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2019/04/11

都庁前通信 2019年4月11日号

F20190411

 

 今回は3月28日に行われた都教委定例会の公開4議題のうちの2議題について報告します。

パブリックコメント募集は形だけ?

「東京都教育ビジョン(第4次)」の策定について

 「ビジョン」は1月31日の定例会で骨子を報告し、その日から30日間にわたり受け付けたパブリックコメントを踏まえて、有識者や校長等による検討委員会で協議し策定したとのこと。それが今日の定例会で承認された。「すべての児童・生徒に確かな学力を育む教育」「社会の持続的な発展を牽引する力を伸ばす教育」など12の方針と30の「今後5か年の施策展開の方向性」を挙げる。
 しかし、資料として配られた、パブリックコメントに対する「都教委の考え方」を見ると、パブリックコメントを「ビジョン」に取り入れた形跡はなかった。やはり、パブリックコメントの募集は形だけであったのか。沢山あるが、そのうちの一つを挙げよう。
「2 社会の持続的な発展を牽引する力を伸ばす教育」の「④ 科学的に探究する力を伸ばす理数教育を推進します。」に対して寄せられたパブリックコメントは、「理数系ばかりでなく、人文・社会系、芸術系、スポーツ系など、子供たちの興味・関心に応じたきめ細かな教育が進められるよう、人員の配置等、教育環境の整備を行うことが重要である。」と。 
 このパブリックコメントに対し都教委は「都教委の考え方」として、「社会の持続的発展を牽引する力を伸ばす教育について『基本的な方針2』に位置付け、理数教育、農業や工業、商業などの職業教育、高度に情報化した社会で活躍できる力を伸ばす教育などを推進していくことで、これからの東京・日本の発展を支え、様々な産業を牽引できる人材を育成していきます。」と書く。これでは都教委の一方的な考えを言うだけで、パブリックコメントへの回答にも協議の材料にもなっていない。

 このパブリックコメントを出した人の頭には、次のような懸念があったのではないかと推測する。兵力不足となった1943年、「在学徴集延期臨時特例」を公布し、理系と教員養成系を除く文系の高等教育諸学校の学生の徴兵延期措置を撤廃し、戦場に向かわせた歴史的事実。そしてまた、文科省が2015年6月、国立大に対し、人文社会科学部・教員養成系学部について「国立大学としての役割等を踏まえた組織見直し計画を策定し、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう」通知したこと。この2つを考え合わせ、国家による国立大学への支配・介入や「国の求める人材づくり」の先にあるものを懸念したのではないだろうか。文科省のこの通知に対しては、国立大学法人17大学人文系学部長会議等、数団体から抗議声明が出されている。

 2月に策定された「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)」も、パブリックコメントが最も多く寄せられた「立川高校夜間定時制の閉課程(閉校)をやめて」を検討した形跡がないまま、閉課程の方針を打ち出したものだった。機能させようとしない都教委のパブリックコメント制度について、発言する教育委員はいないのか。


都教委がまずすべきは、足立区中学の生徒や教職員への謝罪ではないのか

教師用指導書「性教育の手引」の改定について

 「手引き」は「情報化の中、児童・生徒を取り巻く環境の変化、若年層の性感染症やインターネットを介した性被害の増加、前回の改定から10年以上が経過したことから改定した」とのこと。「手引き」が、「性同一性障害等に関する正しい理解」や「学習指導要領に示されていない内容の授業での指導」「産婦人科医等による授業の実施」等の今日的課題を取り入れたことは評価したい。産婦人科医等によるモデル授業を18年度は5校で行ったが、19年度は10校にするという。昨年3月に足立区中学校が行った性教育に端を発して、同年8月に都教委が全中学校長に対して行った調査において、校長の約半数が学習指導要領を超える性教育を求め、また、医師等の外部講師を派遣してほしいとの要望が多かったことによるのは確かだ。
 しかし、「学習指導要領を超える内容を指導する場合には、事前に学習指導案を保護者に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に行う」(昨年 4 月 26 日発表)ことを、都教委は頑なに変えなかった。授業は全員を対象に行うから意味があるのであり、「寝た子を起こすな」式の意識を持つ保護者にこそ理解してもらうことが大事なのに、それはしない。非常に疑問だ。“隠し事”を興味ある一部の子どもにだけにおしえるような形の授業は、かえって子どもたちに性への歪んだ関心を引き起こすのではないか。
 今年度モデル授業を実施した学校では、事前に保護者に授業内容を示したうえで、学習指導要領内と指導要領外の授業のどちらがいいかを訊き、2本立ての授業を実施したという。モデル授業では『性交』『避妊』を扱ってもいいという。

 昨年3月16日の都議会文教委員会で古賀自民党議員が足立区中学校の性教育について「不適切」と批判し、中井教育長は、同授業に「課題がある」として、当該校の管理職および全教員を指導する、都内全公立中学校長を指導する旨の答弁をした。さらに都教委は、4月26日の都教委定例会で、学習指導要領を超えた性教育について次のような「見解と今後の対応」を発表した。
 「『性交』『避妊』『人工中絶』といった中学校学習指導要領保健体育にないことばを使った授業は不適切。保護者の理解を必ずしも十分得ないまま授業が実施されていた。」今後は、「学習指導要領を基本とする。すべてを集団指導で教えるのではなく、集団指導で教えるべき内容と個別指導で教えるべき内容を明確にする。学習指導要領を超える内容を指導する場合には、事前に学習指導案を保護者に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施するなど」とした。
 こうした経緯があるから、都教委は自身及び古賀議員の面子を保つために「保護者の理解・了解」にこだわるのだろうか。
 子どもたちの実態を踏まえて出された、校長たちからの要望等を受け止めて都教委は「手引き」の内容を変えたのだから、「中学校学習指導要領保健体育にないことばを使った授業」も必要と認識したということだ。ならば、まずは足立区中学校の当時の生徒や保護者、教職員に誠実に向き合い謝罪すべきではないのか。都教委はこの人たちの人権を侵害したのだから。そのうえで、昨年4月26日に発表した「見解と今後の対応」を見直すべきではないのか。
 「保護者の理解・了解を得る」ことを条件にしたことについて、校長や教職員が賛成するはずはないと思うのだが、そうした声は都教委に届いていないのだろうか。子どもも親も混乱し、教職員の不要な仕事量は増えるばかりだ。また、こうした条件を付けることで、教員はむしろ性教育をやりにくくなるのではと、気がかりだ。
 「保護者の理解・了解」というならば、都教委は「愛国心」を刷り込むオリンピック・パラリンピック教育や卒業式・入学式での「日の丸・君が代」の強制にこそ、適用すべきである。

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2019/03/28

都庁前通信 2019年3月28日号

《事務局からのお詫び》 2019/3/29

誤字を訂正しました。


F20190328_1

 

止めて!「日の丸・君が代」=「愛国心」の刷り込み

 都教委が子どもたちに「日の丸」に正対し「君が代」を起立斉唱することをからだで覚えさせるために、「君が代」起立を求める職務命令を校長に発出させ、起立をしない教職員を処分することを始めたのは2003年度後半でした。
 筆者は子どもたちに「日の丸・君が代」について考え判断するに必要な資料を与えずに、教員の指示のままに起立・斉唱させることは、教育に反することであり、教員がしてはいけないことと考え、「君が代」起立を拒否してきました。戦場に子どもたちを追いやった戦前の刷り込み教育の反省に立ち、資料をもとに自分の頭で考え判断できるよう指導することが教員の仕事と考えるからです。

■「職務命令は教職員に宛てたもので児童・生徒に宛てたものではない」と都教委は言うが

 都教委は都立高校に卒業・入学式の「進行表」を提出させています。そこに、「起立をしない生徒がいたら起立を促す。起立するまで式は始めない」旨を明記させています。明記してない場合は差し戻すということです。
 「君が代」不起立処分取り消し訴訟で処分を受けた私たちが、「日の丸・君が代」の強制は、「子どもたちの教育を受ける権利」及び「思想・良心の自由の形成」を侵害すると主張したことに対し、都教委は「(起立を求める)職務命令は教職員に宛てたもので児童・生徒に宛てたものではない」と言ってきました。
 しかし、現実は上記したことが進行していますから、職務命令は生徒にも宛てているということです。
 起立をしない生徒を処分する手法は都教委にありませんが、当該生徒への「指示」は暴力そのものです。「日の丸・君が代」については肯定・否定の双方の考えが存在しますから、子どもたちの中にも否定的な考えを持つ子どもは確実に存在します。都教委及び学校は、そのことを認識すべきで、起立しない生徒に起立を促すことはしてはなりません。

■「君が代」不起立教職員は「0」?

