務員法28条所定の分限制度は、公務の能率の維持およびその適性な運営の確保の目的から同条に定めるような処分権限を任命権者に認めるとともに、他方、公務員の身分保障の見地からその処分権限を発動しうる場合を限定したものである。」とした上で、「同条に基づく分限処分については、…もとより純然たる自由裁量に委ねられているものではなく、分限制度の上記目的と関係のない目的や動機に基づいて分限処分をすることが許されないのはもちろん、処分事由の有無についても恣意にわたることを許されず、考慮すべきことを考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮して判断するとか、また、その判断が合理性を持つ判断として許容される限度を超えた不当なものであるときは、裁量権の行使を誤った違法なものであることを免れないというべきである。そして、任命権者の分限処分が、このような違法性を有するかどうかは、同法8条8項にいう法律問題として裁判所の審判に服すべきものである」として、司法による裁量審査の判断基準を示しています。
  同最高裁判例は、地公法28条1項3号の「その職に必要な適格性を欠く場合」の該当性判断について、「当該職員の簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に基因してその職務の円滑な進行に支障があり、または支障を生ずる高度の蓋然性が認められる場合をというものと解される」としています。
  さらに、降任とは異なり、分限免職の場合には「現に就いている職に限らず、転職が可能な他の職を含めてこれらすべての職についての適格性」の有無が検討されねばならず、「免職の場合には公務員としての地位を失うという重大な結果となる…ことを考えれば、免職の場合における適格性の有無の判断については、特に厳密、慎重であることが要求される」としています。
  裁判実務においても、こうした判断基準に照らした厳格な裁量審査が行われてきています。教育公務員の分限免職に係る近時の判例においても、大阪高裁判18・8・29(裁判所HP)、その上告審最三小09・12・4決、京都地裁08・2・28判(裁判所HP)、その控訴審判決09・6・4、その上告審最一小決10・2・25、岡山地判09・1・27(公判速396号)、その控訴審広島高裁岡山支部判09・12・24、その上告審最三小決10・9・21など、取消判決が相次いで最高裁で確定しているところです。

● 加重処分の機械的適用は許されない
 根津さんに対する懲戒免職処分がなされなかった2008年の7月、都教委は、「分限事由に該当する可能性がある教職員に関する対応指針」を策定しました。そこでは、勤務実績不良、適格性欠如の例として「研修を受講したものの成果があがらない」「職務命令を拒否する」「過去に非違行為を行い、懲戒処分を受けたにもかかわらず、再び非違行為を行い、都及び教職員に対する信用を著しく失墜させている」などが列挙され、これにあてはめて分限免職を進めようとしました。しかし、「解雇させない」運動の力で、処分を進めることができなかったことは、周知のとおりです。
 そもそも、不起立は、それ自体が処分の対象とされるものではなく、起立・斉唱の職務命令などを出すことで、作為的に職務命令違反として「非違行為」とするものです。世論調査を見ても「非違行為」としての社会的評価が定着しているとはいえず、子どもたちに不起立の選択肢を示す教育的行為という評価も有力に存在します。
  「不当な支配」に服することなく子どもたちの人権、学習権を守ることこそ、教員の最大の職責であり求められる資質です。卒業式・入学式のあり方に関してこのような職務命令を発し、教員を処分することは、教育の自主性、指導・助言を旨とする教育行政の原則に反しています。
 一連の最高裁判決の中で、宮川裁判官は、10・23通達の意図は、強制に反対する教職員の「歴史観等に対する否定的評価を背景に、不利益処分をもってその歴史観等に反する行為を強制しようとするところにある」(最一小判11・6・6等)との反対意見を述べ、櫻井裁判官は、「一律の加重処分の定め方、実際の機械的な適用は、そのこと自体が問題」で、「自らの信条と尊厳を守るためにやむなく不起立を繰り返す教職員」への「加重量定は、法が予定している懲戒制度の運用の許容範囲に入るとは到底考えられず」(12・1・16最一小判)と厳しく指摘する補足意見を述べています。
「職務命令違反3回で分限免職」の機械的適用は、不正な動機・目的によるもの、ないし裁量権を濫用したものとして、違法無効と判断されるべきものです。

2.「指導、研修」なるものの違憲・違法性

  教職員も適用を受ける職員基本条例の修正案によれば、1回目の戒告処分後に「指導、研修等」、2回目の処分後には「指導、研修等」と免職の警告を行い、なお3回目の不起立があった場合には標準的には分限免職とするとしています。また、職員の懲戒に関する条例の第9条は、懲戒処分を受けた職員に指導を行い「非違行為を反省し、今後非違行為を行わないことの誓約をさせることができる」としています。
 この「指導、研修」なるものの詳細は明らかにされていませんが、橋下氏や松井氏は、「『職務命令に従う』と誓約させ、誓約しない場合は『現場に戻せない』」「違反状態が改善されるまで現場復帰は認めない」と語ったと報道されています。

