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2017/10/12

都庁前通信 2017年10月12日号

F20171012

アメリカ・プロスポーツ界がトランプ大統領に抗議し
国歌斉唱拒否、続々

  昨年8月、アメリカプロフットボールリーグ(NFL)のスター選手・コリン・キャパニック選手が黒人に対し警官が射殺する事件が起きていることに抗議し、「黒人や有色人種を抑圧するような国の国旗に敬意は払えない」と試合前の国歌斉唱セレモニーで起立を拒否した。これに対して、後に続く選手が出たり、オバマ大統領(当時)が「彼の真摯さを疑っていない」と擁護したりするなど、全米で論争が広がっていた。
  それに焦りを感じたのか、トランプ大統領は9月22日に行った南部アラバマ州での支援者集会の演説で、国歌斉唱の際に起立しないNFL選手を非難し、オーナーに対してもそうした選手は解雇すべきだと強く求めた。さらにツイートで、「もし選手がNFLやその他のスポーツ・リーグで何百万ドルも稼ぐ特権を手にしたいなら、我々の偉大な米国旗(や国)への不敬は許されてはならない。国歌には起立すべきだ。そうしないなら、お前はクビだ。何か別のことをしろ!」と書いた。
 トランプ発言に怒り、各地の試合で、試合前の国歌斉唱で膝をつき、腕を組むなどして起立を拒否する選手が相次いでいる。23日にはプロ野球・メジャーリーグ(MLB)で、オークランド・アスレチックスのブルース・マックスウェル選手が、国歌が演奏された時に膝をついた。メジャーリーグでの国歌斉唱拒否は初めてという。24日にはNFLの選手多数が試合前に国歌が演奏された際、ひざまづいたり、腕を組んだりして斉唱を拒否。抗議を示したのは選手だけではなかった。デトロイトであったアトランタ・ファルコンズ対デトロイト・ライオンズの試合前には、両チームのオーナーが選手たちと腕を組んで国歌斉唱を拒否した。国歌をマイクで歌うはずだった地元の歌手も膝をついてしゃがみ込み、マイクを握る右手を突き上げた。プロバスケットボールNBAの優勝チームも、NFL選手への支持表明を機に、予定されていたホワイトハウス表敬訪問を取りやめた。
 「国旗(や国)への不敬は許されてはならない」(=「国旗に敬意を払え」)とのトランプ発言に、意見表明・反撃が続出している。

■都教委が行う「君が代」不起立処分はトランプ発言と同じ

 「国旗(や国)への不敬は許されてはならない」。トランプ大統領のこの考えは、卒業式・入学式での「日の丸・君が代」の子どもたちへの刷り込みとそのために「君が代」起立を拒否した教職員を処分する都教委の考えと同じ。また、昨年7月に開かれたリオデジャネイロ・オリンピックの代表選手団の壮行会で、「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」と言った、森喜朗・2020 年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の考えも同じだ。
  トランプ大統領は国連演説で「北朝鮮を完全に破壊する」と威嚇した。呼応するように、安倍首相は「対話は無に帰した。…必要なのは行動だ」と制裁と圧力強化を強硬に主張した。これに対し、韓国の文在寅大統領、ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領はあくまで対話と外交による解決を主張した。
 政府は、Jアラートを連発し、子どもたちを避難訓練に駆り立て洗脳している。加計・森友隠しのため解散し、北朝鮮を仮想敵国に仕立て上げ、「国難来る」と危機を煽り、北朝鮮問題を選挙に利用する首相。この首相のもとで、子どもたちへの「君が代・日の丸」の強制、「愛国心」の注入の先に見えてくるのは「戦争への道」だ。私たち「国民」は、「国を愛するのは当たり前」とするのではなく、権力者がなぜ仮想敵国をつくり「愛国心」を声高に叫ぶのか、冷静に考える必要がある。


9月14日都教委定例会傍聴報告

都教委はいじめ調査から学ぶ機会を提供すべきだ

 公開議題(報告)は①《来年度都立高校入試について》と②《公私連絡協議会の合意事項について》のみ。
①《来年度都立高校入試について》
第一次募集においてインフルエンザ等の感染症で受検できなかった生徒に対し、手続きを経て追受検できるようにするなどの変更点6点について。今後、中学校3年生・保護者等に説明会を開く。
②《公私連絡協議会の合意事項について》
「都立高校受け入れ生徒数を59.6%、私立高校受け入れ生徒数を40.4%」としていることから来年度の受け入れは、都立が41800人、私立が28500人となる。これは、毎年この時期に確認・合意されていること。

 「次回第4週は議題がないので定例会はなし」と提案がされ、教育委員はそれに同意。10時5分に始まった定例会は、これで終わった(10:25)。
 そのあとは非公開議題で、議題は次のように書かれていた。

議案:教員等の懲戒処分等について(4件)
報告:いじめ防止対策推進条例第11条第4項に規定する調査について
        教員等の懲戒処分について

 議案となる懲戒処分は停職・免職の案件、報告となるのは戒告・減給の案件である。体罰等、犯罪とも言える行為が何と多いことかといつも思う。学校は安全な場所とはいえないということか。

 「いじめ…調査について」の非公開議題は今年度すでに3回目。
 いじめ防止対策推進条例第11条第4項は次のように規定する。
 「対策委員会は、都立学校において法第二十八条第一項に規定する重大事態が発生した場合には、同項に規定する組織として同項に規定する調査を行い、その結果を東京都教育委員会に報告するものとする。」
 9月13日付東京新聞が2年前に自殺に追い込まれた小山台高校生のことを報じた。そこに「16年1月25日  都教委が調査部会を設置/17年9月  都教委が調査報告書を公表」と経緯が書かれていたことからすると、非公開報告議題はこの調査報告なのか?
 東京新聞は「調査開始から一年七カ月が過ぎ、母親は『その間、中間報告もなかった』と話す」とも報じている。
なお、都教委はこの件に関し、26日「いじめと判断は困難」と調査結果を発表。母親は「非常に不公平な記載で、この結果では息子に見せられない」と再調査を求めていく考えを示した。
 いじめは個人だけの問題ではなく社会のありかたが問われているのだから、個人情報ではあっても隠して済ませてはならない。都教委は当該の保護者と話し合い、全都の学校に丁寧に報告をしてほしい。そして学校は教員や子どもたちが事実を受け止め、考えることができるよう働きかけてほしい。個人情報だとして事実を秘密にしてしまえば、いじめの解決にはつながらない。

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2017/09/14

都庁前通信 2017年9月14日号

F20170914

部活動で生徒が熱中症により意識不明
――学校や都教委の対応は生徒よりも学校・都教委の御身大事意識か?

 8月25日、永福学園の生徒(15歳)が熱中症により意識不明となった。事故から2日経って、都教委は記者会見を開き、またHPに事故についての報告を掲載した。報告の一部を抜粋する。

1  概要  平成29年8月23日(水曜日)午後4時頃、当該生徒は、バスケットボール部の活動で、校舎外周を22周(1周約 450m、約9.9km、2周ごとに小休憩・水分補給)ランニングしていたところ、熱中症による脱水症状となり、意識不明となった(当時の杉並区の気温は32℃)。現在も意識は回復していない。
3  経緯
8月21日(月曜日)
午後3時頃  顧問教員は、当該生徒を含む7人の生徒に対して、校舎外周を1分25秒以内で走るよう指示し、そのタイムを超えた秒数の数だけペナルティとして外周を走るよう指示した。
午後4時頃  当該生徒は、1周2分8秒かかったことから、43周走ることとなり、21周(約9.5km)走ったところで体調が悪くなったため、休憩し練習を終えた。(他の6人は、練習を完了)
8月23日(水曜日)
午後1時20分頃  当該生徒は、体育館内で練習を始め、フットワークトレーニングなどを行っていた。
午後3時10分頃  顧問教員は、気温が高くなっていることを認識していたにもかかわらず、ペナルティの残り22周の(約9.9km)ランニングを承諾した。
午後4時頃  当該生徒は、熱中症による脱水症状により教職員自転車置き場付近で、うずくまっているところを他の教員に発見された後、保健室へ搬送され応急処置を受けた。

