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2018/04/26

都庁前通信 2018年4月26日号

F20180426

都教委の性教育に対する『是正指導』
―是正すべきは都教委の意識だ

 足立区立中学校が3月に行った性教育の授業に対し、自民党の古賀都議が問題視したのを受けて、都教委は「学習指導要領」にない『性交』『避妊』『妊娠中絶』のことばを使った授業は中学生には不適切」として当該中学校を指導し、全都中学校校長会でも指導していくとした。都教委の見解に対して、性情報が氾濫する中、子どもたちが自身や異性のからだについて知り判断できるよう正確に教えることが不可欠である、都教委の対応は教育への介入であるとの声が新聞紙上等でたくさん出されてきた。
 こうした批判・抗議に対し、都教委の中で子どもたちが置かれた現実をよく見たうえでの、論議や学び直しがあるとは聞こえてこない。都教委は、現実をよく見ない「是正指導」をするのではなく、実情にそくして自らの意識こそ「是正」してほしい。

福田財務次官のセクハラ発言を巡る性意識

 週刊新潮の報道に、逃げ切れないと判断したのか、福田財務次官は辞任した。財務省が「被害者は申告を」と呼びかけたことに対し、自民党内からも批判が出たのは唯一の救いか。しかし、麻生財務相は「双方から事情を聞く必要がある」「福田の人権はなしってわけか」と言った。
 福田元財務次官のセクハラや麻生財務相の対応は、女性差別や女性の人権に対する感覚が欠如していると言わざるを得ない。今回のセクハラ発言は、男性権力者が女性の性をもてあそぶ歪んだ性意識のあらわれではないか。この件からも、子どもたちには、人権の尊重を基礎に置いた性教育が必要であることがわかる。

都教委は性について学び直しを

 3月29日に開催された都教委臨時会で北村友人教育委員(東京大大学院准教授)が、「性教育についてもめているような報道があったが、1人の保護者として学校で客観的な立場から性教育を適正にやってもらいたいと考えている」(主旨)と発言した。この発言の意図をたずねた記者に北村氏は次のように説明している。(「朝日新聞デジタル版」4月16日)。
 「子どもたちの発達段階とともに、育つ環境に合った形で、適切な性教育を丁寧に行っていくことが大切だと思っています。インターネットの発達などで、子どもたちが偏った情報を得ることが容易な現代社会において、本当に必要な性教育のあり方を議論することが重要です。
 また、性教育はセクシュアリティーの問題や健康の問題、人権の問題など、大きなくくりで考えれば、個人の権利や他者の尊重など、多様な人間関係を築くための能力を身につける『市民性教育』として位置づけることも不可欠ではないかと考えています。
 性に対する考え方は千差万別で、どのような見方が正しくて、何が間違いだと言えるようなものではありません。それぞれの保護者にも考えがあり、子どもたち自身にもあるでしょう。大事なのは、子どもたちが考える材料をきちんと得ることができることです。多様性に十分配慮し、個々の子どもに寄り添った個別指導なども含めて、性教育の方法をさらに検討していくことが重要だと思います。
 一保護者としての私は、家庭で小学5年生の娘に上手に性教育を行う自信はありません。家庭内でも努力はしていきたいと考えていますが、可能な限り、学校でも取り組んでほしいと思っています。」
 北村教育委員はこの発言を、自身が属する都教委の中で行い、議論してほしい。氾濫するゆがんだ性情報から子どもたちを守るためにも、北村教育委員の言う「子どもたちが考える材料をきちんと得ることができる」性教育を、都教委は保障し推進すべきである。

今春の卒業式でも「君が代」不起立をした教員がいた

 都教委は4月18日、卒業式で「君が代」起立をしなかった教員に対し、戒告処分を発令した。都教委の処分発令について、私たちは断じて許さない。抗議する。
 「君が代」起立をしない教職員に対し都教委が懲戒処分を始めて15年、これまでに483名の教職員が処分をされ、多大な不利益を受けてきたが、間違った職務命令に従ってはいけないと、起立をしない教職員は途絶えない。不起立を続けてきた特別支援学校の一人の教員については、この3年間、卒業式・入学式に参加させない措置を採ってきた。これは校長の独断ではなく、都教委の「指導・助言」=介入によってであることは想像に難くない。都教委はこのようにして、「不起立0」を目指してきたのだが、それでもまだ、起立を拒否する教職員が存在する。
 「君が代」不起立処分を始めた2004年4月9日の教育施策連絡会で鳥海教育委員は不起立処分に関して、「あいまいさを改革のときには絶対に残してはいけない。半世紀の間につくられたがん細胞みたいなものですから、・・・少しでも残すと、またすぐ増殖してくる。徹底的にやる。」と、石原都知事は、「5年10年先になったら、おそらくずっとクビをすくめながら眺めている地方は、全部東京の真似をするでしょう」と言った。しかし、踏み絵を踏まされても踏まない人は絶えない。東京の真似を唯一した大阪府でも、不起立教員は絶えない。


4月12日都教委定例会傍聴記

 公開議題は①来年度使用の都立高校用教科書採択について ②「英語『話すこと』の評価に関する検討委員会」の設置について。どちらも報告。

①来年度使用の都立高校用教科書採択について

 高校の教科書採択は毎年8月に行われていて、今日は採択までの流れと採択方針についての説明報告。「採択は、採択権者である東京都教育委員会が自らの責任と権限において、適正かつ公正に行う」など、今年も昨年までと同じことが報告された。
 2013年から2016年まで、「日の丸・君が代」に関し、「一部自治体で公務員への強制の動きがある」と記述した実教出版「高校日本史A」「高校日本史B」について、都教委は「都教委の考え方と異なる」と各学校に通知し、学校が選定することを事実上禁止してきた(しかも、通知を決めた会議は定例の教育委員会を避け、秘密懇談会を開いてのことだった)。それに先立つ2012年には、実教出版教科書を選定した学校に対して、選定のし直しを強要した。それが、都教委がいうところの「東京都教育委員会が自らの責任と権限において、適正かつ公正に行う」ことだったのだ。
 傍聴者には一切の発言が禁止されているので為す術はないけれど、監視はしていこうと思う。

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2018/04/12

都庁前通信 2018年4月12日号

F20180412

自民都議、今度は足立区立中学の性教育に圧力
 ー教育への政治介入が目に余る

 3月5日、足立区立中学校の「総合的な学習の時間」での、3年生を対象にした性教育の授業。事前アンケートで「高校生になったらセックスしてもよい」と答えた生徒が44%いたことをふまえ、高校生になると中絶件数が急増する現実や、コンドームは性感染症を防ぐには有効だが避妊率が9割を切ることなどを伝えた。その上で「思いがけない妊娠をしないためには、産み育てられる状況になるまで性交を避けること」と話しまた、正しい避妊の知識についても伝えた。
 この授業について、16日の都議会文教委員会で、自民党の古賀俊昭都議が「問題がある。都教委はどう考えるか」と質問。都教委は「徹底した調査をする。当該校の管理職及び全教職員に指導を進める。全都の中学校長会にも指導をする」と答弁し、調査に乗り出した。(3月24日付朝日新聞及び一般社団法人“人間と性”教育研究協議会「声明」より)。

■高校生の現実は

 全国の公立高校で2015~2016年度の2年間に、「学校が妊娠を把握した生徒数は2098人、このうち、妊娠を理由に自主退学をした生徒数が642人、学校側からの退学の勧めに応じ退学した生徒が32人。32人のうちの18人は『引き続きの通学、休学または転学』を希望していた」(文科省の初調査)(3月31日付東京新聞より)。

