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2017/11/24

都庁前通信 2017年11月24日号

F20171124

都教委調査「中学校教員の68%が過労死ライン」
―都教委の意識改革が必要だ

11月9日の都教委定例会報告「都公立学校教員勤務実態調査の集計について(速報値 調査期間は6月19日から7月16日のうちの連続する7日間)」で表題の結果が発表された。それとともに、「学校における働き方改革推進プラン(仮称)」中間まとめが報告された。
 中学校教員の68.2%が過労死ライン(週60時間)を超える長時間労働をしている。小学校37.4%、高校31.9%、特別支援学校43.5%と並ぶ。また、副校長では小学校84.6%、中学校78.6%、高校58.3%、特別支援学校86.7%が過労死ラインを超えるというひどさで、副校長のなり手が少ないのはうなずける。
 この結果を踏まえて都教委が出した「学校における働き方改革推進プラン(仮称)」の内容は、 「当面の目標」を「週あたりの総在校時間が60時間を超える教員をゼロにする。」そのための「取り組み」は「平日は、1日あたりの在校時間を11時間以内とする」「土曜日、日曜日については、どちらか一方は必ず休養できるようにする」という。
 また、「取り組みの方向性」として次を挙げる。

ア.働き方の見直しに向けた意識改革(勤務時間を意識した働き方をするように等) 
イ.教員業務の見直し(給食費等の徴収・管理を事務職員が行う、教員が在宅でも仕事ができるようにする等)
ウ.教員を支える人員体制の確保(スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置促進、学校支援ボランティアによる支援)
エ.部活動の負担軽減(「部活動指導員」の配置、地域人材の活用)
オ.ライフワークバランスの実現に向けた環境整備(病児保育や家事代行付きのベビーシッター利用の支援等)

***** ***** ***** ***** *****

 「学校における働き方改革推進プラン(仮称)」には、教員の長時間労働の一番の原因が都教委・文科省にあることの認識がまったくない。一言の反省の弁もない。教員の意識改革ではなく、都教委の意識改革が必要だ。
 子どもたちのことを知る教職員が、どのような教育をするかを職員会議で論議し決定して仕事をしてきた時代(2000年以前)には過労死ラインの長時間労働は多分ほとんどなかった。都教委(文科省)が職員会議を指示・伝達の場に変え、教育内容を指示・強制し、また書類の提出を強制したことで教員の仕事が凄まじく増えた。都教委が施策にあげる各種の○○教育(年間35時間ものオリンピック・パラリンピック教育等)、土曜授業の強制や押し付け「研修」、各種の調査報告、業績評価のための自己申告書、授業プラン等々の作成・提出を課すなどだ。
 解決策の第1は、教育行政が介入を止め、各学校に職員会議の決定権、教育課程編成権を戻すこと。第2は、少人数学級や複数担任制にすること。この2点を実行することだ。
 しかし、都教委の「プラン」にはそういった解決策は一つもない。スクールカウンセラーを配置するというのならば、フルタイムのカウンセラーを雇用すべきなのだ。週1日の「勤務」では子どもとの信頼関係を築く時間がなく、子どもたちはスクールカウンセラーに相談しない。カウンセラーに仕事を振り向けても、かえって教員の仕事量を増やすだけ。そうした現実を筆者も在職中に見てきた。昨年11月10日の定例会において都教委はいじめ問題への取り組み報告の中で、「教員とスクールカウンセラーが連携して対応した事例のうち、効果が見られた事例の割合が、どういうわけか過去2年間よりも減少した。」と言っていたが、今回の施策もこうした事実・現実から学んでいない。学校支援ボランティア等にしても、同じことが言えるのではないだろうか。
 イ「在宅で仕事ができるようにする」(仕事の持ち帰り)では、仕事量が減るわけではない。なお、10年前までは多くの教員が仕事の持ち帰りをしてきたが、「個人情報の漏洩」を理由に都教委が禁止した。オは「ベビーシッター利用の支援」をするから、「我が子の病気ぐらいで休暇を取るな」との声が聞こえてきそう。かたちをつくろっている、としか思えない「プラン」。ある傍聴者は、「まさにマッチポンプだ!」と怒った。都教委が次々に打ち出す教育施策が教員の過労死ラインの働き方に拍車をかけていることに、都教委は気づくべきだ。

■上記以外に定例会で報告されたこと

 「東京グローバル人材育成計画’20(Tokyo Global STAGE’20)」(素案)。
 都の長期計画(都民ファーストで作る「新しい東京」~2020年に向けた実行プラン)、「東京都英語教育戦略会議報告書」(2016.9.8)をベースにグローバル人材育成に向けた学校教育の在り方を示すという。これまで取り組んだこと-オリンピック・パラリンピック教育の「Welcome to Tokyo」の開発や英語村「TOKYO GLOBAL GATEWAY」-、今後2020年度までに取り組む施策と事業内容について本日素案を公表。この後パブリックコメント実施。2月上旬「パブリックコメントの結果及び計画策定について」を出すとのこと。
 この日の議題にあった「来年度教育庁所管事業予算見積」とともに、エリート育成ばかりに金を注ぐ都の姿勢が明確だ。公教育はエリート育成を目的とするのではなく、全ての子どもの学びを保障すべきなのだ。
 「計画’20」は3つの柱の1つに「豊かな国際感覚の醸成」を挙げる。ならば都教委は、関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文送付を断った小池都知事の国際感覚をまずは問題にすべきではないのか。


「男が痴漢になる理由」(精神保健福祉士・斉藤章佳著 イースト・プレス出版 1512円)
 10月29日付け東京新聞朝刊に著者の斉藤さんのことばが次のように紹介されていた。
 「痴漢=性欲の強い異常な犯罪者、ではありません。痴漢は依存症の一種で、治療できます。」
 都内のクリニックで性犯罪者の「再犯防止プログラム」を行う斉藤さんは、加害者の平均像は「四大卒・会社員・妻子あり」。痴漢の動機は、過剰な性欲ではなく、「ストレスへの対処」なのだという。
 相手を自分の思い通りにできる快感が、ストレスを消す。弱い他者を支配することで優越感が持てるからだ。社会にはびこる「男は女より上」という性差別の価値観が彼らを支える、のだと。

 都教委定例会で毎回と言っていいほど、時には数件の性加害、体罰(暴力加害)などの懲戒処分案件が議題となる。過労死ラインの長時間労働、徹底した管理、指示されての「自己啓発」研修等々、教員の働き方が関係しているのではないか。働く上でのストレスが引き起こすと言う斉藤さんの言に納得する。

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