 2003年度から昨年度までの「君が代」不起立被処分者は延べ483名にのぼります。不起立は、処分=弾圧を覚悟で仕事に対して責任を持とうとしてのことです。
 政治状況は悪化の一途を辿り、都教委の弾圧も続く中、不起立者は年々少なくなってはいますが、起立はできない・しないと考える教職員はいます。
 しかし、不起立者を「0」にしたい都教委は、不起立をした教員には担任を持たせない、卒業学年には配属しない(=どちらも、式に出させない措置)、特別支援学校では、不起立を続ける教員を小学部3年生に配属し、卒業式も入学式も3年生は平常授業とするという、姑息な手段を使っているのです。

★「君が代」不起立教員を処分するのは、「日の丸・君が代」を尊重する態度=「愛国心」を子どもたちに刷り込むためです。人々が「愛国心」を持ったなら、この国の政治がよくなり、生活困窮者がいなくなる、でしょうか。
 19年度は都教委が各学校にオリンピック・パラリンピック教育の一層の推進を指示するでしょう。また、天皇代替わりの祝賀に学校がかかわるよう、文科省からの指示も考えられます。「愛国心」の刷り込みが心配です。

 


2月14日都教委定例会傍聴報告

◇公開議案「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)」の策定について

 12月に寄せられたパブリックコメント128件のうちの25件が「立川高校定時制の閉課程をしないで」というものだったが、提案された2019年度から3か年の「新実施計画(二次)」はその声を全く無視したもので、「雪谷高校の閉課程は2020年度、江北高校の閉課程は2021年度、小山台高校及び立川高校の閉課程年度は未定」と、昨年までの計画をそのまま強行するものだった。パブリックコメントに対する都教委の事務方及び教育委員の認識・良識を疑う。
 「夜間定時制課程は、全日制課程の高校等への進学がかなえられなかった生徒のセーフティネットの機能を有していますが、新実施計画策定後も、夜間定時制課程を希望する生徒は減少を続けています。」と言い、「セーフティネットの機能」の認識は都教委にあるようだが、「生徒の減少」に閉課程は仕方ないとする。
 皮肉にも、4校の閉課程方針は「目標2:生徒一人一人の能力を伸ばす学校づくりの推進」の項に書かれている。「夜間定時制課程を希望する生徒」はここで言う「生徒一人一人」に入らないのか。「学力」の低い生徒については、能力を伸ばすことは無理、採算も取れないから切り捨てるということのよう。高校進学ができないのは自己責任ということなのか。すべての子どもたちに学びを保障するのが教育行政の第一の仕事だ。都教委は、15歳の子どもたちを、一人として切り捨てないでもらいたい。
 都教委は夜間定時制には金を出さない一方で、進学指導重点校への予算加配や理数教育の充実、医学部進学への支援、海外留学など、「エリート」には金をふんだんに使っている。その差別施策を根本から変えるべきだ。
 
◇4報告のうち、「『学校における働き方改革の成果と今後の展開』について」

 昨年度に比べ、今年度は教員の在校時間が縮まったとの報告だった。
 部活動指導員が導入(中・高)された学校・担当教員は週当たり2時間32分の減、印刷などの手伝いをするスクール・サポート・スタッフが導入(小・中)された学校では、週当たり3、2時間の減、副校長を補佐する人を入れ、学校マネジメント強化モデル事業を実施した学校の副校長は週当たり小学校で11時間55分の減、中学校で8時間の減。
 これによって、例えば中学校教員の週当たりの在校時間は昨年の64時間35分から今年は61時間14分になり、過労死ライン相当の割合は、昨年度の68、2%から今年度は48、5%に減ったと「成果」の報告。「成果」といえる数値ではないだろうに。
 来年度の取り組みとして都立学校では、ア.「管理職が長時間労働となっている教員に対する指導・助言や産
業医面接の勧奨を実施」 イ.「長期休業期間中において学校閉庁(閉校)日を原則5日以上設定」 ゥ.「各学校で定時退庁(閉校)日を設定する等」などをあげるが、仕事量を減らすものではない。アに至っては、仕事処理の遅い教員だとして個人の責任に転嫁するのではないか。となれば、教員はこれまで以上に、仕事を持ち変えざるを得ないだろう。
 「今後の展開」・解決策は、大幅定員増しかないのだ。8時間労働を保証するのは使用者である都教委の責任であり仕事であることを都教委にはしっかり認識してもらいたい。
 都立学校の教員から聞いた話だが、「退勤時のタイムカードを刻印した後、管理職から『そのまま帰るのではないよね』と言われた同僚がいる」という。調査となれば、こんなことが起きるのは悲しいかな、現実なのだ。

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2019/02/14

都庁前通信 2019年2月14日号

F20190214

「教員の負担軽減」「教育の質の向上」を本気で言うならば、
都教委がまずすべきは大幅定員増


 3月までの教育委員会定例会に、新年度に向けての施策等が次々と打ち出される。1月31日の教育委員会定例会には、①平成31年度教育庁所管事業予算・職員定数について ②「東京都教育ビジョン(第4次)(案)」の骨子について が報告された。
 新規採用教員受験倍率が一向に上がらない深刻な東京の学校現場。昨年度の東京の小学校教員採用試験倍率は2.7倍という低さで、教育総合会議で取り上げられるなどしたが、今年度の同倍率は更に下がって1.8倍という。事務方の報告や教育委員の発言を傍聴していて思うのは、受験倍率が上がらないのはなぜかが、事務方にも教育委員にも全く理解できていないのではないかということだ。
 また、上記した①では、「『過労死ライン』の教員が多数存在し、教員採用選考の受験倍率も低下している現状であり、教育の質の低下も懸念される。」「『教員の負担軽減』と『教育の質の向上』の両立を図るため、東京都教育委員会として多様な取り組みを複合的に行っていくことが重要」といい、②では、「教育の質を向上する『働き方改革』」として、「教員が誇りとやりがいをもって職務に従事できる学校運営体制を整備する。」「多角的に学校を支援する新たな体制を構築する。」という。
 「教員が誇りとやりがいをもって」と言うならば、まずは、過労死ラインの残業をやらなくていいよう、教員の大幅定員増をすること。これが大前提だ。ここにお金をかけることに反対する都民はいないだろう。そして、都教委が学校の支配管理を止め、各学校に職員会議の議決権(=自治権)を戻すことだ。そのためには、一人ひとりの教員及び教員集団に「教育の自由」のあることが、生きた子どもたちを相手にする教育活動には必要不可欠だということを都教委は認識すべきである。教員集団が子どもたち・保護者と共に、かつてのように学校を楽しいと思える場所に作り変え、また、教員に子どもと向き合う時間的余裕があれば、教員は「誇りとやりがいをもって」仕事ができる。そうなれば、教員希望者は間違いなく増えるだろう。