■都教委は現実から学ぶべき

 調査結果だとする都教委の見解は、「『性交』『避妊』『人工妊娠中絶』は中学校保健体育の学習指導要領には記されていない。授業は、中学生の発達段階に応じておらず、不適切」。
 足立区教委の担当者は、「不適切だとは思っていない」「10代の望まぬ妊娠や出産を防ぎ、貧困の連鎖を断ち切るためにも、授業は地域の実態に即して行われ、生徒と保護者のニーズに合ったものだ」と言い、授業を実施した中学校の校長も「授業は自信を持ってやっている。自分やパートナーを大切にすることを伝える内容で、避妊方法に触れるからといって、性交をしてもいいとは教えていない」と言った(同朝日新聞より)。事前アンケートに見られる中学3年生の意識や高校生の現実と地域の実態を見て、日々子どもたちと接している教員たちの意見や考えを都教委は尊重し、そこから自分たちが学ぶべきだ。また、都教委は子どもたちの知識欲や考える力を理解しようと努力すべきだ。からだや性を恥ずかしいものとせずオープンに学ぶことで、子どもたちは性情報に惑わされない思考力・判断力を持つ。互いの人格・人権を尊重することを学び、やがては、性犯罪や性差別の(少)ない社会に変わっていくことは、北欧等の事例を見れば明白だ。

■教育への政治介入

 古賀都議は2003年、七生養護学校の「こころとからだの学習」に対し、都教委に「毅然とした対処」を要求した3都議の一人。都教委は「授業内容が不適切である」として教材145点を没収すると共に、当時の校長を降格並びに停職1ヶ月の懲戒処分に、教員ら31名を厳重注意処分に処した。
 この裁判で、09年東京地裁は「都議らの行為は政治的な信条に基づき、学校の性教育に介入・干渉するもので、教育の自主性をゆがめる危険がある」と判決を言い渡し、13年には都と3都議に賠償を命じる最高裁判決が確定した。にもかかわらず、今回の件。七生養護学校への介入に対し、同都議及び都教委が何の反省もしなかったことを示す。
 第2次安倍政権のもとで、教育に対する政府、政治家、教育委員会による政治的介入が頻繁に起きている。
 直近では、名古屋市の中学校が前文部次官・前川氏を講師として招いた授業について、自民党議員が文科省に授業内容を照会し、文科省が名古屋市教育委に授業内容の報告・録音データ提供を執拗に求めていた。
 公権力による教育への政治介入が国民の思想統制につながり、戦前日本の軍国主義の基盤になったという深刻な反省が忘れ去られようとしている。安倍政権下での教育への公権力の介入は、憲法を改正し戦争ができる国へとこの国を変えるという安倍首相の個人的執念と無関係ではない。都教委が行っている、入学式・卒業式での日の丸・君が代の強制に反対する教職員の処罰はこうした危険な流れの始まりだったと言える。


3月22日都教委定例会傍聴報告
5歳からのモデル校づくりより、すべての幼児に良質の教育を

 報告議題の一つが、「幼小の一層の円滑な接続を測るための教育課程の研究・開発について」。
 「小学校教育の現状と今後の在り方検討委員会」の提言(17年12月14日)を受け、「5歳児から小学校低学年(5~7歳児)をひとまとまりにした教育課程の方向性を検討する」とのこと。文科省が出した保幼小連携の方針に呼応したもの。 外部有識者3名、モデル地区教委2名、都教委3名の委員で構成。モデル地区を荒川区に指定し、モデル校(公立幼稚園1園・公立小学校1校)で実践・検証する。
流れは、2017年度:研究・開発委員会の設置
    2018年度:モデル校の指定、検討委員会の開催、2019年度の入園児募集(新3歳児=2021年度新5歳児)
    2019年度:文科省に「研究開発学校制度」適用を申請
    2020年度:教員研修、教材の開発、教室環境の整備
    2021年度:モデル校での実践及び検証開始
 この報告に対し、教育委員から「モデル校に入るために、受験教育が3歳前になる不安がある」などの発言はあったが、反対の発言はなかった。受験競争が一層低年齢化するという点について、しっかり論議を尽くしてほしい。
 「研究開発学校制度」とは、「現行の学習指導要領に依らない教育課程の編成・実施を認める研究開発学校を指定し、新しい教育課程、指導方法等についての研究開発を行い、教育課程の基準の改善等に資する」もので、指定期間は原則3年、平均200万円程度が予算措置されるというもの。
 保幼小連携は1年生がじっと着席していられないなどの「1年生プロブレム」や、新学習指導要領の「外国語科」「主体的・対話的深い学び」への対応とされている。しかし、昨年3月、3歳以上の幼児が「国旗・国歌に親しむ」ことを求めた、「幼稚園教育要領」及び「保育所指導指針」の改定とも関係するのではないかと危惧される。幼稚園教育要領は「正月や節句など我が国の伝統的な行事,国歌,唱歌,わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しんだり」、保育所指導指針は「保育所内外の行事において国旗に親しむ」。どちらも、今年度から施行となる。
 現在、日本では、所得格差が幼児期からの教育格差を生み、小学校以降の教育格差につながっているといわれている。モデル校づくりにまい進するよりも、全ての幼児が等しく良質の教育を受けられるようにすることに力を注いでほしいと思う。
 最近の教育行政は子どもを、一人ひとりが人格を持った、人格形成の途上にある存在とは見ずに、国のために役立つ、経済成長のための「人材」と見る視点が濃厚だ。「日の丸・君が代」の強制、オリンピック・パラリンピック教育、道徳の教科化、「固有の領土」を大きく取り上げた社会科教科書等々、子どもたちに「日本最高」と思わせることを教え込んでいる。文部行政がそうしたことを進める中、都教委はまっ先にそれを行ってきた。幼小連携も、その一環か。

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2018/03/22

都庁前通信 2018年3月22日号

F20180322

森友文書の闇―責任は部下に、
子どもたちには道徳教育

 安倍首相は昨年2月17日の国会で「私や妻が関係していたということになれば、私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」と答弁。財務省は2月下旬から、森友関連決裁文書から安倍首相、昭恵夫人の名前などを消すなど改ざんを始めた。改ざんは14文書、300カ所に及んでいる。こうした中、今月、森友学園への国有地売却担当部門の近畿財務局職員が自殺した。8月に親族に「月残業 100 時間が続き、つらい、常識が破壊された」と話していたという。
 決裁文書の改ざんが発覚し、麻生財務大臣は「佐川がやった」と「佐川」を連発。佐川・前国税局長官に責任を押し付けている。こうした組織のトップが部下に責任を押し付ける麻生氏の態度には、財界首脳からも「民間企業ではありえない」と批判の声が上がっている。
 政府は今年度から小学校で「道徳」の教科を始める。政府・文科省は子どもたちに道徳を説く資格があるのか。

■森友の小学校開設に、戦前回帰の教育の復活を狙った安倍首相

 昭恵夫人は、2015年9月5日に森友学園の小学校の名誉校長に就任。安倍首相は「妻から森友学園の先生(籠池氏)の教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いている」「(籠池氏は)私の考え方に非常に共鳴している方」(衆院予算委員会、昨年2月17日)と発言し、問題が発覚するまでは森友学園の小学校建設に大変意欲的であった。
 森友学園が経営する塚本幼稚園では、「教育勅語」を暗唱させ、運動会で「大人の人たちは、日本が他の国に負けぬよう、尖閣列島・竹島・北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が、心改め、歴史でウソを教えないよう、お願い致します」「安倍首相ガンバレ!安保法制国会通過よかったです!」と園児たちに言わせていた。安倍首相は、この教育を、森友学園の小学校をそのモデル校として全国に広めたかったのだ。近畿財務局が9億5600万円の土地を、約8億円値引きし、1億3400万円で森友学園に売却したのは、「安倍昭恵夫人」=安倍首相の関与があったからこそのこと。官邸の意向に官僚が動かされ、忖度を求められた結果が今の事態を招いた。
 安倍首相は第一次政権の2006年、教育基本法を改定した。子どもたちを戦場に追いやった戦前の教育の反省に立つ教育基本法を、「我が国と郷土を愛する態度を養う」という愛国心や、「公共の精神」という規範意識を盛り込んだ教育基本法に変えた。政治が教育に介入しやすくするための改定だった。戦争法(安保関連法)を成立させ、改憲を目論む安倍首相は、真っ先に教育に手を付けたのだ。「戦争ができる国」に変えていくため「愛国心」を持った、進んで戦場に行く「国民」づくりを学校教育に求めたのだった。子どもたちに対する君が代・日の丸の強制はこれにつながるものだ。

■道徳の教科化は修身の復活

 第二次安倍政権は次々に教育に介入してきた。社会科教科書の採択基準に「政府見解がある場合は記載すること」を加えた(2014年)ことにより、現行の社会科教科書は「(北方領土を含め)領土に関する記述量は倍増した」(文科省)。関東大震災時の朝鮮人の死亡者数などで、国際社会に通用しない歴史認識が記述されることにもなった。また、道徳を教科に格上げし、評価することを始める。子どもたちは、国民主権、基本的人権の尊重、思想・良心の自由等の観点から色々な考え方を尊重するのではなく、教科書に書かれた考えを「正解」と受け取るようになる。修身教科書で「お国のために」と育っていった戦前の子どもたちの再生産を、安倍政権は行おうとしているのだ。
 公文書改ざんまでして国家犯罪をはたらく安倍政権・文部行政に、「道徳」を言う資格はない。

■社会(組織)を良くするためには、声をあげること。国や都に、そして仕事の中で声を上げていきましょう。


3月8日都教委定例会傍聴記
「国際理解教育」=英語教育?

