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2017/02/23

都庁前通信 2017年2月23日号

F20170223

 道徳の教科化、小学校からの英語、プログラミング教育、政府見解の記述を求めた社会科教科書検定基準等々、政府・財界の求める「人材」づくりが学校教育を使って急ピッチで進んでいる。教員と子どもたちとの人格的触れ合いの中で子どもたちの人格が育っていくことより企業に役立つ人材を、そして、経済格差と教育格差が問題となっている中で、ごく一部のエリートと大多数の指示命令に従う人材を作っている。ここに来て文科省は「愛国心」=「日の丸・君が代」の刷り込みを、幼稚園・保育園児にまで広げることを宣言した。判断力の十分でない幼いうちに「愛国心」を注入しようというのだ。国が教育を軍国主義・国家主義注入の手段として使い、子どもたちを戦場に送ってしまったという反省から戦後日本の教育が始まったことを忘れてはいけない。国民の精神を改造することは、戦争のできる国づくりのために欠かせない施策の一環だ。文科省や都教委による子どもたちの洗脳を許してはならない。


幼稚園で国歌  刷り込みにならないか

  幼稚園や保育所で幼い子どもに歌わせることがふさわしいのか。国は現場に押しつけるべきではない。
  文部科学省が幼稚園の教育要領案で、文化や伝統に親しむ例として、唱歌やわらべ歌とともに「国歌」を示した。小中高校の学習指導要領にあたるものだ。厚生労働省もそれを踏まえて、保育所の運営指針の改定案に、国旗と国歌に親しむことを明記した。
  伝統的な習わしや文化に親しむことは大事だろう。ただ、なぜ君が代でなければならないのか。
  かつて国家主義や軍国主義に結びついた歴史的な経緯から、教育の場へ持ち込むことに反対する声は少なくない。幼い子どもたちに歌わせることは“刷り込み”にもなりかねない。
  日の丸、君が代は、小中高校の学習指導要領に入学式や卒業式で「指導するものとする」とされた1980年代以降、現場への締めつけが強まった。お墨つきを与えたのが国旗・国歌法だ。
  国として強制したり義務化したりすることはない―。99年の法制定当時、政府は述べていた。ところが文科省は各学校に掲揚と斉唱の徹底を求め、実施状況を調査して圧力を強めた。
  従わない教員への懲戒処分も相次ぐ。それに対し、憲法が定める思想・良心の自由を侵害しているとして、処分取り消しを求める訴訟が各地で続いている。
  安倍晋三政権下では、国立大学の入学式、卒業式でも掲揚と斉唱を求める声が上がり、文科省は一昨年、「適切な対応」を要請した。学問の自由を尊重する姿勢を欠く不当な介入と言うほかない。
  そして今回、幼稚園や保育所にも持ち込もうとしている。幼児教育から高等教育まで、あらゆる段階で国家統制の色合いが強まっていかないか、心配になる。
  教育は政治権力から独立して行われるべきものだ。国の責務は基盤や条件の整備にあり、教育内容への関与はできる限り抑制的でなければならない。学習指導要領が法的拘束力を持つことを最高裁の判決は示しているが、あくまで大綱的な基準としてである。
  政府の考えを現場に押しつけることは教育をゆがめる。子どもが生き生きと学び育つことにつながらない。要領や指針の本来の趣旨を超えた干渉はすべきでない。
  君が代、日の丸の強制は弊害を生んできた。幼稚園や保育所にまで持ち込むのを避けるとともに、教育の場での扱いをあらためて議論し、見直す必要がある。(2月16日信毎 web)


2月9日都教委定例会傍聴報告

■「いじめ総合対策〈第2次〉」の策定――いじめに向き合うことのないいじめ対策か?
 11月に提案され、パブコメを募集、そして今回上下2巻の冊子を作り、全教員に配布し、学校・教員がいじめ防止・解決に向けた取り組みをするよう指示する。実施期間は来年度から向こう4年間。
 上巻は4つの段階「未然防止、早期発見、早期対応、重大事態への対応」に応じて、学校の具体的取組を説明する。例えば、重大事態への対応(サブタイトル「問題を明らかにし、いじめを繰り返さない学校づくり」)では、「年間3回以上実施する校内研修のうち、1回以上」は「(重大事態の)内容を確認し、理解を深める」「対処に係る責任は、学校のみならず、所管教育委員会や地方の公共団体の長にまで及ぶことを十分に理解すること」「子供や保護者から申し立てがあった場合は、必ず重大事態が発生したものとして、調査・報告に当たること」とある。
 下巻の前半は、小学校低学年・高学年・中学校・高校・特別支援学校別に授業教材・資料を示し、その授業の展開例、板書例を4例ずつ示す。「教員が自信を持って授業をできるよう、都教委は学校・教職員を支援する」というが、子どもたちの生活の中で起きているいじめの現実に蓋をしているのでは、いじめは解決しない。現実に起きている学級・学年でのいじめに子どもと教員が向き合うことが大事であり、必要なのだ。文科省・都教委がいじめ調査を年に数度してもいじめがなくならないのはなぜか、福島から避難した子どもたちが教員からもいじめを受けるのはなぜかについて考えたなら、子どもや教員が目の前で起きているいじめに向き合うに至らなかったことがわかるのではないか、と思う。
 下巻の後半は年間3回以上実施する校内研修のプログラム及び、いじめに対処した成功事例をあげる。2冊で260ページに及ぶ。忙しい中で、しっかり読む教員がどれほどいるだろうか。
 冊子について、どの教育委員も「充実した内容」「素晴らしい資料」と絶賛したが、自身の責務を忘れてはいないかと思った。上巻「重大事態への対応」を読めば、子どもや保護者からの訴えにはその意思を尊重して丁寧に当たり、学校及び教育委員会は責任を持って対処しなければならない。しかし、一昨年9月、いじめが原因で自殺した小山台高校生の遺族が昨年 2 月に高校に調査結果を求めたが提供されなかったため、4月に都教委に情報開示請求をしたところ、都教委は「調査部会が干渉や圧力を受ける恐れがある」として、24ページの一部あるいは全てを黒塗りにして回答した。都教委は「真相を究明したい」という遺族の気持ちを踏みつけたのだ。
 都教委のすべきことは、この事件について一刻も早く、遺族に対して情報を提供した上で、東京のすべての学校に、身近なところで起きてしまったいじめの実態を知らせるとともに、教員研修、授業の取り組みを促すことである。そうすることによって、冊子が「絵に描いた餅」ではなく、活かされるのだ。このことを、都教委関係者に喚起したい。

■管理職手当支給に関する規則の一部を改正する規則の制定について
 校長に次ぐ地位なのに忙しすぎてなり手が少ない。定年退職をした再任用者を充てても副校長に欠員が生じる事態に都教委は、副校長の管理職手当を現行月額72300円から改正後80700円(再任用副校長では53000円から59200円)に上げるという「改正」案を提案、可決した。この程度のお金で、釣られる教員がどれほどいるだろうか。
 東京都では本人の希望で副校長職から降りたのは25人と前年度より4人増えた。都の副校長選考試験の受験倍率は毎年1.0倍台だ。
 主任教諭、主幹も含め、管理職のなり手が少ない現状の中、今後は副校長の受験資格を現行の主幹教諭だけではなく、主任教諭からの登用も考えたいとも発言。都教委が学校支配をやめ、教員みんなが自由に話し合って、協力して学校運営に当れるように、各学校に決定権を返さない限り、働く意欲は高まらず、管理職の受験倍率は上がらないと思う。

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