***** ***** *****

 上記したことと重なる部分もありますが、この日の定例会で報告されたことのうち、3点を報告します。

平成31年度教育庁所管事業予算・職員定数について
 事業予算に加えて、「教員の負担を軽減するとともに、教育の質の向上を図るため、学校をきめ細かくサポートする全国初の多角的支援機関(新財団)の設立」を発表した。
 新財団は、ア.外部人材の安定的な確保 イ.教員サポート ウ.学校事務の共通処理――の機能を持つとのこと。ア.は「人材バンク」を設置し、情報提供や派遣をする。 イ.は専門外の懸案事項の相談、国際交流等に係る高度な交渉等を代行し、教員をサポートする。 ア.イ.ともに、教員OBや校長OBの活用がメインのようだ。 ウ.は従来各校で行っていた学校事務のうち、共通処理が可能な事務を集約し、業務負担の軽減・効率化を図る。そのうえで、事務職員の教員サポートや学校経営への参画を促進する(事務職員に教員の仕事までさせるということか?)。
 この機関を都教委の中に作るのではなく外部組織である新財団にするというのは、今問題になっている水道の民営化のように、教育の民営化の一方法ということか? 「チーム学校」を打ち出したのは数年前、その総括もできないまま、わけのわからない新財団設立という無節操さは何ということか。
 新財団の取り組みの一つとして、「国への提案」3つが挙げられている。その一つは、「夏季休業期間等の業務が比較的少ない実情を踏まえ、『1年単位の変形労働時間制』の導入を提案」というものだ。これは、文科省の方針と同じで、過労死ラインの残業を軽減するものでないことは明々白々。これを「教員の負担軽減」策として平然と挙げる無神経ぶり。都教委は「教員の負担軽減」など、全く考えていないということだ。
 新財団は2019年度に設立し、2020年度から実施し2021年度からは本格実施、立ち上げ時の組織規模は13名体制とのこと。新財団が、「教員の負担軽減」「教育の質の向上」に寄与するはずはない。

「東京都教育ビジョン(第4次)(案)」の骨子について
 文科省の「第3期教育振興基本計画」に沿って都教委は「東京都教育ビジョン(第4次)」を策定するとのこと。「すべての児童・生徒に確かな学力を育む教育」「生徒の多様なニーズと時代の要請に応える『都立高校改革』」「教育の質を向上する『働き方改革』」など12の「基本的な方針」を設定し、30の今後5か年の施策展開の方向性を示す。これも、美辞麗句を並べるが、子どもたちが教員との人格的触れ合いの中で育つような環境づくりがなされないのははっきりしている。
 この骨子に対するパブリックコメントを2月いっぱい受け付け、3月末の教育委員会で策定し、4月から施策の展開に入るという。

「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)(案)」の骨子に対する意見等について
 11月後半から1ヶ月間に寄せられたパブリックコメントの概要が紹介された。パブリックコメント(総数128件)のうち25件の意見が寄せられたのは、立川高校定時制の閉課程問題だった。「立川高校定時制が閉課程になれば、八王子市・立川市に夜間定時制はなくなる。多様な学びを保障するのは都の施策方針でもあり、こうした方針に反する定時制の閉課程について見直ししてほしい。」等々。定時制課程の存続は、長いこと、要求され続けてきたことなのに、都教委はその要求に耳を傾けることなく、閉課程を続けてきた。パブリックコメントに対する指導部からの発言等はなかったので、2月に決定される新実施計画(第2次)に取り入れられるかは不明。パブリックコメントを募集しながら、それを無視してきたのがこれまでの都教委の手法なので、注視していきたい。

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2019/01/31

都庁前通信 2019年1月31日号

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都教委、高校生を東京2020大会ボランティアに半ば強制


 12月半ば、一都立高校生が「(教員から)とりあえず全員書いて出せと言われたんだけど、都立高校の闇でしょう」とSNSに投稿した。
 東京2020大会のボランティア募集、大会ボランティアは目標の2倍に達する16万人の応募があったが、都市ボランティア(東京都が募集して空港や駅で道案内などを行う)は締め切り2週間前になっても目標に届かなかった。そこで、都教委は都立高校全 2、3 年生分の応募用紙10万枚を各学校に送付し、再募集した。そこで起きたのが、この投稿。
 “ボランティア(志願者)”と言うが、背景には、このような半ば強制ともとれる「指導」があったのではないか。下に示す「通知」と共に考えてほしい。

 東京2020大会都市ボランティアの応募期間の延長に伴う再募集について(通知)

 表題の通知(30教指企第1237号 平成30年11月26日)を、都教委指導部オリンピック・パラリンピック教育推進担当課長は都立高校長に通知した。通知には「対象となる生徒への周知と案内等について、お取り計らいのほど、よろしくお願い申し上げます。」とあり、「今後の予定」には次のようにある。

11月中:当課から各学校長に電話連絡により説明  12月4日:校長連絡会にて説明
12月上旬:対象となる全生徒分の「応募申込用紙」を各校に送付。学校用資料(生徒への説明文例等)を別途学校に送付。各校で対象となる全生徒へ「応募申込用紙」を配布、説明。
12月12日:オリ・パラ準備局において申込状況を把握するため、同日時点での申込人数を当課へ報告
12月下旬:「応募申込用紙」を各校でまとめていただき、当課に提出

 都教委は各校長に応募申し込みの提出を指示した。となれば、各校長の教員・生徒に対する指導力が問われることになる。その意を受けて、「全員書いて出せ」と半ば強制で提出させた教員が出たというのは不思議ではない。むしろ、必然だ。生徒の自主性に任せるのではなく、校長をしてかなりの強制があったと見るべきだ。
 校長も教員も、この「成果」が年度末に行われる業績評価に反映することも十分意識しているだろう。

「平成30年度都立高校生等ボランティア・サミットにおける生徒の参加について(通知)」

 「全都立高校の主体的なボランティア活動を一層推進するため、『ボランティア・サミット』を開催する」という、この「通知」(30教指高第565号 平成30年9月18日)には次のようにある。サミットは11月3日に行われた。

 対象:全日制課程178校の生徒2名及び教員1名
 定時制・通信制課程の学校で出席を希望する生徒がいる場合は、担当までご連絡ください。
 出席生徒及び教員の報告については、別紙1「平成30年度都立高校生等ボランティア・サミット出席者」を作成し10月1日までに調査統計システムによりご提出ください。

 同趣旨の依頼文を都教委は区市町村教委にも送付し、中学生及び教員の参加募集も呼びかけた。

 都立高校生等ボランティア・サミットの募集についても、強制がなかったとは言えないのではないか。次のよ
うな報告もある。

***** ***** *****

 23区の都立高校に通う生徒は「ボランティア・サミットの話は顧問教諭を通じて生徒会に来てまして各校から
2名ということでしたので、他にやりたそうな人がいなそうだったので自分と友人で行くことになりました。別
にやりたかったわけではないです。顧問教諭もボランティア・サミットにいい印象を抱かなかったようで、『各校
から2人出さないといけない。』みたいなことを言ってましたね。顧問は不本意ながら強制という雰囲気でした。」
と語った。また、多摩地域の都立高校に通う生徒は「先生から声をかけられ半ば強引に(参加させられた)。参加
者の大半が班での自己紹介で皆、教諭から依頼されたという旨を発言していた。」と語った。(The Interschool
Journal より引用)


都教委定例会傍聴報告

「平成30年度都教委児童・生徒等表彰について」(報告)
――表彰で都教委が狙うことは?