 報告は、都独自の英語教材「Welcome to Tokyo」Beginner 及び日本語版について。
 2016年度より都教委作成の「Welcome to Tokyo」(小学5,6年生用、中学生用、高校生用)を使った授業が各学校で行われている。新学習指導要領は2020年度から小学校で、21年度から中学校で、22年度から高校で本格実施となる。ただし、安倍政権が目玉とした教科「道徳」は前倒し実施で、小学校は2018年度からとされた。
 本格実施前2年間は移行期間とされるが、小学校英語も移行を急がされている。2018度から都教委はそのための英語教員を安上がりの非正規で採用する。また、都教委は小学3,4年生用の「Welcome to Tokyo」を作り、子どもには冊子を、教員には指導書と DVD を3月中に配る。新年度からそれを使った授業が各学校で始まる。3,4年生用以上の「Welcome to Tokyo」3冊については日本語版を作り、姉妹校や国際交流を行う学校、海外から来た子どもにも配るという。
 小学校英語が、子どもたちの負担になるだろうこと、「落ちこぼれ」にさせられることがとても気になる。また、前のめりの英語教育で、本当に子どもたちに英語教育ができる人材が確保できるのだろうか。

 英語教材「Welcome to Tokyo」を使った授業の狙いは、次の3つという。

ア.日本・東京の文化、歴史等の理解の促進
イ.英語によるコミュニケーション能力の伸長
ウ.オリンピック・パラリンピックに向けた国際理解教育の推進

 小池都知事は、毎年9月1日に市民団体等で構成する実行委員会が行ってきた「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式」への追悼文の送付を昨年、やめた。歴代都知事ではじめてのことだった。歴史修正主義者であることをもろに見せつけたこの人が言う「国際理解」とは、「文化、歴史等の理解」とは何なのか。きれいなことばを表看板に、それとなく「日本ファースト」の差別意識・歴史歪曲の刷り込みが、ここでも進むのではないかと考えるのは、考え過ぎか。
 国際理解と言うならば、Jアラート訓練等で対外危機や朝鮮民主主義共和国に対する敵がい心を煽るのではなく、対話外交を進めようとする国際社会に学ぶべきだ。大人社会が次世代に残すべきことは、戦争をしない=命を大事にするということ。国際理解教育は、その一環として必要なのだ。英語教育=国際理解教育ではない。


「東京2020大会マスコットがついに決定!

 都内全ての公立小学校(部)が投票に参加しました!」と都教委ホームページに掲載されている。
 クラス1票の投票に、全ての小学生が参加させられた。投票に際し、教員はどのような説明をしたのだろうか。オリンピックや東京2020大会に反対する人がいることや、したがって、クラス投票への参加もあなたの判断で良いということを説明したのだろうか。
 都教委は子どもたちにオリンピックの刷り込みをしないでもらいたい。

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2018/03/08

都庁前通信 2018年3月8日号

F20180308

いつまでやるのか?!
卒業式での「日の丸・君が代」の
子どもたちへの刷り込み

 卒業式・入学式で「国歌斉唱」がなされるのは当たり前と受け取っている方も多いかと思いますが、今から20年ほど前の、東京の公立学校の卒業式・入学式の式次第には、「国歌斉唱」を入れない学校が多数ありました。それが、都教委の「指導」介入によって「国歌斉唱」が式に入れられ、2003年からは「君が代」不起立の教職員を処分することが始められました。この14年間に482名の教職員が不起立処分を受けています。当会の河原井・根津はすでに定年退職をしていますが、現役であった時に、「君が代」起立を拒否し続けてきました。
 なぜ、処分を覚悟してまで「君が代」起立を拒否するのでしょう。
 「日の丸・君が代」は、戦前の学校教育において子どもたちに「天皇陛下の御為に命を捧げる」という考えを植え付け、子どもたちを戦場に駆り立てることに利用されました。「敵軍を追ひはらって、せんりゃうしたところに、まっ先に高く立てるのは、やはり日の丸の旗」(1942年発行  国民学校初等科修身1)。
 こうした事実からも、今なお、「日の丸・君が代」には否定的な考えを有する人が相当数存在します(2005年の朝日新聞、東京新聞の調査では、都教委が進める「君が代」不起立処分に反対する人は6割)。1999年に国旗国歌法が成立した際に、「日の丸・君が代」については国民の間にさまざまな考え方があることから、「強制はしない。今までと変わるものではない」と国会答弁がされたのも、こうした理由からでした。
 しかし、都教委は、人々の間で意見の分れる「日の丸・君が代」について、子どもたち自身が考えるような授業をおこなうことを教員に事実上禁止した上で、子どもたちに「国旗に向かって起立し、国歌を斉唱」させて、一方的に、これらを尊重する態度を身につけさせようとしています。そのために「教員は率先垂範せよ」と「君が代」起立の職務命令を校長に出させてきたのです。「日の丸・君が代」を拒否する人々(子どもたちも含まれます)がいる中で、学校が「日の丸・君が代」の尊重という国家の価値観を子どもたちに教え込むことは、戦前の教育の復活です。
 学校・教員の仕事は、子どもたちが事実や知識をもとに自分の頭で考え判断する人間に育つよう、働きかけや支援をすることです。「日の丸・君が代」についても、子どもたちが考え判断できるよう、学習の機会を与えねばなりません。「君が代」起立を拒否した教員たちは、それとは正反対の、「考えずに指示命令に従うこと」を子どもたちに教えてはならない、それに加担してはならないと考えたのです。このことは、処分された482名の教職員に共通した思いです。

「戦争する国」に突き進む安倍政権の文部行政で

 古今東西、軍隊が兵士に要求する最も大切な資質は、「考えずに命令に絶対服従すること」です。安倍内閣は、2015年に安保関連法(戦争法)を強行成立させ、防衛費は安倍2次政権で6年連続の増額、本年度は5兆円を超え史上最高の規模になりました。
 文部行政では、社会科教科書検定で、「領土」や南京大虐殺・戦後処理等について、国際社会の認識と異なる「政府見解」を記載することを義務付け、道徳の教科化で実態として戦前の「修身」の復活を狙っています。このような国の価値観の植え付けは、子どもたちを戦場に向かわせることにつながっていきます。
 こうした中にあって、「日の丸・君が代」の強制は子どもたちを戦場に向かわせる、その第一歩であったと痛感します。「子どもたちを再び戦場に送らない」。これは、戦後の教員たちの仕事に対する決意でした。いま再び、戦場に子どもたちを送ろうとする政治状況にあって、教員は、子どもたちを戦場に送ることに繋がる仕事の一切を拒否していくべきです。  教育庁で働く皆さんにも、心していただきたいです。


