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2019/02/14

都庁前通信 2019年2月14日号

F20190214

「教員の負担軽減」「教育の質の向上」を本気で言うならば、
都教委がまずすべきは大幅定員増


 3月までの教育委員会定例会に、新年度に向けての施策等が次々と打ち出される。1月31日の教育委員会定例会には、①平成31年度教育庁所管事業予算・職員定数について ②「東京都教育ビジョン(第4次)(案)」の骨子について が報告された。
 新規採用教員受験倍率が一向に上がらない深刻な東京の学校現場。昨年度の東京の小学校教員採用試験倍率は2.7倍という低さで、教育総合会議で取り上げられるなどしたが、今年度の同倍率は更に下がって1.8倍という。事務方の報告や教育委員の発言を傍聴していて思うのは、受験倍率が上がらないのはなぜかが、事務方にも教育委員にも全く理解できていないのではないかということだ。
 また、上記した①では、「『過労死ライン』の教員が多数存在し、教員採用選考の受験倍率も低下している現状であり、教育の質の低下も懸念される。」「『教員の負担軽減』と『教育の質の向上』の両立を図るため、東京都教育委員会として多様な取り組みを複合的に行っていくことが重要」といい、②では、「教育の質を向上する『働き方改革』」として、「教員が誇りとやりがいをもって職務に従事できる学校運営体制を整備する。」「多角的に学校を支援する新たな体制を構築する。」という。
 「教員が誇りとやりがいをもって」と言うならば、まずは、過労死ラインの残業をやらなくていいよう、教員の大幅定員増をすること。これが大前提だ。ここにお金をかけることに反対する都民はいないだろう。そして、都教委が学校の支配管理を止め、各学校に職員会議の議決権(=自治権)を戻すことだ。そのためには、一人ひとりの教員及び教員集団に「教育の自由」のあることが、生きた子どもたちを相手にする教育活動には必要不可欠だということを都教委は認識すべきである。教員集団が子どもたち・保護者と共に、かつてのように学校を楽しいと思える場所に作り変え、また、教員に子どもと向き合う時間的余裕があれば、教員は「誇りとやりがいをもって」仕事ができる。そうなれば、教員希望者は間違いなく増えるだろう。

***** ***** *****

 上記したことと重なる部分もありますが、この日の定例会で報告されたことのうち、3点を報告します。

平成31年度教育庁所管事業予算・職員定数について
 事業予算に加えて、「教員の負担を軽減するとともに、教育の質の向上を図るため、学校をきめ細かくサポートする全国初の多角的支援機関(新財団)の設立」を発表した。
 新財団は、ア.外部人材の安定的な確保 イ.教員サポート ウ.学校事務の共通処理――の機能を持つとのこと。ア.は「人材バンク」を設置し、情報提供や派遣をする。 イ.は専門外の懸案事項の相談、国際交流等に係る高度な交渉等を代行し、教員をサポートする。 ア.イ.ともに、教員OBや校長OBの活用がメインのようだ。 ウ.は従来各校で行っていた学校事務のうち、共通処理が可能な事務を集約し、業務負担の軽減・効率化を図る。そのうえで、事務職員の教員サポートや学校経営への参画を促進する(事務職員に教員の仕事までさせるということか?)。
 この機関を都教委の中に作るのではなく外部組織である新財団にするというのは、今問題になっている水道の民営化のように、教育の民営化の一方法ということか? 「チーム学校」を打ち出したのは数年前、その総括もできないまま、わけのわからない新財団設立という無節操さは何ということか。
 新財団の取り組みの一つとして、「国への提案」3つが挙げられている。その一つは、「夏季休業期間等の業務が比較的少ない実情を踏まえ、『1年単位の変形労働時間制』の導入を提案」というものだ。これは、文科省の方針と同じで、過労死ラインの残業を軽減するものでないことは明々白々。これを「教員の負担軽減」策として平然と挙げる無神経ぶり。都教委は「教員の負担軽減」など、全く考えていないということだ。
 新財団は2019年度に設立し、2020年度から実施し2021年度からは本格実施、立ち上げ時の組織規模は13名体制とのこと。新財団が、「教員の負担軽減」「教育の質の向上」に寄与するはずはない。

「東京都教育ビジョン(第4次)(案)」の骨子について
 文科省の「第3期教育振興基本計画」に沿って都教委は「東京都教育ビジョン(第4次)」を策定するとのこと。「すべての児童・生徒に確かな学力を育む教育」「生徒の多様なニーズと時代の要請に応える『都立高校改革』」「教育の質を向上する『働き方改革』」など12の「基本的な方針」を設定し、30の今後5か年の施策展開の方向性を示す。これも、美辞麗句を並べるが、子どもたちが教員との人格的触れ合いの中で育つような環境づくりがなされないのははっきりしている。
 この骨子に対するパブリックコメントを2月いっぱい受け付け、3月末の教育委員会で策定し、4月から施策の展開に入るという。

「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)(案)」の骨子に対する意見等について
 11月後半から1ヶ月間に寄せられたパブリックコメントの概要が紹介された。パブリックコメント(総数128件)のうち25件の意見が寄せられたのは、立川高校定時制の閉課程問題だった。「立川高校定時制が閉課程になれば、八王子市・立川市に夜間定時制はなくなる。多様な学びを保障するのは都の施策方針でもあり、こうした方針に反する定時制の閉課程について見直ししてほしい。」等々。定時制課程の存続は、長いこと、要求され続けてきたことなのに、都教委はその要求に耳を傾けることなく、閉課程を続けてきた。パブリックコメントに対する指導部からの発言等はなかったので、2月に決定される新実施計画(第2次)に取り入れられるかは不明。パブリックコメントを募集しながら、それを無視してきたのがこれまでの都教委の手法なので、注視していきたい。

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2019/01/31

都庁前通信 2019年1月31日号

F20190131

都教委、高校生を東京2020大会ボランティアに半ば強制


 12月半ば、一都立高校生が「(教員から)とりあえず全員書いて出せと言われたんだけど、都立高校の闇でしょう」とSNSに投稿した。
 東京2020大会のボランティア募集、大会ボランティアは目標の2倍に達する16万人の応募があったが、都市ボランティア(東京都が募集して空港や駅で道案内などを行う)は締め切り2週間前になっても目標に届かなかった。そこで、都教委は都立高校全 2、3 年生分の応募用紙10万枚を各学校に送付し、再募集した。そこで起きたのが、この投稿。
 “ボランティア(志願者)”と言うが、背景には、このような半ば強制ともとれる「指導」があったのではないか。下に示す「通知」と共に考えてほしい。

 東京2020大会都市ボランティアの応募期間の延長に伴う再募集について(通知)

 表題の通知(30教指企第1237号 平成30年11月26日)を、都教委指導部オリンピック・パラリンピック教育推進担当課長は都立高校長に通知した。通知には「対象となる生徒への周知と案内等について、お取り計らいのほど、よろしくお願い申し上げます。」とあり、「今後の予定」には次のようにある。

11月中:当課から各学校長に電話連絡により説明  12月4日:校長連絡会にて説明
12月上旬:対象となる全生徒分の「応募申込用紙」を各校に送付。学校用資料(生徒への説明文例等)を別途学校に送付。各校で対象となる全生徒へ「応募申込用紙」を配布、説明。
12月12日:オリ・パラ準備局において申込状況を把握するため、同日時点での申込人数を当課へ報告
12月下旬:「応募申込用紙」を各校でまとめていただき、当課に提出