 表彰は1984年度から「心豊かな児童・生徒等を育成することを狙いとして」始めたという。表彰の対象は、「①地道な活動を継続的に行い、他の模範となる者 ②当該児童・生徒の活動が契機となり、その効果が波及し、他の児童・生徒等の具体的な行動や取組に良い影響を与えた者 ③環境美化活動や福祉活動、奉仕活動、子ども会等、地域における活動を継続的に実践した者 ④スポーツ・文化活動において著しい成果を上げた者 ⑤人命救助又はこれに類する行為を行った者」
 今年度の表彰は幼稚園児2件を含む278件。区市町村教委及び都立学校長から推薦を受けた352件について表彰審査会(都教委、校長で構成)が決めた。2月9日に表彰式を行うとのことだった。
 上記した①から⑤について、事例が写真及び一言で紹介された。①では、「学級内の自主的な清掃やゴミの分別、友人への優しい声かけ、動物の世話を継続的に」行った幼稚園児。 ②では、「ボランティア・サミットの参画を通じ校内の主体的なボランティア意識の向上に貢献」した高校生。 ③では、「居合術の演武に継続的に取り組み、伝統文化財である古武道の保存振興に尽力」した高校生。「継続的に高齢者宅のゴミ出しを行う活動が地域のボランティア活動の活性化と連携に波及」させた小学生 ④では、「第19回国際ショパンピアノコンクール in Asia 金賞」の中学生。 ⑤では、「帰宅途中に火災を発見、近くの大人に知らせることで、初期消火及び被害の拡大防止に貢献」した小学生、等々。表彰対象は、あくまでも都教委の目にかなったもの。
 ①の幼稚園児の受賞は、「自主的な清掃やゴミの分別、友人への優しい声かけ、動物の世話」などそれ自体は良い行為だが、「一番よい子、2番目によい子」と序列がつけられるものだろうか。学級内で他の園児からどう受け取られるであろうか。競争を煽り、その弊害が生じることはないか、などと気になる。
 「都教委から認めてもらわなくて結構」と、お上から表彰されることを良しとし、ありがたがる意識が人々から払拭されない限り、権力機構は表彰を通して権力誇示を続けることになる。

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2019/01/10

都庁前通信 2019年1月10日号

F20190110_2

河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会
学習会

問い続けて
−教育・学校・教師と東京の教育−


  講師 渡部謙一さん (元都立高校校長)
  日時 2019年1月19日(土)17時45分開会(17時30分開場)
  場所 国分寺労政会館第3会議室
      国分寺市南町3-22-10 TEL 042-323-8515
  参加費 500円


 東京の「破壊的教育改革」が始まろうとする1995年に都立高校教頭になり、定年退職を前に2003年「10.23通達」後最初の卒業式で職務命令を出さざるを得なかったという元都立高校校長の渡部謙一さんをお招きします。渡部さんは職務命令を出してしまったことの贖罪の念から「君が代」不起立・不伴奏処分取消訴訟で陳述書を提出し証言台に立ったと言われます。
 そして、自らの教育理念を「教育は人間讃歌」、「『協働性』が教育活動の根源」であり「自由な議論なくして活力なし。納得なくして意欲なし。信頼なくして指導なし。尊敬なくして管理なし。」と語っています。子どもに対しても教員に対しても、「人格を持った人間」ではなく、「国家のための人材」としてしか見ない都の教育行政の悪辣さについて、渡部さんは校長職にあったからこそ見えたことも苦悩したことも多々あったのではないでしょうか。
 「10・23通達」発出から15年経った今、東京の「破壊的教育改革」は更にひどくなり、暗澹たる気持ちになります。しかし、どの時代に生きても、知り発見する喜びを持つ子どもたちに対し、私たちは教育行政を監視しただしていかねばなりません。渡部さんの言葉を借りれば、「東京都の『教育改革』の教育観、人間観に対して『それは子どもたちが[人間的に成長・発達することとどんな関係があるのか]と問い続けたい』…学校に教育行政の言葉ではなく、教育の言葉を取り戻すことこそ課題」です。
 渡部さんから東京の「破壊的教育改革」、ご自身の教育に対する考えと実践を話していただき、東京の教育について追求していきたいものです。

渡部謙一著:「東京の『教育改革』は何をもたらしたか」(高文研2011年)


12月13日都教委定例会傍聴報告

報告「児童・生徒を支援するためのガイドブック~
不登校への適切な対応に向けて~」の作成について
――机上の空論ではなく、具体的事実の検証を


 東京公立小中学校の不登校の子どもが1万人(1.3%ほどか)を超え増加傾向にあることから、「すべての教員が、不登校の要因や背景を正しく理解した上で、児童・生徒の状況に応じた適切な支援を行われるよう」ガイドブックを作成したとの報告(都教委HPに掲載)。今年度中に全校に配布するとのこと。
 ガイドブックの内容は、支援の段階を「未然防止」「早期支援」「長期化への対応」に分け、「未然防止」では、「不登校が生じない魅力ある学校づくり」を挙げる。教職員が主導して児童・生徒の「居場所づくり」をし、それを基に児童・生徒が主体的に取り組む活動を通して「きずなづくり」ができるよう、教職員は「場」や「機会」の設定をする。4月には「1日になるべく多くの児童・生徒に話し掛ける」、9月には「児童・生徒間の関係を注意深く見守る」など、当たり前と思われる支援例を列挙する。
 「早期支援」では、支援の対象となる児童・生徒の状況を把握した(アセスメント)上で、管理職・学年主任・スクールカウンセラー等による登校支援会議で情報の共有と支援の方向性を検討し、「登校支援シート」を作成して早期支援を開始する。状況に応じて、アセスメントの見直しや支援内容・方法の修正をする。アセスメントは「身体・健康面」「心理面」「社会・環境面」に分類して15項目を挙げ、例えば、「心理面」の「自己有用感」「自己肯定感」では「本人の良いところを多く見付け、言葉で伝えるよう心掛ける」などの支援例を列挙する。
 「長期化への対応」では、「本人や保護者とじっくり関わる」ことを組織的・計画的に行うとこを第一に挙げ、「本人や保護者と会えない・連絡が取れない場合は、直ちに子ども家庭支援センターや児童相談所等への通告を行うほか、警察などへの情報提供を行うなど」とする。
 
 教育委員から、「子どもだけでなく、教員の『居場所』も必要」、「登校支援シート」作成に関して「個人情報の流出に注意が必要」との発言があった。しかし、机上の空論でしかない感は否めない。
 1年間にわたるいじめによる不登校の後、今年8月末に自殺に追い込まれた八王子市立中学校の生徒の件では、保護者は学校に度々相談したが、学校は対処しなかったことが報じられた。前々回の定例会でいじめの案件が出された際にも今回のこの案件でも、実際に起きてしまった事実について考察する発言がなかったから。
 子どもからも教員からも、学校での「居場所」を奪ったのは都教委の管理主義・競走主義の施策だ。都教委は20年ほど前から、各学校が生徒や保護者の声に耳を傾け、職員会議で論議し決定し、教職員の総意で行ってきた協働の教育活動を壊し続けてきた。また、「魅力ある学校づくり」には全く意味のない書類の作成・提出や官製「研修」を次々に教員に指示し、子どもたちと向き合う時間を削り、学校行事や授業内容・進度までをも監視する。そしてそれを校長による人事評価で査定し、賃金に反映させる。そうなれば、学校に「居場所」がないと感じる教員が出る、仕事に対する意欲を保持できなくなるのは必然だ。校長も都教委による自身への評価を恐れて、「穏便に」済まそうとし、「いじめがあったとは知らなかった」とする。そのすべてが子どもたちの「居場所」を奪うのだ。八王子の件でも、こうした観点から考察すべきと思う。都教委がすべきことはこのことであって、ガイドブックの作成ではない。
 「子どもの教育が教師と子どもとの間の直接の人格的接触を通じ、その個性に応じて行われなければならない」(旭川学テ最高裁判決 1976年)。このことに、都教委は心血を注ぐべき。