2月22日都教委定例会傍聴記
公開議題から以下の2件を報告します。

教育委員も子どもたちにしっかり向き合っているとは思えない

▼学校における児童・生徒の自殺対策の取組報告と「都教委から子供たちへのメッセージ」について

 都教委は、「学校における児童・生徒の自殺対策の取組」及び授業で活用できるDVD教材「SOSの出し方に関する教育を推進するための指導資料」を作成し、3 月上旬に都内全公立学校に配布するという。また、適切な援助希求行動ができるようにすることを目的に、都教委から公立学校の児童・生徒に対してメッセージを伝えるとのこと。「自分を大切に  友達を大切に」という題で、「つらい思いをして苦しい時などは、信頼できる大人が身近に必ずいるので相談してほしい。」というメッセージ。都教委HPに掲載するとともに、学校だより等を通じて、全児童・生徒に渡るようにするという。
 事務方も教育委員も、自殺に追い込まれていく子どもたちにこのメッセージが届くと本気で思っているのだろうか?いじめによる自殺が全国的に後を絶たない。子どもたちが教員に隠れていじめをしても、子どもたちと直接に接している教員に、そのいじめがわからないはずはない。しかし、「いじめはなかった」と学校は報告する。虚偽の報告をするのはなぜなのかを、都教委事務方及び教育委員は現場に足を運んで声を聞き、真剣に論議してもらいたい。いじめが発覚すれば教員の業績評価を下げられるからか、いじめに気づく時間的・精神的余裕が教員になかったのか、等々。それなくしての「子供たちへのメッセージ」は、虚しい。

▼今年度東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査結果についての報告

 小学5年生と中学2年生の体力・運動能力の結果は、中学生の都道府県別順位が下位であるものの、向上している。体力向上及び健康教育の研究指定校(小学校20校、中学校62校)の平均点は、都の平均を上回る。そこでは、「家庭との連携、地域人材の活用等、外部と連携した取組」をしたという。

▼家庭との連携、そして自殺対策??…雑感

 7人に1人の子どもが貧困に置かれている中、都教委は「家庭との連携」を掲げる。「家庭が大事」というならば都教委は、保護者が2つも3つもの仕事を掛け持ちしなければ子どもを食べさせることさえできない状況があることにもっと目を向けて、解決するための働きかけもしてほしい。そういうことをしたうえでの、「家庭との連携」ではないのか。憲法が保障する生活環境を子どもたちに提供する責務が行政・教育委員会・各教育委員にはある。
 また、学力テスト、体力・運動能力調査で得点が低い子どもは、「向上」のために休み時間や放課後に努力を課せられる。「平均点を下げるな」といじめられもする。寛容さがなくなった学校に通うことの辛くなった子どもが、SOSを学校や教育委員会に出すだろうか。子どもたちの声に耳を傾けないままの「都教委から子供たちへのメッセージ」は、「やってます」をアピールするためだけの、うわべだけの施策となってしまう。


3月14日に全国Jアラート情報伝達訓練

 「北朝鮮が戦争を仕掛けてくる」と恐怖心を煽るためのJアラート訓練に、子どもたちを巻き込まないよう、都教委は対処すべきです。子どもたちに根拠のない敵がい心を植え付けてはなりません。


 都立高校の卒業式の真盛り。「日の丸・君が代」の強制に反対する市民が毎年、卒業式当日の朝、校門前でチラシを撒いています。当会もその行動に参加。「流されずに、自分の頭で考え判断して生きていってほしい」と願って。

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2018/02/22

都庁前通信 2018年2月22日号

F20180222

平昌冬季オリンピックの報道がなぜトップ?

 国会開会中だというのに、テレビも新聞も報道のトップは平昌冬季オリンピックでの日本選手の記録。選手が出した記録を称賛する人や共に喜ぶ人がいていいけれど、「日本の獲得メダル数」を前面に出す国威発揚型報道には辟易とする。オリンピック憲章は「オリンピック競技は、…選手間の競争であり、国家間の競争ではない」「IOCとOCOG(オリンピック組織委員会)は、いかなる国別の世界ランキング表も作成してはならない」と定めている。

平昌オリンピックの負の問題=自然破壊を報道しないのは?

 谷口源太郎さん(スポーツジャーナリスト)は「スポーツとマスコミ」Vol.161 において、「見捨てられ消滅に向かう?冬季オリンピック」と題し、平昌オリンピックのスキー・滑走競技のコース新設による大規模な環境破壊を紹介している。反対運動を続けている市民組織の関係者から伝えられたとのこと。

〈ピョンチャン冬季オリンピックの誘致が決まった直後、カリワンサンがスキー競技場に確定されました。これは、専門家による報告書も市民に対する説明もないまま確定されました。カリワンサンは、海抜1433㍍の高い山で、チョムソンというところにあります。500年くらい前から保護されてきた山です。王朝時代にも王様が、その自然環境が豊かで保護されるべきだったために、民が山にたくさん出入りしないような政策が行われたりもしたところです。・・・だから韓国の環境保護法のなかでも一番高いレベルの森林保護区だったのですが、オリンピックの誘致が決まった後に、この保護法を改正してスキー場にしました。ここに決まった理由は、国際スキー連盟の基準に当てはまる場所がここしかなかったということです。標高差が800㍍以上でなければならないという条件を唯一満たす場所だったということです。〉
 反対運動で掲げられたスローガンは「たった6日間の競技のために500年も続いた山を破壊する価値があるのか」だ。

 1972年の札幌オリンピックの際には必要な標高差があるのは恵庭岳だけということで、大規模な自然破壊が行われた。それなのに、JOCによる2026年冬季オリンピックの国内候補地の募集に札幌市が名乗りを上げた。一方、ヨーロッパ各国は、コストの高さを主な理由として、市民の反対が50数%から70数%にのぼり、立候補しない選択がなされていると、谷口さんはいう。
 東京2020大会も、費用は当初予算7300億円が17年12月時点で1兆3500億円(組織委員会、都、国が発表)となった。一方で、政府は2020年までに福島は復興したと言いたいのだろう。福島帰還政策で自主避難している人たちへの支援を打ち切り、帰還に追い込み苦しめている。新国立競技場建設現場では過労死を出している。巨額のオリンピックの支出の一方で、政府は今後3年間で生活保護基準を最大5%引き下げ、母子加算手当の21000円を17000円に減らそうとしている。他国に習い、「夏季も冬季も、オリンピックはいらない」と声を上げよう。
 文科省はこれからの教育はアクティブ・ラーニング「主体的で深い学び」を目指すという。都教委は、オリンピックのさまざまな問題もふくめて話し合うことをせず・させずに、不都合な事実にふたをするオリンピック・パラリンピック教育を学校に強制しているが、それは「主体的で深い学び」とはおよそかけ離れたことだ。

韓国に対し、上から目線の安倍発言

 平昌には行かないと言っていた安倍首相だが、開会式に出席するため韓国を訪れた。その際に、慰安婦問題に関する「日韓合意」の履行を求め、加えて、「韓米合同軍事演習は予定通りに進めることが重要だ」と言ったという。文大統領は、前者については、「被害者と国民が合意内容を受け入れなかった。(慰安婦問題は)政府間の取引式の交渉で解決できるようなものではない」と説明した。また、後者については「私たちの主権の問題で、内政干渉だ。」と、安倍首相の要求に不快感を示した。安倍首相の発言は、南北分断に苦しむ韓国の人々に対する思いがまったく感じられない、上から目線の発言だ。安倍首相は恥ずかしくないのか。


2月8日都教委定例会傍聴記
都教委は募集したパブリックコメントを何ら採用せず

①「東京グローバル人材育成計画’20(Tokyo Global STAGE'20)」の策定について 
――グローバル人材=英語のできる人?

 昨年11月9日の定例会に素案を出した後、パブリックコメントを実施。コメント(32人から40件)を踏まえて策定したという「東京グローバル人材育成計画’20(Tokyo Global STAGE'20)」が提案された。教育委員からはコメントを取り入れた策定を評価し、事務方をねぎらう発言があったが、取り入れたコメントは1件、不適切な言葉づかいを指摘されたところのみ。
 一例を上げれば、「グローバル教育=英語教育という発想から抜け出せていない。平和・人権・環境などの人類全体の課題に、国境を超えて協力して取り組んでいこうという哲学がない。」とのコメントに対しては、「東京都教育ビジョンでは、グローバル人材の育成に関して『使える英語力の育成』『豊かな国際感覚の醸成』『日本人としての自覚と誇りの涵養』の3本柱を示しています。本計画ではその柱に則って具体的な20の施策を展開してまいります。」と、意見に対応していない「都教委の考え方」を示すだけ。小学校英語の教科化に反対や疑問の声がかなりあるのに、都教委はそこには耳を貸そうとしない。

②「学校における働き方改革推進プラン」の策定について
――働き過ぎは教員の時間意識が足りないから?

