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2013/11/14

都庁前通信

F20131114

「はだしのゲン」の撤去問題、東京でも

 1件の陳情とそれに乗じた一部議員の動きに、島根県松江市教委が漫画「はだしのゲン」(中沢啓治作)を小中学校の図書室から撤去したことが明るみとなり、市民から批判が起き、その声は全国に広がり同市教委は閲覧制限を撤回しました(8月26日)。
 しかし、歴史の事実を子どもたちに教えたくない人たちは各地に存在するもので、撤去を求める請願運動がいくつかのところで起きています。 東京では練馬区教委に、「はだしのゲン」を有害図書だとして教育現場からの撤去を求める陳情が提出されました。
 その動きに対しただちに、『はだしのゲン』の自由閲覧を求める練馬区民の会が結成され、同会は全国から寄せられた9000筆以上の署名と、『ゲン』を撤去しないようにとの陳情書を区に提出しました。撤去をしないことを求める陳情はほかに、あと2件出されています。これら4件の陳情は、11月5日の教育委員会で継続審議となりました。練馬区教委が閲覧制限を求める圧力に屈することのないように、注視していきたいものです。

 『はだしのゲン』の自由閲覧を求める練馬区民の会が「はだしのゲン」について書いている次のことばを紹介します。
 「『はだしのゲン』が表現している日本軍の中国などに於ける行為の描写は、普段はやさしい、ごく普通の人間が、戦争という極度の恐怖に追い込まれたとき、想像を絶する蛮行に及ぶことを伝えるものであり、現実を直視することによって、未来に生きる子どもたちが、再び戦争に突入することのない、平和な社会を築くことを、マンガを通して訴えたものです。」 
 子どもたちだけでなく、大人たちにとっても学ぶことが詰まっていると思います。

「君が代」を国歌とし、学校教育に強制したのは「天皇の政治利用」ではないのか

 山本太郎参議員が園遊会で天皇に手紙を渡したことが「天皇の政治利用」だとして自民党や維新の会の橋下氏たちが批判してきましたが、ここに来て、懲罰動議は見送られたようです。「天皇の政治利用」をこれまでずっと行ってきたのは自民党です。

 日本国憲法は「国民主権」という基本原理から「天皇の政治利用」を禁じています。それなのに、天皇を讃える歌「君が代」を国歌としたことは、「天皇の政治利用」なのではないでしょうか。 2004年の園遊会で米長教育委員(当時)が「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」と天皇に告げたのは、「君が代」が天皇を讃える歌であることを意識しての行為であったことは明らかで、やはり、「天皇の政治利用」でしょう。
 最近では、4月28日、政府は沖縄県民の怒りを無視して「主権回復式典」を強行し、“お墨付き”のように天皇夫妻を出席させたこと、2020年の東京オリンピック招致に際し、IOC委員が皇太子を訪問し、日本のプレゼンに高円宮久子氏が同行し登壇したことは、猪瀬都知事や安倍首相が「天皇・皇室の政治利用」を意図的意識的に行った結果でした。 さらには、自民党の憲法改正草案には、「天皇を元首とする」とあります。「政治利用」を超えて、憲法の基本原理〈国民主権〉の否定につながりかねません。 
 ことばに惑わされずに、ことの本質を見ていかないと、とんでもないことが起こされかねません。



■10月24日教育委員会定例会傍聴報告
――習熟度別授業や補習の強制にまったく問題を感じない教育委員たち

 公開議題2議題の一つ、「全国学力・学習状況調査の結果について」 を報告します。
 いわゆる全国学力テストの結果についてです。今年4月に行った学力テストの東京の結果は①小・中ともすべての教科で全国の平均正答率を上回っている。 ②特に中学校は21年度と比較して上昇している。 ③ (②の理由は)習熟度に合わせた教材使用の学校が増えたことと、放課後を利用した学習サポートを実施している学校が増えたこと。 しかし、④東京に比べ、学力調査上位県(秋田県)の児童・生徒は「家で、テストで間違えた問題について勉強している」割合がぐんと高い。⑤今後、一層、習熟度別指導や放課後等を活用した学習サポート(=補習)に取り組むということでした。
 都指導部は上位県との学力の違いの原因を「東京の生徒がテストで間違った問題を家で復習する率の低さ」と分析し、“放課後の補習授業をいっそう推進する必要性がある”と強調しました。しかし、「放課後、補習授業をしている学校の割合は 東京94%(3年前は91%)、 全国86%」(指導部)とのこと。補習授業をしている学校の割合はすでに全国に比べ、10%以上も東京が上回っているのです。東京が「学力向上は補習授業、習熟度別授業の充実にある」として、全国に先がけて推進してきたことがよく窺えます。しかし結果は?!上記③と平均点が上がったこととに因果関係があるとは思えません。指導部も教育委員もこのことをどのように考えているのかと疑問に思いました。
 習熟度別授業の弊害についても、委員の誰からも疑問が出されなかったことには首をかしげました。「できる」「普通」「できない」のコースに分けられての授業形態が生徒に優越感や劣等感を与え、その弊害は現場では問題にされてきたところです。「できない」コースの授業そのものが成立しない状態は、教員であれば、目にしてきたことです。教育委員の皆さんには、子どもたちの悲鳴が聞こえないのでしょうか。
 子どもたちが勉強すること・わかることを楽しいと思えるような授業形態や授業内容の編成は、現場を知る教員たちに任せるべきことです。そのための支援や30人学級実現の条件整備が教育行政の仕事です。本来の仕事に都教委は力を注ぐべきです。

 文科省がこれまでの見解を変えて学力テストの結果を学校別に公表することを検討し始めたことに関連して、都教委はどうするのかと竹花委員から質問が出されると、「区市町村教委も公表してよいと都教委は考えている」(指導部)と回答し、次回以降は学校別の結果公表を行うことをほのめかしました。
 都の学力テストの結果が悪かった足立区では2005年のテストの際、学校間で順位を争い、点数の取れない児童・生徒に欠席を求め、また、教員が机間巡視をして誤答を指さし正解に導く、誰が見ても不正であることが、かなりの数の学校で組織的に行なわれました。しかもそのことが発覚したのは1年半後、教員や校長からではなく、保護者からの通報によるものでした。
 このような醜いことが子どもたちの前で行われたことを良しとする人は、いないはずです。しかし、その反省を都教委が全くしていないことが、都教委の今回の発言からわかります。教育行政は、1964年に学力テスト(=学テ)が廃止になった主な理由が、競争の過熱・不正であったことを忘れてはなりません。

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