東京新聞(8月30日朝刊)は「気温35度近く  測らず部活」と題して報道。記事によると、「(都教委は)35度以上で原則運動中止、31度以上で激しい運動の中止を指導している。」「同校のある杉並区の気温は、都環境局の測定によると、23日午後3時時点で34、7度を記録していた。都教委は25日の記者会見では『杉並区の気温は32度』と説明していたが、これは千代田区の気象庁観測所で測定したもので、実際には『運動中止』に該当しかねないレベルだった。」

*****  *****  *****

  体罰が問題にされて久しいのに未だペナルティを課すような「指導」が行われている。いたたまれずに都教委に電話をした。対応したのはI統括指導主事。
 冒頭、「熱中症が死に至ることを知らない人はまずいないのだから、当該顧問のしたことは死を招く、殺人とも言うべき拷問と私は思うが、都教委の認識はどうか」と聞いたところ、I統括指導主事は「体罰以上というのが都教委の認識」と言う。
 「23日3時10分頃、顧問教員は、・・・ランニングを承諾した。」とある。どういうことかを聞くと、「顧問は、一度は『止めておけ』と言ったが、生徒が希望したので、承諾したということ」と言う。生徒に責任の一端があるとでも言うつもりか。
 「25日の記者会見で都教委が言った気温と東京新聞が報じた気温と異なるのはなぜか」の質問には、「うずくまっている生徒を発見したときに、ある教員が温度計を見たら32度だった」と言う。生徒の命よりも、都教委の35度以下という指導に違反し責任問題になることが最初に頭に浮かんだのではないか。
  達成基準を設定して、それに達しないと機会的にペナルティを課すことでやる気を出させる、生産性を上げるという、企業で取り入れられた悪しき「成果主義」の発想が学校教育の場面でも広がっている。
  一方、事故が起きた翌日は総合教育会議及び都教委定例会があり、私はそのどちらも傍聴したが、この事故についての話は一切なかった。緊急議題とすべき事態との認識が教育長や小池知事にはなかったのか。
   この件についてもこれまでに起きたいじめ自殺についても、都教委及び学校は当該生徒・ご家族に真摯に向き合ってはいないと思う。大月駅で自死した高校生の保護者の要求にも都教委は情報開示をせず、応えようとはしてこなかった。それは、生徒のためではなく都教委の自己保身のためではなかったのか。「君が代」不起立処分も子どもたちのためではなく、都教委のゆがんだ教育行政を守るためだ。今回の事故への対応を見て、改めてそう思った。(N)


7月27日都教委定例会傍聴記
論議なく、承認機関でしかない定例会

 公開議題は2つ、「都立高校における進学重点校等の指定について」と「来年度使用の高校教科書採択について」。非公開議題は3件の懲戒処分ほか。

①「都立高校における進学重点校等の指定について」-社会の格差是正に逆行では-
 進学指導重点校、進学指導特別推進校、進学指導推進校を指定して今年度末で5年になるということで、来年度から5年間の指定校を決めるとの議題。都立高校改革の一環として、進学実績をあげることを目的に2001年以降順次始めた。日比谷高校などの進学指導重点校7校には一律に支給される学校予算とは別に、年間180万円を支給し、2名の教員加配をする。進学指導特別推進校7校には50万円を、進学指導推進校13校には30万円を支給する。
 ほかに、中高一貫校にも180万円を支給しているという。
 どの学校にも学校予算は等しく分配すべきではないのか。敢えてこうしたことをする政策に、教育委員は何の疑問も持たないのだろうか。発言・議論はない。
 進学指導重点校7校は、難関国立大学の合格者数が一つに基準になっている。難関国立大学への合格はいまや、親の収入と強い相関をもっていることは多くの人が指摘している。裕福な家庭の子供たちの中から「日本の将来のリ―ダ―となりうる高い資質を持った生徒」(都教委)を選別することが、教育の本来の目的に沿うものなのか、日本の社会が住みよい社会になって行くのか。
 すべての児童・生徒にとって本当にこれでいいのかを批判的に議論するのが教育委員の仕事と思う。しっかり議論してほしい。

②「来年度使用の高校教科書採択について」-説明責任放棄では-
 2013年以来、「日の丸・君が代」について「一部自治体で公務員への強制の動きがある」と記述した実教出版の「高校日本史 A」「高校日本史 B」について、都教委は「都教委の考え方と異なる」と各学校に「通知」し、この選定を事実上禁止してきた。しかし、昨年は「高校日本史 A」が、今年は「高校日本史B」が「新訂版」を出し、都教委が問題とした部分の記述を変えたことから、昨年の採択時に都教委は上記「通知」を「高校日本史 B」についてだけ出した。そして今年は「高校日本史B  新訂版」についても出さなかった。
 したがって、今回都教委は学校が選定した教科書をその通り採択した。実教出版「高校日本史A  新訂版」を選定した学校は7校、「高校日本史B  新訂版」を選定した学校は4校だった。
  「通知」を取りやめたことについて、都教委事務方からも教育委員からも何の発言もなかった。
  2013年から都教委が実質使用禁止としたこの教科書は、文科省の教科書検定を通ったもの。それなのに都教委は「都教委検定」とばかりに、学校に選定させず、生徒たちに使わせないできたのだ。違法行為を行い、あとは知らん振り。無責任極まりない。

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2017/08/24

都庁前通信 2017年8月24日号

F20170824

道徳教科書採択-
道徳の教科化でいじめはなくなるのか?

 来年度より小学校で道徳を教科とすることから、この夏に各教委で教科書採択が行われている。8社から選ぶことになる。なお、8社のうち教育出版教科書については、教科書問題に取り組む市民団体「子どもと教科書全国ネット21」が子どもたちに使わせたくない教科書のワーストワンとして採択に反対する談話を発表している。

7月27日都教委定例会を傍聴して
《道徳教科書 都教委が採択したのは》

 無記名投票がなされ、全員一致により結果は次の通り。

聴覚障害特別支援学校:学研
肢体不自由・病弱特別支援学校:日文(日本文教出版)

 なお、視覚障害を持った児童用教科書は点字教科書が他社にないとの理由で、教育出版になった。
 教育委員の間で意見交換がないまま、2冊ともに「全員一致」ということが偶然にもあるだろうか。傍聴者にも配られた「調査研究資料」の他に教育委員だけに配られた資料があるのか、あるいは事前に秘密会議が開かれたのかと疑念を持ってしまう。都教委には過去に秘密会議を開いた前例がある(2013年6月13日、秘密会議を開き、実教出版高校日本史教科書を選定しないよう各学校に通知することを決めた)。

■日文も使わせたくないワースト2

 日文6年生用には「東京オリンピック 国旗にこめられた思い」と題して、64年東京オリンピックで国旗作りを担当した吹浦忠正氏(世界の国旗研究協会」会長で「国旗」に関する著書多数)をとりあげ、「正解」を強いるように3つの問いを投げかける。「日本の文化や伝統で、外国人に伝えたいものはありますか。」「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに受けつがれる『思い』とは、どんな思いだろう。」「進んで他国の人と交流したりするには、どんな心をもつことがたいせつだろう。」この教材に限ったことではないが、政権が求める「正解」を求める発問が日文には多い。
 今回の道徳の教科化は、大津市で起きた「いじめ事件」への対応として政府が提言したことに始まる。しかし、道徳教育でいじめがなくなるのか。正解を求めることが必要なのか。正解を求め成績評価することが子どもへの価値観の押しつけにならないのか、など疑問が投げ掛けられていた。このような上からの価値観の押しつけは、「おじさん」を「おじいさん」へ、「パン屋」を「お菓子屋」へのささいな変更にも見られる。
 日文の教科書に限らず、全体に規則や秩序を守ることが正解という方向へ子どもを誘導する傾向がみられ、自己とともに、他者である個人の考えを大切にしながら、共に生きる社会について自分で考えるという発想は乏しい。
 そもそも、森友学園・加計学園問題見られるように大人がウソをつき続け、戦争の最大の犠牲者沖縄に基地を押し付け続け、原発再稼働で核廃棄物を次世代に押し付け続ける政府に子どもたちに道徳を説く資格があるのだろうか。
 2020東京オリ・パラまでに江東区ではすべての小中学校が、都教委が進める「世界ともだちプロジェクト」の一環として国旗・国歌の授業をすると決め、先月20日にはトップバッターとして、江東区西大島中で吹浦氏が講演した。
 オリンピックに使用する旗は、「国家間の争いではない」という五輪の理念に沿って国旗ではなく「選手団の旗」とIOC憲章が定めていることを日文も吹浦氏も都教委も知りながら、そのことを子どもたちに教えていない。いまの膨大な費用がかかりカネまみれの五輪が道徳教育のテーマにふさわしいか疑問だ。
 《学校現場の意見を十分尊重して採択すること、教育出版の道徳教科書は採択しないこと、教育委員会で請願趣旨を述べられるようにすること》を求めた請願が「『つくる会』教科書採択を阻止する東京ネットワーク」から出されていたが、都教委は資料として配布しただけで、「請願は事務局で対応してほしい」(中井教育長)と無視した。