 これも11月9日の定例会で中間まとめを報告し、パブコメを募集した上で策定したという手順を踏むが、寄せられたコメントを採用した箇所はやはり見当たらない。「プラン」案の「目標」は、中間まとめで出されたそれと変わりがなかった。

「週あたりの在校時間が60時間を超える教員をゼロにする。」
「平日は、1日あたりの在校時間を11時間以内とする」
「土曜日、日曜日については、どちらか一方は必ず休養できるようにする」
「取り組みの方向性」でも、「(教員の)意識改革」を第一にあげる。

 寄せられたコメント390件のうち、学校関係者からが301件。切実な意見ばかりだ。
「『週あたりの在校時間が60時間を超える教員をゼロにする。』とあるが、過労死ラインギリギリまでは勤務しても差し支えないように受け取れてしまう。・・・本来の7時間45分の勤務時間に目標は設定すべきではないか。」「『土日は、どちらか一方は必ず休養できるようにする』は『2日は必ず休養できるようにすること。土曜日、日曜日に業務に従事したときには、直近に週休日を変更できるようにすること』とすべきである。」(同様の意見が25件)。
 「教員自らの『働き方』に問題があるかのような前提には納得できない。・・・教員自らが、『時間を意識した仕事』を行う。そのために『タイムマネジメントの視点に立った研修』を行えば改善されると考えていることが、間違いである。とにかく、人が足りない。今の現場の教員定数のルールは、社会が変化し教育環境が変化したことに何も対応していない。各学校の正規教員の人数を増やすことが急務である。」(同様9件)
 都教委が本気で長時間労働を解消しようとするならば、教員の意見にあるように、正規教員の人数を大幅に増やすことだ。国際レベルの少人数クラスにして、正規教員を配置することだ。オリンピック・パラリンピックを辞退し、その金をここに使うことが、都民ファーストの都政となる。そうした都税の使い方は大歓迎だ。

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2018/02/08

都庁前通信 2018年2月8日号

F20180208

1月25日都教委定例会傍聴記
「オリンピックはいらない、があっていい」 (教育委員)

 この日の議案は1件、「『東京都スポーツ推進総合計画(仮称)』策定に関する意見聴取について」のみ。
 「東京都スポーツ推進総合計画(仮称)」は、文科省がスポーツ振興法(1961年成立)を50年ぶりに全面改訂し、2011年に成立させたスポーツ基本法が、「地方公共団体(の長=都知事)は、『地方スポーツ推進計画』を定めるよう努めるものとする」と定めることから、都知事が今年3月に策定するというもの。その際、同法が「教育委員会の意見を聴かなければならない」としていることから、都知事が教育委員会に意見聴取をした。

 「東京都スポーツ推進総合計画(仮称)」案は、「誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しみ、スポーツの力で人と都市が活性化する『スポーツ都市東京』を実現する」と謳い、3つの政策目標《スポーツを通じた健康長寿の達成》《スポーツを通じた共生社会の実現》《スポーツを通じた地域経済の活性化》を掲げる。
 《健康長寿の達成》では、都民のスポーツ実施率(18歳以上)56.3%(2016年)を2020年には70.0%を目標にする、という。希望する都民が皆、スポーツを楽しむことができたらベストだ。しかし、現実は、過労死ラインの長時間労働及や非正規・低賃金労働が深刻化していて、それどころではない。スポーツを楽しめる労働・生活保障のための抜本的法改正・整備がまず必要だ。《共生社会の実現》では、障害者のスポーツ参加による共生社会を目指しているが、それ以前に、小学校入学から「特別支援」という名の下、学校を分け障害者を隔離するような現行の制度を見直すべきだ。

■「オリンピックはいらない、があっていい」の発言

 事務方の提案を受けて、教育委員から発言があった。
 「東京オリンピック・パラリンピック2020に向けてスポーツ過信になってはいないか。オリンピックはいらない、があっていい。皆がスポーツをやらねばということになるのは怖い。」(山口教育委員)
 山口委員のこの発言にはまったく同意できる。
 しかし、教育委員が定例会で承認したうえで始まった、年間35時間を課すオリンピック・パラリンピック教育では、都教委作成の「オリンピック・パラリンピック学習読本」は、オリンピック・パラリンピックの「負」の部分は一切示さず、「オリンピック・パラリンピックは素晴らしい」との認識に立ち、そこに子どもたちを誘導している。
 一例を挙げれば――読本は「はじめに」で、「東京2020大会は、開催都市東京で学ぶ中学生(高校用は「高校生」)の皆さんにとって貴重な機会となるとともに、この経験は、生涯にわたるかけがえのない財産となります。」と言い、最後は、中学生用は「自分にできること、やるべきことは何かを考え、2020年の自分のあるべき姿を思い描いてみよう」と締めくくる。高校生用では「ボランティアと社会貢献」を言った上で、「自分がやるべきことは何かを考える」ことを勧め、さらに都教委は、高校生にはボランティアを必修=義務とした。「オリンピックはいらない、があっていい」」の選択肢など、子どもたちにないことは歴然としている。子どもたちは全員、オリンピック・パラリンピック成功のために自分は何ができるか考えなければならないことになる。戦前の国家総動員・翼賛体制を思わせる。子どもたちに対し、「国家事業としてのオリンピック・パラリンピック大賛成」の意識・価値観の刷り込みを、都教委は教育委員会定例会の承認のもと行なっている。
 新国立競技場建設の工期に追われ、昨年4月、現場監督責任者(23歳)が過労死自殺した。福島復興オリンピックと謳いながら、国も都も避難してきた福島の人たちを汚染の残る福島に帰還させている。オリンピックに使うお金は福島救済(命の危険からの避難保障)に回すべきだと、思う人はかなりいる。国は、補助金支給を打ち切り、避難者を福島に帰還させて、大会までに福島は復興したと言いたいのではないか。
 オリンピック・パラリンピックに関するこれまでの議事で筆者の知る限り、山口教育委員のこのような発言はなかった。現時点でこのように考えられるのなら、山口教育委員はぜひとも定例会で問題提起し、全教育委員は山口教育委員の貴重な問題提起を論議し、進行するオリンピック・パラリンピック教育に変更や改善を加えてほしい。

■意見聴取に対する「回答」は「異議なし」

 「東京都知事が策定する『東京都スポーツ推進総合計画(仮称)』は、都教育委員会策定の『アクティブプラン to2020(第3次推進計画)』、「『東京都オリンピック・パラリンピック教育』実施指針」等と、理念や施策の方向が一致していることから、(教育委員会は)『異議なし』として回答する。」
 事務方が予め用意した、この都教委「回答」案に全教育委員が賛成し、議事は終了した。したがって、この文面が都知事に届けられる。
 上に紹介した山口発言と「計画(仮称)」は矛盾しないのだろうか。

「退場者再傍聴に誓約書」は都教委がずっと前から

 「退場者再傍聴に誓約書」の見出しで「(騒ぐなどの議事妨害をし)都議会で議場から退場を命じられた傍聴者が再び傍聴する際に、氏名や住所を記した誓約書を提出することになった」と東京新聞が報じた(1月26日付朝刊)。東京新聞の取材では、「関東6県の県議会で誓約書の提出を求めているところはない。衆院は退場を命じられると当分の間、傍聴を認めない。参院では「ケース・バイ・ケース」(広報課)だが、両院とも誓約書を出させることはないという」。氏名・住所を記した誓約書の提出は、傍聴する権利を奪いかねないと、記事は警鐘を鳴らす。
 ところが、これを都教委定例会は2013年11月28日から行なってきた。同月14日の定例会において、個人に関することではない議案が非公開議題になっていたことに対し、傍聴者の半数が説明を求めたところ、木村教育委員長は3人に退場を命じ、次回28日の定例会からは、誓約書を出さないと傍聴を認めないとした。それ以降、予告されていた定例会開始時刻が突然30分繰り上がったことに、「理由を説明してほしい」と言った傍聴者を退場させるなど、そのどれもが、傍聴者に対し説明責任を果たさない都教委定例会の横暴な運営がことの発端である。都教委定例会は事実上、傍聴者の傍聴する権利を奪っている、と言ってよい。