 都教委は各校長に応募申し込みの提出を指示した。となれば、各校長の教員・生徒に対する指導力が問われることになる。その意を受けて、「全員書いて出せ」と半ば強制で提出させた教員が出たというのは不思議ではない。むしろ、必然だ。生徒の自主性に任せるのではなく、校長をしてかなりの強制があったと見るべきだ。
 校長も教員も、この「成果」が年度末に行われる業績評価に反映することも十分意識しているだろう。

「平成30年度都立高校生等ボランティア・サミットにおける生徒の参加について(通知)」

 「全都立高校の主体的なボランティア活動を一層推進するため、『ボランティア・サミット』を開催する」という、この「通知」(30教指高第565号 平成30年9月18日)には次のようにある。サミットは11月3日に行われた。

 対象:全日制課程178校の生徒2名及び教員1名
 定時制・通信制課程の学校で出席を希望する生徒がいる場合は、担当までご連絡ください。
 出席生徒及び教員の報告については、別紙1「平成30年度都立高校生等ボランティア・サミット出席者」を作成し10月1日までに調査統計システムによりご提出ください。

 同趣旨の依頼文を都教委は区市町村教委にも送付し、中学生及び教員の参加募集も呼びかけた。

 都立高校生等ボランティア・サミットの募集についても、強制がなかったとは言えないのではないか。次のよ
うな報告もある。

***** ***** *****

 23区の都立高校に通う生徒は「ボランティア・サミットの話は顧問教諭を通じて生徒会に来てまして各校から
2名ということでしたので、他にやりたそうな人がいなそうだったので自分と友人で行くことになりました。別
にやりたかったわけではないです。顧問教諭もボランティア・サミットにいい印象を抱かなかったようで、『各校
から2人出さないといけない。』みたいなことを言ってましたね。顧問は不本意ながら強制という雰囲気でした。」
と語った。また、多摩地域の都立高校に通う生徒は「先生から声をかけられ半ば強引に(参加させられた)。参加
者の大半が班での自己紹介で皆、教諭から依頼されたという旨を発言していた。」と語った。(The Interschool
Journal より引用)


都教委定例会傍聴報告

「平成30年度都教委児童・生徒等表彰について」(報告)
――表彰で都教委が狙うことは?


 表彰は1984年度から「心豊かな児童・生徒等を育成することを狙いとして」始めたという。表彰の対象は、「①地道な活動を継続的に行い、他の模範となる者 ②当該児童・生徒の活動が契機となり、その効果が波及し、他の児童・生徒等の具体的な行動や取組に良い影響を与えた者 ③環境美化活動や福祉活動、奉仕活動、子ども会等、地域における活動を継続的に実践した者 ④スポーツ・文化活動において著しい成果を上げた者 ⑤人命救助又はこれに類する行為を行った者」
 今年度の表彰は幼稚園児2件を含む278件。区市町村教委及び都立学校長から推薦を受けた352件について表彰審査会(都教委、校長で構成)が決めた。2月9日に表彰式を行うとのことだった。
 上記した①から⑤について、事例が写真及び一言で紹介された。①では、「学級内の自主的な清掃やゴミの分別、友人への優しい声かけ、動物の世話を継続的に」行った幼稚園児。 ②では、「ボランティア・サミットの参画を通じ校内の主体的なボランティア意識の向上に貢献」した高校生。 ③では、「居合術の演武に継続的に取り組み、伝統文化財である古武道の保存振興に尽力」した高校生。「継続的に高齢者宅のゴミ出しを行う活動が地域のボランティア活動の活性化と連携に波及」させた小学生 ④では、「第19回国際ショパンピアノコンクール in Asia 金賞」の中学生。 ⑤では、「帰宅途中に火災を発見、近くの大人に知らせることで、初期消火及び被害の拡大防止に貢献」した小学生、等々。表彰対象は、あくまでも都教委の目にかなったもの。
 ①の幼稚園児の受賞は、「自主的な清掃やゴミの分別、友人への優しい声かけ、動物の世話」などそれ自体は良い行為だが、「一番よい子、2番目によい子」と序列がつけられるものだろうか。学級内で他の園児からどう受け取られるであろうか。競争を煽り、その弊害が生じることはないか、などと気になる。
 「都教委から認めてもらわなくて結構」と、お上から表彰されることを良しとし、ありがたがる意識が人々から払拭されない限り、権力機構は表彰を通して権力誇示を続けることになる。

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2019/01/10

都庁前通信 2019年1月10日号

F20190110_2

河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会
学習会

問い続けて
−教育・学校・教師と東京の教育−


  講師 渡部謙一さん (元都立高校校長)
  日時 2019年1月19日(土)17時45分開会(17時30分開場)
  場所 国分寺労政会館第3会議室
      国分寺市南町3-22-10 TEL 042-323-8515
  参加費 500円


 東京の「破壊的教育改革」が始まろうとする1995年に都立高校教頭になり、定年退職を前に2003年「10.23通達」後最初の卒業式で職務命令を出さざるを得なかったという元都立高校校長の渡部謙一さんをお招きします。渡部さんは職務命令を出してしまったことの贖罪の念から「君が代」不起立・不伴奏処分取消訴訟で陳述書を提出し証言台に立ったと言われます。
 そして、自らの教育理念を「教育は人間讃歌」、「『協働性』が教育活動の根源」であり「自由な議論なくして活力なし。納得なくして意欲なし。信頼なくして指導なし。尊敬なくして管理なし。」と語っています。子どもに対しても教員に対しても、「人格を持った人間」ではなく、「国家のための人材」としてしか見ない都の教育行政の悪辣さについて、渡部さんは校長職にあったからこそ見えたことも苦悩したことも多々あったのではないでしょうか。
 「10・23通達」発出から15年経った今、東京の「破壊的教育改革」は更にひどくなり、暗澹たる気持ちになります。しかし、どの時代に生きても、知り発見する喜びを持つ子どもたちに対し、私たちは教育行政を監視しただしていかねばなりません。渡部さんの言葉を借りれば、「東京都の『教育改革』の教育観、人間観に対して『それは子どもたちが[人間的に成長・発達することとどんな関係があるのか]と問い続けたい』…学校に教育行政の言葉ではなく、教育の言葉を取り戻すことこそ課題」です。
 渡部さんから東京の「破壊的教育改革」、ご自身の教育に対する考えと実践を話していただき、東京の教育について追求していきたいものです。

渡部謙一著:「東京の『教育改革』は何をもたらしたか」(高文研2011年)


12月13日都教委定例会傍聴報告

報告「児童・生徒を支援するためのガイドブック~
不登校への適切な対応に向けて~」の作成について
――机上の空論ではなく、具体的事実の検証を


 東京公立小中学校の不登校の子どもが1万人(1.3%ほどか)を超え増加傾向にあることから、「すべての教員が、不登校の要因や背景を正しく理解した上で、児童・生徒の状況に応じた適切な支援を行われるよう」ガイドブックを作成したとの報告(都教委HPに掲載)。今年度中に全校に配布するとのこと。
 ガイドブックの内容は、支援の段階を「未然防止」「早期支援」「長期化への対応」に分け、「未然防止」では、「不登校が生じない魅力ある学校づくり」を挙げる。教職員が主導して児童・生徒の「居場所づくり」をし、それを基に児童・生徒が主体的に取り組む活動を通して「きずなづくり」ができるよう、教職員は「場」や「機会」の設定をする。4月には「1日になるべく多くの児童・生徒に話し掛ける」、9月には「児童・生徒間の関係を注意深く見守る」など、当たり前と思われる支援例を列挙する。
 「早期支援」では、支援の対象となる児童・生徒の状況を把握した(アセスメント)上で、管理職・学年主任・スクールカウンセラー等による登校支援会議で情報の共有と支援の方向性を検討し、「登校支援シート」を作成して早期支援を開始する。状況に応じて、アセスメントの見直しや支援内容・方法の修正をする。アセスメントは「身体・健康面」「心理面」「社会・環境面」に分類して15項目を挙げ、例えば、「心理面」の「自己有用感」「自己肯定感」では「本人の良いところを多く見付け、言葉で伝えるよう心掛ける」などの支援例を列挙する。
 「長期化への対応」では、「本人や保護者とじっくり関わる」ことを組織的・計画的に行うとこを第一に挙げ、「本人や保護者と会えない・連絡が取れない場合は、直ちに子ども家庭支援センターや児童相談所等への通告を行うほか、警察などへの情報提供を行うなど」とする。
 