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2018/12/20

河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会 学習会

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河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会 学習会

問い続けて
−教育・学校・教師と東京の教育


講師 渡部謙一さん (元都立高校校長)
日時 2019年1月19日(土)17時45分開会(17時30分開場)
場所 国分寺労政会館第3会議室
    国分寺市南町3-22-10 TEL 042-323-8515
参加費 500円



 東京の「破壊的教育改革」が始まろうとする1995年に都立高校教頭になり、定年退職を前に2003年「10.23通達」後最初の卒業式で職務命令を出さざるを得なかったという元都立高校校長の渡部謙一さんをお招きします。渡部さんは職務命令を出してしまったことの贖罪の念から「君が代」不起立・不伴奏処分取消訴訟で陳述書を提出し証言台に立ったと言われます。
 そして、自らの教育理念を「教育は人間讃歌」、「『協働性』が教育活動の根源」であり「自由な議論なくして活力なし。納得なくして意欲なし。信頼なくして指導なし。尊敬なくして管理なし。」と語っています。子どもに対しても教員に対しても、「人格を持った人間」ではなく、「国家のための人材」としてしか見ない都の教育行政の悪辣さについて、渡部さんは校長職にあったからこそ見えたことも苦悩したことも多々あったのではないでしょうか。
 「10・23通達」発出から15年経った今、東京の「破壊的教育改革」は更にひどくなり、暗澹たる気持ちになります。しかし、どの時代に生きても、知り発見する喜びを持つ子どもたちに対し、私たちは教育行政を監視しただしていかねばなりません。渡部さんの言葉を借りれば、「東京都の『教育改革』の教育観、人間観に対して『それは子どもたちが[人間的に成長・発達することとどんな関係があるのか]と問い続けたい』…学校に教育行政の言葉ではなく、教育の言葉を取り戻すことこそ課題」です。
 渡部さんから東京の「破壊的教育改革」、ご自身の教育に対する考えと実践を話していただき、東京の教育について追求していきたいものです。

渡部謙一著:「東京の『教育改革』は何をもたらしたか」(高文研2011年)

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2018/12/13

都庁前通信 2018年12月13日号

F20181213

高校生の主張
ボランティアは学校主導より生徒の自主性に任せよ

 昨今、学校でのボランティア必修化の動きが進んでいる。任意の単位認定科目として設定するならばともかく、これを必修とするのは、事実上の強制だ。 そもそもボランティアの語源をしっているだろうか~「志願兵」という意味である。従って、「ボランティア」というのは、個人の自由意思により行われるべきものである。 つまり、昨今の「ボランティア」必修化の動きは、この原則に反する。だが残念なことに 「体験学習」と称して福祉施設や清掃活動、児童福祉事業等に労働力を無償で動員している「ボランティア」活動の実績がある。 本来、福祉施設や清掃活動、児童福祉等の労働力確保や弱者救済は行政の仕事である。これを財政難を理由に忌避しておきながら、純粋無垢な学徒を「ボランティア」の美名の下に動員するなど言語道断である。何の為に皆が税金を納めているのか行政にはよく考えてもらいたいものだ。 こんなことを書いていると、「お前は思いやりの心がないのかー!」などと激昂する人達がいるが、彼らは思いやりをはき違えているようにしか思えない。先にも述べたようにボランティアは個人が自主的に困っている人に手を差し伸べるものであり、半強制的に動員するものではない。あくまで「思いやり」は個人の自由だ。誰かが思いやりを強制することはあってはならない。 特に所属生徒に関して絶大な権力を行使できる学校当局が、これを強制するというのは、「現代の学徒動員」であり、「強制徴用」であると断じざるを得ない。また、進学評価に「ボランティア」活動が反映されることで立場の弱い生徒が学校当局から「進学が有利になる」と甘言で徴用される現状は大変不愉快だ。
 私は生徒の自己決定に基づくボランティアには大いに賛成だが、学校主導のボランティア活動は直ちに廃止すべきだと思う。学校当局がボランティア募集を行うのも不適当だ。ボランティアは本来の意味通り生徒の自主性に任せるべきで、強制もしくは事実上の強制があってはならない。高校生自身による事業のコーディネートを行う高校生の自主管理組織を作り、大人に干渉させることなく、本当のボランティアをやろうではないか。ボランティアは義務ではなく、権利だ。我々高校生発のボランティアをはじめるべきではないだろうか。

上記記事は電子版「YAMABUKI JOURNAL ONLINE」に掲載されている。
YAMABUKI JOURNAL は、2015年11月1日に都立新宿山吹高校新聞部編集局長・平松けんじさんによって創刊された校内新聞。同紙は学校の広報紙ではなくジャーナリズムを志向していたことで、教員から検閲や発禁・弾圧を受け、現在は学校公認の新聞部から独立して電子版「YAMABUKI JOURNAL ONLINE」で記事を配信しているとのこと。

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 この高校生が指摘するように、学校主導のボランティアはまさに「現代の学徒動員」である。東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた、都立高校生へのボランティアの強制・必修はあってはならない。都教委はこの高校生の主張・指摘にきちんと答えるべきだ。


11月22日都教委定例会傍聴報告

①都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)(案)の骨子について
―― すすむ「エリート」優遇教育

 1997年から2006年にわたる都立高校改革推進計画では目に見えるものとして、学区の廃止、進学指導重点校の指定やチャレンジスクール等の新設、夜間定時制閉課程等を行った。2012年から2021年にわたる都立高校改革推進計画では、国際高校の国際バカロレア認定コースや〇〇推進校・重点校等の指定、自己負担80万円で1年間の留学(年間200人)実現を「支援」する次世代リーダー育成道場、夜間定時制4校の閉課程 (廃止)等々、競争主義、「エリート」優遇・「ノンエリート」切り捨ての「改革」を行ってきた。
 この日の報告では、2019年度から2021年までの「新実施計画(第二次)」(案)の骨子が示された(都教委HPに掲載)。12月21日まで都民からパブリックコメントを募集し、2月に「新実施計画(第二次)」を策定するとのことだ。
 骨子は、「次代を担う社会的に自立した人間の育成(教育内容)」「生徒一人一人の能力を最大限に伸ばす学校づくりの推進(学校設置・課程改善等)」「質の高い教育を支えるための環境整備(教育諸条件)」を目標にすると言う。しかし、新国際高校の設置、小中高一貫校設置、中高一貫校の充実など「エリート」育成に偏った改革であり、・「弱者」に位置する生徒は切り捨てられていくのではないかという内容に思えてならない。一例を挙げれば、夜間定時制課程の閉課程には「チャレンジスクールでは代替にならない」とたくさんの都民から強い反対(=請願を含む)が寄せられてきたが、骨子はこうした都民の声には耳を貸すことなく、「チャレンジスクール・昼夜間定時制高校の充実」「一部の夜間定時制課程を閉課程」と「取組の方向」を記す。都民の声を受けて論議をし直した形跡は見られない。都教委にとっては、高校に行けない子どもが出てもいいということなのか、と思う。
 「オリンピック・パラリンピック教育の推進」の「ボランティアマインド」では、「すべての都立高校に『ボランティアサポートチーム』を編成し、各学校で組織的、計画的にボランティア活動が一層推進される仕組みを構築」するという。2020東京大会開催に疑問を持つ生徒にまでボランティア活動を強制してもいいのかの論議はなかったのか。
 「環境整備」に関して、「教員を目指す人で、優秀な人が減っている」との発言が2人の教育委員からあった。しかし、教育委員からも担当部長からも、なぜそうなってしまうのか、なぜ採用試験の倍率が高くならないのかと原因を追及する発言は今回もなかった。職員会議での発言を禁じられ、都教委の指示のままに動かされ、オーバーワークが常態化する現実に、現職教員だけでなく教職希望者も仕事に対する魅力を感じなくなっているのだ。解決策は、都教委が支配介入をやめて各学校の職員会議を最高決定機関に戻すこと、それ以外に解決策はない。

②SNSを活用した教育相談(試行)の結果について
――SNSではなく、身近な教員に相談したいと生徒が思える環境・教員の働き方が大事!