《公立学校の校長・副校長及び教員としての資質の向上に関する指標」の策定について》

 都教委は「東京都教員人材育成基本方針」(2008年策定、2015年一部改正)を策定し、計画的に人材育成に取り組んできたが、「教育公務員特例法の一部を改正する法律」(文科省2016年11月)ができたことにより、改めて「指標」を策定したとのこと。「指標」には、職層(教諭、主任教諭、主幹教諭、副校長、校長)に応じて身につけるべき能力を事細かに羅列する。これをリーフレットにして学校及び教員養成大学に配るという。
 これについては教育委員から、「東京は徹底的にやってきた。・・・東京はすでにやってきたと言えないのか」、「これを読む教員がどれだけいるだろうか」との意見が出され、人事部は言い訳のような返答をし、了承された。
 都教委は9年も前に「人材育成基本方針」を策定し、「徹底的にやってきた」のに成果が出なかったのはなぜかを議論すべきなのだ。それを論議せずに、何度同じことをしても成果があらわれるはずはない。教育は教員たちの、そして教員と子どもたちとの協働の仕事なのに、石原都政以降、都教委が学校に介入し、それまでの〈校長・教頭・教諭〉を〈校長・副校長・主幹教諭・主任教諭・教諭〉と5職層にし、学校運営を企業に真似たトップダウンに変え、教員を分断し給与と出世欲で釣って競争させ、協働の仕事を破壊し続けてきた。このことに教育委員や事務方が気づかないかぎり、成果が出るはずはない。また、都教委が頭を悩ます、管理職受験希望者も新採用受験希望者も増えることはないし、刑事事件の括りに入るような犯罪・懲戒処分も後を絶たないだろう。

都教委は「君が代」不起立・「服務事故再発防止研修」を止めろ!

 今春の卒業式で「君が代」不起立をした都立高校の教員に対し、都教委は今月29日に水道橋にある研修センターで「服務事故再発防止研修」を強行しようとしている。不当処分をした上に、さらに「研修」という名の拷問を行うことに私たちは抗議する。
 国旗国歌法は、「第1条 国旗は、日章旗とする。 第2条 国歌は、君が代とする。」と明記しただけで尊重規定はない。尊重規定を設けることは、憲法19条「思想・良心の自由」に抵触するからである。
 「君が代」不起立をする教員たちは、「思想・良心の自由」を憲法は保障していること、そして、自身の考えにしたがって行動を選択していいのだと子どもたちに伝えることが大事、と考える。教育勅語・御真影・「日の丸・君が代」で、子どもたちを戦場に送った過ちを再び繰り返してはならないとの決意から。
 皆さん、都教委に抗議の声を届けてください。

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2017/07/27

都庁前通信 2017年7月27日号

F20170727

小池都知事発全職員対象のラジオ体操  知事の真の目的は?

 小池都知事は2020年東京オリンピック・パラリンピック大会の機運を盛り上けるため都職員全員でラジオ体操をすると発表しました。名付けて「みんなでラジオ体操プロジェクト」。19 年まで毎年、大会期間に相当する7月24日から9月6日まで「毎日、午後2時55分になれば、どこにいても体操を始められるよう」にするのだといいます。今後は都内の企業や全国の自治体にも、この取り組みへの参加を呼びかけていくとも。
  今週から始まったラジオ体操、職員の皆さんはどのような気持ちで、どのように対応しているのでしょう。

■体操に参加しなかったら?

 3月の都議会で小池都知事は、看護専門学校や首都大学東京の入学・卒業式での国歌斉唱を「望んでいきたい」と発言。それを受け、看護専門学校の校長たちは、入学式で「君が代」を歌うことを申し合わせ、実施に踏み切りました。流行りの“忖度”でしょう。こうした実績や都議選での都民ファーストの会の圧勝を見て知事は、自分が言えば皆従う、と考えたのでしょう。
  仕事を中断したくない、接客中は無理、あるいは職務ではないことを強制されるのはいやだと体操に参加しない職員がいたら、どうなるでしょう。
  ラジオ体操は職員の職務とは直接関係はありません。しかし、「全員参加」がなかば上からの命令に似た形でだされるとき、“自主規制”や“忖度”“監視”が広がっている今の日本では、心理的な「同調圧力」がかかることは目に見えています。〈知事の命令一下、全職員がラジオ体操〉ということに、私たちは、入学式・卒業式での「君が代」斉唱強制に似て、人々が、上からの命令に知らず知らずのうちに同調し、抵抗感を感じなくなっていく危うさを感じます。沈黙し、一つ、無理が通れば道理引っ込む。都庁ではたらく皆さんの自由が奪われ、職場環境が悪くなること必至です。
  オリンピック・パラリンピックに乗じて、都知事は自身の呼びかけに全職員を従わせたいのだと思います。
 都職員の皆様、職務ではないのですから、きっぱりはねのけてはいかがでしょう。

■東京オリンピック・パラリンピック今ならまだ辞退できる

 「復興五輪」の内実は、「汚染水は完全にコントロールされている」という首相のウソからはじまり、復興したかに見せるため福島原発事故避難者の住宅支援を打ち切り、汚染の残る福島に帰還させるというものです。一方、当初予算 7 千億円はすでに 2 倍の 1 兆 4 億円近くにふくらんできてさらに増えていきます。安倍政権はオリンピック・パラリンピックを口実に「共謀罪」法案を強行成立させました。スポーツが政治に利用されています。そして、新国立競技場建設ために 23 歳の現場監督の男性が過労自殺しました。オリンピック・パラリンピックのために人命が軽視されています。また、税金をオリンピック・パラリンピックにつぎ込み、次代に多額の借金を残すことは明らかです。私たちは、こうした命と未来を切り捨てるオリンピック・パラリンピックに反対します。建設は始まったばかり、今ならまだ引き返すことができます。オリンピック・パラリンピックを辞退し、福島住宅支援復活や貧困者救済等に税金を使う政治・都政を求めます。


7月13日都教委定例会傍聴報告

①  議案:「特別免許状に関する規則の一部を改正する規則の制定について」
――英語教育を叫ぶも、小学校英語は非正規教員で賄う?!――

 小学3・4年生で「外国語活動」が、5.6年生で教科「外国語科」が始まる(2018年から移行期間、2020年全面実施)ことから、それを担当する小学校英語教員が大量に必要となる。都教委がこの議案を出したということは、都教委は小学校英語教員を、特別免許状を取得した人で充当するということのようだ。
 一般に教員採用は普通免許状取得者を対象に行う教員採用試験で行うが、特別免許状は、普通免許状を持たないが「専門的な知識経験又は技能を有する社会人」(=学校等での教科の指導経験が最低1学期以上、おおむね600時間以上の勤務経験がある)に、書類審査と面接を実施し合格すれば授与される。面接は「学長等と校長等」の2名体制で行ってきたが、大量採用に当たり面接を委嘱する大学の学長等の日程を確保することが難しくなる。そこで、難しい場合には「『学長等』を『教育長が別に定める職員』に代えることができる」と、規則を改定するという議案。「教育長が別に定める職員」とは、都教委の「主任指導主事等とする」予定とのこと。
 要するに、小学校英語は正規教員ではなく、非正規教員で安く働かせようということだ。もともと、早急な英語教育の前倒しに対しては、教える人材の確保が問題点として指摘されていた。社会全体で雇用の非正規化が進み大きな問題となるなかで、要員確保のためなら教育現場で非正規教員を増やすことはかまわないのか。日本語がまだよく分からない8歳の子どもに英語を教えること自体に問題があると思うが、それを、子どもたちとの人間関係を作る時間的余裕のない非正規教員に担当させるのは双方に無理が生じるのではないか。今年9月1日に公布、施行とのこと。都教委の焦りがあらわれている。英語教育を叫ぶ都教委だが、安上がりの非正規教員で賄うのは考え直すべきだ。