 教育委員から、「子どもだけでなく、教員の『居場所』も必要」、「登校支援シート」作成に関して「個人情報の流出に注意が必要」との発言があった。しかし、机上の空論でしかない感は否めない。
 1年間にわたるいじめによる不登校の後、今年8月末に自殺に追い込まれた八王子市立中学校の生徒の件では、保護者は学校に度々相談したが、学校は対処しなかったことが報じられた。前々回の定例会でいじめの案件が出された際にも今回のこの案件でも、実際に起きてしまった事実について考察する発言がなかったから。
 子どもからも教員からも、学校での「居場所」を奪ったのは都教委の管理主義・競走主義の施策だ。都教委は20年ほど前から、各学校が生徒や保護者の声に耳を傾け、職員会議で論議し決定し、教職員の総意で行ってきた協働の教育活動を壊し続けてきた。また、「魅力ある学校づくり」には全く意味のない書類の作成・提出や官製「研修」を次々に教員に指示し、子どもたちと向き合う時間を削り、学校行事や授業内容・進度までをも監視する。そしてそれを校長による人事評価で査定し、賃金に反映させる。そうなれば、学校に「居場所」がないと感じる教員が出る、仕事に対する意欲を保持できなくなるのは必然だ。校長も都教委による自身への評価を恐れて、「穏便に」済まそうとし、「いじめがあったとは知らなかった」とする。そのすべてが子どもたちの「居場所」を奪うのだ。八王子の件でも、こうした観点から考察すべきと思う。都教委がすべきことはこのことであって、ガイドブックの作成ではない。
 「子どもの教育が教師と子どもとの間の直接の人格的接触を通じ、その個性に応じて行われなければならない」(旭川学テ最高裁判決 1976年)。このことに、都教委は心血を注ぐべき。

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2018/12/20

河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会 学習会

181213

河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会 学習会

問い続けて
−教育・学校・教師と東京の教育


講師 渡部謙一さん (元都立高校校長)
日時 2019年1月19日(土)17時45分開会(17時30分開場)
場所 国分寺労政会館第3会議室
    国分寺市南町3-22-10 TEL 042-323-8515
参加費 500円



 東京の「破壊的教育改革」が始まろうとする1995年に都立高校教頭になり、定年退職を前に2003年「10.23通達」後最初の卒業式で職務命令を出さざるを得なかったという元都立高校校長の渡部謙一さんをお招きします。渡部さんは職務命令を出してしまったことの贖罪の念から「君が代」不起立・不伴奏処分取消訴訟で陳述書を提出し証言台に立ったと言われます。
 そして、自らの教育理念を「教育は人間讃歌」、「『協働性』が教育活動の根源」であり「自由な議論なくして活力なし。納得なくして意欲なし。信頼なくして指導なし。尊敬なくして管理なし。」と語っています。子どもに対しても教員に対しても、「人格を持った人間」ではなく、「国家のための人材」としてしか見ない都の教育行政の悪辣さについて、渡部さんは校長職にあったからこそ見えたことも苦悩したことも多々あったのではないでしょうか。
 「10・23通達」発出から15年経った今、東京の「破壊的教育改革」は更にひどくなり、暗澹たる気持ちになります。しかし、どの時代に生きても、知り発見する喜びを持つ子どもたちに対し、私たちは教育行政を監視しただしていかねばなりません。渡部さんの言葉を借りれば、「東京都の『教育改革』の教育観、人間観に対して『それは子どもたちが[人間的に成長・発達することとどんな関係があるのか]と問い続けたい』…学校に教育行政の言葉ではなく、教育の言葉を取り戻すことこそ課題」です。
 渡部さんから東京の「破壊的教育改革」、ご自身の教育に対する考えと実践を話していただき、東京の教育について追求していきたいものです。

渡部謙一著:「東京の『教育改革』は何をもたらしたか」(高文研2011年)

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2018/12/13

都庁前通信 2018年12月13日号

F20181213

高校生の主張
ボランティアは学校主導より生徒の自主性に任せよ

 昨今、学校でのボランティア必修化の動きが進んでいる。任意の単位認定科目として設定するならばともかく、これを必修とするのは、事実上の強制だ。 そもそもボランティアの語源をしっているだろうか~「志願兵」という意味である。従って、「ボランティア」というのは、個人の自由意思により行われるべきものである。 つまり、昨今の「ボランティア」必修化の動きは、この原則に反する。だが残念なことに 「体験学習」と称して福祉施設や清掃活動、児童福祉事業等に労働力を無償で動員している「ボランティア」活動の実績がある。 本来、福祉施設や清掃活動、児童福祉等の労働力確保や弱者救済は行政の仕事である。これを財政難を理由に忌避しておきながら、純粋無垢な学徒を「ボランティア」の美名の下に動員するなど言語道断である。何の為に皆が税金を納めているのか行政にはよく考えてもらいたいものだ。 こんなことを書いていると、「お前は思いやりの心がないのかー!」などと激昂する人達がいるが、彼らは思いやりをはき違えているようにしか思えない。先にも述べたようにボランティアは個人が自主的に困っている人に手を差し伸べるものであり、半強制的に動員するものではない。あくまで「思いやり」は個人の自由だ。誰かが思いやりを強制することはあってはならない。 特に所属生徒に関して絶大な権力を行使できる学校当局が、これを強制するというのは、「現代の学徒動員」であり、「強制徴用」であると断じざるを得ない。また、進学評価に「ボランティア」活動が反映されることで立場の弱い生徒が学校当局から「進学が有利になる」と甘言で徴用される現状は大変不愉快だ。
 私は生徒の自己決定に基づくボランティアには大いに賛成だが、学校主導のボランティア活動は直ちに廃止すべきだと思う。学校当局がボランティア募集を行うのも不適当だ。ボランティアは本来の意味通り生徒の自主性に任せるべきで、強制もしくは事実上の強制があってはならない。高校生自身による事業のコーディネートを行う高校生の自主管理組織を作り、大人に干渉させることなく、本当のボランティアをやろうではないか。ボランティアは義務ではなく、権利だ。我々高校生発のボランティアをはじめるべきではないだろうか。

