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2016/12/22

都庁前通信 2016年12月22日号

F20161222

原発事故の現実を押し隠す「オリンピックの欺瞞」
~谷口源太郎さん講演

 リオが終わりいよいよ本番とばかり2020東京オリンピックへ官民一体の本格的な取り組みが始まっている。このままその渦にまきこまれていいのだろうか。オリンピックを原点にもどって考えようと、スポーツ評論家・谷口源太郎さんの講演会「オリンピックの闇と病み」(主催:河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会)が12月4日東京・スペースたんぽぽで開かれた。
〈たにぐちげんたろう:スポーツを社会的視点からとらえた批評を手がける。著書に「日の丸とオリンピック」(文藝春秋)「スポーツの真実」(三一書房)等。「週刊金曜日」でお馴染〉 

 谷口さんは、冒頭、福島の原発問題こそ、2020年東京オリンピックが抱える根本的欺瞞だと訴えた。10月にIOCのバッハ会長が、野球・ソフトボールの開催を福島で行うと提案した。「復興の意味でパワフルなメッセージになる」というのがその理由。しかし、帰還を迫られる現地の人々は、オリンピックどころではないというのが本音だ。汚染水の垂れ流しは続き、緊急事態宣言は、まだ生きている。「その中でオリンピックを呼ぶ非人間性はもっと告発されなければいけない」と、谷口さんは力をこめる。しかし、マスメディアは沈黙したまま。
 8月にNHKの解説委員がニュース番組で、オリンピックのメリットを5項目あげ、その第一番目に「国威発揚」を挙げた。民放では、かなり前から、スポーツに関する批判はタブーになっているという。2018韓国・平昌(冬季五輪)と2020東京の放送権料は660億円。その中で「いかにスポーツタレントを生み出すか。金メダリストを視聴率稼ぎの目玉商品にするかが、目的になっている」。大手新聞も、各社150億円でスポンサー契約を行い、自ら応援団を自称している。こうした事態の中で、「一般の人たちは、オリンピックの抱える問題を聞く手立てがない」と谷口さんはなげく。
 そもそもオリンピックは、どこから変節してきたのか。1980年のモスクワ大会は、ソ連のアフガニスタン侵攻を理由に西側諸国がボイコット。「オリンピックが理念として掲げた相互理解、平和運動としての在り方を根本から覆した」。84年のロス五輪では、市が税金を出さないと決定したことから、大企業がスポンサーになり、徹底した商業主義を展開。これが大成功したことから、IOCは以後、自らを企業化し拝金主義の流れが決定した。
 それでは、今回の東京オリンピックについて言えば、「安倍・森(オリンピック組織委員会会長)の狙いは、国威発揚と国家威信を世界に顕示すること」。国家プロジェクトなのだから文句を言わずについてこいというのが、彼らのやり方だ。森は“one for all, all for one”という言葉が好きだが、“チームワークとともにひとり一人の助け合いも大切だ”と言っているこの言葉を、これこそ“滅私奉公”だと真逆のコメントをしている。「金メダル30個の目標を掲げ、原発事故の現実を押し隠す“復興オリンピック”こそ、最大の欺瞞だ」と谷口さんは語った。
 いまオリンピックは、自然破壊や巨額の経費が批判され、立候補をとりやめる都市が続出している。「理念も理想もなくなったオリンピックは確実に終焉に向かっている」と谷口さんはしめくくった。
オリンピック予算は2兆円近くに膨らむ一方で、原発事故の自主避難者への住宅支援(70億円・年)は来年3月で打ち切られようとしている。〈東日本大震災復興支援五輪〉の原点に戻って考えよう。
(レイバーネット日本 http://www.labornetjp.org/news/2016/1204sasaki


11月24日都教委定例会傍聴報告

 

■いじめ対策を言うならば、東京で起きたいじめ自殺等について明らかにせよ

 報告議題「いじめ総合対策【第2次】(案)」について、以下報告します。
 いじめ問題対策委員会からの「最終答申」(2016年7月28日)を受けて、都教委が出した「いじめ総合対策【第2次】(案)」の報告。12月24日までパブリックコメントを募集し、2月の教育委員会定例会で「いじめ総合対策【第2次】」を策定、来年度から学校において取り組みを開始するという。
 案は、「軽微ないじめも見逃さない《教職員の鋭敏な感覚によるいじめの認知》」「教員一人で抱え込まず、学校一丸となって取り組む《「学校いじめ対策委員会」を核とした組織的対応》」を始めとする6つのポイントを掲げ、未然防止、早期発見、早期対応、重大事態への対処の4つの段階に応じた具体的取組をあげる。いじめ防止の取り組みを推進するにあたっては、「いじめの件数が多いことをもって、その学校や学級に問題があるという捉え方をしない」などの注意事項が書かれている。
 「きめ細かく、素晴らしい」などの意見が教育委員からあった。しかし11月10日の定例会で今年4月から6月までのいじめ調査の集計報告がなされた際に、「学校いじめ対策委員会が組織的に対応した学校が増えた」が、「教員とスクールカウンセラーが連携して対応した事例のうち、効果が見られた事例の割合が、どういうわけか、過去2年間よりも減少した」と報告された。こうした事実について、それがなぜなのか、教育委員から意見はなかった。
 横浜に自主避難した中学生へのいじめの件に触れ、「賠償金云々は、大人の話。大人に理解を得る働きかけも大事」(宮崎教育委員)との発言には同意する。しかし、東京で起きてきたいじめによる自殺等については、これまで、誰も一度も触れてこなかった。昨年9月、大月駅で自殺した都立高校生の件、今年4月に同級生から殴られて死亡した青井小学校の件について、都教委はどのような調査をし、どう判断したのか、再発防止に向けて各学校にどのような指導をしたのか等を明らかにすべきだ。対策の実効性を検証するためにも、こうした実際に起きたことにきちんと向き合うことが必要だ。
 案の最後のページには「東京都の公立学校から巣立つ子供たちに伝えたいメッセージ」だとして、「人間と社会」(都立高校で昨年度から週1時間の必修を課した教科の、都教委作成の「教科書」)の最後のページを転載している。そこには、「多様な人と出会、関わり、時にはぶつかり、高め合えるからこそ、私たちは幸福な人生を切り拓き、よりよい社会を、豊かな未来を築くことができるのです。何よりも、違った意見をもつ者同士の調整を図ることができること、それこそが人間らしさなのです。」とある。ここで言う、「違った意見をもつ者同士の調整を図る」とは何なのか。「日の丸・君が代」については、教員だけでなく子どもたちにも「君が代」起立を強制し、「お前が起立するまで式は始めない」と学校・教員が子どもを恫喝する現実。「違った意見をもつ者」も、上の考えに合わせて「調整を図れ」ということなのか。言葉はきれいだが、人間的でも教育的でもなく、恐ろしい。

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