②  報告:「オリンピック・パラリンピック教育における『東京都公立学校ボッチャ交流大会』の実施について」

 ボッチャとは、身体に障がいのある人がプレイの仕方を変えて参加できる球技で、パラリンピックの公式種目。
 オリンピック・パラリンピック教育の推進を掲げる都教委は、「特別支援学校と小・中・高校との交流を一層の推進」と「パラスポーツの普及・啓発」を目的に、7月29日、府中けやきの森学園(特別支援学校)を会場にして、ボッチャ交流大会を実施するという。参加対象は、都内国公立肢体不自由特別支援学校及び都内公立小・中学校に在籍する児童・生徒24校150人。高校生は、大会運営や参加チームのサポートを行うボランティアとして11校50名が参加。また、工業高校の生徒が大会で使用する競技用補助具を制作するという。
 さらには、大会後、都立特別支援学校の最上位チームと、小池知事+都庁パラスポーツ部からなる都庁チームとの対戦を9~10月ころに実施予定とのこと。ここでも、小池ファースト?
 「交流大会」じたいは無意味とは思わないが、このような「交流大会」を思いついたように実施しても「障がい者理解」がどの程度深まるのかは疑問だ。
 昨年7月に起きた相模原市の「津久井やまゆり園」事件であらわれてきたように、今、本当に社会に求められているのは、障がいのあるなしにかかわらず、すべての人が共に生きていける人権という考えだ。
 日常生活で分離教育をし、障がいのあるなしにかかわらず共に暮す機会を子どもたちから、社会から奪いっていることが、多くの人々に障害者差別意識を醸成させている。健常者と障がい者の日常生活の場面での分離をなくしていかなければ、障がい者に対する差別意識はなかなかなくならないと思う。国際社会では「共に生きる」が主流なのだ。

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2017/06/22

都庁前通信 2017年6月22日号

F20170622

 安倍政権は自民1強のおごりで、参院法務委員会の採択を省略するという、異例のやり方で「共謀罪」法案を強行可決・「成立」させた。「国権の最高機関」(憲法41条)である国会の自殺行為だ。このような異常な国会運営が「加計問題」を逃げ切るためであることは明らかだ。安倍夫妻のために政治を私物化し、この国に住む者を馬鹿にするも甚だしい。韓国では朴槿恵大統領が政治を私物化したとして罷免された。私たちも安倍退任に追い込もう。とんでもない国にしないために。
 安倍総理は、2020年までに国際組織犯罪防止条約を締結しなければ、オリンピックが開催できなくなるという。オリンピックの政治利用であり、まったくのでたらめだ。国際組織犯罪防止条約はテロ防止とは直接関係ない条約だ。
 多くの疑問点が解消されないままの「共謀罪」は、個人の心の中に「共謀」という犯罪を探り出して処罰する。法律が施行されればやがて、盗聴、スパイ行為、相互監視や密告が行われるようになる。個人の心の中を探るということでは、「日の丸・君が代」の強制とつながるものだ。アベ政治のもとで個人の心の自由が次第にせばめられてきている。前川前事務次官の告発はこうしたアベ政治への勇気ある警鐘だ。「日の丸・君が代」の強制に反対する教員たちの行為もまた日本の教育と民主主義を守るための勇気ある行動だ。
 政府は「教育勅語」を教材に利用することは差し支えないという閣議決定をおこなった。教育勅語は国が子どもたちに天皇への忠誠心を注入するためのものだ。16日に17の教育関係の学会が共同声明を出した。そこでは、「(教育勅語は)戦前・戦中は国民を排外主義的、軍国主義的愛国心に導くことに使われた。肯定的に扱う余地は全くない」と指摘している。

●●6/10朝日新聞「声」欄から

無職  花輪  紅一郎(東京都  67)

 「殺すな」「盗むな」「うそをつくな」「淫行するな」の四つは、仏教の五戒と旧約聖書の十戒に共通する徳目であり、万古不易の人の道の基本と言っていい。
 近頃、「教育勅語」には時代を超え、世界に通用する道徳があると持ち上げる人たちがいるが、この四つが含まれていないことをご存じだろうか。逆に、勅語の1丁目1番地である冒頭の「君への忠」をなぜ無視するのだろうか。
 教育勅語は「君への忠」から始まり、「皇運扶翼」まで一貫した徳の体系の中に他の徳目を組み込む構造になっている。「兄弟仲良く」したり「学を修め」たりするのは何のためか、究極の目的を抜きに個々の徳を切り売りしても意味はない。勅語の核心は、すべては君のために命をなげうつ忠誠心を持った人になることだ。そこに「殺すな」や「盗むな」は入り込む余地はなかったのだ。
 もし人命尊重や略奪禁止を掲げていたら、侵略戦争や日本兵の残虐行為はなかっただろう。人の道の基本を抜きに、天皇への忠誠心のみを求めた勅語の過ちは戦後反省したはずだ。私は高校で倫理を教えていた。道徳に「殺すな」「うそをつくな」は欠かせない。  ●●


会員でなくてもご参加を

「君が代」解雇をさせない会 2017年度総会&講演会
「日の丸・君が代」不起立  大阪の闘いとともに!

日時 7月1日(土)13時15分~(講演は13:50~)
場所  中野区立商工会館(中野駅北口徒歩7分  早稲田通り沿い)
●講演「『君が代』不起立への思いと再任用拒否」  梅原聡さん(元大阪府立高校教員)


■報告:教科用図書選定審議会の答申について――「非国民」のあぶり出しに通じる道徳

 今夏は、来年度から始まる小学校道徳の教科書(8社)の教科書採択が行われる。それに先立ち、都教委が教科用図書選定審議会に諮問した上で「教科書調査研究資料」を作成したとの報告。分厚い資料が配布された。
資料には――
 調査項目は「主として自分自身に関すること(善悪の判断、自立、自由と責任、正直、誠実  他)」、「主として人との関わりに関すること(親切、おもいやり  感謝  礼儀  他)」、「主として集団や社会との関わりに関すること(規則の尊重  公正、公平、社会正義  伝統と文化の尊重  国や郷土を愛する態度  国際理解、国際親善)」、「主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること(生命の尊さ  自然愛護  感動、畏敬の念)の4つ。それぞれの項目にどのような教材が使われているかが、またその教材数が示されている。
 それに加え、都教委の教育目標に照らして次の5点について記述があるかを調査している。「国旗・国歌の扱い」「防災や、自然災害の扱い」「性差と家族に関する表現」「オリンピック・パラリンピックの扱い」「北朝鮮による拉致の扱い」「国旗・国歌の扱い」がないのは光村と光文、最も多いのが教育出版(2、5、6学年)。「北朝鮮による拉致の扱い」については調査項目にあげるが、当然ながら一社も取り上げていない。また、自然災害を取り上げるが、原発災害は問わない。こんな調査をするのは東京以外にあるだろうか。
 ところで、「国旗や国歌を大切にする気もちのあらわし方」(教育出版)「東京オリンピック  国旗に込められた思い」(日文)など、「日の丸・君が代」は尊重することが前提となっている。「日の丸・君が代」について道徳教科のなかで尊重が求められ、正解として成績評価につながれば、卒業式・入学式だけではなく、道徳教育を利用して、愛国心の度合いが評価され、洗脳と「非国民」のあぶり出しが教室で日常的に行われることになりかねない。教科・道徳の真の狙いはここにあるのではないか。
 教育委員からは質問も意見もなかった。このような調査項目や調査研究資料が採択の際に意味があると思っているのだろうか。