上記記事は電子版「YAMABUKI JOURNAL ONLINE」に掲載されている。
YAMABUKI JOURNAL は、2015年11月1日に都立新宿山吹高校新聞部編集局長・平松けんじさんによって創刊された校内新聞。同紙は学校の広報紙ではなくジャーナリズムを志向していたことで、教員から検閲や発禁・弾圧を受け、現在は学校公認の新聞部から独立して電子版「YAMABUKI JOURNAL ONLINE」で記事を配信しているとのこと。

~~~~~ ~~~~~ ~~~~~ ~~~~~
 この高校生が指摘するように、学校主導のボランティアはまさに「現代の学徒動員」である。東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた、都立高校生へのボランティアの強制・必修はあってはならない。都教委はこの高校生の主張・指摘にきちんと答えるべきだ。


11月22日都教委定例会傍聴報告

①都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)(案)の骨子について
―― すすむ「エリート」優遇教育

 1997年から2006年にわたる都立高校改革推進計画では目に見えるものとして、学区の廃止、進学指導重点校の指定やチャレンジスクール等の新設、夜間定時制閉課程等を行った。2012年から2021年にわたる都立高校改革推進計画では、国際高校の国際バカロレア認定コースや〇〇推進校・重点校等の指定、自己負担80万円で1年間の留学(年間200人)実現を「支援」する次世代リーダー育成道場、夜間定時制4校の閉課程 (廃止)等々、競争主義、「エリート」優遇・「ノンエリート」切り捨ての「改革」を行ってきた。
 この日の報告では、2019年度から2021年までの「新実施計画(第二次)」(案)の骨子が示された(都教委HPに掲載)。12月21日まで都民からパブリックコメントを募集し、2月に「新実施計画(第二次)」を策定するとのことだ。
 骨子は、「次代を担う社会的に自立した人間の育成(教育内容)」「生徒一人一人の能力を最大限に伸ばす学校づくりの推進(学校設置・課程改善等)」「質の高い教育を支えるための環境整備(教育諸条件)」を目標にすると言う。しかし、新国際高校の設置、小中高一貫校設置、中高一貫校の充実など「エリート」育成に偏った改革であり、・「弱者」に位置する生徒は切り捨てられていくのではないかという内容に思えてならない。一例を挙げれば、夜間定時制課程の閉課程には「チャレンジスクールでは代替にならない」とたくさんの都民から強い反対(=請願を含む)が寄せられてきたが、骨子はこうした都民の声には耳を貸すことなく、「チャレンジスクール・昼夜間定時制高校の充実」「一部の夜間定時制課程を閉課程」と「取組の方向」を記す。都民の声を受けて論議をし直した形跡は見られない。都教委にとっては、高校に行けない子どもが出てもいいということなのか、と思う。
 「オリンピック・パラリンピック教育の推進」の「ボランティアマインド」では、「すべての都立高校に『ボランティアサポートチーム』を編成し、各学校で組織的、計画的にボランティア活動が一層推進される仕組みを構築」するという。2020東京大会開催に疑問を持つ生徒にまでボランティア活動を強制してもいいのかの論議はなかったのか。
 「環境整備」に関して、「教員を目指す人で、優秀な人が減っている」との発言が2人の教育委員からあった。しかし、教育委員からも担当部長からも、なぜそうなってしまうのか、なぜ採用試験の倍率が高くならないのかと原因を追及する発言は今回もなかった。職員会議での発言を禁じられ、都教委の指示のままに動かされ、オーバーワークが常態化する現実に、現職教員だけでなく教職希望者も仕事に対する魅力を感じなくなっているのだ。解決策は、都教委が支配介入をやめて各学校の職員会議を最高決定機関に戻すこと、それ以外に解決策はない。

②SNSを活用した教育相談(試行)の結果について
――SNSではなく、身近な教員に相談したいと生徒が思える環境・教員の働き方が大事!

 8月25日から9月7日まで都立高校生を対象に、10回線1対1のチャット相談を行った。相談員は心理カウンセラー資格保有者。その結果、相談件数は315件、1件当たりの相談時間平均は88分、相談回数は1回が146人、2回が38人、4回以上が11人。相談内容は「友人関係」が73件で最多、「いじめ」についての相談は電話相談では一番多いが、今回は9件とのこと。
 結果として、「教育相談におけるSNSは有効」「対象者数に対する回線数はおおむね妥当」、次年度に向けては「福祉保健局や青少年・治安対策本部と連携したSNS相談体制の構築」「相談者に最後まで寄り添える対応の検討」を挙げた。
 SNSや電話相談を全面否定するものではないが、それ以前に、生徒と長い時間を過ごす教員たちが、生徒が相談したいと思える関係性を取り戻すことだ。生徒と過ごす時間的余裕が教員にあれば、教員は生徒と触れ合う中で異常に気づくことができ、生徒に向き合うことができる。生徒も安心して教員に悩みを打ち明け相談できる。相談員とは違って、その生徒の学級や友人関係も知る教員だから対応できることが大きい。教員定数を増やす、都教委がすべきはこのことだ。

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2018/11/22

都庁前通信 2018年11月22日号

F20181122

八王子市中学生いじめ自殺に対して、学校は? 市教委・都教委は?

 八王子の中学生がいじめを苦に8月末に自殺したとの報道があったのは今月6日。
 両親によると、昨年8月、家族旅行のため部活動を休んだことを先輩からSNS上で非難された。その後、不登校となった。学校に相談したが、「当校に悪い子はいない」などと言われ、転校を促された。今春に市内の別の学校に転校してからも不登校が続いたという(朝日デジタル11月6日)。生徒の遺書には、「無視はつらい」「誰も助けてくれなかった」「学校に行きたかった」とあった。
 学校に行けなくなった生徒に対して、学校側が「いじめ」と認識したのは、生徒が死亡した後のこと。不登校が続く生徒に対して、教員たちは何も感じなかったのか。心配し、彼女と向き合おうとした教員はいなかったのか。
 この生徒の1年に及ぶ不登校は、いじめ防止対策推進法がいうところの「重大事態」そのものであった。校長をはじめとする教員たちは、いじめ防止について都教委による研修を受け、下記の組織的な取り組みをしてきたはずだ。なのに、なぜ、こうした事態を迎えてしまったのか!その点を都教委は考察すべきだ。

「第3期都教委いじめ対策委員会への諮問について」
――起きてしまった重大な現実から目を背けた「いじめ対策」

 折しも、八王子の件が報道された翌々日の8日の教育委員会定例会では、「第3期都教委いじめ対策委員会への諮問について」が議案とされていた。
 議案は、「都は2014年6月に『東京都いじめ防止対策推進条例』を制定して以降、都教委・地教委との緊密な連携の下、すべての公立学校において、校長をはじめとした教職員と保護者・地域住民・関係機関等が一体となり、組織的にいじめ防止等のための取り組みを推進してきた。都教委は、第2期都教委いじめ対策委員会から、見逃しがちな軽微ないじめの積極的な認知や、組織的対応を通して、多くのいじめを解消に導いてきた実績が明記された答申を得た。更に、いじめ防止に係る取り組みの推進状況の検証、評価及びいじめ防止等の対策を一層推進するための方策について諮問する。」というものだった。
 10月27日の定例会でも今回のこの提案でも指導部長は、「いじめ件数が増えているのは、軽微ないじめに対しても子どもも教員も問題にするようになったからであり、いじめ対策の成果」と言った。また、「いじめを根絶するために、いじめ調査を年に3回やり、教員研修もやっている。」とも言った。
 最悪最大の「重大事態」が起きたことを知りながら、よくもこのようなことを言ったものだ。議案を提案した指導部長からも教育委員からも、申し合わせたかのように、起きてしまった八王子の件に引き寄せての発言はなかった。心ある者ならば、避けて通ることはできないはず、と思うのだが。