 8月25日から9月7日まで都立高校生を対象に、10回線1対1のチャット相談を行った。相談員は心理カウンセラー資格保有者。その結果、相談件数は315件、1件当たりの相談時間平均は88分、相談回数は1回が146人、2回が38人、4回以上が11人。相談内容は「友人関係」が73件で最多、「いじめ」についての相談は電話相談では一番多いが、今回は9件とのこと。
 結果として、「教育相談におけるSNSは有効」「対象者数に対する回線数はおおむね妥当」、次年度に向けては「福祉保健局や青少年・治安対策本部と連携したSNS相談体制の構築」「相談者に最後まで寄り添える対応の検討」を挙げた。
 SNSや電話相談を全面否定するものではないが、それ以前に、生徒と長い時間を過ごす教員たちが、生徒が相談したいと思える関係性を取り戻すことだ。生徒と過ごす時間的余裕が教員にあれば、教員は生徒と触れ合う中で異常に気づくことができ、生徒に向き合うことができる。生徒も安心して教員に悩みを打ち明け相談できる。相談員とは違って、その生徒の学級や友人関係も知る教員だから対応できることが大きい。教員定数を増やす、都教委がすべきはこのことだ。

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2018/11/22

都庁前通信 2018年11月22日号

F20181122

八王子市中学生いじめ自殺に対して、学校は? 市教委・都教委は?

 八王子の中学生がいじめを苦に8月末に自殺したとの報道があったのは今月6日。
 両親によると、昨年8月、家族旅行のため部活動を休んだことを先輩からSNS上で非難された。その後、不登校となった。学校に相談したが、「当校に悪い子はいない」などと言われ、転校を促された。今春に市内の別の学校に転校してからも不登校が続いたという(朝日デジタル11月6日)。生徒の遺書には、「無視はつらい」「誰も助けてくれなかった」「学校に行きたかった」とあった。
 学校に行けなくなった生徒に対して、学校側が「いじめ」と認識したのは、生徒が死亡した後のこと。不登校が続く生徒に対して、教員たちは何も感じなかったのか。心配し、彼女と向き合おうとした教員はいなかったのか。
 この生徒の1年に及ぶ不登校は、いじめ防止対策推進法がいうところの「重大事態」そのものであった。校長をはじめとする教員たちは、いじめ防止について都教委による研修を受け、下記の組織的な取り組みをしてきたはずだ。なのに、なぜ、こうした事態を迎えてしまったのか!その点を都教委は考察すべきだ。

「第3期都教委いじめ対策委員会への諮問について」
――起きてしまった重大な現実から目を背けた「いじめ対策」

 折しも、八王子の件が報道された翌々日の8日の教育委員会定例会では、「第3期都教委いじめ対策委員会への諮問について」が議案とされていた。
 議案は、「都は2014年6月に『東京都いじめ防止対策推進条例』を制定して以降、都教委・地教委との緊密な連携の下、すべての公立学校において、校長をはじめとした教職員と保護者・地域住民・関係機関等が一体となり、組織的にいじめ防止等のための取り組みを推進してきた。都教委は、第2期都教委いじめ対策委員会から、見逃しがちな軽微ないじめの積極的な認知や、組織的対応を通して、多くのいじめを解消に導いてきた実績が明記された答申を得た。更に、いじめ防止に係る取り組みの推進状況の検証、評価及びいじめ防止等の対策を一層推進するための方策について諮問する。」というものだった。
 10月27日の定例会でも今回のこの提案でも指導部長は、「いじめ件数が増えているのは、軽微ないじめに対しても子どもも教員も問題にするようになったからであり、いじめ対策の成果」と言った。また、「いじめを根絶するために、いじめ調査を年に3回やり、教員研修もやっている。」とも言った。
 最悪最大の「重大事態」が起きたことを知りながら、よくもこのようなことを言ったものだ。議案を提案した指導部長からも教育委員からも、申し合わせたかのように、起きてしまった八王子の件に引き寄せての発言はなかった。心ある者ならば、避けて通ることはできないはず、と思うのだが。

 いじめ防止対策推進条例に則って研修やいじめ調査をしても、道徳を教科にしても、いじめは根絶できない。いじめの要因は強度のストレスに依るもの、そして、同調圧力だ。小学校1年生から5時間授業、ドリルができなければ居残り勉強。体力テストの平均値を上げるための練習等々、子どもたちは詰め込み・過剰な競争にさらされ続け、ストレスを溜めている。給食だけが食事という子どももいる。そして、「日の丸・君が代」の強制に見られる同調圧力、横並び、異端分子の排除。
 この状況から子どもたちを解放し、子どもたちが学校で安心して暮らし、ゆったりと勉強ができる環境をつくることがいじめの解決につながるのではないか。生徒は遺書に、「もっと不登校にやさしい世界だったら」と書いていた。寛容さが学校からなくなったのは、上記したことに加え、都教委の教員に対する管理・評価や残業しなければ成り立たない働かせ方が大きく影響していると思う。時間をかけて生徒に向き合う精神的・時間的余裕が教員になく、その結果、教員たちから感じたり考えたりする感性がなくなっているのではないか。また、校長による業績評価(勤務評定)が悪くならないよう、見て見ぬふりをしたり、通り一遍の「指導」で済まそうとしたりしているのではないか。「悪は思考停止から始まる」(アンナ・ハーレント)のだ。教員に余裕があれば、学校空間がゆるやかになり、子どもたちも寛容になれる。
 都教委が、指示命令で教職員を動かす学校運営をやめ、かつてのように職員会議を最高決定機関とする学校運営に戻せば、教職員は働きがいを取り戻し、学校に自由な空気が流れるようになることは間違いない。一人ひとりの子どもに目を向ける余裕も出てくる。また、そうすることが子どもたちの自立的人格形成を促し、いじめ根絶につながると、体験を通して思う。


11月8日都教委定例会傍聴報告 他、2点について

②「英語『話すこと』の評価に関するフィージビリティ調査の実施について」

 フィージビリティとは実現可能性、フィージビリティ調査は事業の実現可能性を検証すること、という。都教委はなぜ誰もに理解できる日本語ではなく、カタカナ文字を使うのか。
 来年度の都立高入試から英語は「話すこと」の評価を導入することになった。そこで、設問や評価のあり方、実施・運営方法等について検証するために、都内公立中8校に在籍する3年生を対象に、8月末から9月にかけてテストを実施したとの報告。問題なく実施できたとのことだった。
 各教育委員からは、「表現方法はいろいろあるので、相手に伝えられたかが大事なこと。表現によって採点に違いが出ないように。」「裕福な家庭の子どもは英語に接する機会が多い中、家庭環境によって受験する生徒たちに不利が出ないように。」「機器によるトラブルが起きないように。」「時間と手間をかけてまでやるべきことなのか。撤退も考えてもいいかも。」など、批判ともとれる発言があったが、承認となった。都立高入試では、これまでも採点ミスが続出したことを考えれば、「話すこと」の評価では、採点ミスの急増は必至。都教委はその点をどう考えているのか、理解できない。