 市の教科書展示会で、道徳の教科書を手にとった。1年生の教科書は光村を除く7社が最初のところで「あいさつ」を取り上げる。小学校に入学した君たちは元気に気持ちのいい挨拶をしようと促し、「心を込めたあいさつの練習をしよう」と書く。挨拶が大切なことはだれも否定しないだろう。しかし、日の丸・君が代の強制、言論の自由の抑圧が進むアベ政治のもとでの、挨拶の強調は、さまざまな子どもたちの精神状態を無視した上からの一方的な押し付け・「心の管理」につながり、「自立した自主的な人格の形成」という教育の目的と相容れない恐れがある。挨拶をしない子・できない子=「だめな子」にされてしまいかねない。このようにして子どもたちは心の管理を9年間されていく。戦前の「修身」の教科書を見るようだ。

 「日の丸・君が代」の扱いが最多の教育出版教科書執筆者の中に武蔵村山市の教員が3人もいることが気になった。武蔵村山は育鵬社歴史・公民教科書を使っているし、また、昨年まで5中では横田基地の兵士を講師に新兵訓練を行事として行ってきた。教育長は2000年に国立市の小中学校に「日の丸」を強行し、2004年からは都教委で「君が代」処分のかなりの中心で動いた持田浩志という人物。2015年3月25日の市議会で共産党市議団から次のように指摘されている。
 「育鵬社教科書の執筆者などが顔をそろえる日本教育再生機構が事務局の教育再生首長会議の設立総会に市長と教育長が参加し、加盟をしました。教科書採択権者である教育長が参加したのは、全国でも武蔵村山市だけです。またその後の懇親会に教育長も参加しています。公務員は契約者の主催する懇親会などに参加してはならないと公務員倫理でもうたわれていることは、市長も教育長も知らないはずがありません。これまで培われてきた政治的中立や公正な教科書採択を教育長みずから侵すという行為は非常に問題で、子どもたちの見本となるべき教育長の資質に欠けると言わざるを得ません。」

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2017/06/10

2017年度 総会&講演会のご案内

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河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会
2017年度 総会&講演会のご案内

「日の丸・君が代」不起立 大坂の闘いとともに!

日時 2017年7月1日(土)13時15分〜
場所 中野区立商工会館 中野区新井1-9-1 TEL 03-3389-1181
(JR中野駅北口より徒歩7分 早稲田通り沿い)

 

◇プログラム◇

第Ⅰ部 13時15分
総会 2016年度経過報告・会計報告 2017年度方針案

 

第Ⅱ部 13時50分
 安倍政権の暴走が続く中、「日の丸・君が代」の闘いの重要性は明確です。5月22日の地裁不当判決の報告を聞いた後、大阪での「君が代」不起立を中心とした今春の闘いについて話して頂きます。

 

報告 「2008年事件地裁判決の不当性」 萱野一樹 (解雇させない会弁護団)

 5月22日出された2008年事件(河原井・根津ともに停職6月処分)の判決は河原井さんの停職6月は取り消されましたが、根津さんの停職6月は適法とした不当なものでした。この判決について、これまでの確定した判決と比較しながら話して頂きます。

講演 「『君が代』不起立への思いと再任用拒否」
梅原聡 (元大阪府立高校教員

 今春定年退職となった梅原聡さんは、再任用を拒否されました。定年から年金支給開始までの間、無収入期間が発生しないよう、「(都道府県・区市町村は)希望する職員については再任用するものとする」との総務省通知(2013年3月)を無視しての府教委の再任用拒否は、「君が代」不起立に対する思想差別にほかなりません。
 「君が代」不起立処分をはじめ、悪質さにおいて都教委と肩を並べる大阪府教委に対する、この間の闘いと思いを梅原さんから報告して頂きます。

☆お二人の話をもとに、これからの行動を共に考えていきませんか?
会員の方はもちろん、会員でない方もぜひご参加ください。

 


 

08年停職6月処分取消訴訟
地裁判決は根津処分を適法とした!

 5月22日に出された08年地裁判決(清水響裁判長)は、2015年須藤高裁判決(根津さんの処分も取り消し。2人に損害賠償各10万円を認める)・2016年最高裁第3小法廷決定をまったく無視した、歴史を逆戻りさせる不当判決でした。河原井さんの処分は2012年最高裁判決に従い取り消したものの損害賠償は認めず、なによりも根津さんの処分を取り消しませんでした。
 清水判決は、須藤判決が「処分の加重を必要とするような特段の事情」(2012年最判では「具体的事情」という)については「慎重に検討することが必要」と判じたことを無視して、根津さんが日常の作業着として「OBJECTION HINOMARU KIMIGAYO」のロゴの入ったトレーナーを着用したことを、処分を加重してよい「特段の事情」としました。さらに、須藤判決が「過去の処分歴」を何度も使っての累積過重処分を違法としたことをも無視して4回目の「過去の処分歴」を使い、これも「特段の事情」に加え、根津停職6月処分を適法としました。
 「根津は、あえて勤務時間中に勤務場所における本件トレーナー着用行為を繰り返し」「校長らの警告も無視して本件職務命令が発せられるような状況を自ら作出し・・・着用を続けた。このような一連の根津の言動は、自己の思想及び良心と社会一般の規範等により求められる行為とが抵触する場面において、やむをえず不作為を選択したというものではなく、自ら学校の規律や秩序を乱す行為を積極的に行ったものと評価せざるを得ない」「過去の処分歴に係る非違行為の内容及び頻度、本件トレーナー等着用行為を含む根津の一連の言動などに照らし、なお規律や秩序の保持等の必要性の高さを十分に基礎づけるに足りる具体的事情があるというべきである。」と、判決は清水裁判長の悪感情が満載。あまりに不当です。根津さんが主張してきた事実を葬り去り、裁判長の偏見と推測で処分を適法としたのです。

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2017/06/08

都庁前通信 2017年6月8日号

F20170608

アベ政治に寄り添う都教委の教育はもうたくさん

 森友・加計学園の認可をめぐり、政治の私物化ではないかが問題となっている。次々と疑惑を裏付ける状況証拠があがってきても、安倍首相は「知らない、関与してない」の一点張りで、国民の疑惑を晴らそうという姿勢がまったくない。与党、司法までが一体となって国民への説明責任は放棄し安倍首相個人を守ろうとする。上からの指示には絶対服従という軍隊のようなアベ政治。都教委の「日の丸・君が代」強制は異論を抹殺し、上からの指示に従うヒラメ人間をつくりだすことでアベ政治に寄り添うものだ。

◇小池知事「日の丸・君が代」の強制、さらに

 小池都知事は3月の議会で自民都議の質問に答える形で「グローバル人材の育成の観点からも、国旗や国歌を大切にする心を育むことこそ重要」、看護専門学校や首都大学東京の入学・卒業式での国歌斉唱を「望んでいきたい」と発言した。それに対し看護専門学校の校長たちは、入学式で「君が代」を歌うことを申し合わせ、実施に踏み切った(首都大学東京が応じなかったことはせめてもの救いだった)。
 また、小池都知事は今春の卒業式に向けて、全都立学校の校長・副校長にメールで卒業式のお祝いメッセージを送り、それを卒業式の祝電メッセージの冒頭で読み、校内に掲示し、その際、一番上の中央に掲示することまで指示したという。そして、どの学校もそれに従った。
  論議をせずに知事の意向に擦り寄って、あるいは指示通りの学校運営がなされている現実に、独裁都政の一端を垣間見る。前川喜平・前文科省事務次官がしたような内部(元内部)からの告発や、現場にいる人たちの意見表明が現状を打破する力となる。都ではたらく皆さんには、そうしたことを考えて仕事にあたっていただきたい。

◇東京のオリンピック・パラリンピック教育に学べ  と文科省

  文部科学省「オリンピック・パラリンピック教育に関する有識者会議」最終答申(2016年7月21日)は、全国の学校がオリンピック・パラリンピック教育を推進することを求め、都教委のオリンピック・パラリンピック教育を紹介し、都教委に学べという。

 政府は、「福島復興オリンピック」の掛け声のもとに補助金を打ち切り、線量が下がらない福島に帰還を急がせる人命無視の人体実験を進めている。加えて、リオがそうであるようにオリンピックが終われば施設の維持に莫大な費用がかかり、つけは若い世代に。これが果たして人々の幸せにつながることか。ボストンは市民の反対から、2024年夏季オリンピックを辞退した。冷静に考えれば、東京都民もボストンのように今すぐ辞退すべきではないか。
 オリンピック・パラリンピックとその教育に惑わされてはいけない。オリンピック・パラリンピック教育は国威発揚・愛国心を刷り込むことが目的なのだ。


5月25日都教委定例会傍聴報告

 

教職員のわいせつ・体罰はどうしたら根絶できる?
対策は「教職員の服務に関するガイドライン」を作成・配布することなのか?!