 いじめ防止対策推進条例に則って研修やいじめ調査をしても、道徳を教科にしても、いじめは根絶できない。いじめの要因は強度のストレスに依るもの、そして、同調圧力だ。小学校1年生から5時間授業、ドリルができなければ居残り勉強。体力テストの平均値を上げるための練習等々、子どもたちは詰め込み・過剰な競争にさらされ続け、ストレスを溜めている。給食だけが食事という子どももいる。そして、「日の丸・君が代」の強制に見られる同調圧力、横並び、異端分子の排除。
 この状況から子どもたちを解放し、子どもたちが学校で安心して暮らし、ゆったりと勉強ができる環境をつくることがいじめの解決につながるのではないか。生徒は遺書に、「もっと不登校にやさしい世界だったら」と書いていた。寛容さが学校からなくなったのは、上記したことに加え、都教委の教員に対する管理・評価や残業しなければ成り立たない働かせ方が大きく影響していると思う。時間をかけて生徒に向き合う精神的・時間的余裕が教員になく、その結果、教員たちから感じたり考えたりする感性がなくなっているのではないか。また、校長による業績評価(勤務評定)が悪くならないよう、見て見ぬふりをしたり、通り一遍の「指導」で済まそうとしたりしているのではないか。「悪は思考停止から始まる」(アンナ・ハーレント)のだ。教員に余裕があれば、学校空間がゆるやかになり、子どもたちも寛容になれる。
 都教委が、指示命令で教職員を動かす学校運営をやめ、かつてのように職員会議を最高決定機関とする学校運営に戻せば、教職員は働きがいを取り戻し、学校に自由な空気が流れるようになることは間違いない。一人ひとりの子どもに目を向ける余裕も出てくる。また、そうすることが子どもたちの自立的人格形成を促し、いじめ根絶につながると、体験を通して思う。


11月8日都教委定例会傍聴報告 他、2点について

②「英語『話すこと』の評価に関するフィージビリティ調査の実施について」

 フィージビリティとは実現可能性、フィージビリティ調査は事業の実現可能性を検証すること、という。都教委はなぜ誰もに理解できる日本語ではなく、カタカナ文字を使うのか。
 来年度の都立高入試から英語は「話すこと」の評価を導入することになった。そこで、設問や評価のあり方、実施・運営方法等について検証するために、都内公立中8校に在籍する3年生を対象に、8月末から9月にかけてテストを実施したとの報告。問題なく実施できたとのことだった。
 各教育委員からは、「表現方法はいろいろあるので、相手に伝えられたかが大事なこと。表現によって採点に違いが出ないように。」「裕福な家庭の子どもは英語に接する機会が多い中、家庭環境によって受験する生徒たちに不利が出ないように。」「機器によるトラブルが起きないように。」「時間と手間をかけてまでやるべきことなのか。撤退も考えてもいいかも。」など、批判ともとれる発言があったが、承認となった。都立高入試では、これまでも採点ミスが続出したことを考えれば、「話すこと」の評価では、採点ミスの急増は必至。都教委はその点をどう考えているのか、理解できない。

③「『学びの基盤』プロジェクトの設置について」

 高校生の「読解力の向上、自ら学ぶ力を高めることを通して、将来、社会人として自立できる力を育成する」。このことを目的に、「社会生活を送る上で最低限必要となる読解力を高める教育プログラム」を検討する「読解力ワーキンググループ」と、「生徒の多様性に着目し、その生徒に合った学び方で基礎学力を高める教育プログラム」を検討する「自ら学ぶワーキンググループ」を設け、有識者を含めた検討委員会をつくる。11月19日に第1回を開催する。また、研究協力校を指定するとの報告だった。
 都教委は、「日の丸・君が代」をはじめとして、自分の頭で考えさせずに指示命令に従うことを教え込み、子どもたちから自己決定権を奪っておきながら、「自ら学ぶ力」「自立できる力」なんて、恥ずかしげもなくよく言えたものだ。本末転倒も甚だしい。「自ら学ぶ力」「自立できる力」というのであれば、まずは、「日の丸・君が代」を含めて卒業式・入学式を子どもたちに返上すべきだ。返上すれば、子どもたちは知恵と力を寄せ合い企画・実行する。その過程で、「自ら学ぶ力」や「自立できる力」は十分に身につけていくものだ。このことこそが本来の学校教育である。
 高校入試の英語の評価もこの件もそうだが、都教委は次々に新企画を打ち出すが、それは、企画担当役職員の評価・出世につながるということなのかと疑りたくもなる。

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2018/11/08

都庁前通信 2018年11月8日号

F20181108

パラスポーツで算数を学ぶ とは?!


 渋谷区の小学校6年生は、2020東京パラリンピックの全22競技を入れた算数ドリルを配布された。4月に使い始めた上巻の五輪版に続く下巻という。東京五輪・パラリンピック組織委員会と、有志の教員たちが作成したとのことで、来年度は都内全域に対象を広げる予定とのこと(10月23日付東京新聞夕刊)。
 これは、戦中の教育を彷彿させる。例えば、当時の算数教科書は、「50m おきに日の丸をあげるとすれば、500メートルの距離では何本の日の丸が必要になるか」という具合に、子どもたちに「愛国」を意識させる教科書だった。
 2020東京オリンピック・パラリンピックに反対と考える子どもたちにも、算数まで使って、オリ・パラ最高との考えを刷り込むことにほかならない。思想良心の自由は子どもたちにも保障しなければならないとの認識が都教委には欠けているのではないか。

東京朝鮮学校無償化裁判 不当判決



 朝鮮学校を高校無償化の対象から外したのは違法だと東京朝鮮学校高級部の卒業生61人が国に損害賠償を求めた裁判で、東京高裁は10月30日、一審に続き原告の控訴を棄却した。
 2010年に、どの子も高校教育(アメリカンスクールや中華学校、韓国学校などの各種学校を含む)を無償で受けられるようにと高校無償化法が成立し、朝鮮高校も含め予算概算要求までしていた。しかし安倍政権になって2013年2月、文科省は、朝鮮学校について「北朝鮮や朝鮮総連との密接な関係が疑われ、就学支援金が授業料に充てられないことが懸念される」として無償化から除外した。
 2010年4月から実施されている高校無償化制度は、家庭の状況に関わらず、全ての子どもが安心して勉学に打ち込める社会を築くため教育の機会均等を確保するという趣旨だ。北朝鮮のとの関係等々―事実関係も確かめていない-は子どもたちの教育を受ける権利とは関係ないことだ。
 全国で訴訟になった5件のうち、大阪地裁判決は「(無償化除外は)政治的意見に基づいており、教育の機会均等の確保をうたった無償化法の趣旨に反している」と、処分を取り消し、国に無償化の義務づけを命じた(控訴審では逆転敗訴)。卒業生の声に耳を傾けた、まっとうなこの判決理由を広めたい。
 なお、国連の人権差別撤廃委員会は日本政府に対して朝鮮学校を無償化の対象から外すことは、「差別的な扱い」であるとして排除勧告(2010年3月)をしている。



10月25日都教委定例会傍聴報告
■傍聴者への上から目線■


 26日東京新聞朝刊は、「いじめ72%増の3万854件」「不登校は最多1万1988人」の見出しで、都内公立小中の実態報告(文科省調査)を大きく報じている。25日の定例会では非公開議題とされたのに、都教委HPを開くと、この報告(25日)が掲載されている。

○ いじめの認知件数は、前年度と比べ12,893件増加し、31,049件。全ての校種で増加した。3月31日時点のいじめの解消率は87.0%。前年度と比べ、小学校、中学校、高等学校で低下し、特別支援学校で上昇している。
○ 小・中学校における長期欠席者のうち、不登校児童・生徒数は小学校 3,226人、中学校8,762人。前年度より小学校で282人、中学校で320人増加した。不登校出現率は小学校0.56%、中学校3.78%で、小・中学校ともに上昇している。一方、学校復帰率は小学校25.6%、中学校20.1%と、小・中学校ともに低下している。