③「『学びの基盤』プロジェクトの設置について」

 高校生の「読解力の向上、自ら学ぶ力を高めることを通して、将来、社会人として自立できる力を育成する」。このことを目的に、「社会生活を送る上で最低限必要となる読解力を高める教育プログラム」を検討する「読解力ワーキンググループ」と、「生徒の多様性に着目し、その生徒に合った学び方で基礎学力を高める教育プログラム」を検討する「自ら学ぶワーキンググループ」を設け、有識者を含めた検討委員会をつくる。11月19日に第1回を開催する。また、研究協力校を指定するとの報告だった。
 都教委は、「日の丸・君が代」をはじめとして、自分の頭で考えさせずに指示命令に従うことを教え込み、子どもたちから自己決定権を奪っておきながら、「自ら学ぶ力」「自立できる力」なんて、恥ずかしげもなくよく言えたものだ。本末転倒も甚だしい。「自ら学ぶ力」「自立できる力」というのであれば、まずは、「日の丸・君が代」を含めて卒業式・入学式を子どもたちに返上すべきだ。返上すれば、子どもたちは知恵と力を寄せ合い企画・実行する。その過程で、「自ら学ぶ力」や「自立できる力」は十分に身につけていくものだ。このことこそが本来の学校教育である。
 高校入試の英語の評価もこの件もそうだが、都教委は次々に新企画を打ち出すが、それは、企画担当役職員の評価・出世につながるということなのかと疑りたくもなる。

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2018/11/08

都庁前通信 2018年11月8日号

F20181108

パラスポーツで算数を学ぶ とは?!


 渋谷区の小学校6年生は、2020東京パラリンピックの全22競技を入れた算数ドリルを配布された。4月に使い始めた上巻の五輪版に続く下巻という。東京五輪・パラリンピック組織委員会と、有志の教員たちが作成したとのことで、来年度は都内全域に対象を広げる予定とのこと(10月23日付東京新聞夕刊)。
 これは、戦中の教育を彷彿させる。例えば、当時の算数教科書は、「50m おきに日の丸をあげるとすれば、500メートルの距離では何本の日の丸が必要になるか」という具合に、子どもたちに「愛国」を意識させる教科書だった。
 2020東京オリンピック・パラリンピックに反対と考える子どもたちにも、算数まで使って、オリ・パラ最高との考えを刷り込むことにほかならない。思想良心の自由は子どもたちにも保障しなければならないとの認識が都教委には欠けているのではないか。

東京朝鮮学校無償化裁判 不当判決



 朝鮮学校を高校無償化の対象から外したのは違法だと東京朝鮮学校高級部の卒業生61人が国に損害賠償を求めた裁判で、東京高裁は10月30日、一審に続き原告の控訴を棄却した。
 2010年に、どの子も高校教育(アメリカンスクールや中華学校、韓国学校などの各種学校を含む)を無償で受けられるようにと高校無償化法が成立し、朝鮮高校も含め予算概算要求までしていた。しかし安倍政権になって2013年2月、文科省は、朝鮮学校について「北朝鮮や朝鮮総連との密接な関係が疑われ、就学支援金が授業料に充てられないことが懸念される」として無償化から除外した。
 2010年4月から実施されている高校無償化制度は、家庭の状況に関わらず、全ての子どもが安心して勉学に打ち込める社会を築くため教育の機会均等を確保するという趣旨だ。北朝鮮のとの関係等々―事実関係も確かめていない-は子どもたちの教育を受ける権利とは関係ないことだ。
 全国で訴訟になった5件のうち、大阪地裁判決は「(無償化除外は)政治的意見に基づいており、教育の機会均等の確保をうたった無償化法の趣旨に反している」と、処分を取り消し、国に無償化の義務づけを命じた(控訴審では逆転敗訴)。卒業生の声に耳を傾けた、まっとうなこの判決理由を広めたい。
 なお、国連の人権差別撤廃委員会は日本政府に対して朝鮮学校を無償化の対象から外すことは、「差別的な扱い」であるとして排除勧告(2010年3月)をしている。



10月25日都教委定例会傍聴報告
■傍聴者への上から目線■


 26日東京新聞朝刊は、「いじめ72%増の3万854件」「不登校は最多1万1988人」の見出しで、都内公立小中の実態報告(文科省調査)を大きく報じている。25日の定例会では非公開議題とされたのに、都教委HPを開くと、この報告(25日)が掲載されている。

○ いじめの認知件数は、前年度と比べ12,893件増加し、31,049件。全ての校種で増加した。3月31日時点のいじめの解消率は87.0%。前年度と比べ、小学校、中学校、高等学校で低下し、特別支援学校で上昇している。
○ 小・中学校における長期欠席者のうち、不登校児童・生徒数は小学校 3,226人、中学校8,762人。前年度より小学校で282人、中学校で320人増加した。不登校出現率は小学校0.56%、中学校3.78%で、小・中学校ともに上昇している。一方、学校復帰率は小学校25.6%、中学校20.1%と、小・中学校ともに低下している。

 都教委はこの報告をなぜ、非公開議題にしたのか。非公開議題にできるのは、「人事に関する事件その他の事件について、教育長又は委員の発議により、出席した教育長及び委員の三分の二以上の多数で議決したとき」(東京都教育委員会会議規則)となっている。そのいずれに該当する議題なのかが不可解だったので、都教委に電話を入れた。
 「文科省が公開日時を25日17時(以降)と言ったので、非公開議題にした」のだという。「疑問に思った傍聴者は私だけでない。なぜ、その説明をしなかったのか。そうした運営が問題だ」と言うと、「教育情報課(都民の声を聞く部署)に要望として伝えます」。筆者は「教育情報課が苦情等を報告するのは半年先。すぐに直接、教育長等に報告してほしい」と言って、電話を置いた。
 教育委員が定例会を欠席しても開始時刻が遅れても、司会進行を担当する教育長はいつも何の説明もしない。傍聴者がそれを訊けば、「妨害発言」だとして傍聴券を奪ってきた。今回も、非公開にする理由を知りたかったけれど、傍聴権を奪われるから、筆者は声に出さなかったのだ。「傍聴をさせてやっている」という上から目線意識が全ての教育委員にあるとしか思えない。

■今年度『児童・生徒の学力向上を図るための調査』及び『全国学力・学習状況調査』の結果について■

 『児童・生徒の学力向上を図るための調査』(都学力テスト)の結果からわかることとして都教委は次を挙げる。

①「学力の定着が図られている問題例」として、小5算数「10-3✕2」の正答率は88.6%。平成25年度の正答率78.2%と比較し改善が図られている。
②「定着が不十分な問題例」として、中2数学「底面積と高さがそれぞれ等しい円柱と円錐があります。この時、円柱の体積は円錐の体積の何倍になるか答えなさい。」の正解「3」の解答は57.3%、「三分の一」と解答したのが7.7%。「文章から基準となるものを捉えることに課題がある」と結論付ける。
③授業が「よく分かる」「どちらかといえば分かる」と回答した児童・生徒の割合は、小学校において高い状態を維持し、中学校においても増加傾向にある。
④学校質問紙調査、「授業の最後に学習したことを振り返る活動を行った学校と行わなかった学校」との児童・生徒の正解率の差は拡大した。「よく行った」と「あまり行っていない」との差は、小5国語で4.9、算数で7.0%(点)など。