■2015年度のわいせつ行為等により処分を受けた者は23人。処分者数の教職員数に対する割合は全国平均の0、02%に比べ東京は0、04%(文科省2016年12月調査)と高い。
■2015年度に体罰を行った者は62人(停職2  減給8  戒告20  訓告等32)、不適切な行為(児童・生徒への不適切な指導等、公費等の不正執行または手当等の不正受給他)を行った者は303人。2年前と比べると半数以下になったものの、少ない数とはいえない。

 こうした現実に、「都教委は服務研修の実施や服務の厳正にかかる通知の発出により、服務規律の徹底を図るよう努めてきたところであるが、教職員による服務事故は後を絶たず」「教職員の服務に関するガイドライン」(全31ページ)を作成した。このガイドラインを全教職員が精読し、学校では研修や服務事故防止月間等で活用し服務事故の根絶を図るのだと言う。
 1年前の3月3日の定例会においても、服務事故が減らないからと厳罰化するために「処分量定の改正」をした。現実を見れば、厳罰化したり、ガイドラインを精読させたりすることで犯罪というべき服務事故を根絶することはできないのではないか。都教委にはそれが有効策と思えるのか。あるいは、他に策がないということなのか。
 事務方の説明を受けて教育委員から出された意見は、「精読したかをチェックしたらいい。試験をするのもいい」(宮崎教育委員)、「コミュニケーションの中で注意し合える職場にしていくことが大事」(秋山、大杉教育委員)、「ストレスの中での行為とは必ずしも言えないが、リフレッシュする機会を持つとか相談機関を設けるとかが必要なのでは」(山口教育委員)。
 後ろ2つの意見はそうだと思う。しかし、コミュニケーションができ、それによってみんなで作ってきた学校職場、教育活動をぶち壊したのは都教委、という認識が教育委員にはない。宮崎教育委員の案では教職員のストレスがさらに増してしまうだろう。
 都教委が教育課程の編成権を各学校に任せ、学校はそれを職員会議で論議し決定していた時代(2000年頃まで)と、教育委員会が学校を支配してきたその後とで服務事故の発生に違いがないかを調べることを、私は都教委に勧めたい。行為には多くの場合、背景があるのだから、それを見るのは当たり前のことだろう。

◇◇都民の声(教育・文化)について[平成28年度下半期(10~3月)]

 半年間に寄せられた「都民の声」は1786件。そのうち、「苦情」が1221件、「要望」が192件。
 「苦情」のうち、「教職員の服務・接遇に関するもの」は251件、事例として、「都立高生が公園で広がってランニングをしており迷惑を受けた。引率教員に注意したところ、ランニングの許可を受けていると言い、対応が不十分だった。生徒、教員への指導を要望する」の苦情に対する都教委の対応として、「当該校の副校長には申し出者に対し、教員の対応について謝罪するとともに、管理職からその教員を指導していくこと、・・・生徒への指導を徹底していくことを伝え、ご理解をいただいた」等が挙げられている。
 「都民の声」とは別に「陳情等(団体要請)」が40件、このうち、「日の丸・君が代と教員処分について」が12件。私が所属する団体も毎年「日の丸・君が代」に関する要請書を提出してきたが、上記の苦情申出者へは誠意をもって対応するのに、私たちにそうした対応をしたことは一度たりともない。「開かれた都教委」の施策に反対する者を都教委は都民とは思っていないようだ。

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2017/05/25

2017年5月25日号 都庁前通信

F20170525

河原井・根津2008年「君が代」不起立処分取消訴訟地裁判は、
まさに歴史を後退させる安倍首相忖度の判決だ!
停職6月処分:河原井処分は取り消し、根津処分は取り消さず。
損害賠償をも棄却!

 5月22日、地裁の不当判決が出されました。
 これまでの「君が代」不起立・不伴奏取消訴訟では、2012年最高裁判決は原則(特例を除き)戒告以上の処分は違法とし、減給以上の処分を取り消しました。ただ、重い処分を科してもいい特例として、「過去の処分歴」があるか、「不起立前後の態度」が悪いかの「具体的事情」がある場合とし、根津さんには、94年卒業式で職員会議の決定や生徒たちの声を無視して校長が揚げた「日の丸」を降ろしたことによる処分をはじめ、幾つもの「過去の処分歴」があるとして、停職3月処分を取り消しませんでした。
 しかし、2014年、次の停職6月処分取消訴訟で高裁判決(須藤裁判長)は、停職6月処分は「自己の歴史観や世界観を含む思想等により忠実であろうとする教員にとっては、自らの思想や信条を捨てるか、教職員としての身分を捨てるかの二者択一の選択を迫られることとなり、…日本国憲法が保障している個人としての思想及び良心の自由に対する実質的な侵害につながる」と、停職6月処分がいかに過酷であるかを判示。また、同一の「過去の処分歴」を何度も使って重い処分をするのは都の裁量権濫用だとして、根津さんの処分を取り消し、2015年5月最高裁はその高裁判決を決定しました。
 ところが今回の地裁判決はその決定を無視して、また、新たに「不起立前後の態度」を作り出して根津さんの停職6月処分を取り消しませんでした。須藤判決が同一の「過去の処分歴」を何度も使うことはいけないとしたにも拘らず、本件地裁判決は4度目の「過去の処分歴」利用をしてきました。加えて、仕事上、洗い替えができるよう作業着として手持ちのトレーナー(「OBJECTION HINOMARU KIMIGAYO」「日の丸・君が代強制反対」とロゴの入った)を着用したことについて、「過去の処分歴に係る非違行為の内容及び頻度、本件トレーナー等着用行為を含む根津の一連の言動などに照らし、なお規律や秩序の保持等の必要性の高さを十分に基礎づけるに足りる具体的事情があるというべきである。」としたのです。このトレーナーを根津さんはそれ以前も以後も学校で着用していましたが、咎める校長はいませんでした。
 一方、河原井さんの処分は、2012年最高裁判決を基にし取り消しましたが、損害賠償請求は棄却しました。
 公務員は上司の命令に反対してはいけない、権力におもねらない者憎し、という清水裁判長の悪感情が満ち満ちた判決です。
 清水裁判長は、2011年に郡山市の小中学生14人が訴えた福島疎開裁判を担当し、申し立てを却下した裁判長でしたから、はじめから期待はできませんでした。また、昨年今年と任期が切れた最高裁裁判官3人のうちの2人(加計学園幹事・木澤克之氏、山口厚氏)を安倍首相は指名しました。安倍首相の息の掛かった司法界の状況を考えれば、予想もされた最悪判決でした。トランプ大統領を司法で制するアメリカとそれができない日本。一人ひとりが声を上げることがまずは大事です。
 私たちは子どもたちに「日の丸・君が代」「愛国心」を刷り込む都の教育行政に反対し、声をあげ続けます。


4月27日都教委定例会傍聴報告

危ない!エリート育成の実験校
「都立小中高一貫教育校」の「教育内容 等検討委員会報告書」

 都教委は立川国際中等教育学校に附属小学校を設置し、小中高一貫教育校とすることを決め、この程、報告書をまとめた。報告書は、「公立では全国初の取組となる小中高教育一貫校の開校にあたって、都教委が本報告書を参考に、さらに具体的な教育課程等の準備を進めていくことを期待する。」と言い、次の内容を示す。