 都教委はこの報告をなぜ、非公開議題にしたのか。非公開議題にできるのは、「人事に関する事件その他の事件について、教育長又は委員の発議により、出席した教育長及び委員の三分の二以上の多数で議決したとき」(東京都教育委員会会議規則)となっている。そのいずれに該当する議題なのかが不可解だったので、都教委に電話を入れた。
 「文科省が公開日時を25日17時(以降)と言ったので、非公開議題にした」のだという。「疑問に思った傍聴者は私だけでない。なぜ、その説明をしなかったのか。そうした運営が問題だ」と言うと、「教育情報課(都民の声を聞く部署)に要望として伝えます」。筆者は「教育情報課が苦情等を報告するのは半年先。すぐに直接、教育長等に報告してほしい」と言って、電話を置いた。
 教育委員が定例会を欠席しても開始時刻が遅れても、司会進行を担当する教育長はいつも何の説明もしない。傍聴者がそれを訊けば、「妨害発言」だとして傍聴券を奪ってきた。今回も、非公開にする理由を知りたかったけれど、傍聴権を奪われるから、筆者は声に出さなかったのだ。「傍聴をさせてやっている」という上から目線意識が全ての教育委員にあるとしか思えない。

■今年度『児童・生徒の学力向上を図るための調査』及び『全国学力・学習状況調査』の結果について■

 『児童・生徒の学力向上を図るための調査』(都学力テスト)の結果からわかることとして都教委は次を挙げる。

①「学力の定着が図られている問題例」として、小5算数「10-3✕2」の正答率は88.6%。平成25年度の正答率78.2%と比較し改善が図られている。
②「定着が不十分な問題例」として、中2数学「底面積と高さがそれぞれ等しい円柱と円錐があります。この時、円柱の体積は円錐の体積の何倍になるか答えなさい。」の正解「3」の解答は57.3%、「三分の一」と解答したのが7.7%。「文章から基準となるものを捉えることに課題がある」と結論付ける。
③授業が「よく分かる」「どちらかといえば分かる」と回答した児童・生徒の割合は、小学校において高い状態を維持し、中学校においても増加傾向にある。
④学校質問紙調査、「授業の最後に学習したことを振り返る活動を行った学校と行わなかった学校」との児童・生徒の正解率の差は拡大した。「よく行った」と「あまり行っていない」との差は、小5国語で4.9、算数で7.0%(点)など。

 他方、学力テストの弊害については見ようとしない。
 全国学力テスト(小6、中3 2007年度から)に先立つ2004年度から都教委は都独自の学力テスト(小5、中2)を行ってきた。1960年代に行われた全国学力テストでは、学校や地域間の競争が過熱し、不正行為も起きたことから、文部省は1964年をもって悉皆調査を中止した経過がある。都学力テストにおいても、足立区では区教委あげての不正行為が起きた(05年1月)。
 点数の取れない子どもについては休ませてほしいと保護者に要請したり、学力テストの採点から点数の取れない児童3人を外したり、試験監督中に教師が机を叩いて児童に誤答を教えるなど、学校ぐるみで成績を上げるための不正行為や、過去問を使った対策をとった。さらに、区教委は校長会で、問題を事前に配布していた。この不正が発覚したのは、一般教員からではなく保護者からの告発によるものであった(06年7月)。また、これに対する都教委の追及は、なかったに等しい。
 この不正行為に反省し学ぶことなく、都教委は学力テストを続け、更には各区市町村教委が独自の学力テストまで行っている。競争に煽られるのは、子どもと教員たちだ。競争の過熱ぶりも、上記した「不登校」の児童・生徒の増加と関連しないだろうか。点数の結果よりも、学校に子どもの居場所がなくならないようにするにはどうすればいいかを教育委員たちは論じてもらいたい。

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2018/10/25

都庁前通信 2018年10月25日号

F20181025

柴山昌彦文科大臣、就任早々に教育勅語を賛美
――進んで戦場に行く子どもたちをつくりたいのか――

 柴山文相は教育勅語について、「現代風に解釈され、あるいはアレンジした形で、道徳などに使うことができる分野というのは十分にある。普遍性をもっている部分がみてとれる」と発言。使える部分として「同胞を大切にするとか、国際的な協調を重んじるとか、基本的な記載内容」を挙げた。
 森友学園の塚本幼稚園が園児に教育勅語を暗唱させていたことが問題視された17年3月、安倍内閣は「勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導」を不適切とした一方で、「憲法や教育基本法等に反しない形で教材として用いることまでは否定されることではない」という答弁書を閣議決定した。
 教育研究者でつくる17の学会は、昨年6月に「政府は教育勅語には普遍的な価値が含まれており、憲法に反しないかぎり肯定的に扱うことも容認されるとしているが、戦前・戦中は国民を排外主義的、軍国主義的愛国心に導くことに使われた。肯定的に扱う余地は全くない」、「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本理念とする日本国憲法とは相いれない」と述べて、批判的な歴史的資料として用いる場合を除き教育勅語の使用禁止を改めて確認するよう求めた。
 教育勅語は、1890年に明治天皇が、「日本人としてどうあるべきか」を子どものころから教えるため「臣民」に下した天皇の言葉・文書。その核心は、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ(何かが起きた場合はすみやかに勇気を出して天皇のためにつくせ)」、すなわち、「国の非常時には天皇のために命を懸けよ」という意味だ。天皇を頂点とする国家主義の思想である。
 したがって、天皇主権ではなくなった戦後の1948年に、衆参両院が教育勅語の排除・失効を決議したのだ。当時の森戸辰男文部相は「教育勅語は明治憲法を思想的背景としており、その基調において新憲法の精神に合致しがたい」と、国会で答弁した。
 「兄弟ニ友ニ夫婦相和シ」など「いい内容がある」と発言するなどして、戦前回帰を目指す国会議員は稲田朋美防衛相(17.3.21)をはじめ、多数存在する。柴山文相や稲田元防衛相(現筆頭副幹事長)など、安倍首相の側近は、道徳を教科化し教育勅語も使って、お国のために戦争に行く子どもたちをつくろうとしているのだ。



10月11日都教委定例会傍聴報告
生徒・保護者の声置き去りに夜間定時制の廃止すすむ

①「来年度都立高校の 1 年生募集人員等について」及び「請願について」
 都教委は「都立高校改革推進計画・新実施計画」(2016年2月策定)に基づき16年2月12日の定例会で、夜間定時制高校(小山台、雪谷、江北、立川)の閉課程を決め、17年度で雪谷高校夜間定時制を閉課程とした。そして今回、今年度で江北高校定時制を閉課程とするという提案をした。夜間定時制課程を潰して、替わりにチャレンジスクールや昼夜間定時制高校の募集を増やすことを都教委は方針としている。
 「都立江北高校定時制の存続を求める会」から出されていた「都立江北高校定時制の募集停止の決定を拙速に行わないことを求める請願」の請願理由には、「夜間定時制は『学びのセーフティネット』であること」

「チャレンジスクールとは性質が異なり代替できないこと」等が挙げられている。切実な要求だ。
 対する都教委の回答は、「夜間定時制の第一次募集の応募者数は、平成28年度は912人、平成29年度は799人、平成30年度は794人と減少」「江北高校定時制課程への入学者数は、平成28年度は30人、平成29年度は27人、平成 30年度は13人と年々減少し、募集人員に対する在籍生徒数の割合も…他の夜間定時制高校と比較し低い」。したがって、「生徒や保護者のニーズに応えるため、昼夜間定時制とチャレンジスクールの夜間部の規模拡大やチャレンジスクールの新設を行う」「閉課程に当たっては周辺の夜間定時制課程において受け入れていく」というもの。