 他方、学力テストの弊害については見ようとしない。
 全国学力テスト(小6、中3 2007年度から)に先立つ2004年度から都教委は都独自の学力テスト(小5、中2)を行ってきた。1960年代に行われた全国学力テストでは、学校や地域間の競争が過熱し、不正行為も起きたことから、文部省は1964年をもって悉皆調査を中止した経過がある。都学力テストにおいても、足立区では区教委あげての不正行為が起きた(05年1月)。
 点数の取れない子どもについては休ませてほしいと保護者に要請したり、学力テストの採点から点数の取れない児童3人を外したり、試験監督中に教師が机を叩いて児童に誤答を教えるなど、学校ぐるみで成績を上げるための不正行為や、過去問を使った対策をとった。さらに、区教委は校長会で、問題を事前に配布していた。この不正が発覚したのは、一般教員からではなく保護者からの告発によるものであった(06年7月)。また、これに対する都教委の追及は、なかったに等しい。
 この不正行為に反省し学ぶことなく、都教委は学力テストを続け、更には各区市町村教委が独自の学力テストまで行っている。競争に煽られるのは、子どもと教員たちだ。競争の過熱ぶりも、上記した「不登校」の児童・生徒の増加と関連しないだろうか。点数の結果よりも、学校に子どもの居場所がなくならないようにするにはどうすればいいかを教育委員たちは論じてもらいたい。

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2018/10/25

都庁前通信 2018年10月25日号

F20181025

柴山昌彦文科大臣、就任早々に教育勅語を賛美
――進んで戦場に行く子どもたちをつくりたいのか――

 柴山文相は教育勅語について、「現代風に解釈され、あるいはアレンジした形で、道徳などに使うことができる分野というのは十分にある。普遍性をもっている部分がみてとれる」と発言。使える部分として「同胞を大切にするとか、国際的な協調を重んじるとか、基本的な記載内容」を挙げた。
 森友学園の塚本幼稚園が園児に教育勅語を暗唱させていたことが問題視された17年3月、安倍内閣は「勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導」を不適切とした一方で、「憲法や教育基本法等に反しない形で教材として用いることまでは否定されることではない」という答弁書を閣議決定した。
 教育研究者でつくる17の学会は、昨年6月に「政府は教育勅語には普遍的な価値が含まれており、憲法に反しないかぎり肯定的に扱うことも容認されるとしているが、戦前・戦中は国民を排外主義的、軍国主義的愛国心に導くことに使われた。肯定的に扱う余地は全くない」、「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本理念とする日本国憲法とは相いれない」と述べて、批判的な歴史的資料として用いる場合を除き教育勅語の使用禁止を改めて確認するよう求めた。
 教育勅語は、1890年に明治天皇が、「日本人としてどうあるべきか」を子どものころから教えるため「臣民」に下した天皇の言葉・文書。その核心は、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ(何かが起きた場合はすみやかに勇気を出して天皇のためにつくせ)」、すなわち、「国の非常時には天皇のために命を懸けよ」という意味だ。天皇を頂点とする国家主義の思想である。
 したがって、天皇主権ではなくなった戦後の1948年に、衆参両院が教育勅語の排除・失効を決議したのだ。当時の森戸辰男文部相は「教育勅語は明治憲法を思想的背景としており、その基調において新憲法の精神に合致しがたい」と、国会で答弁した。
 「兄弟ニ友ニ夫婦相和シ」など「いい内容がある」と発言するなどして、戦前回帰を目指す国会議員は稲田朋美防衛相(17.3.21)をはじめ、多数存在する。柴山文相や稲田元防衛相(現筆頭副幹事長)など、安倍首相の側近は、道徳を教科化し教育勅語も使って、お国のために戦争に行く子どもたちをつくろうとしているのだ。



10月11日都教委定例会傍聴報告
生徒・保護者の声置き去りに夜間定時制の廃止すすむ

①「来年度都立高校の 1 年生募集人員等について」及び「請願について」
 都教委は「都立高校改革推進計画・新実施計画」(2016年2月策定)に基づき16年2月12日の定例会で、夜間定時制高校(小山台、雪谷、江北、立川)の閉課程を決め、17年度で雪谷高校夜間定時制を閉課程とした。そして今回、今年度で江北高校定時制を閉課程とするという提案をした。夜間定時制課程を潰して、替わりにチャレンジスクールや昼夜間定時制高校の募集を増やすことを都教委は方針としている。
 「都立江北高校定時制の存続を求める会」から出されていた「都立江北高校定時制の募集停止の決定を拙速に行わないことを求める請願」の請願理由には、「夜間定時制は『学びのセーフティネット』であること」

「チャレンジスクールとは性質が異なり代替できないこと」等が挙げられている。切実な要求だ。
 対する都教委の回答は、「夜間定時制の第一次募集の応募者数は、平成28年度は912人、平成29年度は799人、平成30年度は794人と減少」「江北高校定時制課程への入学者数は、平成28年度は30人、平成29年度は27人、平成 30年度は13人と年々減少し、募集人員に対する在籍生徒数の割合も…他の夜間定時制高校と比較し低い」。したがって、「生徒や保護者のニーズに応えるため、昼夜間定時制とチャレンジスクールの夜間部の規模拡大やチャレンジスクールの新設を行う」「閉課程に当たっては周辺の夜間定時制課程において受け入れていく」というもの。
 都教委が「周辺の夜間定時制課程」としてあげた8校の一つ、江戸川高校までは公的交通機関を使って1時間かかる。「生徒や保護者のニーズに応える」と言いながら、請願に向き合おうとする誠意はまったく感じられなかった。教育委員からも、請願に賛成する意見はなかった。15歳の子ども全員に、学びの場を保障することは教育行政の責務であることを忘れてはいまいか。

 傍聴していた、都立定時制高校で働く非正規教育労働者は次のように言った。
◇江北(定)は31年度(2019年度)の生徒募集が停止された。閉課程に一歩進めてしまった。
◇今回、立川(定)と小山台(定)の募集停止は免れたが、《新実施計画》の閉課程方針は変更されていない。
従って、2020年度以降の生徒募集停止が強行される可能性があり、許されない。

②幼・小の一層の円滑な接続を図るための教育課程の研究・開発委員会中間報告について
 「小学校教育の現状と今後の在り方検討委員会」の提言(17年12月14日)を受け、18年3月22日の定例会で「研究・開発委員会」を設置し、モデル地区に指定した荒川区のモデル校(公立幼稚園1園・公立小学校1校)で実践・検証する(2021年度)ことが決定された。この委員会で「5歳児から小学校低学年をひとまとまりにした教育課程の方向性」を検討し、その結果を教育課程や教材・教具等の開発へ反映できるように報告をまとめるとのこと。
 中間報告では――。「研究・開発する教育課程の方向性」に関連して、「指導する内容」は「『思考力、判断力、表現力等』『学びに向かう力、人間性等』について、すべての保育・教育活動を通してスパイラルに育む。」等を挙げる。
 「研究・開発する教育課程に応じた環境」づくりとして、ひとつの教室内に一斉学習の場、個別・グループ活動の場を設ける(「学びの部屋(仮)」という)。指導内容・時期に応じた教材・教具の開発を検討する等。今後は、「幼児・児童の学習や生活等に関して実態調査を行い、学びに向かう力、興味・関心等について把握する」「研究・開発した教育課程の成果を都内の各自治体及び就学前施設・小学校に提供し、広くその成果を発信する」とのこと。
 荒川区のモデル校は小学校と幼稚園が同じ敷地にあるという。モデル校1校に限って幼小の授業を行うことはできても、東京の全公立学校で行うことはむずかしいはず。さすがに教育委員からは、「保育園の場合はどうするか、無理がある」「前倒しにならないよう」「結果ありきでなく、成果を検討してほしい」などの発言があった。しかし、中止を求める発言はなかった。
 文科省が保・幼・小連携の方針を打ち出したのは、「幼稚園教育要領」及び「保育所指導指針」を改定し3歳児以上の幼児に「国旗・国歌に親しむ」ことを教えるとしたことと関係があるとしか考えられない。

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