●学校規模等:小学校は各学年80人  中等教育学校は各学年160人
 募集は第1学年及び第7学年。海外帰国児童・生徒及び在京外国人児童・生徒を特別枠で募集。開校は2022年度
●教育理念は「児童・生徒一人一人の資質や能力を最大限に伸長させるとともに、豊かな国際感覚を養い、世界で活躍し貢献できる人間を育成する。」
●教育課程編成の考え方は、
・12年間を一体として捉え、柔軟な教育課程を編成する。
・論理的な思考や表現力を鍛えるため、国語教育の重視
・高い語学力を身に付けさせるため、英語教育の重視
(外国語の授業時間数は学習指導要領では小学校210時間、中学校420時間のところ、この学校では小学校が836時間、中学校が840時間。1年生から英語が入り、中学校では第二外国語を選択必修。英語村(TOKYO GLOBAL GATEWAY)体験学習、海外姉妹校訪問(6学年)、英語合宿(8学年)、夏季短期留学(9学年)、海外研修旅行(11学年)等もある)
  ・アイデンティティ確立のため、日本や世界の歴史、日本の伝統・文化や異文化理解の学習の推進
  ・異学年交流、特別支援学校等との交流や国際交流等により、多様な価値観の受容と社会参画意識の向上
  ・企業や大学との連携した学習活動により、世界で活躍しようとする意欲の向上
●応募資格は、第1学年では通学時間が50分程度までの区市町村。中等教育学校は現行通り、全域。
  第1学年の入学者決定については、3段階を踏む。応募者が80人を超えた場合に第1次で抽選を実施。第1次通過者を対象に、第2次で適性検査を実施。適性検査は学力を問わないものとし、学校が必要と考える一定の資質や能力を持つもの全員を通過者とする。第2次通過者を対象に抽選を実施し、入学者を決定する。
  附属小学校から中等教育学校への進学については、本人の日常の成績等を基に、学校が進学者を決定する。

  一部エリートの育成にばかり、都教委は意欲を示す。一読して、この学校は、普通の公立小・中・高校にくらべ格段に大きな予算が必要と思われる。本来、どの子にも平等に使われるべき教育予算が、エリート育成に回されていることは看過できない。
  もともと、6年間の中高一貫校は「ゆとり教育」的発想から出発したのにすぐに、受験校・エリート校に変質し、受験競争が低学年化した。小中高一貫校となれば、第 1 学年入学時の適性検査対策という受験競争の一層の低年齢化が生じ、また、適性検査への対策ができる子は経済的に余裕のある家庭の子ということにならないか。
  この学校は英語(外国語)教育に見られるように、「教育課程の特例校で、学習指導要領に乗らない」「柔軟な教育課程を編成する」という。教育課程を低学年で先取りしたりするのだろう。学習指導要領に従う公立小学校、中学校が「学力」で差をつけられることは間違いない。
  グローバル化といわれる時代に、英語が国際共通語化し、アジアの多くの国々でも英語学習の低学年化は進んでいる。しかし、小学校で大幅に英語の時間を増やして、そのほかの教科の時間はどうなるのだろうか。日本の中学教員の6割が「過労死」ラインといわれている長時間勤務のなかで、さらに教師たちに負担を強いることにならないか。「世界に貢献できる人間」というのはこのように小学校低学年から英語を詰め込むことで育成されるのか。文科省が、社会科の教科書で政府見解と異なる内容は認めず日の丸・君が代の強制をしながら「多様な価値観の受容」という態度が身につくのだろうか。
 6年生から7年生に進級するのは本人の選択ではなく、学校の決定という。この教育課程の「高い語学力」につまずいたりして都教委・学校の期待に応えられなかった子どもたちはこの段階で切り捨てられ、人生の早い段階から、エリートコース落伍者ということにならないのか。次々と疑問がわいてくる「公立では全国初の取組となる都立小中高教育一貫校」の試験台に子どもたちを乗せる危うさについてよくよく考えてみるべきだ。

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2017/04/27

都庁前通信 2017年4月27日号

F20170427

卒業式「君が代」不起立処分に抗議する!

 都教委は4月20日、卒業式で「君が代」の職務命令を拒否し、不起立をした2名の高校教員に対し、処分を発令した。不起立3回目の教員に対して戒告処分を、不起立4回目の教員に対しては、最高裁が「処分が重すぎて違法」とした減給1月を科した。私たちは処分に強く抗議し、処分の撤回を求める。
 一方、処分を覚悟して「君が代」起立の職務命令を拒否した2人の教員に対しては、心から敬意を表したい。

▼なぜ、「君が代」起立・伴奏の職務命令に従わないのか

 「君が代」起立・伴奏の職務命令を校長に出させ、その職務命令に従わない教員を処分する「10・23通達」を都教委が出して今年は14年目、これまでに起立・伴奏を拒否して処分された教職員は延べ480人にのぼる。
 都教委は、処分をすることの教育上の意味について、「起立する教職員と起立しない教職員がいると、児童・生徒は起立してもいいし、起立しなくてもいいと受け取ってしまう。」と言ってきた。 今年1月に開かれた校長連絡会と副校長連絡会では、「生徒への指導が適正か、教職員の指導状況を確認するように」と指示し、各校が作成し都教委に提出する卒業式の進行表に、「起立しない生徒がいたら司会が起立を促す」「全員の起立が確認できたら式を始める」といった記載がないと受け取らないという措置に出た。
 これらから見えるのは、「日の丸・君が代」について意味や歴史を知り、自分の頭で考え判断するという、教育が最も大事にすべきことをさせずに、子どもたちが『君が代』を起立斉唱し、上からの指示には考えずに従うよう教え込む。それが都教委の目指す教育ということだ。
 戦前の日本では、天皇のために忠誠を尽くすのが臣民の努めと説く「教育勅語」による刷り込みが、進んで戦場に行く子どもたちを作り出した。「教育勅語」と同一線上の刷り込みを、都教委は東京の子どもたちにしてきた。
 こうした刷り込みに手を貸してはならないとの考えから480人の教職員は、処分による不利益を覚悟して、職務命令を拒否してきたのだ。
北朝鮮との戦争も辞せずというトランプ政権、そして戦争ともなれば集団的自衛権行使で米軍とともに戦うことになる日本。このような安倍政治の中、「君が代」起立を拒否した教職員の処分に反対することは、子どもたちのため、社会のために極めて大事なことと思う。

▼「君が代」不起立処分に関する都教委発表は治安維持法下のよう

 都教委ホームページ「教職員の服務」を見ていただきたい。都教委は、例えば、女生徒の身体をさわり停職6月処分にした主幹教諭については「中学校(多摩地域)」と表示する。セクハラ・体罰等については学校名を表示しない。一方、「君が代」起立拒否での被処分者については学校名を表示する。そこには都教委と異なる考えを表明することは許さない、思想犯は容赦しない、大勢の批判に晒すという都教委の意思が見え隠れする。


4月13日都教委定例会傍聴報告 

 公開議題は報告2件のみ。そのうち、「都立特別支援学校における社会貢献活動モデル事業について」報告します。非公開議題はいつもながら、教員の懲戒処分について。

「都立特別支援学校における社会貢献活動モデル事業について」

 昨年度、特別支援学校20校の児童・生徒たちが高齢者施設を訪問し、あるいは学校に高齢者を招待して演奏・合唱・ダンスを披露したり、ハンドマッサージや高齢者の話し相手をしたりするなどの社会貢献活動を行ったところ、「こんなに喜んでいただき嬉しかった」(児童・生徒)などの感想があり、成果が見られたとの報告だった。
 そして、今年度は20校を、来年度は未実施の17校をモデル校に指定し、以降全都立特別支援学校で社会貢献活動を継続実施の予定という。今後はこの事業に、一般の小・中学生や地域住民の参加も促進するという。
この事業の目的は、「特別支援学校の児童・生徒が、地域の一員として、生涯にわたり自己有用感を得ながら生き生きと生活していくことを目指し、地域の人々に貢献するとともに、地域の人々と喜びを分かち合えることを実感できる活動の機会を創造する。」という。

 「地域の一員」「喜びを分かち合えること」を目指すというが、都教委は障がいを持つ子どもたちを、地域の一般の小・中・高校から排除し続けている。上記の目的を達成するためには、障がいのあるなしにかかわらず子どもたちが地域の学校で一緒に生活することを目指すべきではないか。排除をしておいて、「地域の一員として・・・自己有用感を得(させる)」云々はないだろう。

