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2016/04/28

都庁前通信 2016年4月28日号

F20160428

卒業式での「君が代」不起立等処分(その2)   
不起立は子どもたちの未来を護るため

 都教委は3月25日、卒業式で「君が代」起立を拒否した、或いは「君が代」斉唱時に入場しなかった高校の教職員3名に対し戒告処分を、さらに4月15日には、3月24日の卒業式で「君が代」起立を拒否した石神井特別支援学校教員Tさんに対し、減給1か月処分を強行しました。
 私たちは都教委の「君が代」処分に反対し抗議等の行動をしています。それは、「日の丸・君が代」の強制と処分が教職員個人の思想信条の問題にとどまらず、教育に対する支配介入・教育破壊であるからです。都教委が「君が代」処分を始めた2004年から不起立・不伴奏等で処分された教職員延べ478名は共通して、「考えずに指示命令に従う子どもをつくってはいけない」「教え子を再び戦場に送ることには加担しない」と考えて、「君が代」拒否をしてきました。

■教育が求めるのは、指示命令に従順な子どもか、自分の頭で考え行動する子どもか

 「起立する教職員と、それを拒否する教職員とがいた場合、その指導を受ける児童・生徒としては、・・・国旗・国歌を尊重する態度を学ぶことができなくなる」「会場全体が厳粛かつ清新な雰囲気につつまれることは、児童・生徒にとって、無形の指導」と都教委は言い、「君が代」処分を行っています。
 国旗国歌法は国旗・国歌を尊重することを求めてはいません。それは憲法 19 条「思想・良心の自由」に抵触する恐れがあるからです。しかし都教委は全教職員が「君が代」起立斉唱する姿を見せることによって、子どもたちが「日の丸・君が代」を尊重することを求めています。その妨げになるから、都教委は教職員が子どもたちに「日の丸・君が代」の歴史や意味を教えることを事実上禁止し、「君が代」起立等を拒否した教職員を処分するのです。
 自分の頭で考え、判断する子どもに育つよう、その手助けをするのが教育であり、教員の仕事だと私たちは考えますが、文科省や都教委は自分の考えを持たない従順な「国民」をつくろうというのです。
 いま、安倍政権のもとで、民主主義の根幹をなす権利「言論や表現の自由」が急速に蝕まれてきています。放送などメディアへの露骨な介入と特定秘密法案による情報隠しで国民の知る権利は脅かされています。最近来日した国連人権理事会の専門家も、電波法をめぐる高市総務相の発言に「報道の自由の危機」と警告しています。上からの指示・命令に無批判に従う、自分の考えを持たない従順な人間は、こうした政府の情報操作に容易にだまされることになります。情報隠し・虚偽の情報が戦争への道であることは歴史が示しています。イラク戦争は「フセイン政権が大量破壊兵器を保有」というウソで始められました。安保関連法が施行され、自衛隊が戦地に派遣されることが現実となった今、学校は「再び教え子を戦場に送る」教育に協力することを求められています。その第一歩が「君が代」起立・斉唱です。

■「君が代」不起立等で「減給処分は違法」

 Tさんに対し都教委が2013年以降行ってきた減給1月処分は、「戒告を超える重い処分は違法であり、都教委の処分権の乱用」とした2012年最高裁判決を無視し強行するものです。私たちは司法判断が公正中立とは思っていませんが、都教委に最高裁判決を無視する権限はありません。減給1月処分は、10分の1を1月減給されるだけでなく、6月勤勉手当が35%減額され、さらに定期昇給がマイナス4号給(事実上、定期昇給がない)にされます。これは、不起立教員の生活を脅かすことで思想転向を迫るものです。都教委は処分を撤回せよ!


4月14日都教委定例会傍聴報告

 公開議題は①「『東京都教育ビジョン(第3次)』の一部改正について」の議案と②「来年度使用都立高校用教科書の採択について」の報告のみ。以下、「東京都教育ビジョン(第3次)」の一部改正について報告します。
  昨年4月、教育委員会制度が変わって首長が直接、教育に口を出せるようになったのを受け、舛添都知事は3回の総合教育会議を開催し、昨年11月に「東京都教育施策大綱」を策定した。その大綱は、「東京都教育ビジョン(第3次)」(2013年4月策定)が柱とした「知」「徳」「体」「「学校」「家庭」「地域・社会」の6つの柱に、知事の意向で「オリンピック・パラリンピック教育」を加えたというもの。オリンピック・パラリンピック教育を「大綱」入れたので、「東京都教育ビジョン(第3次)」にもオリンピック・パラリンピック教育を入れるというのが、今回の議案「一部改正」であった。知事がオリンピック・パラリンピック教育を打ち出すや、都教委がその実施に向けて疾走してきたことは、これまでの傍聴報告に記してきた。
 今回、それを網羅して 1 冊の「東京都教育ビジョン(第3次)」にまとめた。次期「東京都教育施策大綱」の策定が2年後なので、「ビジョン(第3次)」の計画期間は2年間という提案であった。
今年度4月から、小学校から高校まで東京のすべての公立学校で、オリンピック・パラリンピック教育が始まった。オリンピック・パラリンピック学習読本やDVD教材、英語教材「Welcome to Tokyo」を使った授業や全員参加のボランティア活動等の取り組みが年間35時間も課せられた。学習読本等を3月末までに学校に送り、4月から取り組めという施策はあまりにも拙速だ。意見の違い以前の問題である。
 通常、学年や全校で新たな取り組みをする場合には、教職員間で学習・議論を重ねるものだ。しかし、都教委はその時間を学校に与えなかった。学校・教職員は都教委の指示通りに動けばいいのだという都教委の考えなのかもしれないが、都教委の中に、拙速ではないかという声は起きなかったのだろうか。都教委自体が上(知事)の指示に従うことがすべてという、その思考停止が怖い。組織として機能していないということだ。
 「オリンピック・パラリンピック教育重点校」(100校)はさらに多くの取り組み(負担)が課せられ、子どもたちが動員させられている。

 「一部改正」案の提案説明者は冒頭、「オリンピック・パラリンピック教育が目指すことは、教育が目指すことと同じです」と切り出し、以下、オリンピック・パラリンピック教育を新たに加えた意義や都教委の教育施策について述べた。これらの教育施策も、君が代斉唱強制、従わない教員の処罰という都教委の行動を見れば、ここで言われている「一人一人の個性や能力に着目し、最大限伸ばす」、「社会の一員としての自覚と行動力を育成する」も個の人格的成長ではなく、これまでの、指示命令に従う人材育成、エリート育成・ノンエリート切り捨ての施策だ。
 説明を受け、5人の教育委員のうち4人がコメントなのか感想なのかを一言ずつ述べたが、いつもながら、およそ議案を検討し議決するという発言ではなかった。
 ただ一人、木村教育委員は「2年で成果が出ていないのではないか」と発言したが、それで終わり。そう懸念したのならば、きっちり議論を提起すべきであったろう。それが、教育委員の仕事であろうに、それはしない。そして、この議案は可決された。

 オリンピック・パラリンピック及びその教育にかける税金は、子どもの貧困や福島原発被災など、今深刻な状態に置かれている人たちの救済に回すべきものだ。今回の熊本地震の被災地の復旧には膨大な費用がかかることは間違いない。福島原発事故でもまだ10万人近くが避難生活を余儀なくされている。オリンピック・パラリンピックに費用・時間・人手をかけることはこれら緊急に救済を必要とする人たちの願いを無視することになるのではないか。今ならばまだ引き返せる。オリンピック・パラリンピックは本当に必要なのだろうか。

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