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2018/01/25

都庁前通信 2018年1月25日号

F20180125


「負」の事実を教えないオリンピック・パラリンピック教育
それは、一つの価値観の押しつけではないのか

 オリンピアンやパラリンピアン等を学校に派遣し、交流を通じてスポーツのすばらしさを実感させるという都教委主催の「夢・未来」プロジェクト。その様子が報道もされている。昨年度は公立学校220校で、今年度は300校で実施とのこと。
 このプロジェクトには、日本のオリンピアン又は著名な指導者を派遣する「YOKOSO」プログラム、在日の外国人アスリートを派遣する「Welcome」プログラム、日本のパラリンピアン又は著名な指導者を派遣する「自分にチャレンジ」プログラムの3つがある。これらのプログラムの目的には、「国際理解の推進」や「障害のある人への理解を深める」こと、「共生社会の意義を学ぶ」ことなどが挙げられている。
 ことばだけを見ると良いことのように感じるかもしれない。しかし、政府は朝鮮民主主義人民共和国のミサイル発射には「J アラート避難訓練」をさせ、人々にひたすら脅威を煽り、アメリカから巨額の兵器を購入しようとしている。北朝鮮脅威に同調する小池知事のもとでは、「国際理解の推進」は、子どもたちに北朝鮮脅威を「理解」させることとなりかねない危うさがある。また、障害を持つ子どもたちを普通学校から排除し、子どもたちが互いに理解し協力する関係を奪っておいて、「障害のある人への理解を深める」とは何なのか。
 「夢・未来」プロジェクトをはじめとするオリンピック・パラリンピック教育は、オリンピック・パラリンピックは素晴らしいことという価値観が前提とされている。しかし、オリンピックは、五輪憲章の精神から外れるような、国と国との争いになり、商業主義に陥っている。多額の国税・都税が使われることに反対する人、オリンピックに使うお金は生活保護費切り下げの補填や福島県民の救済に当てるべきと考える人は、少なからず存在する。五輪関連工事は東京に集中し、福島原発事故の自主避難者に対する支援は打ち切られ、放射線被ばくの恐れがある土地への帰還が強制される。「東日本大震災復興支援」という五輪のキャッチフレーズは何だったのか。生活を奪われ福島から東京に避難している子どもたちは、どんな思いを持つだろう。私たちはこうしたオリンピック・パラリンピックに反対する。オリンピック・パラリンピック教育も止めるべきだ。
 オリンピック・パラリンピック教育が進むなか、子どもたちには、上に述べたようなさまざまな問題について自分の頭でしっかりと考えてもらいたいと思う。

● 小学生は東京2020大会マスコットの投票

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が行うもので、全国の各小学校が事前に登録をした上で、大会マスコットの投票をする。各クラスが3種類のマスコットの中から1票を投じるというもの。【事前登録期間:2017年11月20日~2018年2月22日  投票期間:2017年12月11日~2018年2月22日】
 クラス投票には、オリンピック・パラリンピックに疑問を持つ子どもたちも参加させられる。
 気がつかないうちに、国の価値観の押しつけが、「日の丸・君が代」の尊重を刷り込む卒業式・入学式と同様、オリンピック・パラリンピック教育の中で年間35時間も行われる。


1月11日都教委定例会傍聴記

  この日の議題は、非公開議題に教員の処分案件がいくつもあったが、公開議題は下に示す1件のみ。

「都教委の児童・生徒等表彰」について
――表彰されるのは、都教委に認められた「善行」だけ

 「善行や優れた活動を行った」幼児・児童・生徒を都教委教育長が表彰するもので、1984年から始まった。これが始まった当初は、各種競技大会で表彰された児童・生徒を二重に表彰することになると、疑問視する声もあったが、いまはどうなのか。
 今年度の表彰件数は、幼稚園2件、小学校67件、中学校64件、高校65件、中等教育学校11件、特別支援学校9件の計218件。2月10日に都庁で表彰式が開催されるとのこと。
表彰基準は次の5点。

1.地道な活動を継続的に行い、他の児童・生徒の範となる者。
2.当該児童・生徒等が行なった活動が契機となり、その効果が波及し、他の児童・生徒等の具体的な行動や取組に良い影響を与えた者。
3.環境美化活動や福祉活動、伝統・文化の継承活動、奉仕活動、子供会等、地域における活動を継続的に実践した者。
4.スポーツ・文化活動において著しい成果を上げた者。
5.人命救助またはこれに類する行為を行った者。

 お上から表彰されることを有難がる風潮が問題と筆者は思うのだが、それはおいても、表彰基準「3」の事例として挙げられていたのは、「自主的・継続的に公共施設や道路のゴミ拾いを行い、地域の環境美化に貢献」「地域における防災訓練に継続的に参加するとともに、地域の防災活動の推進に貢献」「和太鼓のボランティア演奏を通して周辺地域との交流を深め、地域の活動に貢献」。
 どれも、都教委が認めた「善行」であって、戦争しない・させないため、平和のための活動をしている生徒たちがいても、その活動は表彰基準には該当しないようだ。
 お上から表彰されることを有難がるのではなく、学校内や学年・学級、仲間で善いことについて話し合い、認め合う関係が作られていくといい。


ミサイル発射を想定したJアラート避難訓練

港区立本村小学校のHP、9月6日付は、「『Jアラート』に対応した避難訓練を実施しました」と掲載し、動画までアップしています。千代田区の小学校での訓練はテレビで放映されました。
教員たちは、子どもたちにどのような説明をして訓練をさせたのか、また、今後はどうするのか気がかりです。  /神奈川県は1月31日に全県一斉のJアラート避難訓練とのこと。
北朝鮮のミサイルよりも、米軍機の墜落のほうが危険度は高い。

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2018/01/11

都庁前通信 2018年1月11日号

F20180111

 あけましておめでとうございます。

 トランプ大統領に同調する安倍首相・安倍政権は沖縄に米軍ヘリの本体や部品が墜落・落下してもアメリカに運行中止を求めるポーズをとるだけ。国際社会が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との対話路線を追求する中、ひたすら制裁強化を叫んでいます。アメリカが北朝鮮を攻撃すれば北朝鮮の反撃の対象はアメリカの領土ではなく、韓国と日本になること必至でしょう。
 安倍首相は日本国民の命と安全をまもることよりも北朝鮮脅威をあおり、「国難」を叫び、それを最大限に利用して、安倍首相の個人的願望である「憲法改正」を実現しようとしています。
  こうした異常・危険な政治状況をよく見て、私たち大人はしっかり声を上げていきましょう。つけは、子ども世代に行くのですから。
  当会では、今年も都教委定例会を傍聴し、皆さまに発信していきたいと考えております。




12月14日総合教育会議を傍聴して
エリート育成にしか関心がないのか?!「都立高校改革」

 「これからの東京、日本を担う人材の育成~都立高校の現状と課題~」と題して、都立高校4校の校長がそれぞれの高校の取組を紹介し、質疑応答をおこなった。
 「教育で大事なのは共生」(遠藤委員)、「グローバル化の中での人材育成には、自分の考えをしっかり伝えられるようにすること」(小池知事)という。どんなに陳情しても夜間定時制高校は潰し、朝鮮学校への補助金支給を停止し、「日の丸・君が代」を強制して国家の思想を刷り込む教育をしていながら、この発言。言うこととやっていることとがチグハグではないか。
 「都立高校改革20年、金と人手がかかるが、多様性をつくっていく」(中井教育長)と言うが、この「多様性」の実態は、『エリート層』の人材育成を重点においた「多様性」(=学校の序列化)という面が強い。「グローバル化」という国家・資本間競争と並行して「都立高校改革」が始まり、それまでは平等に配分されていた各学校の学校予算が、「底辺校」の予算を減らして「特別進学重点校」に加配し、夜間定時制の廃校も始めた。平等性を壊し、「共生」ではなく、グローバル経済競争に打ち勝つための人材育成という経済的な要請にこたえるための差別選別・エリート育成が教育政策の柱とされた。それに加えて、全ての子どもたちに「愛国心」を植え付けようとしてきた。
 「これからの日本は・・・、できん者はできんままで結構。戦後50年の落ちこぼれの底辺を上げることばかりに注いできた労力を、できるものを限りなく伸ばすことに振り向ける。・・・限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神を養ってもらえばいい」(三浦朱門・元教育課程審議会会長2000年発言)、「経済的な格差・・・は、経済活力の源であり」「経済改革は愛国心とセットになって初めて成功する」(御手洗富士夫・元日本経団連会長2006年発言)の言葉通りに事は進んでいる。
 総合教育会議が報告を求めたのは国際高校、多摩科学技術高校、白鴎高校・付属中、西高校の校長4人。どこもエリート育成を目指す高校ばかりだ。
・公立高校で初の国際バカロレアコースが開設された国際高校校長は、「多様性」を強調し、海外大学合格者数を誇る。「英語で授業ができる教員の確保・養成」が課題だと。
・工業高校から改編となった多摩科学技術高校校長は、理系に特化した進学型専門高校になって国公立大学合格者が増加したことを誇り、高校大学の一層の連携を強調した。一部生徒や教員が大学の研究室に通っているとのこと。
・「日本の伝統・文化理解教育」を掲げた白鴎高校・付属中校長は、「アイデンティティとダイバーシティ(多様性)」「異なる思想、異なる価値観」を「大事にする」と言い、「中学卒業時には米スタンフォード大学へ研修旅行に行く」と言う。貧困家庭の子どもは「想定外」なのだろう。
・「進学指導重点校」の西高校校長は、「進学指導重点校」に指定される前との進学状況の比較をまず紹介。ここも、海外交流や理数研究に力を入れているとのこと。「高いレベル」のためには自己決定権を持つことと言う。