 4人の教育委員はこの事業を「素晴らしい」と絶賛。宮崎委員は「素晴らしい」の後に、「他校種ともダイバシティ・インクルーシブ(教育)に持っていけるといい」と言ったが、新しい概念をことばにしただけの虚しさを感じた。委員が本気で、ダイバシティ(多様性)・インクルーシブ(包括する、排除しない)を考えるのならば、都教委が障がいを持つ子どもを一般の学校から排除する現実を変えるよう、提案すべきではないのか。
 そもそも、都教委のいう「社会貢献」とは何なのか。ここには、「成果」「数字」で「社会貢献」度を測定する思考が働いていないか。共生の思想、一人ひとりの存在そのものを肯定する人権思想という強固な思想に裏打ちされない場合、「社会貢献」や「「自己有用感」は、社会の役に立たない人間は存在価値がないという障害者排除の思想につながっていく危うさを否定できない。

 特別支援学校は《障がいに応じた、一人ひとりの子どもに適した教育》が受けられる学校、と一般には認識されている。しかし、きょうだいや地域の子どもたちから隔離された中で育つことでの、相互のマイナス面、それによって生じる差別意識の醸成について、再考すべきと思う。
 日本の特別支援教育が世界の流れではない。インクルーシブ教育の概念が異なる。例えばスウェーデンでは、障がいのあるなしにかかわらず、地域の学校で一緒に学習・生活をするのがインクルーシブ教育であり、それは「自明のこと」と考えられていて、日本の特別支援学校・特別支援学級のような分離は必要最低限に抑えられている。その際には、子ども本人や保護者の意見を重要視している。

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2017/04/13

都庁前通信 2017年4月13日号

F20170413

子どもたちは国家のものではない
子ども自身のもの
――国も都も子どもたちを政治利用するな!

■改定学習指導要領は

 学習指導要領は10年毎に改定され、今年がその改定時期。幼稚園ではこれまでの「国旗に親しむ」に、「国歌、唱歌、わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しむ」を加えた。中学校の保健体育の武道(必修)では、柔道や剣道など従来の8種目に加え、木銃を使って相手を突く「銃剣道」を加えた(銃剣は敵との接近戦で相手を倒す武器であり、銃剣道は戦前の学校教育で「竹槍訓練」として教えられ、現在は自衛隊が訓練に用いている)。社会科では、「竹島」「尖閣諸島」は「我が国固有の領土」との「政府見解」を書くことを明記した。「国家」のために役立つ「人材育成」を目指し、幼児期から子どもたちを鋳型にはめ込もうとしている。
 さらには、「外国語(英語)」を小学3年生から教え、5年生からは評定するとした。小学校の段階で英語が出来るかどうかで子どもたちは選別されかねない。

■小学校「道徳」及び高校の教科書検定で

 文科省は10年毎の学習指導要領改定を待たずに2015年に学習指導要領を一部改定し、道徳を「特別の教科」と位置づけ、評価を行う正式な教科とした。18年度から始める小学校教科書について先日、検定結果を公表した。
 1年生の教科書の、「友だちの家に“パン屋”」が登場する物語に対し文科省は、「国や郷土を愛する態度を学ぶ」という観点から「不適切」との意見をつけた。これを受け出版社は“パン屋”を“和菓子屋”に修正した。“アスレチック”を「不適切」とされた出版社は“和楽器店”に直した。戦争中、カタカナ外来語を全て「敵性語」として日本語に置き換えさせたことを思い出させる。
 同時期に行った来年度使用の高校教科書検定では、「政府見解を明記する」との観点から、集団的自衛権の行使を可能とした安全保障関連法について、政府が「限定的」と説明する根拠の、新3要件を詳しく書くよう求めた。
 安倍政権は子どもたちを一人の人格として見るのではなく、手段(=「安倍政権が目ざす国」をつくるための素材・材料)として見、「国家」の都合に合わせる従順な「人材育成」を、学校機関を使って行う。道徳は戦前・戦中の「修身」と同じく、国の求める道徳観を刷り込む危険性から、教科としなかったものである。安倍政権はそうしたことを無視して、暴走する。

■遂には、「教育勅語を教材…否定されない」と閣議決定

 3月31日、政府は「憲法や教育基本法に反しない形で教材として用いることは否定されない」と閣議決定した。憲法や教育基本法に反するから失効決議をした(1948年)ものを、使用していいとわざわざ閣議決定したのはなぜか。教育勅語の核心部分は、「ことが起これば国に身を捧げて皇室を守れ」である。子どもたちに対し、「お国のため」にすすんで自衛隊に入隊し戦場に行く気概を持てと、政府が考えるからに他ならない。
そもそも、教育勅語は天皇が国民に下した命令であり、民主主義とは相容れない。

■「日の丸・君が代」の強制に私たちが反対するのは、学校は「お国のための人間」育成をしてはならない、教育行政から干渉を受けずに、子どもたちの人格形成の助けをすべきと考えるからです。


3月23日都教委定例会傍聴報告 

■華々しく次々に打ち上げる都教委施策に自画自賛

 非公開議題には「『いじめ防止対策推進法』28条に基づく調査について」があった。2月終わりに新聞報道された、原発避難で千代田区小学校に転校してきた3人の児童がいじめを受けていたこと=「重大事態」についての調査報告か。都教委は2015年にいじめにより自殺に追い込まれた高校生の件についても未だ、定例会で公開議題にしていない。したがって、東京の公立学校に周知徹底していないだろうし、身近で起きた教材として子どもたちに提示していないだろう。今回の調査報告とともに、子どもたちが考え受け止められるよう、資料を開示してもらいたい。 以下、公開議題6件のうち、2件について報告します。

1 「英語村(仮称)」事業における事業者、施設名称及び事業概要について

 グローバル社会に生きる自分を発見する体験型英語学習施設「英語村(仮称)」について、以下決定したとのこと。

施設名称:TOKYO GLOBAL GATEWAY
事業者:株式会社TOKYO GLOBAL GATEWAY
構成員:株式会社学研ホールディングス 株式会社市進ホールディングス 
株式会社エデューレエルシーエー  一般財団法人英語教育協議会 株式会社博報堂
開設場所:タイム24ビル(江東区 ゆりかもめ「テレコムセンター」駅から徒歩2分)
都による財政支援:施設賃料の全額及び、開業前の施設改修経費の2分の1を支給
開業予定:2018年9月
料金:半日コースで2400円、1日コースで4800円。小学校から高校の団体利用優先。

 <かなり大きな予算>を<特定の民間業者>に丸投げし、教育産業に市場を提供してやる。このような営利目的の民間業者の教育事業を体験することで「グローバル社会に生きる自分を発見する」ことになるという発想は安易すぎないか。税金の使い方として適正なのか疑問だ。しかし、この点について教育委員から発言はなく、出された発言は「料金が高いのではないか」「いや、それ(料金が高い)だけの価値がある体験内容だ」(教育長)、「都の事業だから、都から人を出せたらよい」というものであった。
 ここに投じる税金・教育予算は、本来は各学校に配り、すべての子どもたちに使われるべきものである。すべての子どもたちに行くべき教育予算を、都教委が目玉とするこうした事業、エリート育成事業に使うのは許されることではない。しかし、その意識が都教委にも教育委員にも全くない。

2 新国際高校(仮称)の設置について

 国際高校の入学者選抜の応募倍率が高いことからこの高校の設置を、「都立高校改革推進計画・新実施計画」(2016年2月)に決定していた。学科は理数教養系と語学教養系(=第二外国語必修)で、どちらも海外進学コースを設置する。インターナショナル・スクール等との交流や、大学・外資系企業との連携等国際色豊かな教育環境を整備できる立地条件を満たす港区白金に、できるだけ早期の開講を目指す。

 このような、都教委が次々に打ち出す〈エリート育成にお金を投じる施策〉は、全ての子どもの人格の完成という教育の目的、所得格差と教育格差といった教育をめぐる現状からみて教育予算の配分として適正かどうかなど、十分な検討がなされたとは思えない。あまりに性急だ。

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