 都教委が「周辺の夜間定時制課程」としてあげた8校の一つ、江戸川高校までは公的交通機関を使って1時間かかる。「生徒や保護者のニーズに応える」と言いながら、請願に向き合おうとする誠意はまったく感じられなかった。教育委員からも、請願に賛成する意見はなかった。15歳の子ども全員に、学びの場を保障することは教育行政の責務であることを忘れてはいまいか。

 傍聴していた、都立定時制高校で働く非正規教育労働者は次のように言った。
◇江北(定)は31年度(2019年度)の生徒募集が停止された。閉課程に一歩進めてしまった。
◇今回、立川(定)と小山台(定)の募集停止は免れたが、《新実施計画》の閉課程方針は変更されていない。
従って、2020年度以降の生徒募集停止が強行される可能性があり、許されない。

②幼・小の一層の円滑な接続を図るための教育課程の研究・開発委員会中間報告について
 「小学校教育の現状と今後の在り方検討委員会」の提言(17年12月14日)を受け、18年3月22日の定例会で「研究・開発委員会」を設置し、モデル地区に指定した荒川区のモデル校(公立幼稚園1園・公立小学校1校)で実践・検証する(2021年度)ことが決定された。この委員会で「5歳児から小学校低学年をひとまとまりにした教育課程の方向性」を検討し、その結果を教育課程や教材・教具等の開発へ反映できるように報告をまとめるとのこと。
 中間報告では――。「研究・開発する教育課程の方向性」に関連して、「指導する内容」は「『思考力、判断力、表現力等』『学びに向かう力、人間性等』について、すべての保育・教育活動を通してスパイラルに育む。」等を挙げる。
 「研究・開発する教育課程に応じた環境」づくりとして、ひとつの教室内に一斉学習の場、個別・グループ活動の場を設ける(「学びの部屋(仮)」という)。指導内容・時期に応じた教材・教具の開発を検討する等。今後は、「幼児・児童の学習や生活等に関して実態調査を行い、学びに向かう力、興味・関心等について把握する」「研究・開発した教育課程の成果を都内の各自治体及び就学前施設・小学校に提供し、広くその成果を発信する」とのこと。
 荒川区のモデル校は小学校と幼稚園が同じ敷地にあるという。モデル校1校に限って幼小の授業を行うことはできても、東京の全公立学校で行うことはむずかしいはず。さすがに教育委員からは、「保育園の場合はどうするか、無理がある」「前倒しにならないよう」「結果ありきでなく、成果を検討してほしい」などの発言があった。しかし、中止を求める発言はなかった。
 文科省が保・幼・小連携の方針を打ち出したのは、「幼稚園教育要領」及び「保育所指導指針」を改定し3歳児以上の幼児に「国旗・国歌に親しむ」ことを教えるとしたことと関係があるとしか考えられない。

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2018/10/15

都庁前通信 2018年10月11日号

F20181011
 「辺野古新基地建設はさせない」。沖縄の人々の強い思いが玉城デニー県知事を生んだ。この結果に対し、政府は「早期に辺野古への移設と普天間基地の返還を実現したい考え方に変わりはない」(菅官房長官)と、沖縄への米軍基地の押しつけをやめようとはしない。民意を汲み上げ実現させるのが政治であり、地方自治であるのに、安倍政権はそのことを全く理解しない。
 米軍基地があるために起こる、沖縄での度重なる米軍機事故や暴行傷害事件に対して本土の「国民」は沈黙していていいのか、問わねばならない。
 今月1日、横田にもオスプレイが配備された。沈黙を破り、反対の声を大きく上げよう。

「オリンピック・パラリンピック学習読本」に嘘の記述
「五輪読本」裁判、本日14時~ 東京地裁526号法廷にて

 東京の小学4年生から高校生までの児童・生徒に、都教委は2016年度から「オリンピック・パラリンピック学習読本」(「五輪読本」)や「オリンピック・パラリンピック学習ノート」を配り、公立学校には年間35時間のオリンピック・パラリンピック学習を課している。同「読本」には、国際オリンピック委員会(IOC)が定めているIOC憲章に明確に違反する嘘の記述があり、それを訂正するよう高嶋伸欣・琉球大名誉教授ら(都教委を訴える会:共同代表)が指摘してきたが、都教委は訂正を拒んできた。そこで、高嶋名誉教授らは裁判に訴えている。
 嘘の記述とは、小学校編の「世界のマナー」と題した節で「国旗と国歌」という小見出しをつけ、「オリンピック・パラリンピックでは、開会式で選手たちが自国の国旗を先頭に行進します。表彰式では、優勝した選手の国の国旗をかかげ、国歌を演奏します」「表彰式の国旗けいようでは、国歌が流されます」「国歌とともに国旗がけいようされます」の「国旗」「国歌」。
 IOC憲章は、「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と規定し、それに沿って 1980 年、「選手団が使う旗と歌は(国旗・国歌ではなく)選手団が登録した旗と歌」と追加規定した。それによって、中華民国(台湾)は国旗でなく、大会組織委員会に登録して、台湾の人々が好む梅の花をデザインした旗を用いている。リオでは難民選手団が、ピヨンチャンではロシア選手団がオリンピック旗で入場したことは記憶に新しい。日本の選手団は「日の丸」「君が代」を選手団の旗、歌として登録したに過ぎない。
 IOC憲章を知りながらなぜ、都教委は嘘を子どもたちに教えるのだろうか。嘘を使ってまで、「愛国心」を刷り込もうとするのか。

◆ 調布市主催のコンサートで中学生らも登壇し「君が代」起立・斉唱

 調布市が東京2020公認プログラム(東京五輪大会に向けた文化プログラム事業)として7月16日に主催した、ソプラノ歌手・新藤昌子氏と世界の国旗研究協会理事長兼会長・吹浦忠正氏による、「世界の国旗・国歌学ぼう!聴こう!歌おう!@調布」と題するコンサートで起きたこと。市側との企画段階で、新藤氏が「親交のある市立5中合唱部顧問の音楽科女性教員」に声をかけたため、5中合唱部生徒約100名も参加した。意見の分かれる問題である「君が代」に生徒たちを動員したことに対し、市民らが抗議。市・生活文化スポーツ部オリパラ担当部長は「今回の開催に際し、様々なご意見があったので、今後はことさら国旗・国歌のみ取り上げる形でなく、より良い形を検討していく」と答えたという(『週刊新社会』2018年8月21日号)。 声があがってよかった。
 オリンピックを利用して、「愛国心」の刷り込みがされることに警戒していかねば、と思う。


9月13日都教委定例会傍聴報告
校長の約半数が学習指導要領を超える性教育を求めている

 8月に都内全中学校の校長を対象に都教委は「性教育(中学校)の実施状況調査」を行った。そこでは約半数(46%)の校長が「学習指導要領に示されていない内容を指導することも必要だと思う」と回答した。
 また、「避妊法や人工妊娠中絶等、学習指導要領に示されていない内容を授業で指導している(する予定である)」学校が9%(55校)にのぼる。都教委の学校支配が強い中で、この数字は大きな意味を持つ。
「・指導している内容は、避妊法、人工妊娠中絶、コンドームの利用、性交、望まない妊娠
 ・指導している理由は、

様々な情報が氾濫している状況で、情報を選択するための正しい知識を身につけさせることが必要なため。/性感染症を教える中で、知っておいたほうがよいため。/命の大切さを知り、望まない妊娠をさせないため。」と回答を寄せている。


 3月の文教委員会で古賀自民党都議会議員が足立区中学校の性教育を問題視したことに便乗して、都教委は4月26日の定例会で学習指導要領を超えた性教育について次のような見解と今後の対応を発表した。
 「『性交』『避妊』『人工中絶』といった中学校学習指導要領保健体育にないことばを使った授業は不適切。保護者の理解を必ずしも十分得ないまま授業が実施されていた。」今後は、「学習指導要領を基本とする。すべてを集団指導で教えるのではなく、集団指導で教えるべき内容と個別指導で教えるべき内容を明確にする。学習指導要領を超える内容を指導する場合には、事前に学習指導案を保護者に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施するなど」とした。
