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2012/03/23

保護者の皆様

保護者の皆様
お子様の ご卒業、おめでとうございます。

 本日お子様がご卒業を迎えられた保護者の皆様に、心からお祝いを申し上げます。
 皆さまの中にはお子様の命の危険にご心労を重ねてこられた方もいらっしゃると思います。そうしたことを経て成長されたお子様の姿には、とりわけ感慨ひとしおのことと存じます。

 さて、卒業式には「日の丸」が掲揚され、式の初めには「国歌斉唱」が行われます。それは当然のこと、と思われる方は多くいらっしゃるかと思います。私は 1 年前にここ、あきる野学園を退職するまで、「君が代」斉唱の際、起立をしなかったことにより 2004 年度から毎年処分をされ、2007 年度からは停職 6 か月処分を 3 回受けました。
 東京都教育委員会は2003年10月に「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」を出しました。そこには「教職員が本通達に基づく校長の職務命令に従わない場合は、服務上の責任を問われる」と書き、校長には教員に宛て「君が代」斉唱時に起立を求める職務命令を出させ、その職務命令を以って「君が代」で起立をしない教員の処分を始めました。不起立 1 回目は「戒告」処分、2回目は「減給1カ月処分」と、不起立を重ねるごとに処分を重くして行きます。この8年間で、東京の教員延べ437人が処分をされました。
 今、大阪府での「君が代」起立命令と処分が報じられていますが、東京や大阪のような処分は、全国的に見れば突出しています。世界的に見ても、近代・民主主義国家でその例はありません。

 ここで、《なぜ、私は起立の職務命令に従わなかったのか》を述べます。
 「日の丸・君が代」は戦前・戦中の学校教育で戦意高揚のために使われ、子どもたちを戦争へと駆り立てました。戦後の教育はその反省から出発し、「日の丸」掲揚は文部省が禁止し、また「君が代」は禁止とはなりませんでしたが、ほとんどの学校で斉唱を止めました。日常の教育活動も学校行事も、子どもたちの意見を聞き、各学校の職員会議で丁寧に論議し決定して行ってきました。卒業式も子どもの成長を喜び、巣立ちゆく力を更に育むために子どもたちと 教員とで作り上げたものでした。しかし、国は教育の柱に「愛国心」、「日の丸・君が代」を置くように教育法規を徐々に変えて行きました。東京では上記通達を以って、「卒業式の主催者は東京都教育委員会」だとして、「国旗に正対し、国歌を起立して斉唱する」ことを卒業式の最大の狙いとし、職務命令と処分を使い始めました。式に厳粛さを求め、子どもたちの卒業制作を飾ったり、子どもたちが気持ちを表現するなどの、それまで行ってきた和気あいあいの式を禁止しました。子どもよりも国旗国歌が主人公になったような卒業式には違和感を禁じえませんでした。
  私は、「日の丸・君が代」の歴史や意味を教えずに、国旗国歌の尊重を体を通して教え込むことは、教育に反する行為であり、戦前・戦中の誤った教育の轍を踏むことだと考えます。「日の丸・君が 代」をめぐっては、国民の間で意見が分かれます。そうした問題について学校教育が、「国旗国歌を尊重せよ」と一方の価値観を教え込むことは、してはならないことだと思います。

  都教育委員会は、「起立する教員と起立しない教員がいると、児童・生徒は起立をしなくてもいいものだと受け取ってしまう」。だから起立しない教員を処分するのだと言います。処分で脅し、全教員が起立すれば、それを見る子どもたちは、「君が代」では起立・斉唱するものだ、国旗国歌は尊重するものだと受け取るでしょう。子どもたちは、指示には考えずに従うものだとも受け取るでしょう。このような一方の価値観の教え込みに加担することは、私にはできませんでした。
 人々がいろいろな考え方・価値観を持つことを日本国憲法は保障しています。子どもたちにも当然保障しています。私は子どもたちにそのことを折に触れ、伝えたいと思ってきました。だから間違いだと思うことには手を貸さないで、反対の意思を表明することや、正しいと思うことは一人でも行動することを大切にしてきました。人と違っていいのだということを自身の日常の行動で伝えたいと思い、子どもたちと接してきました。子どもたちには指示に従順になるのではなく、自分の考え(思いや要求)を主張できる人になってほしいと思います。このことは、人が生きる上で大事なことだと私は思うのです。競争に勝てないのは自己責任、という風潮が強くなり、福祉が切り捨てられる一方の今、私はいっそうこのように思います。かつてのように「お国のため進んで死を選ぶ」という悲しい選択を二度としてほしくないと思うのです。
 ですから、私は処分をされても、間違っていると思う職務命令には従わなかったのです。

  私は本日卒業する高等部と中学部の生徒たちを授業で担当したので、生徒たちとの思い出がたくさんあります。卒業式に参列しお祝いしたいと思い、申し出たところ、校長は「旧職員の出席は断る。外部の人で出席できるのは招待した来賓のみ」と言い、私の出席を認めてくれませんでした。悲しい気持ちです。
  「ご卒業、おめでとうございます。自分の気持ちを大事にし、誇りを持って生きていってください」と、どうぞお子様にお伝えください。
   
  もう一つ、お知らせすることがあります。
 A小学部担当の田中聡史さんは、22日の卒業式で「君が代」斉唱時に起立はしないと決めています。これまでも田中さんは起立をせず、今年の入学式では「戒告」処分にされました。
  今年1月に出された最高裁判決は、「不起立行為に対する懲戒において戒告を超えるより重い減給以上の処分を選択することについては…慎重な考慮が必要となる」と、都教育委員会の処分が重すぎることを戒め、一部処分の取り消しを都教育委員会に命じました。
  田中さんが今回不起立したことに、都教育委員会は減給処分をするのか、また、これから先は? と、心配です。
 どうぞ田中さんの起立しない思いを受けとめ、声をかけて支えていただけたらと思います。

 最後に、皆様のご多幸を心よりお祈りいたします。

根津公子(2008~2010 年度あきる野学園に在職し、退職)



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