●「再発防止研修」の違憲・違法性を警告した東京地裁決定
 条例案に盛り込まれた「指導、研修」が、「君が代」斉唱時の起立・斉唱の職務命令に従うことを誓約させ、誓約しない限り現場復帰を認めないといった内容のものであれば、そうした研修は、思想転向の強要と評価するほかなく、その違憲・違法性は明らかです。
  都教委が実施した、不起立・不伴奏で処分を受けた教職員に対する「服務事故再発防止研修」の執行停止を求めた裁判では、裁判所は、申立自体は却下したものの、次のように警告しました。
 「研修の意義、目的、内容等を理解しつつ、自己の思想、信条に反すると表明するものに対して、何度も繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容されている範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生ずる可能性がある」(東京地決04・7・23判時1871号142頁、同旨・東京地決05・7・15)
 「再発防止研修」とは、セクハラや体罰などで懲戒処分を受けた教職員を対象として再発防止にむけて「被処分者が行った非行に対する反省を促す」ものとして位置づけられ、「説諭」の上で「報告書を作成させ」「研修成果に基づき必要な措置を講ずる」ことが実施要綱で定められていました。
  裁判所が上記のような異例の警告を発したのは、以下の事情を認定したからでした。
「本件においては、東京都教育委員会教育長は、東京都議会において、『受講に際し、指導に従わない場合や研修の成果が不十分な場合には、研修終了とはなりませんので、再度研修を命ずることになりますし、また、研修を受講しても反省の色が見られず、同様の服務違反を繰り返すことがあった場合には、より厳しい処分を行うことは当然のことである』と答弁しているほか、相手方が当裁判所に提出した意見書において、仮に、申立人らが研修において、『私は、国歌斉唱時に起立しませんでした。これは客観的には職務命令に即した行為ではありませんでした』とか、『私は、国歌斉唱時には起立しませんでしたが、この件については係争中ですので、この点の見解を述べることは差し控えさせて頂きます』との報告書を作成したとしても、それだけでは、非行に対する反省や本件研修についての理解が十分になされているとはいえず、研修の成果が十分にであるとはいえない」と主張していることを考慮すると、相手方が本件研修及びこれに引き続いて実施しようとしている一連の手続きにおいて、前記のような合理的に許容されている範囲を踏み超える可能性がまったくないとまではいえない。」
  橋下市長や松井知事の発言と同様に、都教委も当初は、反省の意を表明するまで研修と処分を反復することを意図していたのです。
  裁判所のこの警告を受けて、都教委は、再発防止研修の内容を、地方公務員法の関係条文の講義と報告書の作成へと変更せざるをえなくなりました。受講者は「反省文」を書きませんでしたが、再受講を命じることもできなかったのです。
  橋下氏や松井氏がいうような、「職務命令に従うことを誓約させ、誓約しない限り現場復帰を認めない」といった内容、態様の研修であれば、違憲違法と判断されるべきであると考えられます。

3.分限免職の差し止め訴訟は、訴訟要件も本案要件も満たすこと

  最高裁第一小法廷は、2012年2月9日、国歌斉唱義務不存在確認請求事件(通称「予防訴訟」)について上告を棄却する判決を言い渡しました。この判決も、10・23通達に基づき教職員に起立・斉唱、ピアノ伴奏を命ずる職務命令について、違憲違法性を否定した不当判決でした。しかし、懲戒処分の差し止めの訴え、起立・斉唱義務不存在確認の訴えが認められるかという争点に関しては、原審の判断を変更し、「懲戒処分が反復継続的かつ累積加重的になされる危険が現に存在する」として、差し止めの訴えの要件である「重大な損害が生ずるおそれ」はあると認めました。
 本案判断においては、個別具体的な事情が明らかでないとして差し止めを認めなかったものの、1・16判決が示した裁量権濫用の基準に従い、戒告処分を受けた者の減給処分の差し止め請求、減給処分を受けた者の停職処分の差し止め請求については、容認されうることを示唆する判示内容となっています。
   同判決は、東京では免職処分はされていないので免職処分の差し止めの訴えは蓋然性がないとして不適法と判断しています。しかし、「3回で分限免職」と条例に規定された場合には、免職の蓋然性は極めて高いものとなり、分限免職による損害は減給、停職の懲戒処分よりはるかに重大です。分限免職の差し止め訴訟は、訴訟要件を充足するだけでなく、裁量権濫用にあたるとして本案要件も満たすと判断されるべきです。


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