 都教委の方針に合わない授業を止めさせるために、こうした「今後の対応」を出したのではないのか。
 なお、この都教委の「不適切」見解に対して、北村教育委員から「現場では萎縮せず、取り組んでほしい」との発言はあったものの、北村教育委員を含め教育委員からは、「保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施する」ことに賛成する発言が相次いだ。
 しかし、現場の校長たちの約半数は上記した調査結果の通り、「『性交』『避妊』『人工中絶』といった学習指導要領にない言葉を使った授業」の必要性を感じている。もちろん生徒全員を対象に、である。性に関する情報が氾濫する中で、子どもたちを守っていくためには性に関する正しい知識を学ぶ機会はすべての子どもに必要だ。
 この数字の重みを都教委は受け止めなければいけない。受け止めて、4月26日に出した都教委見解を撤回し、10代の実態に即した性教育のあり方を真剣に検討するべきだ。

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2018/09/13

都庁前通信 2018年9月13日号

F20180913

ここでも文書改ざんが?

都教委は裁判で嘘の陳述書を校長に出させている?

■根津「君が代」不起立処分取消訴訟で

 当会の河原井・根津の2008年「君が代」不起立処分取消訴訟(根津は南大沢学園養護学校在職)において、根津が2004,5年に在職した立川二中のF校長(当時)が都側証人として陳述書を出し、7月12日に尋問に立った。
 2008年の根津停職6月処分では、処分理由に①「君が代」不起立だけでなく、②「日の丸・君が代強制反対」等のロゴの入った衣服を日常の仕事の中で着用したことが挙げられていた。そこで根津は、「これまでも何年にもわたりこの衣服を着用してきたが、着用を禁止したのは南大沢学園のO校長だけ。」と主張してきたところ、都はF校長の陳述書を出してきました(昨年12月)。「平成17年の6月頃着てきたので、始業前に注意したところ、脱ぐか上に羽織るかした。それ以降、一度も着てこなかった。だから(処分のための)事故報告をあげなかったのだ。」というもので、800字ほどのものでした。
 7月12日の尋問では、F校長は陳述書に書かれた「平成17年の6月頃」ではなく、「平成16年春の運動会の朝練習の時に着用した」と証言。こちらの代理人が質すと、「都教委と面談した上で都教委が案文を作り、それを私が修正して署名捺印した」、修正した点は半年前のことなのに、「覚えていない」という、辻褄の合わない証言でした。
 〈着用を禁止したのは南大沢学園の校長だけ、と根津は言うが、立川二中のF校長も一度注意をして、着用を続ければ事故報告をあげるつもりだった〉というストーリーにするために、都教委はF校長に都教委が作成した陳述書に署名押印させたのでした。

■すでに他の裁判で

 都立高校の教員が懲戒免職(2014年)の取り消しと損害賠償を求めた裁判で、その高校の校長は「相賀管理主事から陳述書の原稿が送られてきて署名押印して提出するよう指示された。内容は事実に反し、教諭に極めて不利になる内容だった。」が、「虚偽の陳述書を提出しなければならない現実に、心を痛めたが、指示に従わないと進退問題にまで発展し、不利益を避けるように提出してしまった。保身のために出した陳述書が裁判で使われ、教諭の人生を台無しにしたらと後悔の念が積もり、新たに陳述書を書き直して提出しようと決心した。」と、事実を書いた陳述書を再提出したということです。(2015年6月19日号「週刊金曜日」) 都教委が作成した陳述書に署名押印させられたのは立川二中のF校長だけではなかったのです。
 この教員の処分は取り消されました。

■上意下達の思考が招いたこと 

 F校長は、根津停職6月処分の適法性を立証するのに自分が使われていることを認識しているのだろうか。根津の処分よりも、自身の保身(K市教育相談所 非常勤教授)を優先させたのか。いや、都教委から指示されたら、組織人として判断することなく従うということなのか。そんなことを考えながら証言するF校長を観察していました。在職中の根津の印象では、F校長は「君が代」不起立の報告はあげるけれど、差別的な人ではありませんでした。しかし、そうした人でも、上から指示されれば考えずに従ってしまうということでしょう。
 国会中継で繰り広げられる官僚や閣僚も、これと同じです。私たちはだからこそ、指示命令に考えずに従う人間を学校教育がつくってはいけない、事実をもとに自分の頭で考え判断する子どもに育ってほしいと考え、「日の丸・君が代」の強制に反対してきたのです。(根津)



8月23日総合教育会議傍聴報告


午前中は総合教育会議、午後が定例会でした。総合教育会議の報告をします。

■「母語がしっかりする前に慌てて英語をしなくていい」

 今年度総合教育会議はこの日が第1回目。「これからの時代に必要な『読解力』を育てる』という議題で、2011年度から「ロボットは東大に入れるかプロジェクト」を立ち上げ、調査研究をしてきたという新井紀子教授(国立情報学研究所、(社)教育のための科学研究所)が「AI 時代を生きるための『読解力』とは」と題して講演。その後、淵江高校数学科の主任教諭と江戸川高校の国語科教員から短い報告があった。
 新井教授の話は――。AI は、意味は理解できないが、キーワードを上手くたくさん入れれば、「よく当たる」こともある。一方、意味がわかるはずの高校生が、意味のわからない AI に敗れるのはなぜかを、文章題の質問に答えさせることで調査した結果、

① 正答率(読解力)と偏差値とは相関関係にある。
② 就学援助(金受給)とは強い負の相関関係にある。(筆者注:援助金を受けている家庭の子どもは正答率が低い) 
③ 中学生は学年が上がるごとに読解能力が上がるが、高校生は上がっているとは言いがたい。

 とのこと。
 この調査結果から新井教授が導き出した結論は、
「教科書が読めない→予習も復習もできない。貧困下でも塾に通わなければならない→AIに職を奪われる、新しい職種に移動できない→労働力不足なのに失業や非正規雇用が増大→格差拡大、内需低下、人口がさらに減少」 したがって、「中学を卒業するまでに、教科書を読めるようにすることが公教育の最重要課題」とのこと。
 すべての子どもたちに基礎的な読解力を身につけさせる大切さは貴重な指摘だが、それでも現在のような多人数学級で英語・道徳・プログラミングと詰め込まれ、部活に参加、はてはオリンピックのボランティアにかり出されるゆとりのない学校生活では、結局、子どもの家庭環境が読解力獲得の差を生み出すのではないだろうか。そうした読解力の差が子どもたちの将来をストレートに左右するとしたら問題だが、この点はどう考えているのだろうか。 
 講義の後、小池都知事や教育委員から質問ややりとりがあった。その中から幾つかを挙げる。

小池知事︰東京は英語教育を早期から行なっている。幼いときから英語をやると、読解力がなくなるか。
新井︰母語がしっかりする前に慌てて英語をしなくていいのでは。英語を使いたいのであれば、音声翻訳が使える。
小池知事︰プログラミング教育も東京では早期にやっているが、それも良くないのか。
新井︰プログラミング教育をイベント的に年に何回かしても成果はない。プログラミングの基本は、定義をよく読むこと。
宮崎教育委員︰英語よりも母語のマスターが先だ。
 
 学習指導要領の改定に伴い、今年度から3,4年生が英語活動を、2020年度から5,6年生は英語が教科化される。都教委は全国に先駆けて英語教育に力を入れ、多大な金をつぎ込んで、英語村・体験型英語学習施設「TOKYO GLOBAL GATEWAY」を今月6日に開業させた。宮崎教育委員も他の教育委員も、英語教育に反対する発言を定例会の場でしてはこなかった。教育委員会定例会での発言とは異なった、ここでの宮崎教育委員の発言の趣旨は何だったのか。
 新井教授の発言を受けて、都教委は英語教育を再考する用意はあるか。

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