 以上のような報告の中、18歳選挙権を含め、政治的・社会的関心を持たせるといった民主主義社会における市民としての人格形成についての発言は、誰一人からもなかった。「共生」「多様性」「自己決定権」等々、きれいな言葉を並べた発言は何のため?誰のため?だったのか。
 毎回そうだが、退室には順序・秩序があって、今回もまずは小池都知事とそのお付き、次に招かれた校長たち、その後が教育委員、傍聴者は最後だった。




12月21日都教委定例会傍聴記

 前回11月24日の定例会で「次回定例会は12月4日10時から」と予告していたのに、今回も総合会議を突然に入れてきて、午前中に総合会議、定例会は午後に繰り下げられました。小池ファースト?!
 公開議案5件のうち、1件を報告します。

■「公立学校職員の標準職務遂行能力を定める規則の一部を改正する規則の制定」について

 「働き方改革やライフ・ワーク・バランス推進をさらに促すため」の改正とのこと。知事部局が改正したことに準じての改正で、今回は校長・副校長が対象。これまでの規則に「効率性の意識」「学校全体への目配り」「コンプライアンスを徹底した職場管理」を追加したとのこと。
 教員の試採用期間は1年間、1年が経過する時点で校長がゴーサインを出さないと本採用にはならない。その1年間に校長からいじめ・パワーハラスメントを受け、教組に駆け込んでくる事例をかなり耳にしてきた。この改正が、こうした校長のパワハラを止めさせるコンプライアンスになるだろうか。「効率が悪い」と更にパワハラを受けることにならないか。
 そもそも、こうした規則は不要で、害悪しかもたらさない。指示命令でではなく、教員が自由に思考し論議し、協力して仕事に当たることが必要なのだ。

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2017/12/14

都庁前通信 2017年12月14日号

F20171214

学校教育は意見表明権を教えるべきだ
――大企業の不正続出に思う

 日産自動車の無資格者による検査、神戸製鋼、三菱マテリアル、東レの品質・検査データ改ざんと大企業の不正が相次いで発覚した。10年にわたっていた、という企業もある。どれも間違えば人命に関わる問題であるのに、命よりも会社の利益確保を優先した結果だ。その仕事に従事した労働者たちが上司や経営陣の許可なく不正をはたらくはずはない。労働者には、不正に加担している自覚があっただろうか。『上司の命令』に従っただけという意識だったのだろうか。また、直接その仕事に従事していなくとも、不正を知っていた労働者も相当数いたのではないだろうか。労働組合はどうしていたのだろうか。内部告発をしたら多大な不利益を受けるという恐怖が、労働者を沈黙させてきたのか。 

 「子どもの権利条約」は思想・良心の自由や表現の自由とともに、意見表明権を大きく掲げる。児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について、自身の考え・気持ちをあらゆる表明方法を使って表現していいのだと、大人社会が子どもたちにしっかり伝えるよう、制定されたのだ。それが国際社会における子ども観・教育観となった。
 しかし、日本の学校は、とりわけ東京の学校は、どうだろう。「日の丸・君が代」の意味や歴史を教えずに、卒業式・入学式では「国旗に正対し、国歌を斉唱する」ことを教員だけでなく、子どもたちにも強制する。「起立しない児童・生徒がいたら起立を促す。式を始めてはならない。」と、式の進行表に明記しろとまで都教委は学校に注文をつける。意見表明権とは正反対の、自己の考えは表明せずに指示命令に従順な子どもをつくっているのが、「日の丸・君が代」の強制に象徴される日本の教育だ。
 その結果、不正には目をつぶり、あるいは考えずに「上司の命令」に従う大人社会となる。企業や組織、社会の不正はなくならない。不正やいじめのない社会にするためには、子どもたちに人権、意見表明権を教え、実行を促すことが学校教育に求められる。
 「日の丸・君が代」の強制に反対し、不利益処分を覚悟して「君が代」不起立をしてきた教員たちには、共通して、子どもたちの思想・良心の自由や表現の自由、意見表明権を奪ってはならないとの、教員としての思想が存在する。

不正の塊のアベ政治が「道徳」を言う

 森友・加計問題が示すように、安倍政治は不正の塊だ。安倍首相は国家予算を私物化し、録音等の動かぬ証拠が暴露されてもなお、「私は関与していない」と言い続ける。佐川財務省(元)理財局長の答弁が虚偽と明らかになり首相の責任を問われると、「私が自分で調べたわけではない」と首相の責任を放棄し、部下に責任を転嫁する。
 このような「道徳」を口にする資格を疑われるような安倍首相が、教育再生実行会議を設置し、子どもたちに「道徳的な態度」を養うため、道徳教育が教科とされることになったが、その求める「道徳」は、一人ひとりの尊厳・人権保障よりも、「秩序」を重んじ、「愛国心」を持ち個の人権は主張しない子どもたちの育成を目的とするようにおもえる。
 都庁、都教委ではたらく皆さん、ご自身の仕事が都民の幸せにつながっているかを考えてみてください。


11月24日都教委定例会傍聴記
報告:今年度の『いじめの認知件数及び対応状況把握のための調査』結果について
――論議すべきは、いじめをするのはなぜか、だ

調査結果は、

【いじめの認知件数について】

ア.いじめの認知件数は小学校9597件(昨年度の5.5倍)、中学校2220件(昨年度の2倍)、高校55件(昨年度の1.1倍)、特別支援学校12件(昨年度の2倍)
イ.認知したきっかけは、例えば小学校の場合は「アンケート調査により発見」が6560件、「子どもからの訴え」が1086件、「保護者からの訴え」が915件、「学級担任が発見」が850件。
ウ.いじめの態様は、「冷やかしやからかい」が最も多く、小学校校では5210件(昨年度の5倍)、中高では「冷やかしやからかい」の次に多いのが「パソコンや携帯で誹謗中傷」で、中学校で228件にのぼる。
エ.小中学校での調査結果を区市町村別に見ると、例えば、足立区小学校のいじめ認知件数は3204件、昨年度の50倍にのぼる。それについて都教委は、「毎月いじめ調査をしたことにより」「多くの学校で軽微ないじめも見逃さないという認識が広がった。」と言う。

【対応状況】

ア.「認知されたいじめについて誰が(どこが)対応したか」では、小中学校では「学級担任」が94%、92%、高校では56%。学校いじめ対策委員会(=いじめ防止推進法に沿って校内に設置)の対応は、高校では69.1%(昨年度62.5%)になったものの、小学校では39.7%(昨年度35.6%)止まり。
イ.「認知したいじめに対して学校がスクールカウンセラーと連携して対応した状況」は、小学校1646件(昨年度413件)、中学校640件(昨年度258件)、高校28件(昨年度23件)。「このうち、効果が見られた件数」は、小中高いずれも3割程度。「効果が見られた割合は減少している」という。
ウ.「学校いじめ対策委員会の取組状況」では、「スクールカウンセラーが得た情報を教職員間で共有」している割合、「いじめの未然防止や早期発見のための取り組みについて年間計画を策定」している割合は、全校種で一昨年度・昨年度より減少したとのこと。

