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2018/02/08

都庁前通信 2018年2月8日号

F20180208

1月25日都教委定例会傍聴記
「オリンピックはいらない、があっていい」 (教育委員)

 この日の議案は1件、「『東京都スポーツ推進総合計画(仮称)』策定に関する意見聴取について」のみ。
 「東京都スポーツ推進総合計画(仮称)」は、文科省がスポーツ振興法(1961年成立)を50年ぶりに全面改訂し、2011年に成立させたスポーツ基本法が、「地方公共団体(の長=都知事)は、『地方スポーツ推進計画』を定めるよう努めるものとする」と定めることから、都知事が今年3月に策定するというもの。その際、同法が「教育委員会の意見を聴かなければならない」としていることから、都知事が教育委員会に意見聴取をした。

 「東京都スポーツ推進総合計画(仮称)」案は、「誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しみ、スポーツの力で人と都市が活性化する『スポーツ都市東京』を実現する」と謳い、3つの政策目標《スポーツを通じた健康長寿の達成》《スポーツを通じた共生社会の実現》《スポーツを通じた地域経済の活性化》を掲げる。
 《健康長寿の達成》では、都民のスポーツ実施率(18歳以上)56.3%(2016年)を2020年には70.0%を目標にする、という。希望する都民が皆、スポーツを楽しむことができたらベストだ。しかし、現実は、過労死ラインの長時間労働及や非正規・低賃金労働が深刻化していて、それどころではない。スポーツを楽しめる労働・生活保障のための抜本的法改正・整備がまず必要だ。《共生社会の実現》では、障害者のスポーツ参加による共生社会を目指しているが、それ以前に、小学校入学から「特別支援」という名の下、学校を分け障害者を隔離するような現行の制度を見直すべきだ。

■「オリンピックはいらない、があっていい」の発言

 事務方の提案を受けて、教育委員から発言があった。
 「東京オリンピック・パラリンピック2020に向けてスポーツ過信になってはいないか。オリンピックはいらない、があっていい。皆がスポーツをやらねばということになるのは怖い。」(山口教育委員)
 山口委員のこの発言にはまったく同意できる。
 しかし、教育委員が定例会で承認したうえで始まった、年間35時間を課すオリンピック・パラリンピック教育では、都教委作成の「オリンピック・パラリンピック学習読本」は、オリンピック・パラリンピックの「負」の部分は一切示さず、「オリンピック・パラリンピックは素晴らしい」との認識に立ち、そこに子どもたちを誘導している。
 一例を挙げれば――読本は「はじめに」で、「東京2020大会は、開催都市東京で学ぶ中学生(高校用は「高校生」)の皆さんにとって貴重な機会となるとともに、この経験は、生涯にわたるかけがえのない財産となります。」と言い、最後は、中学生用は「自分にできること、やるべきことは何かを考え、2020年の自分のあるべき姿を思い描いてみよう」と締めくくる。高校生用では「ボランティアと社会貢献」を言った上で、「自分がやるべきことは何かを考える」ことを勧め、さらに都教委は、高校生にはボランティアを必修=義務とした。「オリンピックはいらない、があっていい」」の選択肢など、子どもたちにないことは歴然としている。子どもたちは全員、オリンピック・パラリンピック成功のために自分は何ができるか考えなければならないことになる。戦前の国家総動員・翼賛体制を思わせる。子どもたちに対し、「国家事業としてのオリンピック・パラリンピック大賛成」の意識・価値観の刷り込みを、都教委は教育委員会定例会の承認のもと行なっている。
 新国立競技場建設の工期に追われ、昨年4月、現場監督責任者(23歳)が過労死自殺した。福島復興オリンピックと謳いながら、国も都も避難してきた福島の人たちを汚染の残る福島に帰還させている。オリンピックに使うお金は福島救済(命の危険からの避難保障)に回すべきだと、思う人はかなりいる。国は、補助金支給を打ち切り、避難者を福島に帰還させて、大会までに福島は復興したと言いたいのではないか。
 オリンピック・パラリンピックに関するこれまでの議事で筆者の知る限り、山口教育委員のこのような発言はなかった。現時点でこのように考えられるのなら、山口教育委員はぜひとも定例会で問題提起し、全教育委員は山口教育委員の貴重な問題提起を論議し、進行するオリンピック・パラリンピック教育に変更や改善を加えてほしい。

■意見聴取に対する「回答」は「異議なし」

 「東京都知事が策定する『東京都スポーツ推進総合計画(仮称)』は、都教育委員会策定の『アクティブプラン to2020(第3次推進計画)』、「『東京都オリンピック・パラリンピック教育』実施指針」等と、理念や施策の方向が一致していることから、(教育委員会は)『異議なし』として回答する。」
 事務方が予め用意した、この都教委「回答」案に全教育委員が賛成し、議事は終了した。したがって、この文面が都知事に届けられる。
 上に紹介した山口発言と「計画(仮称)」は矛盾しないのだろうか。

「退場者再傍聴に誓約書」は都教委がずっと前から

 「退場者再傍聴に誓約書」の見出しで「(騒ぐなどの議事妨害をし)都議会で議場から退場を命じられた傍聴者が再び傍聴する際に、氏名や住所を記した誓約書を提出することになった」と東京新聞が報じた(1月26日付朝刊)。東京新聞の取材では、「関東6県の県議会で誓約書の提出を求めているところはない。衆院は退場を命じられると当分の間、傍聴を認めない。参院では「ケース・バイ・ケース」(広報課)だが、両院とも誓約書を出させることはないという」。氏名・住所を記した誓約書の提出は、傍聴する権利を奪いかねないと、記事は警鐘を鳴らす。
 ところが、これを都教委定例会は2013年11月28日から行なってきた。同月14日の定例会において、個人に関することではない議案が非公開議題になっていたことに対し、傍聴者の半数が説明を求めたところ、木村教育委員長は3人に退場を命じ、次回28日の定例会からは、誓約書を出さないと傍聴を認めないとした。それ以降、予告されていた定例会開始時刻が突然30分繰り上がったことに、「理由を説明してほしい」と言った傍聴者を退場させるなど、そのどれもが、傍聴者に対し説明責任を果たさない都教委定例会の横暴な運営がことの発端である。都教委定例会は事実上、傍聴者の傍聴する権利を奪っている、と言ってよい。

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