***** ***** *****

 この報告に対し、教育委員も「多くの学校で軽微ないじめも見逃さないという認識が広がった」と評価した。
 子どもたちも教員も「軽微ないじめも見逃さな」くなったというのに、いじめが減らないのは、なぜなのか、どこに原因があるのかを、都教委は分析して欲しい。
 いじめは「自己肯定感」を持てないような状況におかれた子ども(=加害者)が、その代償として、ストレスのはけ口として、自分の意のままになる対象(=いじめ被害者)を持つことを求めるのだと言われている。弱い他者を支配することで優越感が持てるからだ。
 いじめは、いじめる側の子どものSOSでもある。自己を主張してもいい、受け止めてもらえる、と子どもたちが思える環境を、いろいろな働きかけを通して子どもたちに提供することが都教委や学校のすべきことだ。競争・選別・排除ではなく、誰もが人格を持ったひとりの人間であることを、学校生活を通して示すことが大事なのだ。身の回りや社会で起きている不正や差別問題に向き合い考え合うことからも、子どもたちの心は育つ。
 また、子どもたちは良くも悪くも大人を見て育つのだから、大人社会でのいじめを止めること。学校では、「君が代」起立を拒否する教員を処分し、差別することを止めることだ。

 文科省・都教委が進める学校いじめ対策委員会の取り組みや、スクールカウンセラーと連携した対応の効果が減少したことを都教委はマイナス評価するが、どちらの策も効果がなく教員を忙しくするだけなのではないか、とも思う。

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2017/11/24

都庁前通信 2017年11月24日号

F20171124

都教委調査「中学校教員の68%が過労死ライン」
―都教委の意識改革が必要だ

11月9日の都教委定例会報告「都公立学校教員勤務実態調査の集計について(速報値 調査期間は6月19日から7月16日のうちの連続する7日間)」で表題の結果が発表された。それとともに、「学校における働き方改革推進プラン(仮称)」中間まとめが報告された。
 中学校教員の68.2%が過労死ライン(週60時間)を超える長時間労働をしている。小学校37.4%、高校31.9%、特別支援学校43.5%と並ぶ。また、副校長では小学校84.6%、中学校78.6%、高校58.3%、特別支援学校86.7%が過労死ラインを超えるというひどさで、副校長のなり手が少ないのはうなずける。
 この結果を踏まえて都教委が出した「学校における働き方改革推進プラン(仮称)」の内容は、 「当面の目標」を「週あたりの総在校時間が60時間を超える教員をゼロにする。」そのための「取り組み」は「平日は、1日あたりの在校時間を11時間以内とする」「土曜日、日曜日については、どちらか一方は必ず休養できるようにする」という。
 また、「取り組みの方向性」として次を挙げる。

ア.働き方の見直しに向けた意識改革(勤務時間を意識した働き方をするように等) 
イ.教員業務の見直し(給食費等の徴収・管理を事務職員が行う、教員が在宅でも仕事ができるようにする等)
ウ.教員を支える人員体制の確保(スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置促進、学校支援ボランティアによる支援)
エ.部活動の負担軽減(「部活動指導員」の配置、地域人材の活用)
オ.ライフワークバランスの実現に向けた環境整備(病児保育や家事代行付きのベビーシッター利用の支援等)

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 「学校における働き方改革推進プラン(仮称)」には、教員の長時間労働の一番の原因が都教委・文科省にあることの認識がまったくない。一言の反省の弁もない。教員の意識改革ではなく、都教委の意識改革が必要だ。
 子どもたちのことを知る教職員が、どのような教育をするかを職員会議で論議し決定して仕事をしてきた時代(2000年以前)には過労死ラインの長時間労働は多分ほとんどなかった。都教委(文科省)が職員会議を指示・伝達の場に変え、教育内容を指示・強制し、また書類の提出を強制したことで教員の仕事が凄まじく増えた。都教委が施策にあげる各種の○○教育(年間35時間ものオリンピック・パラリンピック教育等)、土曜授業の強制や押し付け「研修」、各種の調査報告、業績評価のための自己申告書、授業プラン等々の作成・提出を課すなどだ。
 解決策の第1は、教育行政が介入を止め、各学校に職員会議の決定権、教育課程編成権を戻すこと。第2は、少人数学級や複数担任制にすること。この2点を実行することだ。
 しかし、都教委の「プラン」にはそういった解決策は一つもない。スクールカウンセラーを配置するというのならば、フルタイムのカウンセラーを雇用すべきなのだ。週1日の「勤務」では子どもとの信頼関係を築く時間がなく、子どもたちはスクールカウンセラーに相談しない。カウンセラーに仕事を振り向けても、かえって教員の仕事量を増やすだけ。そうした現実を筆者も在職中に見てきた。昨年11月10日の定例会において都教委はいじめ問題への取り組み報告の中で、「教員とスクールカウンセラーが連携して対応した事例のうち、効果が見られた事例の割合が、どういうわけか過去2年間よりも減少した。」と言っていたが、今回の施策もこうした事実・現実から学んでいない。学校支援ボランティア等にしても、同じことが言えるのではないだろうか。
 イ「在宅で仕事ができるようにする」(仕事の持ち帰り)では、仕事量が減るわけではない。なお、10年前までは多くの教員が仕事の持ち帰りをしてきたが、「個人情報の漏洩」を理由に都教委が禁止した。オは「ベビーシッター利用の支援」をするから、「我が子の病気ぐらいで休暇を取るな」との声が聞こえてきそう。かたちをつくろっている、としか思えない「プラン」。ある傍聴者は、「まさにマッチポンプだ!」と怒った。都教委が次々に打ち出す教育施策が教員の過労死ラインの働き方に拍車をかけていることに、都教委は気づくべきだ。

■上記以外に定例会で報告されたこと

 「東京グローバル人材育成計画’20(Tokyo Global STAGE’20)」(素案)。
 都の長期計画(都民ファーストで作る「新しい東京」~2020年に向けた実行プラン)、「東京都英語教育戦略会議報告書」(2016.9.8)をベースにグローバル人材育成に向けた学校教育の在り方を示すという。これまで取り組んだこと-オリンピック・パラリンピック教育の「Welcome to Tokyo」の開発や英語村「TOKYO GLOBAL GATEWAY」-、今後2020年度までに取り組む施策と事業内容について本日素案を公表。この後パブリックコメント実施。2月上旬「パブリックコメントの結果及び計画策定について」を出すとのこと。
 この日の議題にあった「来年度教育庁所管事業予算見積」とともに、エリート育成ばかりに金を注ぐ都の姿勢が明確だ。公教育はエリート育成を目的とするのではなく、全ての子どもの学びを保障すべきなのだ。
 「計画’20」は3つの柱の1つに「豊かな国際感覚の醸成」を挙げる。ならば都教委は、関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文送付を断った小池都知事の国際感覚をまずは問題にすべきではないのか。


「男が痴漢になる理由」(精神保健福祉士・斉藤章佳著 イースト・プレス出版 1512円)
 10月29日付け東京新聞朝刊に著者の斉藤さんのことばが次のように紹介されていた。
 「痴漢=性欲の強い異常な犯罪者、ではありません。痴漢は依存症の一種で、治療できます。」
 都内のクリニックで性犯罪者の「再犯防止プログラム」を行う斉藤さんは、加害者の平均像は「四大卒・会社員・妻子あり」。痴漢の動機は、過剰な性欲ではなく、「ストレスへの対処」なのだという。
 相手を自分の思い通りにできる快感が、ストレスを消す。弱い他者を支配することで優越感が持てるからだ。社会にはびこる「男は女より上」という性差別の価値観が彼らを支える、のだと。

 都教委定例会で毎回と言っていいほど、時には数件の性加害、体罰(暴力加害)などの懲戒処分案件が議題となる。過労死ラインの長時間労働、徹底した管理、指示されての「自己啓発」研修等々、教員の働き方が関係しているのではないか。働く上でのストレスが引き起こすと言う斉藤さんの言に納得する。

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